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出会い
矛の過去1
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シーダの突然の過去話…!つい前のめりになってしまう。
「まあ…色々あってさ、簡単に言うと家を追い出されたって言うのかな…」
「え?追い出されたって6才で?」
シーダは苦々しい顔で頷いた。
そんな…たった6才で!?そんなの酷いよ、なにそれ!?
いつもは表層魔質しか視えないシーダの魔質…それが今は隠している奥の奥まで視える。恨み、憎悪、妬み、悲しみ、嘆き、元々魔力量の多い人だから、負の魔力の放出量も半端ない。
「…っぐ」
私が魔質の感知能力が高過ぎるせいもあるのだけれど…これは、キツイ!シーダの嘆きと悲しみに私の魔質が同調してしまう。
「悔しくて悲しくて…恨んで憎んで死に物狂いで生きてきた。奇跡の使い手様にはお聞かせ出来ないほどの、事をして手を汚して生きてきた」
シーダの魔質が悲しみで歪む。シーダの魔質に同調し過ぎて、私も震えるほどの恐怖を感じてくる。でも…シーダの魔質の奥の奥の方、目を凝らしてよく視ると…激しい憎しみの先には、優しさと慈しみ…そして愛情があった。
「…っ!」
あの腹黒男の子の魔質と違って、シーダの心の奥には…清廉で美しい想いが残っている。
「…っおい?ララーナ…泣いてるのか?」
シーダの魔質に引っ張られる。悲しくて悔しいけど…それでも人を慈しむ気持ちがある。愛情を感じる気持ちがある。シーダが私を抱き寄せてくれる。シーダの魔質は温かい。触られても全然不快じゃないな。
「…あいつさ…襲ってきたクイデな、少し前にごろつきに襲われてたんだよ。それを助けたら、おにーさんおにーさんって懐いて来てな。それで、追い返しても付いて来るから仕方なしに、連れて歩いてたんだよ」
あいつ…クイデ?あっこの話の流れから察するに、腹黒男の子のことかっ!?
「俺、弟がいたんだ…弟はクイドよりちょい上だけど、クイドを見てると弟思い出してさ…俺が家を追い出された時はまだ赤ん坊だったんだけど、弟が大きくなったらこんな感じかな…とか、弟と居るみたいで楽しくなってきて…油断したんだ。気を抜いてあいつの前で隙を見せた。だから刺された」
あ…あれ?ちょっと待てよ?弟みたいに?楽しくなって?
ここで私は盛大に勘違いをしていたことに気が付いた。てっきりシーダとクイドが恋人同士でBなLの関係だと思っていたけれど……どうやら兄弟愛の方だということかーー!
ヤバい…てかセーーーフ!これ危なかったよ。面と向かってシーダに「恋に破れてお疲れさん」なんて言わなくて良かったよ。勝手にB方面のLさん認定してしまうところだったよ。
背中を冷や汗が流れる。衝撃と動揺で涙も引っ込んでしまった私は、この抱き締められている状態に急に緊張してきた。その私の変化に気が付かない訳がないシーダが、少し体を離すと顔を覗き込んで来た。
「ララーナ…どうした?」
「…っううん、大丈夫」
でもさ、B的なLっぽい何かではないにしても、裏切られたのには違いないよね?弟のように思って接していた男の子に寝込みを襲われて、刺されて…おまけに毒まで飲まされて、これは辛いわ。
またブワッと涙が溢れてくる。ちょっと~~シーダの悲しみの魔質やばいよっ!めっちゃ感情が引っ張られる!
「っ…また…大丈夫か?」
シーダが私の背中を優しくトントン…と叩いてくれる。手を触れるなぁ~そこからまたシーダの魔質が流れ込んで余計に悲しくなる。
「ふっ…ん…ゴメンなさい。わ…ぐすっ私が泣いたってどうしようもないんだけど…シーダの魔質に同調しちゃって…悲しみとか恐怖とか…もう感情ごちゃごちゃだ」
シーダの絶望は根が深い…。今の魔質はどん底の悲しみと悲哀しか感じられない。今泣きたいのはシーダの方だ、なのに私が泣いちゃって…きっと泣き出すタイミングを失っちゃったんだね。
「シーダ…泣きたい時は泣いて下さいよ?私が…慰めてあげますから…」
うん、そうだ。今シーダは恋には破れてはいないけれど、兄弟愛には裏切られているもんね。私が慰めてあげないと…………あれ?シーダの魔質が変化してきた。これは…興奮と…
「ララーナ!馬鹿かっ…お前っ!さっきも言っただろっ不用意な発言は慎めって!そもそもだなっこんな夜更けにそんな胸元がチラ見している薄っすい肌着一枚で野郎の部屋に押し入って来る馬鹿がどこにいる!もっと警戒心を持て!」
ええっ急にお説教モードに入ってきたよぉ!?
