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出会い
矛のお兄さん3
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爆睡した…。髪を乾かさないままで寝てしまったので寝ぐせで髪が爆発している。実は結構なくせ毛なのだ。
「ふわぁ…」
爆発ヘアーはブラシで梳いても直らないので、諦めてサイドで三つ編みにして着替えて階下に降りた。
朝からキラキラしているね…シーダ兄さんはもう起きて、朝からヨーサ(お酒)を飲んでいる。
「よお…」
朝からお酒って大人ですね…あ、因みに私、お酒苦手なんですね、はい。私は朝食を頼んでシーダ兄さんと同じテーブルに着いた。
「ララーナの障壁があるから、久しぶりにゆっくり眠れた」
「そうでございますか…。あ、ありがとーございまーす」
宿屋の女将さんが朝定食を持って来てくれた。麦のパン、豆のスープ、肉の燻製焼き、果物。美味しそう…。無言で食べる。シーダ兄さんの前にはおつまみと何かを食べた空の皿が残っていた。体も大きいからよく食べそうだね。
「昨日は…助かった」
シーダ兄さんはポツン…と呟いた。朝からするにはそぐわない話題かもしれないけど、一日モヤッとするよりはいいだろう、と私は話を切り出した。
「シーダ、もし違っていたらごめんなさいだけど…昨日ワザと山裾にあの集団をおびき寄せてました?」
シーダは魔質をピクリと動かした。はい、正解…と。
「それでワザとおびき寄せて…私をあそこに呼ぼうとした?違いますか?」
シーダは苦笑いをした。これも正解、かな?
「そうだ…。お前ならあいつの魔質も全部視えるだろう?何を考えてるのか…本当に俺を裏切ったのか知りたかった」
ああ切ない、ぐすっ。愛する恋人の裏切りね…あの子お腹真っ黒の腹黒さんだったのにね、トリプルスターとはいえ、可愛さにコロッと騙されたのね。
「はっきり言ってもいいですか?」
シーダは頷いた。
「助けてくれと泣いている時でも冷静沈着でしたね。魔質は暗く澱んでいました」
「そうか…じゃあ最初から俺を殺すつもりで近づいて来たのか…そうか」
あああっ…切ない!やだやだっシーダの魔力がショボンとした落ち込んだものになる。
シーダは絞り出すような声で話し出した。
「山の中でな…死にそうになっていたのは…あいつに刺されたんだ、完全に油断して寝ていた」
ふおおっ?!愛を確かめ合ってチュッチュした後の、しどけないシーダの寝込みを襲うなんて卑劣よっ!許すまじ腹黒っ!
「何とか攻撃を受けにくい山林の中に入って…防御系の魔法と反撃系の魔法を組み上げて、陣を張ったんだけど…どうやら魔力を阻害する毒か薬も飲まされていたみたいで…魔力切れを起こしかけた…そこへララーナが来てくれたという訳だ」
「なるほど…。じゃあ、あの泣き落しの芝居は隙あらばまたシーダを殺そうとしていた…という訳ですね?」
シーダは頷いた。ああ……ショボンとしている。イケメンのショボン…魔質も萎れていて可哀相になる。そこまでしてシーダを狙う集団か…。あの腹黒の男の子の魔法は高位魔法だ、とてもその辺の野盗や盗賊が付け焼き刃で覚えられる種類のものではない。
あいつらは正規の暗殺部隊か…。それともどこかの軍?しかしお色気作戦?とは実にけしからん作戦だけど。
「シーダ…私に出来ることはありませんか?何か困り事はありませんか?」
私がシーダの顔を覗き込むようにそう聞くと、シーダは無表情のまま私を見て固まった。
しまった…突っ込んで話過ぎたかな?この人何か抱えてそうだし、まーた私のお人よしが発動して面倒事に巻き込まれても困るし。
「だったら…少しの間一緒に居ても構わないか?」
シーダは無表情から困ったような苦笑いを見せるとそう聞いてきた。イケメンの困った顔ご馳走様でした!
そうだよ、よく考えればシーダは愛する人からの手痛い裏切りにあって身も心もボロボロだもんね、いいよいいよ~
「このララーナ=レイジアンテ、奇跡の使い手が身も心も癒して差し上げますよ」
そう言ってシーダに微笑んで見せたら、シーダは天井を見上げて手で目元を覆っていた。泣いているのかな?感涙?
