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幸か不幸か予定通り
濡れ衣
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「復活の御手の力を隠して生活していましたが、ベイフィールド王国に嫁いで来て…力を隠すことなく生活出来ると思っていたのですが、先ほども申しましたがこの城には禍々しい魔の塊が芽吹いておりまして…とても怖くて」
ああ、これ言いたくないなぁ…言ったらリュー君なんて言うかな…
「贅沢して散財していれば…国王陛下に嫌われて、この国から追い出されると思っていたのです」
「はあぁ!?」
男性陣の気の抜けたような驚きの声の後に被せる様に、私は言葉を続けた。
「今思えば、他にもやりようがあったのも分かっています。ですが、15才の当時は只々この魔の巣食う城から逃げ出したくて考えなしで…」
俯いた私の頭にゴンッと何かが落ちてきた。イタッ!リュー君の拳骨だった。
「なんでそれこそ俺に相談しないんだ!」
「ち、小さい頃は仲良かったけど…最近はリュー君と疎遠だったじゃない!」
「そ…それは俺も軍に入ったり、色々あって…。もう、いいよ!で?放逐されたんだろう?」
「ええ…それで今まで散財で手に入れていたドレスや宝石類を換金して、市井で洋装店をして暮らそうかと思っていたんだけど…」
「洋装店!?」
また男性陣に叫ばれてしまった。
「そのドレスや鞄、靴などはほとんどをメイド達に…その、取り上げられてしまって…」
「取り上げ…とはメイドが?」
絶句したマジアリート様に頷き返して、自分の元ドレスを見る。
「これもなんとか残っていたドレスを作り変えてワンピースにしました」
「ええっ!ドレスからそんなもの作れるの?」
さっきからワランジさんも驚きすぎよ?
「おまけに宝石類を保管している小部屋に、近衛の方や第二妃のプリエレアンナ様が押し入ろうとしていたので…魔法で施錠して城を出てきたのよ」
あ!とリュー君が叫んだ。
「それでさっき近衛が鍵を開けろって言って来たのか!それにしても、アイツら不敬だよな、自国の国王妃に向かってさ」
「何かあったのですか?」
リュー君はカッシーラ伯とマジアリート様に、先ほどカフェ前で遭遇した近衛のお兄様方とのやり取りを説明した。
マジアリート様は頭を抱えられた。
「宝物庫の初代王の玉座をミランジェ妃が盗んだと…目撃したと騒ぎ出したのは、近衛の者達なのです。」
ちょっと待て?今、引っ掛かりのある単語が聞こえたけど?
「あの、聞き間違いでしょうか?宝物庫で、ぎょ…玉座を盗んだと?」
マジアリート様は私に向けて若干鋭い目を向けた。
「ああ、玉座だ。由緒正しき初代ベイフィールド王が座られていた…」
「私が…その端的に言えば椅子を持ち出した…と?」
カッシーラ伯とマジアリート様二人共私をとんでもない目で見ていたけど、はっきりと聞いてみた。
「その椅子…換金出来ますか?」
「はあぁ?!しょ、初代王の由緒正しき玉座ですよ!換金…」
「はっきり言って貨幣価値はあるのでしょうか?」
「…いえ、素材は木…木造で魔法で劣化を防いでいるもので…」
カッシーラ伯の返答に私はふぅ~と息を吐き出した。不敬だとなんだと罵られても構わないから言ってみるか。
「ただの椅子を盗んでも、私からすれば換金して市井でお金を使えなきゃ意味がないものです」
男性陣はポカンとしていた。
「私、市井で換金したお金を使って生活をしようと思ってはいましたけど、散財するつもりはありませんよ?必要なものを買って使って…お金を回す。国を支えているのは貴族ではありません。市井で暮らす国民ですから。彼らの所にお金を落とすことを念頭に入れて、商店街の外れで生活しようと思っていました。ですから貨幣価値の無いものを持ち出す、ましてや盗むなんて馬鹿馬鹿しい。ちゃんと調べて下さい」
マジアリート様はちょっと前のめりになって私に顔を寄せた。
「本当に盗んでいないのですね?」
「はい」
リュー君がちょっと待って?と声を上げた。
「じゃあ、あの近衛は何を探していたの?部屋に鍵とか言ってたし?」
