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兄と弟
愛憎バトル
リオラメーレ=ナツサンテ様は魔質を嫉妬の色に染めながら、顔はにこやかに微笑んでいる。
メイドがお茶の準備を整え終わるとお義母様は私の持っている生地を見た。
「今縫っているのが、例の鞄ね?」
「はい。」
お義母様は私の魔法の鞄の説明をジュリニーク様達に説明している。
「まあ…鞄を作ってらっしゃるの?」
おや?リオラメーレ様の口調は少し咎める感じだ。
確かに王女殿下が鞄作りはおかしいだろうな…とは思う。だが魔道具作り…となると話は別だ。王女と言えども、どこかの国の魔術師団や民間の魔術研究所などに籍を置き、魔道具開発の魔導師の職につけば立派な最高位専門職だ。
「そんなものをリュージエンス殿下の第二王子妃が作るなんて…恥ずかしいことですわ」
おいっちょっと待てよ?鞄作りが恥ずかしいことだって?手に職があることが恥ずかしいだって?
私が一言もの申そうとして口を開きかけるより先に、ジュリニーク義叔母様がカッ…と魔力を上げた。
「そんなものとはどういうことですかっ!鞄や魔道具を作っている職人に対する侮辱ですよっ!」
リオラメーレ様は顔を真っ赤にして義叔母様を見た。
「リュージエンス殿下はこの国に必要な方なのよ!それなのにっ…国を出て愛にうつつをぬかしてよい立場ではないのではですかっ?!」
ん?愛…?
リオラメーレ様は私とお義叔母様を交互に睨みつけながら更に叫んだ。
「私は信じませんっリュージエンス殿下が国を捨てて真実の愛を求めて生きているだなんてっ!」
…知らなかった。リュー君に真実の愛?ちょっと待てよ?じゃあクリマリに狙われてる…ていうの嘘なの?どういうこと?
「リオラメーレッ!それはあくまで噂ですっリュージエンス殿下が出奔した原因は…」
義叔母様の言葉を遮るように、違う!と叫んでからリオラメーレ様が私を指差した。
「そ、その女にぃ唆されたのですっ!だって…だって、殿下がっ殿下が…国を出て元王妃と逃げるなんてっあんな話信じません!」
私が唆す?私と逃げる?どういうことだ?
「第二王子妃に不敬ですよっ!」
「リオラメーレッ!」
「あの…リューく…リュージエンス殿下とはベイフィートの商店街で偶然会ったんですけど…」
室内に静寂が訪れる。
何だかリオラメーレ様が異様に盛り上がっているけど、誤解は解いておかなければ。
もしかすると、リュー君は本当はクリマリに狙われていないかもしれないし、その真実の愛?とかを求めて出国したのかもしれないし?よく分からないけど…不用意なことは言わないように気を付けて…え~と
「私はリュージエンス殿下に商店街を歩いている時に呼び止められて…お茶をしないかと声をかけられたのがキッカケですので…え~と真実の愛が何なのか存じないのですが…」
目の前の女性の3人がワナワナと震えている。
「お茶しないか…ですって…?」
「商店街…」
おば様2人が目を吊り上げた。あれ…?ちょっと端折ったけど概ね間違ってないよね?
「あの子…商店街でミランジェちゃんに声かけをしたのですか?」
「んまぁ…!ふしだらでなんて破廉恥なんでしょう!」
ええっ?!お茶に誘っただけでぇ?破廉恥ってただのナンパ…
…そうだった。ここは異世界だった。しかもリュー君は王子殿下だった。
「うっ嘘よっ!だってベイフィートに嫁がれたミランジェ様を追いかけてベイフィートに押し掛けたって聞いて…」
えええ?!何だってぇ~それどこ情報だよ?リオラメーレェェ?!
「は、初耳ですが…」
何とか絶叫しそうなのを堪えながら(偶然震え声になった)そう聞くとお義母様と義叔母様はハッとして私を見た。
「違うの?」
姉妹が同時にそう聞いてきた。いつの間にそんなドラマチックな出会いになっていたんだ?まるでドラマ……ああ!分かったっ!