「あ~も~酔いが回るわ…何だよこれ」
「そうなの?朝から飲んだりするからじゃない?気を付けて下さいよ?」
私がそう言うと、シーダは私を睨みながら、またとんでもない魔圧?剣圧?みたいなのを素人の私にぶつけてきた。もう~私が魔力に当たって具合が悪くなったらどうしてくれるんだよっ。
さてという訳で傷心のシーダ兄さんと共に暫くは一緒に旅をすることが決まりました。
でも正直に言うと、護衛してくれるのも有難いんだよね、だってね…
「ねえ、良いだろう?もう少し滞在していけば?」
こんな風に男の人に言い寄られることもしばしば起こるんだよね。いつもは防御障壁を張って完全シャットアウトしているんだけど、障壁張っちゃうと無関係の人まで私に近付けなくなるから困るんだよね~だから…
「てめぇ…汚ぇ手でララーナを触ってんじゃねーよ」
私の後ろからでっかい手が伸びてきて、言い寄って来ていた男の人の手を捩じ上げた。
「いでででっ!」
「失せろ」
男の人は逃げて行った。はあ~めっちゃ助かる!これは護衛としては手放せなくなるよね~
「シーダありがとう」
後ろに立ったシーダを仰ぎ見てお礼を言うと、シーダはまた無表情になっている。
「礼には及ばん」
素っ気無い!いや、別にそれでも全然いいんだけどね~。そしてその日の夕方には大体の治療を終えたので、アザベル村にもう一泊して明日の朝に村を出ることになった。
夕食は分厚いステーキを頂いた。魔獣のお肉だね~精が出るね!シーダ兄さんは今度はワイン?のような果実酒を飲んでいる。
「どんな種類のお酒が好きなのですか?」
「う~ん、果実酒かな。ヨーサは軽く飲む分にはいいかな」
「ふ~ん」
お酒の良さは私にはさっぱりだ。付け合わせのキノコっぽい野菜炒めを口に入れる。美味しい…
「しかしララーナ、お前さっきみたいに男に言い寄られることは多いのか?」
「そうですねぇ、結構多いと思います。女一人で旅しているからでしょうね…いつもは防御障壁を張って、近づかれないようにしているんですけど…流石に寝ている時は押し込み強盗とか怖いですもんね?シーダが暫くは一緒で助かります」
私がそう話している間、シーダは怖いぐらいの無表情だった。か…関心無いよね?私の話題なんて…。と思ってチラチラとシーダの顔を窺っていたら、また困ったような顔をしてから私のグラス(ただの水)とご自分の手に持ったグラス同士を重ねて、チーンと音をたてた。
「ああ…俺が守ってやるから心配するな」
ふわわあっ!この顔で一度は言ってみたい、格好いい台詞その1ですよっ!ドヤ顔も様になる!但しイケメンに限る~ですね!ふわわ~異世界でイケメンのドヤァを見れるなんて幸せですよ。
おまけにグラスとグラスを重ねてチーンと言わせてアレですね…
「君の瞳に乾杯!」
これだあぁぁぁ!ふわああぁ!
思わずウットリした目でシーダの顔を見詰めてしまう。シーダはその私の視線に気が付いたのか、戸惑ったような眼差しを向けてきた。
「な…なんだよ?」
「格好いい…」
「ぶほっ!」
本音を伝えただけだった。シーダは何故か果実酒を口から吹き出していた。どうしたんだろう?汚いなぁもう…
「いいかっ?不用意な発言は余計に男の気持ちを煽るもんだ!もっと慎みを持ってヤロー共に接していかないと…」
あ~ぁ何だろう…急にシーダが説教モードに入ったよ。慎みを持って?元日本人の私は常にそうだけど?3歩下がって相手をたてて、出しゃばらず慎ましやかにNOと言わない淑女の鑑のつもりだよ?
「もう~分かったよぉ、シーダ、お父さんみたいですね」
「…っ!」
私はシーダに2階の泊る部屋に連れて行かれて、強引に室内に押し込められた。
「さっさと鍵かけて寝ちまえぇ!いいかっ夜中にウロウロするなよっ!ったく…」
何故そんなにプリプリと怒る必要があるのだろうか?