「ああ、それは私が散財で集めた宝石類のことでしょう?大方、その盗んだ玉座を…さも、その宝石類を保管している部屋で見つけたと…でっちあげる為に部屋に入りたいのでしょう」
「その部屋は…そのミランジェ妃が先ほどの復活の御手の力を使って、言い方を変えれば『封印』して城を出て来られたのですよね?」
カッシーラ伯に私は頷いてから、種明かしをすることにした。
「あ、でもその部屋は中は空ですよ?宝石類は私が持って出ていますので」
男性陣は戸惑い気味の目線を互いに交わした。私は今、背負っているリュックサックを指差した。
「ここに入れています」
「え?」
「このリュックサックの中に入れています」
「ば、馬鹿言うなよ?ミランジェ。そんな俺の拳くらいの大きさしかない袋にどうやったら部屋一つ分の宝石が入るんだよ?」
リュー君が馬鹿にしたように鼻で笑った。流石にムッとしたが…背負っていた袋を体の手前に持ってくると、リュックサックの中に手を突っ込んだ。
「は~い、今出します。はいどうぞ」
私はリュックサックの中には到底入らないサイズの、大きな風呂敷の代わりにストールに包んだ宝石類を、ヒョイと取り出した。
「うわっ!」
「何それ?!」
「どうなってるの?」
……あれ?これ珍しいの?え~と、服とか布とかに魔力を籠められるって本には書いてあったよ?
「何って…重さを無くす魔法と、腐敗防止の魔法と、このリュックサックと亜空間を結んで転移させて…え?あれ?皆さま…どうされましたか?」
ワランジさんを覗く美形3人に至近距離で見詰められたかと思ったら、リュックサックをリュー君に取り上げられた!リュー君は遠慮も無しに鞄の中に手を突っ込む。
「ええ?何も入ってないぞ?どういうこと?」
リュー君もマジアリート様も私の作ったリュックサックの中を覗き込んでいる。
「今、亜空間と言ったね?もしかして最高位魔法の空間連結魔法なの?!嘘でしょう?こんな袋に繋いでいるの初めて見たよ。そうかっ鞄に魔力を定着させて…すごい、すごいよ!こんな魔力の塊なのに、まるで普通の袋だ!」
マジアリート様がすごく興奮してしまっている。
見せたの失敗したか…?もしかしてこの世界の常識からずれているのか…?冷や汗が背中を伝う。
「ミランジェ!この袋、俺にも作って!あっ…もしかして洋装店したいって言ってたのはこういう魔道具作りたいってことなの!?」
リュー君の興奮した声に度肝を抜かれる。
ま、魔道具?!そんな大それたものじゃなくていいのよ!え~とえ~と…
「私、普通の洋装店でいいのだけど?」
「いいえっいいえ!これは是非魔道具として商品化して販売するべきですよ。恐ろしいほど需要のあるものです!」
カッシーラ伯ににじり寄られて体を仰け反らせてしまう。
「まあいずれ…作りますけど。でも私この持ち出した宝石は使いませんので…そうだ。カッシーラ伯差し上げますわ」
「ええっ!」
ポイッとカッシーラ伯にストールごと渡すと、カッシーラ伯は妙に軽い(魔法で軽くしている)ストールの包みを開けて中を覗いて見られた。
「本当に宝石だ!」
「本当に入っていたのか!」
カッシーラ伯とマジアリート様は暫し茫然としておられたけど、ストールを大事そうに抱えられると
「領民の為に使わせて頂きます」
と私の前に膝をつかれた。
「いえいえ、元々とんでもない思いつきで散財したものですから、是非お使いくださいませ」
ふぅ良かった。これで手元に残ったのは小さな宝石の2,3粒だけだけど、それでも前に60万の値がついていたし、本当に困ったら使わせてもらうことにして、とりあえずギルドでバイトしなくっちゃ。
「リュージエンス様…先ほどの魔獣の件、スカウザーを動かしてもらえそうですか?」
男性陣は魔獣討伐の話をされている。そうだ、お茶お入れしましょうか…。リュックサックの中から茶器ややかんを出して水魔法でやかんに水を張り、火魔法をゆっくりとやかんに当てていった。
「コンロも冷蔵庫もないもんね~あ~お城から取ってくるんだった!」
いけない…そんなことしちゃあの近衛やメイドと変わらないよね。それじゃあ空き巣だよ、空き巣!
なんとか水が沸いたのでお茶を入れてお出しした。ジャムと蜂蜜?っぽいものはお好みで~。
男性陣はびっくりしたような顔で私を見た。何でしょう?
カッシーラ伯は震える指で紅茶を指差した。
「ご自分でお入れに?」
「はい」
「すげぇ…妃殿下なのに」
「ミランジェ…お前…」
リュー君がちょっと私に羨望の眼差しを向けているよ!おーほほっ!
お茶を飲みながら男性陣は討伐の話をし始めた。私は台所に入ると、備え付けで唯一ある家具?の炊事場のシンク台にフライパンとポット、まな板と包丁を置いた。
「スカウザーは基本は内政不干渉が原則だからな…。ベイフィールド王国が討伐を真面目にしてくれれば問題ない、とギルドの本部長は言いそうだし、サザウンテロスも俺の要請じゃあ軍は貸して貰えないだろうしな~」
話が聞こえてきて、思わずキッチンから顔を覗かせてしまった。
え?どういう事?第二王子殿下のリュージエンス殿下のお声がけでも軍が動かせないの?
「兎に角、本部長に打診して正式な依頼として受理出来るか聞いてみましょう」
リュー君が動くとカッシーラ伯とマジアリート様もどうやら帰られるようだ。
「ミランジェ、お前も来い。ここに住むんだよな?家財道具も必要だろ一緒に選んでやるよ?それに…あの鞄、作ってくれたら買い取らせてもらうよ!どうだ?」
リュー君ってば優しい~!やっぱり本物のお地蔵様ね。拝んじゃお!
「何…その動作?」
「感謝の意を示しているのよ。男の子の持つ鞄だから布も新しく選ばないと~」
4人で馬小屋…じゃない、我が家を出てギルドに向かって歩いた。
道すがら、カッシーラ伯とマジアリート様にも、あのリュックサックを作ってくれと頼まれた。快諾し御代金を頂いて作らせて頂くことにした。どんなデザインがお好みかをお聞きすると、背中に背負う形が気に入られたらしくウエストポーチかボディバッグにしようか…どうせなら二種類作ってみよう…とか話しをしながらギルドに戻った。
そうだ、戻ったついでに会員証の手続きやっておこう。
リュー君はまた事務所の奥に入って行った。何故だかカッシーラ伯とマジアリート様は私と一緒だ。私はまた『受付、登録』窓口に行くと少し順番を待ち、先ほどの受付のお姉さまの所へ行った。
「先ほどはすみません、登録の続きをしたいのですが…」
「あ、はい。ミランジェ=エスペラーダ様ですね。はい、ではこちらのギルド証にご自身の魔力を籠めて下さい」
お姉さまの言う通りに魔力を籠めた。ギルド証…木の板?みたいなのが綺麗な発光をした。
「はい、完了しました。冒険者生活頑張って下さいませ!」
「あ、ありがとうございます」
冒険者…!ひゃ~テンション上がるわ!私がお姉さまから頂いた自分のギルド証を持って感動していると横からカッシーラ伯とマジアリート様が覗き込んで
「冒険者の仕事を請け負うの?」
「妃殿下ならお裁縫…針子のお仕事をされるので?」
と、2人同時にそう仰った。おや?針子の仕事もあるの?でもやっぱり出来るかどうかは分からないけど…
「いえ…出来れば普通の冒険者のお仕事がしてみたいのです」
私が言い切るとマジアリート様が笑顔になった。
「だったら丁度良いんじゃないかな?だって、リュージエンス殿下って言う、スカウザーのSSSの剣士と知り合いだし、殿下に弟子入りすれば?」
おおっ!リュー君SSSなの?!それはすごいわ!SSS様に弟子入りかぁ…それは良いわね!リュー君がお師匠さんか~。
ああ、これ言いたくないなぁ…言ったらリュー君なんて言うかな…
「贅沢して散財していれば…国王陛下に嫌われて、この国から追い出されると思っていたのです」
「はあぁ!?」
男性陣の気の抜けたような驚きの声の後に被せる様に、私は言葉を続けた。
「今思えば、他にもやりようがあったのも分かっています。ですが、15才の当時は只々この魔の巣食う城から逃げ出したくて考えなしで…」
俯いた私の頭にゴンッと何かが落ちてきた。イタッ!リュー君の拳骨だった。
「なんでそれこそ俺に相談しないんだ!」
「ち、小さい頃は仲良かったけど…最近はリュー君と疎遠だったじゃない!」
「そ…それは俺も軍に入ったり、色々あって…。もう、いいよ!で?放逐されたんだろう?」
「ええ…それで今まで散財で手に入れていたドレスや宝石類を換金して、市井で洋装店をして暮らそうかと思っていたんだけど…」
「洋装店!?」
また男性陣に叫ばれてしまった。
「そのドレスや鞄、靴などはほとんどをメイド達に…その、取り上げられてしまって…」
「取り上げ…とはメイドが?」
絶句したマジアリート様に頷き返して、自分の元ドレスを見る。
「これもなんとか残っていたドレスを作り変えてワンピースにしました」
「ええっ!ドレスからそんなもの作れるの?」
さっきからワランジさんも驚きすぎよ?
「おまけに宝石類を保管している小部屋に、近衛の方や第二妃のプリエレアンナ様が押し入ろうとしていたので…魔法で施錠して城を出てきたのよ」
あ!とリュー君が叫んだ。
「それでさっき近衛が鍵を開けろって言って来たのか!それにしても、アイツら不敬だよな、自国の国王妃に向かってさ」
「何かあったのですか?」
リュー君はカッシーラ伯とマジアリート様に、先ほどカフェ前で遭遇した近衛のお兄様方とのやり取りを説明した。
マジアリート様は頭を抱えられた。
「宝物庫の初代王の玉座をミランジェ妃が盗んだと…目撃したと騒ぎ出したのは、近衛の者達なのです。」
ちょっと待て?今、引っ掛かりのある単語が聞こえたけど?
「あの、聞き間違いでしょうか?宝物庫で、ぎょ…玉座を盗んだと?」
マジアリート様は私に向けて若干鋭い目を向けた。
「ああ、玉座だ。由緒正しき初代ベイフィールド王が座られていた…」
「私が…その端的に言えば椅子を持ち出した…と?」
カッシーラ伯とマジアリート様二人共私をとんでもない目で見ていたけど、はっきりと聞いてみた。
「その椅子…換金出来ますか?」
「はあぁ?!しょ、初代王の由緒正しき玉座ですよ!換金…」
「はっきり言って貨幣価値はあるのでしょうか?」
「…いえ、素材は木…木造で魔法で劣化を防いでいるもので…」
カッシーラ伯の返答に私はふぅ~と息を吐き出した。不敬だとなんだと罵られても構わないから言ってみるか。
「ただの椅子を盗んでも、私からすれば換金して市井でお金を使えなきゃ意味がないものです」
男性陣はポカンとしていた。
「私、市井で換金したお金を使って生活をしようと思ってはいましたけど、散財するつもりはありませんよ?必要なものを買って使って…お金を回す。国を支えているのは貴族ではありません。市井で暮らす国民ですから。彼らの所にお金を落とすことを念頭に入れて、商店街の外れで生活しようと思っていました。ですから貨幣価値の無いものを持ち出す、ましてや盗むなんて馬鹿馬鹿しい。ちゃんと調べて下さい」
マジアリート様はちょっと前のめりになって私に顔を寄せた。
「本当に盗んでいないのですね?」
「はい」
リュー君がちょっと待って?と声を上げた。
「じゃあ、あの近衛は何を探していたの?部屋に鍵とか言ってたし?」
「ああ、それは私が散財で集めた宝石類のことでしょう?大方、その盗んだ玉座を…さも、その宝石類を保管している部屋で見つけたと…でっちあげる為に部屋に入りたいのでしょう」
「その部屋は…そのミランジェ妃が先ほどの復活の御手の力を使って、言い方を変えれば『封印』して城を出て来られたのですよね?」
カッシーラ伯に私は頷いてから、種明かしをすることにした。
「あ、でもその部屋は中は空ですよ?宝石類は私が持って出ていますので」
男性陣は戸惑い気味の目線を互いに交わした。私は今、背負っているリュックサックを指差した。
「ここに入れています」
「え?」
「このリュックサックの中に入れています」
「ば、馬鹿言うなよ?ミランジェ。そんな俺の拳くらいの大きさしかない袋にどうやったら部屋一つ分の宝石が入るんだよ?」
リュー君が馬鹿にしたように鼻で笑った。流石にムッとしたが…背負っていた袋を体の手前に持ってくると、リュックサックの中に手を突っ込んだ。
「は~い、今出します。はいどうぞ」
私はリュックサックの中には到底入らないサイズの、大きな風呂敷の代わりにストールに包んだ宝石類を、ヒョイと取り出した。
「うわっ!」
「何それ?!」
「どうなってるの?」
……あれ?これ珍しいの?え~と、服とか布とかに魔力を籠められるって本には書いてあったよ?
「何って…重さを無くす魔法と、腐敗防止の魔法と、このリュックサックと亜空間を結んで転移させて…え?あれ?皆さま…どうされましたか?」
ワランジさんを覗く美形3人に至近距離で見詰められたかと思ったら、リュックサックをリュー君に取り上げられた!リュー君は遠慮も無しに鞄の中に手を突っ込む。
「ええ?何も入ってないぞ?どういうこと?」
リュー君もマジアリート様も私の作ったリュックサックの中を覗き込んでいる。
「今、亜空間と言ったね?もしかして最高位魔法の空間連結魔法なの?!嘘でしょう?こんな袋に繋いでいるの初めて見たよ。そうかっ鞄に魔力を定着させて…すごい、すごいよ!こんな魔力の塊なのに、まるで普通の袋だ!」
マジアリート様がすごく興奮してしまっている。
見せたの失敗したか…?もしかしてこの世界の常識からずれているのか…?冷や汗が背中を伝う。
「ミランジェ!この袋、俺にも作って!あっ…もしかして洋装店したいって言ってたのはこういう魔道具作りたいってことなの!?」
リュー君の興奮した声に度肝を抜かれる。
ま、魔道具?!そんな大それたものじゃなくていいのよ!え~とえ~と…
「私、普通の洋装店でいいのだけど?」
「いいえっいいえ!これは是非魔道具として商品化して販売するべきですよ。恐ろしいほど需要のあるものです!」
カッシーラ伯ににじり寄られて体を仰け反らせてしまう。
「まあいずれ…作りますけど。でも私この持ち出した宝石は使いませんので…そうだ。カッシーラ伯差し上げますわ」
「ええっ!」
ポイッとカッシーラ伯にストールごと渡すと、カッシーラ伯は妙に軽い(魔法で軽くしている)ストールの包みを開けて中を覗いて見られた。
「本当に宝石だ!」
「本当に入っていたのか!」
カッシーラ伯とマジアリート様は暫し茫然としておられたけど、ストールを大事そうに抱えられると
「領民の為に使わせて頂きます」
と私の前に膝をつかれた。
「いえいえ、元々とんでもない思いつきで散財したものですから、是非お使いくださいませ」
ふぅ良かった。これで手元に残ったのは小さな宝石の2,3粒だけだけど、それでも前に60万の値がついていたし、本当に困ったら使わせてもらうことにして、とりあえずギルドでバイトしなくっちゃ。
「リュージエンス様…先ほどの魔獣の件、スカウザーを動かしてもらえそうですか?」
男性陣は魔獣討伐の話をされている。そうだ、お茶お入れしましょうか…。リュックサックの中から茶器ややかんを出して水魔法でやかんに水を張り、火魔法をゆっくりとやかんに当てていった。
「コンロも冷蔵庫もないもんね~あ~お城から取ってくるんだった!」
いけない…そんなことしちゃあの近衛やメイドと変わらないよね。それじゃあ空き巣だよ、空き巣!