シーダパパは、如何に男がエロイこと考えているのか、それは時と場所を選ばないこととか、女性の方にその気が無くても事を起こせるだの、そもそも子供でもそういうことばかり考えているのもいるから気を付けろ、だの私を抱き締めたまま耳元で懇々とお説教を繰り返すシーダの低音の良いお声と彼の体の温もりを感じて…気持ち良くなってきて、私は寝落ちした。
そう、気絶という名の爆睡を再び起こしたのだ。
…
……
………
体が動かない。金縛りか?うおっ異世界初の金縛り……違う。目を開けて自分の体が何かにぎっちり縛られているのに気が付いた。動く目だけで顔の周りを確認する。私を包んでいるのはかけ布団…タオルケットだ。私は蓑虫みたいにソレにくるまれている。フンッ!と力を入れて体の向きを変えてみた。
「……」
「お……ぉはょぅござぃますぅ……」
「ああ」
私の真横にはシーダが怖ーい魔質を漂わせながらこっちを見ていた。あ、因みに2人共ベッドの中です、はい。
「俺言ったよな?もっと慎みを持てと…」
「ふぁぃ…」
私は蓑虫状態のまま、朝からシーダパパに説教を食らっていた。
「野郎の前で寝ちまうなんて…危機感が無さ過ぎる!」
「ふぇぃ…」
「俺が自制の利く男で良かったと思え!」
「……」
「寝るな!」
「…っ!」
寝てないよ…ちょっと目を瞑っただけじゃないか。シーダって面倒見いいんだな…そっか根は親切なんだよな~そりゃそうか。確か冒険者のランクって、EランクからSSSランクまであってE→D→C→B→A→S→SS→SSSでAランクから上はギルド支部長との面談と適正試験があるって聞いたことがある。
国の騎士様や軍人の方ほどじゃないけど、心身とも健勝でなければ試験をクリアして上位ランクに上がれないって。シーダSSSだもんね。人間性に優れていなきゃ辿り着けない地位な訳だ。
「シーダ…。おしっこしたい。お腹空いた」
「っ…!ちっ…」
私は蓑虫から解放された。まずはダッシュでトイレに籠り、自分の部屋に戻って着替えて廊下に出た。
シーダが私の部屋の前の壁に凭れて立っていた。壁に凭れているだけで見目麗しいなんてすごいね。シーダの魔質を視ると昨日の夜のような千々乱れた状態ではない。うむ、平常心だね。
「朝から村を出るか?」
「はい、山を降りて一度、首都のカリカントに寄りたいです」
「了解」
シーダと一緒に朝食を頂く。やっぱりシーダよく食べるね~。朝からクラブサンド三人前食べてるね…
「俺もカリカントのギルドに寄りたいんだけど、いいか?」
デザートの果物(苺に似てる)をモグモグ食べながらシーダに言われて、思わずテンションが上がる。
「わあっ冒険者ギルドですか!はい、行ってみたいです」
私がそう答えると、シーダは、ん?と言いながら小首を傾げている。
「ララーナ、ギルドに行ったことないのか?」
やっぱり…珍しいですかね?
「だって金とか預入どうしてるんだ?奇跡の使い手なら、そこそこの実入りがあるだろう?まさか持って歩いているのか?」
やっぱり不審かな…。だって冒険者ギルドを使うメリットが無いんだよね。だって冒険者ギルドって、冒険者のお仕事を斡旋する業務以外に、所謂金融業も行っていて、『預入額に上限無し、預入全額保証、全ギルドどこでも出し入れ自由、手数料不要、その代わり年50カラントかかります』が謳い文句の…預入出来るんだけど、私には必要ない。
普通の人ならギルドで預入しているのが常識だし、この世界の人がほぼギルドで口座を持っていると言っても過言ではないと思う。
ただ、私的に50カラントの手数料(日本円で1000円ぐらい)が勿体ないと思っちゃうんだよね…。だって預けてても利息が付くわけじゃないし、寧ろ手数料取られるもんね。マイナスじゃないか。だったら持って歩いてるほうがいいもん。
「預入は兎も角、身分証になるだろう?」
「世界治療術師協会発行のアイデーカードがあります」
「あ…そうか。それにしても珍しいな。あ~お前、そうやってその鞄の中か?に現金入れっぱなしにしてるから、押し込み強盗とかに狙われるんじゃないのか?」
うぅ…またシーダパパ降臨か?シーダの魔質がまたお怒りモードになっている。またグチグチ言われるのか?出来れば、この私のリュックサックは秘密にしたいんだけど…。ううっ…。
「ここでは人目がありますので…後ほど」
「…そうか」
ふぃ~っ。取り敢えずここでの追及はかわせたね…。後で締め上げられると思うけど…
私とシーダは朝食を食べ終え、村長さんにご挨拶をしてから村を出た。そして人気の無い山道の途中でシーダから壁ドンならぬ、木ドンを受けていた。
今私はシーダに木の幹の前に立たされて、オラつかれて威嚇されています。
「さあ理由を話せ」
私は背中に背負っていたリュックサックを下ろして体の前に持ってくると、シーダの方に差し出した。
「こ…この鞄に全部入れています」
「…ん~?」
シーダは眉根を寄せながら、私の差し出してきたリュックサックを見ている。私はリュックサックの中から…お金の入った麻袋を引き出してみた。
「…っえ?おい…何だそのデカさ…鞄の体積より明らかに大きな…そうかっ!魔道具かっ」
私は大きな麻袋を出し切って、ドスン…と地面に置いた。そして袋の口を縛っていた紐を緩めてシーダに中を見せた。
「こんなに入って…全財産か!」
私が頷くとシーダは私のリュックサックを持ち上げて、中を覗いたり外側の作りを見たりしている。
「空間連結魔法か?」
「はい」
「後は何を使っている?」
「重力無効化と防腐魔法と…防御…」
「な…3種類以上の多重掛けにしているのか?!それで魔力暴走もせず保っているのか?そう言えばずっと背中に背負っていたが、耐久性はどうなっている?」
「魔物理防御障壁を張って…時間停止…」
シーダは空を仰いだ。そして私の頭をフード越しに撫で回した。
「ララーナ!お前天才だな~俺にも鞄作ってくれよ」
と笑顔で頼まれてしまった。良かった…シーダは魔道具と聞いて鞄で儲けよう~とか取り上げてしまえ~とかそういう思考にはならないようだ。
まあこの話は後で原因が分かるのだが、儲け主義?に興味が無いのはシーダ自身がお金持ちだったからなのだ。
「まあ…色々あってさ、簡単に言うと家を追い出されたって言うのかな…」
「え?追い出されたって6才で?」
シーダは苦々しい顔で頷いた。
そんな…たった6才で!?そんなの酷いよ、なにそれ!?
いつもは表層魔質しか視えないシーダの魔質…それが今は隠している奥の奥まで視える。恨み、憎悪、妬み、悲しみ、嘆き、元々魔力量の多い人だから、負の魔力の放出量も半端ない。
「…っぐ」
私が魔質の感知能力が高過ぎるせいもあるのだけれど…これは、キツイ!シーダの嘆きと悲しみに私の魔質が同調してしまう。
「悔しくて悲しくて…恨んで憎んで死に物狂いで生きてきた。奇跡の使い手様にはお聞かせ出来ないほどの、事をして手を汚して生きてきた」
シーダの魔質が悲しみで歪む。シーダの魔質に同調し過ぎて、私も震えるほどの恐怖を感じてくる。でも…シーダの魔質の奥の奥の方、目を凝らしてよく視ると…激しい憎しみの先には、優しさと慈しみ…そして愛情があった。
「…っ!」
あの腹黒男の子の魔質と違って、シーダの心の奥には…清廉で美しい想いが残っている。
「…っおい?ララーナ…泣いてるのか?」
シーダの魔質に引っ張られる。悲しくて悔しいけど…それでも人を慈しむ気持ちがある。愛情を感じる気持ちがある。シーダが私を抱き寄せてくれる。シーダの魔質は温かい。触られても全然不快じゃないな。
「…あいつさ…襲ってきたクイデな、少し前にごろつきに襲われてたんだよ。それを助けたら、おにーさんおにーさんって懐いて来てな。それで、追い返しても付いて来るから仕方なしに、連れて歩いてたんだよ」
あいつ…クイデ?あっこの話の流れから察するに、腹黒男の子のことかっ!?
「俺、弟がいたんだ…弟はクイドよりちょい上だけど、クイドを見てると弟思い出してさ…俺が家を追い出された時はまだ赤ん坊だったんだけど、弟が大きくなったらこんな感じかな…とか、弟と居るみたいで楽しくなってきて…油断したんだ。気を抜いてあいつの前で隙を見せた。だから刺された」
あ…あれ?ちょっと待てよ?弟みたいに?楽しくなって?
ここで私は盛大に勘違いをしていたことに気が付いた。てっきりシーダとクイドが恋人同士でBなLの関係だと思っていたけれど……どうやら兄弟愛の方だということかーー!
ヤバい…てかセーーーフ!これ危なかったよ。面と向かってシーダに「恋に破れてお疲れさん」なんて言わなくて良かったよ。勝手にB方面のLさん認定してしまうところだったよ。
背中を冷や汗が流れる。衝撃と動揺で涙も引っ込んでしまった私は、この抱き締められている状態に急に緊張してきた。その私の変化に気が付かない訳がないシーダが、少し体を離すと顔を覗き込んで来た。
「ララーナ…どうした?」
「…っううん、大丈夫」
でもさ、B的なLっぽい何かではないにしても、裏切られたのには違いないよね?弟のように思って接していた男の子に寝込みを襲われて、刺されて…おまけに毒まで飲まされて、これは辛いわ。
またブワッと涙が溢れてくる。ちょっと~~シーダの悲しみの魔質やばいよっ!めっちゃ感情が引っ張られる!
「っ…また…大丈夫か?」
シーダが私の背中を優しくトントン…と叩いてくれる。手を触れるなぁ~そこからまたシーダの魔質が流れ込んで余計に悲しくなる。
「ふっ…ん…ゴメンなさい。わ…ぐすっ私が泣いたってどうしようもないんだけど…シーダの魔質に同調しちゃって…悲しみとか恐怖とか…もう感情ごちゃごちゃだ」
シーダの絶望は根が深い…。今の魔質はどん底の悲しみと悲哀しか感じられない。今泣きたいのはシーダの方だ、なのに私が泣いちゃって…きっと泣き出すタイミングを失っちゃったんだね。
「シーダ…泣きたい時は泣いて下さいよ?私が…慰めてあげますから…」
うん、そうだ。今シーダは恋には破れてはいないけれど、兄弟愛には裏切られているもんね。私が慰めてあげないと…………あれ?シーダの魔質が変化してきた。これは…興奮と…
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ええっ急にお説教モードに入ってきたよぉ!?
シーダパパは、如何に男がエロイこと考えているのか、それは時と場所を選ばないこととか、女性の方にその気が無くても事を起こせるだの、そもそも子供でもそういうことばかり考えているのもいるから気を付けろ、だの私を抱き締めたまま耳元で懇々とお説教を繰り返すシーダの低音の良いお声と彼の体の温もりを感じて…気持ち良くなってきて、私は寝落ちした。
そう、気絶という名の爆睡を再び起こしたのだ。
…
……
………
体が動かない。金縛りか?うおっ異世界初の金縛り……違う。目を開けて自分の体が何かにぎっちり縛られているのに気が付いた。動く目だけで顔の周りを確認する。私を包んでいるのはかけ布団…タオルケットだ。私は蓑虫みたいにソレにくるまれている。フンッ!と力を入れて体の向きを変えてみた。
「……」
「お……ぉはょぅござぃますぅ……」
「ああ」
私の真横にはシーダが怖ーい魔質を漂わせながらこっちを見ていた。あ、因みに2人共ベッドの中です、はい。
「俺言ったよな?もっと慎みを持てと…」
「ふぁぃ…」
私は蓑虫状態のまま、朝からシーダパパに説教を食らっていた。
「野郎の前で寝ちまうなんて…危機感が無さ過ぎる!」
「ふぇぃ…」
「俺が自制の利く男で良かったと思え!」
「……」
「寝るな!」
「…っ!」
寝てないよ…ちょっと目を瞑っただけじゃないか。シーダって面倒見いいんだな…そっか根は親切なんだよな~そりゃそうか。確か冒険者のランクって、EランクからSSSランクまであってE→D→C→B→A→S→SS→SSSでAランクから上はギルド支部長との面談と適正試験があるって聞いたことがある。
国の騎士様や軍人の方ほどじゃないけど、心身とも健勝でなければ試験をクリアして上位ランクに上がれないって。シーダSSSだもんね。人間性に優れていなきゃ辿り着けない地位な訳だ。
「シーダ…。おしっこしたい。お腹空いた」
「っ…!ちっ…」
私は蓑虫から解放された。まずはダッシュでトイレに籠り、自分の部屋に戻って着替えて廊下に出た。
シーダが私の部屋の前の壁に凭れて立っていた。壁に凭れているだけで見目麗しいなんてすごいね。シーダの魔質を視ると昨日の夜のような千々乱れた状態ではない。うむ、平常心だね。
「朝から村を出るか?」
「はい、山を降りて一度、首都のカリカントに寄りたいです」
「了解」
シーダと一緒に朝食を頂く。やっぱりシーダよく食べるね~。朝からクラブサンド三人前食べてるね…
「俺もカリカントのギルドに寄りたいんだけど、いいか?」
デザートの果物(苺に似てる)をモグモグ食べながらシーダに言われて、思わずテンションが上がる。
「わあっ冒険者ギルドですか!はい、行ってみたいです」
私がそう答えると、シーダは、ん?と言いながら小首を傾げている。
「ララーナ、ギルドに行ったことないのか?」
やっぱり…珍しいですかね?
「だって金とか預入どうしてるんだ?奇跡の使い手なら、そこそこの実入りがあるだろう?まさか持って歩いているのか?」
やっぱり不審かな…。だって冒険者ギルドを使うメリットが無いんだよね。だって冒険者ギルドって、冒険者のお仕事を斡旋する業務以外に、所謂金融業も行っていて、『預入額に上限無し、預入全額保証、全ギルドどこでも出し入れ自由、手数料不要、その代わり年50カラントかかります』が謳い文句の…預入出来るんだけど、私には必要ない。
普通の人ならギルドで預入しているのが常識だし、この世界の人がほぼギルドで口座を持っていると言っても過言ではないと思う。
ただ、私的に50カラントの手数料(日本円で1000円ぐらい)が勿体ないと思っちゃうんだよね…。だって預けてても利息が付くわけじゃないし、寧ろ手数料取られるもんね。マイナスじゃないか。だったら持って歩いてるほうがいいもん。
「預入は兎も角、身分証になるだろう?」
「世界治療術師協会発行のアイデーカードがあります」
「あ…そうか。それにしても珍しいな。あ~お前、そうやってその鞄の中か?に現金入れっぱなしにしてるから、押し込み強盗とかに狙われるんじゃないのか?」
うぅ…またシーダパパ降臨か?シーダの魔質がまたお怒りモードになっている。またグチグチ言われるのか?出来れば、この私のリュックサックは秘密にしたいんだけど…。ううっ…。
「ここでは人目がありますので…後ほど」
「…そうか」
ふぃ~っ。取り敢えずここでの追及はかわせたね…。後で締め上げられると思うけど…
私とシーダは朝食を食べ終え、村長さんにご挨拶をしてから村を出た。そして人気の無い山道の途中でシーダから壁ドンならぬ、木ドンを受けていた。
今私はシーダに木の幹の前に立たされて、オラつかれて威嚇されています。
「さあ理由を話せ」
私は背中に背負っていたリュックサックを下ろして体の前に持ってくると、シーダの方に差し出した。
「こ…この鞄に全部入れています」
「…ん~?」
シーダは眉根を寄せながら、私の差し出してきたリュックサックを見ている。私はリュックサックの中から…お金の入った麻袋を引き出してみた。
「…っえ?おい…何だそのデカさ…鞄の体積より明らかに大きな…そうかっ!魔道具かっ」
私は大きな麻袋を出し切って、ドスン…と地面に置いた。そして袋の口を縛っていた紐を緩めてシーダに中を見せた。
「こんなに入って…全財産か!」
私が頷くとシーダは私のリュックサックを持ち上げて、中を覗いたり外側の作りを見たりしている。
「空間連結魔法か?」
「はい」
「後は何を使っている?」
「重力無効化と防腐魔法と…防御…」
「な…3種類以上の多重掛けにしているのか?!それで魔力暴走もせず保っているのか?そう言えばずっと背中に背負っていたが、耐久性はどうなっている?」
「魔物理防御障壁を張って…時間停止…」
シーダは空を仰いだ。そして私の頭をフード越しに撫で回した。
「ララーナ!お前天才だな~俺にも鞄作ってくれよ」
と笑顔で頼まれてしまった。良かった…シーダは魔道具と聞いて鞄で儲けよう~とか取り上げてしまえ~とかそういう思考にはならないようだ。
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