私は部屋に入り、湯に浸かった後丁寧に髪を拭いていた。その時にゆらりと濃い魔力の気配を感じた。シーダのようだ。しかし攻撃とか不穏な魔力では無い。
かなり魔質が千々乱れている…彼は夢を見ているのかな?いけない、とは思いつつ…遠くの声を拾う魔法を使った。シーダの泊っている部屋に向けて放つ。通常の彼ならこんな魔法、弾き飛ばしてしまうだろう。
しかし、魔法はスルッ…と室内に入って行きシーダの元に辿り着いたようだ。
『ん…くぅ…はぁ、やめ…』
うなされている…やっぱり夢を見ているのかな?
『た…たすけ…て』
私はまたもお人よしを発動してしまった。急いで部屋を出ると、シーダの部屋の前に行った。転移魔法…実は苦手だ。先日の腹黒男の子のように、華麗?に転移出来る自信は無い。
だが、扉を隔てた向こう側に転移するくらいなら、大丈夫だろう…と思う。魔術を練り上げる。よし、いける!魔法を発動した。
「うわっ…えっええ?」
上手く飛べた!……はいいが、飛び過ぎて私の体はシーダの寝ていたベッドに投げ出された。うわっとシーダの腹筋さんこんにちはー!じゃないよっ。シーダの裸体の上に飛び込んでしまったよ!?
ワタワタとしていたら、シーダの瑠璃色の目が開いて私の顔を覗き込んでいた。
「……お前、なにやって……っ!」
シーダは飛び起きた!ひえっ…シックスパックさんもこんにちはー!良い筋肉ですねー!下履きは履いているねー!残念…はっ!ううん良かったね~
「バカッ!なんで胸……いやっ体を押し付けて来るんじゃねぇよ…何だ!?えぇ?」
「す、すみませんっ!うなされていたようでしたので、様子を見ようと…そのあの、私が襲おうとかそんな不埒な事は決してなくてぇぇ…無実です!」
「……」
シーダはまた無表情になっている。ひえぇぇ…お怒りはごもっともですーー
「俺…うなされていたか?」
何とかシーダのシックスパックさんの上から移動をすると、シーダは大きな溜め息をつきながら頭を抱えている。
これさ…恋に破れたシーダがあの腹黒(そう言えば名前何だろう?)の男の子を想って…ってことだよね?
「俺さ、孤児だって言ったけど…6才までは親元で生活してたんだ…」
おお…シーダの過去の秘密が今ここに明かされる!?
「ふわぁ…」
爆発ヘアーはブラシで梳いても直らないので、諦めてサイドで三つ編みにして着替えて階下に降りた。
朝からキラキラしているね…シーダ兄さんはもう起きて、朝からヨーサ(お酒)を飲んでいる。
「よお…」
朝からお酒って大人ですね…あ、因みに私、お酒苦手なんですね、はい。私は朝食を頼んでシーダ兄さんと同じテーブルに着いた。
「ララーナの障壁があるから、久しぶりにゆっくり眠れた」
「そうでございますか…。あ、ありがとーございまーす」
宿屋の女将さんが朝定食を持って来てくれた。麦のパン、豆のスープ、肉の燻製焼き、果物。美味しそう…。無言で食べる。シーダ兄さんの前にはおつまみと何かを食べた空の皿が残っていた。体も大きいからよく食べそうだね。
「昨日は…助かった」
シーダ兄さんはポツン…と呟いた。朝からするにはそぐわない話題かもしれないけど、一日モヤッとするよりはいいだろう、と私は話を切り出した。
「シーダ、もし違っていたらごめんなさいだけど…昨日ワザと山裾にあの集団をおびき寄せてました?」
シーダは魔質をピクリと動かした。はい、正解…と。
「それでワザとおびき寄せて…私をあそこに呼ぼうとした?違いますか?」
シーダは苦笑いをした。これも正解、かな?
「そうだ…。お前ならあいつの魔質も全部視えるだろう?何を考えてるのか…本当に俺を裏切ったのか知りたかった」
ああ切ない、ぐすっ。愛する恋人の裏切りね…あの子お腹真っ黒の腹黒さんだったのにね、トリプルスターとはいえ、可愛さにコロッと騙されたのね。
「はっきり言ってもいいですか?」
シーダは頷いた。
「助けてくれと泣いている時でも冷静沈着でしたね。魔質は暗く澱んでいました」
「そうか…じゃあ最初から俺を殺すつもりで近づいて来たのか…そうか」
あああっ…切ない!やだやだっシーダの魔力がショボンとした落ち込んだものになる。
シーダは絞り出すような声で話し出した。
「山の中でな…死にそうになっていたのは…あいつに刺されたんだ、完全に油断して寝ていた」
ふおおっ?!愛を確かめ合ってチュッチュした後の、しどけないシーダの寝込みを襲うなんて卑劣よっ!許すまじ腹黒っ!
「何とか攻撃を受けにくい山林の中に入って…防御系の魔法と反撃系の魔法を組み上げて、陣を張ったんだけど…どうやら魔力を阻害する毒か薬も飲まされていたみたいで…魔力切れを起こしかけた…そこへララーナが来てくれたという訳だ」
「なるほど…。じゃあ、あの泣き落しの芝居は隙あらばまたシーダを殺そうとしていた…という訳ですね?」
シーダは頷いた。ああ……ショボンとしている。イケメンのショボン…魔質も萎れていて可哀相になる。そこまでしてシーダを狙う集団か…。あの腹黒の男の子の魔法は高位魔法だ、とてもその辺の野盗や盗賊が付け焼き刃で覚えられる種類のものではない。
あいつらは正規の暗殺部隊か…。それともどこかの軍?しかしお色気作戦?とは実にけしからん作戦だけど。
「シーダ…私に出来ることはありませんか?何か困り事はありませんか?」
私がシーダの顔を覗き込むようにそう聞くと、シーダは無表情のまま私を見て固まった。
しまった…突っ込んで話過ぎたかな?この人何か抱えてそうだし、まーた私のお人よしが発動して面倒事に巻き込まれても困るし。
「だったら…少しの間一緒に居ても構わないか?」
シーダは無表情から困ったような苦笑いを見せるとそう聞いてきた。イケメンの困った顔ご馳走様でした!
そうだよ、よく考えればシーダは愛する人からの手痛い裏切りにあって身も心もボロボロだもんね、いいよいいよ~
「このララーナ=レイジアンテ、奇跡の使い手が身も心も癒して差し上げますよ」
そう言ってシーダに微笑んで見せたら、シーダは天井を見上げて手で目元を覆っていた。泣いているのかな?感涙?
「あ~も~酔いが回るわ…何だよこれ」
「そうなの?朝から飲んだりするからじゃない?気を付けて下さいよ?」
私がそう言うと、シーダは私を睨みながら、またとんでもない魔圧?剣圧?みたいなのを素人の私にぶつけてきた。もう~私が魔力に当たって具合が悪くなったらどうしてくれるんだよっ。
さてという訳で傷心のシーダ兄さんと共に暫くは一緒に旅をすることが決まりました。
でも正直に言うと、護衛してくれるのも有難いんだよね、だってね…
「ねえ、良いだろう?もう少し滞在していけば?」
こんな風に男の人に言い寄られることもしばしば起こるんだよね。いつもは防御障壁を張って完全シャットアウトしているんだけど、障壁張っちゃうと無関係の人まで私に近付けなくなるから困るんだよね~だから…
「てめぇ…汚ぇ手でララーナを触ってんじゃねーよ」
私の後ろからでっかい手が伸びてきて、言い寄って来ていた男の人の手を捩じ上げた。
「いでででっ!」
「失せろ」
男の人は逃げて行った。はあ~めっちゃ助かる!これは護衛としては手放せなくなるよね~
「シーダありがとう」
後ろに立ったシーダを仰ぎ見てお礼を言うと、シーダはまた無表情になっている。
「礼には及ばん」
素っ気無い!いや、別にそれでも全然いいんだけどね~。そしてその日の夕方には大体の治療を終えたので、アザベル村にもう一泊して明日の朝に村を出ることになった。
夕食は分厚いステーキを頂いた。魔獣のお肉だね~精が出るね!シーダ兄さんは今度はワイン?のような果実酒を飲んでいる。
「どんな種類のお酒が好きなのですか?」
「う~ん、果実酒かな。ヨーサは軽く飲む分にはいいかな」
「ふ~ん」
お酒の良さは私にはさっぱりだ。付け合わせのキノコっぽい野菜炒めを口に入れる。美味しい…
「しかしララーナ、お前さっきみたいに男に言い寄られることは多いのか?」
「そうですねぇ、結構多いと思います。女一人で旅しているからでしょうね…いつもは防御障壁を張って、近づかれないようにしているんですけど…流石に寝ている時は押し込み強盗とか怖いですもんね?シーダが暫くは一緒で助かります」
私がそう話している間、シーダは怖いぐらいの無表情だった。か…関心無いよね?私の話題なんて…。と思ってチラチラとシーダの顔を窺っていたら、また困ったような顔をしてから私のグラス(ただの水)とご自分の手に持ったグラス同士を重ねて、チーンと音をたてた。
「ああ…俺が守ってやるから心配するな」
ふわわあっ!この顔で一度は言ってみたい、格好いい台詞その1ですよっ!ドヤ顔も様になる!但しイケメンに限る~ですね!ふわわ~異世界でイケメンのドヤァを見れるなんて幸せですよ。
おまけにグラスとグラスを重ねてチーンと言わせてアレですね…
「君の瞳に乾杯!」
これだあぁぁぁ!ふわああぁ!
思わずウットリした目でシーダの顔を見詰めてしまう。シーダはその私の視線に気が付いたのか、戸惑ったような眼差しを向けてきた。
「な…なんだよ?」
「格好いい…」
「ぶほっ!」
本音を伝えただけだった。シーダは何故か果実酒を口から吹き出していた。どうしたんだろう?汚いなぁもう…
「いいかっ?不用意な発言は余計に男の気持ちを煽るもんだ!もっと慎みを持ってヤロー共に接していかないと…」
あ~ぁ何だろう…急にシーダが説教モードに入ったよ。慎みを持って?元日本人の私は常にそうだけど?3歩下がって相手をたてて、出しゃばらず慎ましやかにNOと言わない淑女の鑑のつもりだよ?
「もう~分かったよぉ、シーダ、お父さんみたいですね」
「…っ!」
私はシーダに2階の泊る部屋に連れて行かれて、強引に室内に押し込められた。
「さっさと鍵かけて寝ちまえぇ!いいかっ夜中にウロウロするなよっ!ったく…」
何故そんなにプリプリと怒る必要があるのだろうか?
私は部屋に入り、湯に浸かった後丁寧に髪を拭いていた。その時にゆらりと濃い魔力の気配を感じた。シーダのようだ。しかし攻撃とか不穏な魔力では無い。
かなり魔質が千々乱れている…彼は夢を見ているのかな?いけない、とは思いつつ…遠くの声を拾う魔法を使った。シーダの泊っている部屋に向けて放つ。通常の彼ならこんな魔法、弾き飛ばしてしまうだろう。
しかし、魔法はスルッ…と室内に入って行きシーダの元に辿り着いたようだ。
『ん…くぅ…はぁ、やめ…』
うなされている…やっぱり夢を見ているのかな?
『た…たすけ…て』
私はまたもお人よしを発動してしまった。急いで部屋を出ると、シーダの部屋の前に行った。転移魔法…実は苦手だ。先日の腹黒男の子のように、華麗?に転移出来る自信は無い。
だが、扉を隔てた向こう側に転移するくらいなら、大丈夫だろう…と思う。魔術を練り上げる。よし、いける!魔法を発動した。
「うわっ…えっええ?」
上手く飛べた!……はいいが、飛び過ぎて私の体はシーダの寝ていたベッドに投げ出された。うわっとシーダの腹筋さんこんにちはー!じゃないよっ。シーダの裸体の上に飛び込んでしまったよ!?
ワタワタとしていたら、シーダの瑠璃色の目が開いて私の顔を覗き込んでいた。
「……お前、なにやって……っ!」
シーダは飛び起きた!ひえっ…シックスパックさんもこんにちはー!良い筋肉ですねー!下履きは履いているねー!残念…はっ!ううん良かったね~
「バカッ!なんで胸……いやっ体を押し付けて来るんじゃねぇよ…何だ!?えぇ?」
「す、すみませんっ!うなされていたようでしたので、様子を見ようと…そのあの、私が襲おうとかそんな不埒な事は決してなくてぇぇ…無実です!」
「……」
シーダはまた無表情になっている。ひえぇぇ…お怒りはごもっともですーー
「俺…うなされていたか?」
何とかシーダのシックスパックさんの上から移動をすると、シーダは大きな溜め息をつきながら頭を抱えている。
これさ…恋に破れたシーダがあの腹黒(そう言えば名前何だろう?)の男の子を想って…ってことだよね?
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