なんとか水が沸いたのでお茶を入れてお出しした。ジャムと蜂蜜?っぽいものはお好みで~。
男性陣はびっくりしたような顔で私を見た。何でしょう?
カッシーラ伯は震える指で紅茶を指差した。
「ご自分でお入れに?」
「はい」
「すげぇ…妃殿下なのに」
「ミランジェ…お前…」
リュー君がちょっと私に羨望の眼差しを向けているよ!おーほほっ!
お茶を飲みながら男性陣は討伐の話をし始めた。私は台所に入ると、備え付けで唯一ある家具?の炊事場のシンク台にフライパンとポット、まな板と包丁を置いた。
「スカウザーは基本は内政不干渉が原則だからな…。ベイフィールド王国が討伐を真面目にしてくれれば問題ない、とギルドの本部長は言いそうだし、サザウンテロスも俺の要請じゃあ軍は貸して貰えないだろうしな~」
話が聞こえてきて、思わずキッチンから顔を覗かせてしまった。
え?どういう事?第二王子殿下のリュージエンス殿下のお声がけでも軍が動かせないの?
「兎に角、本部長に打診して正式な依頼として受理出来るか聞いてみましょう」
リュー君が動くとカッシーラ伯とマジアリート様もどうやら帰られるようだ。
「ミランジェ、お前も来い。ここに住むんだよな?家財道具も必要だろ一緒に選んでやるよ?それに…あの鞄、作ってくれたら買い取らせてもらうよ!どうだ?」
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「何…その動作?」
「感謝の意を示しているのよ。男の子の持つ鞄だから布も新しく選ばないと~」
4人で馬小屋…じゃない、我が家を出てギルドに向かって歩いた。
道すがら、カッシーラ伯とマジアリート様にも、あのリュックサックを作ってくれと頼まれた。快諾し御代金を頂いて作らせて頂くことにした。どんなデザインがお好みかをお聞きすると、背中に背負う形が気に入られたらしくウエストポーチかボディバッグにしようか…どうせなら二種類作ってみよう…とか話しをしながらギルドに戻った。
そうだ、戻ったついでに会員証の手続きやっておこう。
リュー君はまた事務所の奥に入って行った。何故だかカッシーラ伯とマジアリート様は私と一緒だ。私はまた『受付、登録』窓口に行くと少し順番を待ち、先ほどの受付のお姉さまの所へ行った。
「先ほどはすみません、登録の続きをしたいのですが…」
「あ、はい。ミランジェ=エスペラーダ様ですね。はい、ではこちらのギルド証にご自身の魔力を籠めて下さい」
お姉さまの言う通りに魔力を籠めた。ギルド証…木の板?みたいなのが綺麗な発光をした。
「はい、完了しました。冒険者生活頑張って下さいませ!」
「あ、ありがとうございます」
冒険者…!ひゃ~テンション上がるわ!私がお姉さまから頂いた自分のギルド証を持って感動していると横からカッシーラ伯とマジアリート様が覗き込んで
「冒険者の仕事を請け負うの?」
「妃殿下ならお裁縫…針子のお仕事をされるので?」
と、2人同時にそう仰った。おや?針子の仕事もあるの?でもやっぱり出来るかどうかは分からないけど…
「いえ…出来れば普通の冒険者のお仕事がしてみたいのです」
私が言い切るとマジアリート様が笑顔になった。
「だったら丁度良いんじゃないかな?だって、リュージエンス殿下って言う、スカウザーのSSSの剣士と知り合いだし、殿下に弟子入りすれば?」
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やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
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