あの幼馴染シリーズの小説の影響かっ!私とリュー君のフツーのナンパがとんでもない展開に脚色されているぅ!
「いえあの、普通にお茶を飲んでケーキを食べて…まあ気心も知れているし、婚姻してみない?と聞かれたので了承したので…リュージエンス殿下が追いかけて来たことはないと思うのですが…?」
これも端折ったが、概ね間違いはない…はずだ。
お義母様は目を吊り上げて立ち上がった。
「あの子私に嘘をついていたのだわっ!ちゃんとしたご紹介の上にお会いしたとか言ってたのよ?!おかしいと思っていたのよ!陛下に聞いたら陛下が薦めたとか言うし…周りの方々はミランジェちゃんを追いかけてベイフィートに迎えに行ったんだとか言うしぃ!どっちなの?!」
ひええっ…とんでもない脚色がぁぁ~。政略婚姻には間違いないけれど、リオラメーレ様の嫉妬の炎がこちらに向かって来るし、誰か助けてぇ。
するとバーンと部屋の扉が開いて、リュー君が風のように走り込んで来た。
「ああっミランジェ…そんな風に心を痛めていたんだね。そんなことはないよ?母上、確かにミランジェに会いたくてベイフィートに向かいました。そして町でミランジェを偶然見かけて声をかけたのも事実です。ですがっそんな所で偶然にも再会するなんて…まさに引き裂かれた俺とミランジェの愛の奇跡ですよねっ!」
ジャジャーーン…とBGMが流れそうな台詞を言った後、私の手を握っている演技派俳優はふぅ~と溜息をついた。しかし私は演技派俳優を胡乱な目で見詰めている。
「政略婚姻が何だっ…俺はあの町でミランジェに偶然にも巡り合えたこの愛の奇跡に感謝している!」
「きゃあああ!」
おば様2人とついでに控えていたメイドの女の子達から歓喜の悲鳴が同時に上がる。私はその悲鳴に紛れて
「おい…いい加減にしろよ、地蔵」
と地蔵に向かってオラついた魔力をぶつけてやった。地蔵は目配せをした後に、私の指の先にキスをした。
「っ!!」
また悲鳴があがる。煽るのをヤメロ!
案の定、リオラメーレ様からまた嫉妬の魔力を向けられた。
「本当なのですの?リュージ兄様…」
「ん?」
リオラメーレ様は震える唇で何とか言葉を繋いでいく。
「ミランジェ様と…本当に、引き裂かれて廻り合って…あの小説のような恋をされているのですか?」
「うん、そうだよっ…っ…ぃ!」
こらーー地蔵!ペロンと軽く嘘をつくな!私の横に座って体を密着させてきた地蔵の脇腹を思いっ切りつねってやる。筋肉が邪魔して摘まめる脂肪が全然ないけれど、皮を摘まんでギュィーーイとつねってやる。
リオラメーレ様は顔を強張らせたまま、何度も頷いていた。
2人の出会いやそれからのアレコレの話をおば様達に意気揚々と語るリュー君…私はその話の間にリオラメーレ様を横目で何度も盗み見ていた。
リオラメーレ様はリュー君の従姉妹だよね…一番近い異性で恋に陥りやすいポジションよね。従姉妹ならギリ婚姻相手になることも可能だし、いつかは自分も王子殿下と…そりゃ夢見ると思うよ。
その日の夜
演技派俳優を爆発させていたリュー君に文句を言っておいた。
「だあれが、引き裂かれた恋人だー!嘘をつくんじゃない!今日また余計なことを言ったから、また妙な噂が過熱するじゃないっ、もうっ!」
リュー君はゴメンゴメンと言いながら、ウエストポーチを縫っている私を背後から抱き締めている。
「縫いにくいよ~」
「ん~?もうちょっと…」
首にキスしてくるんじゃないよ…。地蔵は密着しながら私の匂い?を嗅いでいるみたいだ。この変態め…
「ミランジェ…俺、カッシーラ伯の独立の手伝いをするつもりなんだ。サザウンテロス帝国はクリヒリエンス兄上とマリエンスに任せる。ただね、困ったことがあったら助けたい。ミランジェも手伝ってくれる?」
私は抱き込んできているリュー君の腕を擦った。
「はぁ…。最初から私は手伝うつもりだよ?」
「そう?じゃあミランジェにもカッシーラ陣営の政策委員に入閣してもらおうかな!」
「私が?役に立てるのは節約術だけだよ?」
あれ…この台詞似たようなことを前言っていたような?
「そうだ思い出した。マジアリート様に言われたんだ。節約術を国の施策検討会に出て発表しろとか言っていたわ。あの子クラシスの馬鹿に資質が似ているんじゃないかと思って心配になるわ」
リュー君は吹き出した。
「でもマジアリートは何より国民のことを第一に考えている優しい子だよ。彼もボレンティ公爵も皆、カッシーラ伯の為に頑張っておられるよ。クラシス陛下にも支えてくれる臣下がいたらいいのにね」
全くその通りだよ。国の経営?も会社みたいなもので、人材がものをいうしね。国王1人がカリスマ性があっても周りがついていけなくちゃ何もならないしね。
…?
あれ、私の体を触るリュー君の手の動きが段々不埒なものになってきましたよ?もう…
「今日はゆっくり寝たい~」
「ちょっとだけ…ん」
そのちょっとだけが、ねちっこいんだよ地蔵はさっ!
翌日に開催された婚姻お披露目の晩餐会は、私は寝不足でフラフラしながら参加していた。
体調は最悪だったが、今日の収穫はリオラメーレ様とちょこっと仲良くなれたことだった。実はリオラメーレ様は小説の幼馴染シリーズの大ファンだそうで、18禁本はまだ17歳10か月なので読んだことがないそうだ。
私はいけない大人なので…
「後2か月もすりゃ18歳じゃん。構わない構わない~読んじまいな…」
と言ってリュー君の読んでいた『劣情の果て~幼馴染のすべてを奪う~』をこっそりと貸してあげた。
翌日に顔を真っ赤にしたリオラメーレ様が本を返しに私の部屋に押しかけてきた。
「すごかったですわ!」
「そりゃ良かったよ…」
私はさらにリオラメーレ様と仲良くなれた、エロ万歳。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ ◇
婚姻式当日…
婚姻の儀が執り行われる大広間の前室で私を待っていたリュー君を見て、私は歓喜の悲鳴を上げた。
「黒い詰襟ーー‼金の飾緒ーー‼編み込みの軍靴ーー!しかも黒い手袋ーーリュー君最高!最高に格好いいわ!素敵っ!」
私が大声で褒めたたえながらリュー君に近づくとリュー君は真っ赤になって狼狽えていた。
「ミ、ミランジェもドレス素敵だよ」
「ありがと~。ねえその軍服のままで暫く居てよ」
「やだよっ、首も締まっているし飾りが重いし…早く着替えたい」
根性なしめ…いやいいか。今度軍人さんごっこをしてもらえばいいか~あれ?私って変態か、これ?
サザウンテロス帝国の国王陛下(義父)にお祝いの言葉をかけてもらい婚姻の儀は無事すみました。
因みに
サザウンテロス帝国では披露宴とかはないらしい。
私達は幸せ気分に浸る間もなくすぐにベイフィートに帰ることにした。
そう…明日カッシーラ伯は独立宣言をする。もしかするとベイフィートと小競り合いがあるかもしれないということで、準備をしておかねばならない。
リュー君とベイフィートに転移をしてまずはミランジェ洋装店(仮)の賃貸契約を解約することにした。
不動産屋さん…家屋斡旋所の店主のおじ様に解約の意向を伝えると、顔を曇らせた。
「最近引っ越しされる方が多いんですよね…税金もまた上がるしね。それに知ってます?近々戦争が起こるんじゃないかって噂が流れているんですよ」
「戦争?」
「トキワステラーテ王国相手にね」
初耳だよ。カッシーラ伯を飛び越えてトキワステラーテ王国となの?
メイドがお茶の準備を整え終わるとお義母様は私の持っている生地を見た。
「今縫っているのが、例の鞄ね?」
「はい。」
お義母様は私の魔法の鞄の説明をジュリニーク様達に説明している。
「まあ…鞄を作ってらっしゃるの?」
おや?リオラメーレ様の口調は少し咎める感じだ。
確かに王女殿下が鞄作りはおかしいだろうな…とは思う。だが魔道具作り…となると話は別だ。王女と言えども、どこかの国の魔術師団や民間の魔術研究所などに籍を置き、魔道具開発の魔導師の職につけば立派な最高位専門職だ。
「そんなものをリュージエンス殿下の第二王子妃が作るなんて…恥ずかしいことですわ」
おいっちょっと待てよ?鞄作りが恥ずかしいことだって?手に職があることが恥ずかしいだって?
私が一言もの申そうとして口を開きかけるより先に、ジュリニーク義叔母様がカッ…と魔力を上げた。
「そんなものとはどういうことですかっ!鞄や魔道具を作っている職人に対する侮辱ですよっ!」
リオラメーレ様は顔を真っ赤にして義叔母様を見た。
「リュージエンス殿下はこの国に必要な方なのよ!それなのにっ…国を出て愛にうつつをぬかしてよい立場ではないのではですかっ?!」
ん?愛…?
リオラメーレ様は私とお義叔母様を交互に睨みつけながら更に叫んだ。
「私は信じませんっリュージエンス殿下が国を捨てて真実の愛を求めて生きているだなんてっ!」
…知らなかった。リュー君に真実の愛?ちょっと待てよ?じゃあクリマリに狙われてる…ていうの嘘なの?どういうこと?
「リオラメーレッ!それはあくまで噂ですっリュージエンス殿下が出奔した原因は…」
義叔母様の言葉を遮るように、違う!と叫んでからリオラメーレ様が私を指差した。
「そ、その女にぃ唆されたのですっ!だって…だって、殿下がっ殿下が…国を出て元王妃と逃げるなんてっあんな話信じません!」
私が唆す?私と逃げる?どういうことだ?
「第二王子妃に不敬ですよっ!」
「リオラメーレッ!」
「あの…リューく…リュージエンス殿下とはベイフィートの商店街で偶然会ったんですけど…」
室内に静寂が訪れる。
何だかリオラメーレ様が異様に盛り上がっているけど、誤解は解いておかなければ。
もしかすると、リュー君は本当はクリマリに狙われていないかもしれないし、その真実の愛?とかを求めて出国したのかもしれないし?よく分からないけど…不用意なことは言わないように気を付けて…え~と
「私はリュージエンス殿下に商店街を歩いている時に呼び止められて…お茶をしないかと声をかけられたのがキッカケですので…え~と真実の愛が何なのか存じないのですが…」
目の前の女性の3人がワナワナと震えている。
「お茶しないか…ですって…?」
「商店街…」
おば様2人が目を吊り上げた。あれ…?ちょっと端折ったけど概ね間違ってないよね?
「あの子…商店街でミランジェちゃんに声かけをしたのですか?」
「んまぁ…!ふしだらでなんて破廉恥なんでしょう!」
ええっ?!お茶に誘っただけでぇ?破廉恥ってただのナンパ…
…そうだった。ここは異世界だった。しかもリュー君は王子殿下だった。
「うっ嘘よっ!だってベイフィートに嫁がれたミランジェ様を追いかけてベイフィートに押し掛けたって聞いて…」
えええ?!何だってぇ~それどこ情報だよ?リオラメーレェェ?!
「は、初耳ですが…」
何とか絶叫しそうなのを堪えながら(偶然震え声になった)そう聞くとお義母様と義叔母様はハッとして私を見た。
「違うの?」
姉妹が同時にそう聞いてきた。いつの間にそんなドラマチックな出会いになっていたんだ?まるでドラマ……ああ!分かったっ!
あの幼馴染シリーズの小説の影響かっ!私とリュー君のフツーのナンパがとんでもない展開に脚色されているぅ!
「いえあの、普通にお茶を飲んでケーキを食べて…まあ気心も知れているし、婚姻してみない?と聞かれたので了承したので…リュージエンス殿下が追いかけて来たことはないと思うのですが…?」
これも端折ったが、概ね間違いはない…はずだ。
お義母様は目を吊り上げて立ち上がった。
「あの子私に嘘をついていたのだわっ!ちゃんとしたご紹介の上にお会いしたとか言ってたのよ?!おかしいと思っていたのよ!陛下に聞いたら陛下が薦めたとか言うし…周りの方々はミランジェちゃんを追いかけてベイフィートに迎えに行ったんだとか言うしぃ!どっちなの?!」
ひええっ…とんでもない脚色がぁぁ~。政略婚姻には間違いないけれど、リオラメーレ様の嫉妬の炎がこちらに向かって来るし、誰か助けてぇ。
するとバーンと部屋の扉が開いて、リュー君が風のように走り込んで来た。
「ああっミランジェ…そんな風に心を痛めていたんだね。そんなことはないよ?母上、確かにミランジェに会いたくてベイフィートに向かいました。そして町でミランジェを偶然見かけて声をかけたのも事実です。ですがっそんな所で偶然にも再会するなんて…まさに引き裂かれた俺とミランジェの愛の奇跡ですよねっ!」
ジャジャーーン…とBGMが流れそうな台詞を言った後、私の手を握っている演技派俳優はふぅ~と溜息をついた。しかし私は演技派俳優を胡乱な目で見詰めている。
「政略婚姻が何だっ…俺はあの町でミランジェに偶然にも巡り合えたこの愛の奇跡に感謝している!」
「きゃあああ!」
おば様2人とついでに控えていたメイドの女の子達から歓喜の悲鳴が同時に上がる。私はその悲鳴に紛れて
「おい…いい加減にしろよ、地蔵」
と地蔵に向かってオラついた魔力をぶつけてやった。地蔵は目配せをした後に、私の指の先にキスをした。
「っ!!」
また悲鳴があがる。煽るのをヤメロ!
案の定、リオラメーレ様からまた嫉妬の魔力を向けられた。
「本当なのですの?リュージ兄様…」
「ん?」
リオラメーレ様は震える唇で何とか言葉を繋いでいく。
「ミランジェ様と…本当に、引き裂かれて廻り合って…あの小説のような恋をされているのですか?」
「うん、そうだよっ…っ…ぃ!」
こらーー地蔵!ペロンと軽く嘘をつくな!私の横に座って体を密着させてきた地蔵の脇腹を思いっ切りつねってやる。筋肉が邪魔して摘まめる脂肪が全然ないけれど、皮を摘まんでギュィーーイとつねってやる。
リオラメーレ様は顔を強張らせたまま、何度も頷いていた。
2人の出会いやそれからのアレコレの話をおば様達に意気揚々と語るリュー君…私はその話の間にリオラメーレ様を横目で何度も盗み見ていた。
リオラメーレ様はリュー君の従姉妹だよね…一番近い異性で恋に陥りやすいポジションよね。従姉妹ならギリ婚姻相手になることも可能だし、いつかは自分も王子殿下と…そりゃ夢見ると思うよ。
その日の夜
演技派俳優を爆発させていたリュー君に文句を言っておいた。
「だあれが、引き裂かれた恋人だー!嘘をつくんじゃない!今日また余計なことを言ったから、また妙な噂が過熱するじゃないっ、もうっ!」
リュー君はゴメンゴメンと言いながら、ウエストポーチを縫っている私を背後から抱き締めている。
「縫いにくいよ~」
「ん~?もうちょっと…」
首にキスしてくるんじゃないよ…。地蔵は密着しながら私の匂い?を嗅いでいるみたいだ。この変態め…
「ミランジェ…俺、カッシーラ伯の独立の手伝いをするつもりなんだ。サザウンテロス帝国はクリヒリエンス兄上とマリエンスに任せる。ただね、困ったことがあったら助けたい。ミランジェも手伝ってくれる?」
私は抱き込んできているリュー君の腕を擦った。
「はぁ…。最初から私は手伝うつもりだよ?」
「そう?じゃあミランジェにもカッシーラ陣営の政策委員に入閣してもらおうかな!」
「私が?役に立てるのは節約術だけだよ?」
あれ…この台詞似たようなことを前言っていたような?
「そうだ思い出した。マジアリート様に言われたんだ。節約術を国の施策検討会に出て発表しろとか言っていたわ。あの子クラシスの馬鹿に資質が似ているんじゃないかと思って心配になるわ」
リュー君は吹き出した。
「でもマジアリートは何より国民のことを第一に考えている優しい子だよ。彼もボレンティ公爵も皆、カッシーラ伯の為に頑張っておられるよ。クラシス陛下にも支えてくれる臣下がいたらいいのにね」
全くその通りだよ。国の経営?も会社みたいなもので、人材がものをいうしね。国王1人がカリスマ性があっても周りがついていけなくちゃ何もならないしね。
…?
あれ、私の体を触るリュー君の手の動きが段々不埒なものになってきましたよ?もう…
「今日はゆっくり寝たい~」
「ちょっとだけ…ん」
そのちょっとだけが、ねちっこいんだよ地蔵はさっ!
翌日に開催された婚姻お披露目の晩餐会は、私は寝不足でフラフラしながら参加していた。
体調は最悪だったが、今日の収穫はリオラメーレ様とちょこっと仲良くなれたことだった。実はリオラメーレ様は小説の幼馴染シリーズの大ファンだそうで、18禁本はまだ17歳10か月なので読んだことがないそうだ。
私はいけない大人なので…
「後2か月もすりゃ18歳じゃん。構わない構わない~読んじまいな…」
と言ってリュー君の読んでいた『劣情の果て~幼馴染のすべてを奪う~』をこっそりと貸してあげた。
翌日に顔を真っ赤にしたリオラメーレ様が本を返しに私の部屋に押しかけてきた。
「すごかったですわ!」
「そりゃ良かったよ…」
私はさらにリオラメーレ様と仲良くなれた、エロ万歳。
◇ ◇ ◇ ◆ ◇ ◇ ◇
婚姻式当日…
婚姻の儀が執り行われる大広間の前室で私を待っていたリュー君を見て、私は歓喜の悲鳴を上げた。
「黒い詰襟ーー‼金の飾緒ーー‼編み込みの軍靴ーー!しかも黒い手袋ーーリュー君最高!最高に格好いいわ!素敵っ!」
私が大声で褒めたたえながらリュー君に近づくとリュー君は真っ赤になって狼狽えていた。
「ミ、ミランジェもドレス素敵だよ」
「ありがと~。ねえその軍服のままで暫く居てよ」
「やだよっ、首も締まっているし飾りが重いし…早く着替えたい」
根性なしめ…いやいいか。今度軍人さんごっこをしてもらえばいいか~あれ?私って変態か、これ?
サザウンテロス帝国の国王陛下(義父)にお祝いの言葉をかけてもらい婚姻の儀は無事すみました。
因みに
サザウンテロス帝国では披露宴とかはないらしい。
私達は幸せ気分に浸る間もなくすぐにベイフィートに帰ることにした。
そう…明日カッシーラ伯は独立宣言をする。もしかするとベイフィートと小競り合いがあるかもしれないということで、準備をしておかねばならない。
リュー君とベイフィートに転移をしてまずはミランジェ洋装店(仮)の賃貸契約を解約することにした。
不動産屋さん…家屋斡旋所の店主のおじ様に解約の意向を伝えると、顔を曇らせた。
「最近引っ越しされる方が多いんですよね…税金もまた上がるしね。それに知ってます?近々戦争が起こるんじゃないかって噂が流れているんですよ」
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