8 / 9
奈落の底でも最弱でした。
九死に一生を得る
しおりを挟む「これからはただのケイだ。復讐するためだけに生きるケイだ。邪魔する者は……皆殺しだ」
ケイは、食料を探しに行った。昨日のいた場所に、自然と足が向いた。勘だが、昨日いた場所に現れると感じるた。少し歩くと、奴はいた。
「やっぱりな……いると思ったぜ、兎もどき」
昨日、同種を食べていた兎もどきがそこにいた。奴がケイを見た瞬間、殺気を丸出しにして、こちらを見ている。
「はっ、お前の殺気はその程度か! これなら、あの狼の方がもっと凄かったぜ!」
そう言いながらも怖いものは怖い。全身がガタガタと震えている。が、無理やり右手で左腕を抑え、今度はケイが兎を睨みつける。魔界の初心者と強者が睨み合った。
そこからは早かった。制服のズボンのポケットから石を取り出して、投げる。兎もどきはそれを軽々しく避けてすぐさま頭突きを繰り出す。
「はっ! パターンが同じなんだよ!」
狼の時に感じた絶望的なまでの恐怖が無ければ今頃、兎もどきのキモさと体験した恐怖で、ここまでスムーズに動けなかっただろう。飛んでくる兎もどきの角をギリギリで躱す。突っ込んだ兎もどきの角は、後ろにあった大樹に深く突き刺さる。
ケイはこの機会を逃さない。瞬時に体勢を立て直した瞬時、全力の蹴りを兎もどきの腹あたりにぶち込んだ。そのおかげで兎もどきの角は抜け、吹っ飛んだが、着地に失敗し、足首をくじき、お腹あたりに複数の小さな骨折が出来たのか動かなくなっていた。
「ちっ……まだ少し動けるのか……しぶてぇ野郎だ」
ケイは辺りを見回して、殺すための道具を見て回る。見つけたのは、片手でつかめる程度の手頃な石。右手で掴み、何度か兎もどきの顔面に力強くぶつける。
「死ね! 死ね! 死ね!」
しばらくすると、地面には、血と脳みそでぐちゃぐちゃになった兎もどき。脳を潰してもまだ少しばかりか足がピクピクと痙攣している。つまり、その兎はまだ少し生きていた。
「くそっ、くそっ! これで、どうだ!」
何度が石を打ち付けて、ようやく兎の動きが止まった。
「はぁ、はぁ……飯の時間だ」
ケイは兎の血抜きや毛剥ぎなどが完了していないにもかかわらず、無我夢中で噛み付いた。何しろ、5日ぶりに食べてた飯なのだ。空腹はとうに底を超えていた。兎の血が、肉が、蛍の胃袋を満たしていく。
降ってきた雨の水を土を掘ることで、貯めた水を啜る。急に食べ物を入れたせいか、それとも普通じゃない兎もどきを食べたせいなのか、どちらかかはわからないが、胃が受け付けない。吐き気を誤魔化すためにさらに水という名の泥水を啜る。
「うっ!?……うぇぇぇ……お、お、おぇぇぇぇぇぇぇえっ!!」
少し戻した。毛や血や肉が口から少し溢れ出た。だが、それ見てケイはなんとも思わない。いや、思えなくなった。むしろ、少し勿体ない気もしている。これで少しは空腹を凌げた。
食べ終えて直ぐに違和感を感じた。全身が溶けるように熱く、周りから湯気が出るほど熱を発し始めた。特に左目には異様な熱さを感じる。触ろうとした瞬間、気がついた。
自分の骨が実際に溶け、変な方向に曲がってる。皮膚も少しドロドロとしてきた。そして、血管には魔獣と同じように薄らと青い光が放ってる。
「ま、まさか! 俺が魔獣と同じになろうとしてるのか!? い、いや、これは……死ぬ、のか?……い、いやだ! 死にたくない!!」
その時、再び雨が降り始めた。今度は雷と一緒に。とてつもなく激しい豪雨がケイの体を襲う。
「こ、こんな…とこ……ろで、死んで……た、ま……るか!」
ケイは薄らとする視界の中、逃げるように洞窟へ戻ろうとしたが徐々に意識を失って行った。
────そして、数時間が経つとはケイ目を覚ました。
「うっ……俺は……生きて…いる……のか?」
溶けて終わるかと思っていたケイの熱した体は、雨によって急激に冷やされた。それによりケイの体の骨が作り直された。筋肉が前よりもぎゅっと鍛えられた形で作り直され、骨と筋肉の間に血管が生成され、そこに血が通い、全身に行き渡る。その度に淡い青色の光が発している。
心無しか、背が若干高くなった。そして、もう1つ気がついたことがあった。
「!! これは……左目が治ってるのか?」
治った左目は黒から赤へ変わった。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる