10 / 32
旅路
矛は保護者2
しおりを挟む
カリカントの首都に向かって歩いて行く。街道沿いは色んなお店が軒を連ねているね。
「あ~そうだ。ララーナのその鞄、俺のも作ってくれよ」
「あ、そうでしたね。黙っているかわりの…」
賄賂ですね…という言葉は鋭い殺し屋の(ような)目をしたシーダの眼力に圧されて飲み込んだ。
「腰に装着する形の鞄にしますか?」
冒険者なので所謂、ウエストポーチの方が動きやすいと思ったのだがシーダはその鞄の形状が思い付かないみたいだ。
「まあ、私に形はお任せ下さい」
とか何とか話しながら街道を歩いているともうお昼だね。
「やっぱり時間かかるから、カリカントまで俺が連れて行こうか…」
「そうですね…取り敢えずは、お弁……あっえっと、昼食は持ってますよ!」
キョトンとしたシーダにリュックサックから取り出したお弁当箱を見せた。
まあ、弁当箱というものは存在しないので代用品はキッチンで使う薬味を入れる小さい籠なんだけど、気分はお弁当箱ということで!
「私の鞄はモノが腐らないようになってますからね~」
シーダと共に街道を外れ、草原の広がっている場所で腰を降ろした。ピクニックみたいだね。
「おおっ!もしかしてララーナが作ったのか?」
「はいっ!主食系以外にもお菓子作りも得意ですよ!」
今日のお弁当はロールパンにハム、ジャム、それとチョコっぽいものを挟んだ惣菜パンだ。謎肉に野菜を巻いて甘辛タレで炒めた肉巻きと、卵焼きっぽいものも入れた。
マヨネーズ作りたい。漬物作りたい。時間が無くてチャレンジ出来ないけどいつかは…っ!
「ウマー!これ果実煮か?」
ジャムのことをそう言うのね?そうですよ~。やっぱりシーダはよく食べる。私はロールパン一個だけ貰って後は全部シーダにあげた。
「ララーナが一緒なら野営や野宿もいいよな!」
何だと?野宿だと…?
「フフフ…シーダ、この野宿のプロ……じゃなかった、野宿の専門家の私を舐めないでよ?」
「いや…良く分かんねぇけど、専門家?舐めてな…」
「いいですか?!いかに快適に外で過ごすかっその為の必需品がこの鞄に全て詰まっています!極貧生活の為に雨水を飲料にするためのグッズも入ってます。自作のテントも入れてあります!何日でも雨風を凌げますよ!」
私が立ち上がって力説していると、シーダから慈愛の籠った目を向けられているのに気が付いた。
「言ってること半分くらいしか分からんけど、野営してみたいのか?いつでもいいぞ?」
シーダパパァそうじゃないっ!貧乏人のお供、野宿の話なんだよっ。
私は長い距離の転移魔法は使えないし、勿論◯空術も使えない。本当に治癒と防御専門何だよ…だから移動は国や街が運営する『転移陣』のみ。しかもさ、転移陣…使用料高いんだ~
私の奇跡の使い手の仕事の関係で割引が使えるけど、やっぱり高いんだ。
乗り物代を捻出する為に、野宿なんてへっちらさ!ちゃ~ら~へっち~………とか歌いながら、昼食の後片付けをした。
その後はシーダの背中に捕まって快適にカリカントまで帰った。くぅ~快適過ぎる…これに慣れたらもう徒歩移動には戻れない。
「………おい」
「何ですかぁ~」
カリカントの街の入口に降り立ったが、快適過ぎる安全なのりもn…シーダ兄さんの背中にホッコリと頬を寄せていた。
「……」
グリグリ…温かいね~!快適快適!
背中ぬくぬくを堪能していたのに、ものすごい勢いでシーダ兄さんに背中から引っ剥がされた!
おまけに女子有るまじき姿の首根っこを掴まれてプラーンとぶら下げられた。うぐうっ首が締まるぅぅぅ…
「こんのっボケが!何度言わせるんだ!不用意に体を寄せるな!」
「うぇぇ…くびがじまる…」
「…!すまんっ…」
慌ててシーダが地面に降ろしてくれた。地面に降ろされてよろめいていると、シーダが腰を支えてくれた。
ホラね…シーダ兄さんは優しいのだよね。
「ウフフ~!」
「何だよ……」
ん?シーダの魔質がものすごく緊張している?どうしたのかな?
「シーダと一緒にいるといいですねぇ!」
シーダがまた無表情になってるね…あれ?急に街の入口に設置されている大きな門柱に近付いて…柱に手を付いて、一人壁ドンしている?暫く一人壁ドンをしているシーダの背中を見詰めていると…やっとシーダが戻って来た。
「うん…よしっ。ギルドに行こう」
何がよし…なの?シーダは何だか頬を赤くしている?のかな…妙に色っぽい。街道沿いの店舗の売り子のお姉さんから、めっちゃ呼び込み受けてるけど…行かないの?
「こらっ街道の土産物屋に何の用だ…フラフラするな」
フラフラと動きかけた私の手を取ったシーダに引っ張られながら、道を歩く。
「…!」
街道を歩く女性達から嫉妬と羨望…どちらも混ざった魔質をぶつけられている。シーダ格好いいもんなぁ。口は悪いけど、『王子様キャラ』には違いない。
シーダが王子様…というより、俺様王様シーダ様だね。キラキラの王様の衣裳とか似合いそう~
「グフグフ…」
「…お前、また酔ってんのか?」
うるせーよ。王子妄想ぐらい自由にさせてよっ!
冒険者ギルドのカリカント支部に戻ると、支部長さんが大喜びだった。ムトラの生皮をリュックサックから出すと、この私の私物の魔道具鞄に歓喜の悲鳴を上げていた。
「うわわっ!ララーナちゃぁん!この鞄を是非ギルドに作って卸してよ!冒険者には最高の魔道具だよぉぉ!」
支部長さんに唾を掛けられる勢いで迫られた。シーダ兄さんが間に入ってくれて、おっさんとの唾液間接キス?の危険は回避された。
「この案件、一度持ち帰りまして検討させて頂きます」
と、社交辞令でお答えしておいた。ハンドメイドなので、のんびりとしか作製出来ないので…それでよければね?
そして討伐したムトラの生皮をギルドに納品して買い取ってもらった。私は座っているだけだったけどムトラ討伐の報酬も頂けたし、ギルドに報酬と買取金のお金を貯金してニンマリしてしまう。ああ、残高が増えるって嬉しいわ。私ってばすっかりギルド貯金に嵌っている。
私がリュックサックの中のお金を取り出して追加で預入している間に、シーダは支部長さんと何か真剣な顔で話していた。後ろから近付いて話の内容を聞いてみた。
「夜中にカッダー村の周辺を見て回ったが、不審な者はいなかった」
「ムトラは自然発生的なものかな?」
「いや、夜番の村人達に聞いてみたが、通常のムトラはもっと小さい。あそこまで大きいのは初めてだそうだ。夜明けまで森の周辺で見張っていたが、帝国側からの気配もなかった」
「と言うことは、もしかするとまた大型のムトラが襲ってくるかもしれない…と?」
「そういう心配があると村長に言われたので万が一、大型ムトラに襲撃されたらララーナが作った魔法陣の障壁を村の集会場の入口に張って避難先にするように指示して、魔紙を渡してきた」
「それが最善だね」
あれ?今までのシーダと支部長さんの話を総合すると…昨日の夜中、村の女の子とキャッキャウフフをしていた訳ではなくて、見張りと巡回を夜明けまでしていたということなの?
私…てっきり昨夜はお楽しみでしたね…だと思ってた。恥ずかしいっ…何が恥ずかしいって勝手にそう思って結論づけて、シーダの女性関係の爛れた妄想をしてしまっていたことだ。
シーダ王子を妄想で穢してしまった!
支部長さんと話を終えたシーダは後ろにいた私の方を顧みた。
「どうした?」
「シーダ…シーダの純潔を穢してしまってごめんなさい!」
冒険者ギルド内に居たお兄様達からどよめきが起こった。シーダは真っ赤になって固まっていた。ありゃ?どうしたの………シーダのこの魔質は……
「おっ…お前はまた、発言に気を付けろぉぉぉ!」
シーダにめっちゃ怒られた。なんでよ?誤解しててゴメンね?でしょ…もう一回シーダに、いやらしい想像しちゃっててゴメンね。と伝えたら今度はシーダに壁際まで飛び退いて逃げられてしまった。
そんな飛び退くほど、いやらしい妄想女にドン引きですか?逃げられるなんてヘコむわ~。
暫くギルド内が異様な興奮状態だった。お兄様達どうしたの?そしてやっと落ち着いたらしいシーダと共に外へ出た。
「あ…で、今日はこの後どうするんだ?」
「はい、明日はモスビート王国に向かいますので、そうですね…そろそろシーダの魔道具の鞄を作りましょうか~」
「おっ頼むな。じゃあ生地屋に行くのか?」
「はい!」
今まで国から国への移動は最低1、2度は山道で野宿ということもあったので、遠出の前にはお弁当作りに精を出していたのだけど、どうやら今度からはシーダの背中でぬくぬく移動が定番化しそうなのでお弁当作りは後回しだ。
生地屋にシーダと共に出かけ、布地の基本色は深紅色を強力にお薦めしておいた。
「何で赤?まあいい色かな…とは思うけど、なんか魔道具作りに関係あるのか?」
いや、ないよっ!全くかんけーないんだけど王子様や王様といえば定番カラーは燃えるような赤色のマントじゃない?そこは外せないね!
生地と糸などを購入した後に昨日泊まった宿屋に戻り、連泊の手続きをしてから部屋に戻った。部屋にシーダを呼びつけて、鞄の採寸をしようとシーダの腰回りのサイズを測らせてもらった。
その時にうっかり、本当にうっかりとだけどシーダ兄さんの腰やお尻を触っちゃったんだけど、硬いお尻の筋肉の質感に………ハァハァ言ってしまった。お尻妄想で丼飯15杯は軽く頂けるね。
そして鞄を縫い始めたんだけど、シーダがさり気なく私の部屋に居座っているんだけど、何だろうかね?
「な、なあ?」
「はい?」
「俺のいやらしい想像って…何を想像してたの?」
んん?その話か…私の不名誉な黒歴史が暴かれるんだけど…まあいいか。
「昨日夜中にシーダが外へ出ましたよね?私はてっきり村の女性と…え~と一晩のお楽しみをされていたと思っていたのです。シーダも私の子守ばかりでは、欲望?を解放出来ないかと思いまして、次のお宿は別々の所に宿泊してお邪魔しないよ……う……に…すみません、興味無いですよね?こんな話…」
シーダの表情が段々抜けて行って今は無表情になっています。怖い…魔質がとんでもなく怖い。私、素人だしそんな魔質投げないで下さいよぉ。
「護衛が別の宿に泊まるなんてありえねぇよ。俺はずっとお前の傍にいる。勘違いするな」
「ひぃぃぃ…すみませんっすみませんっ!」
怖いから取り敢えず謝っておいた。こんなへっぽこな私を責めないでおくれ…
「………………はぁ………」
シーダはまたおじいちゃんみたいな長い溜め息をついて、頭を抱えて俯いちゃったけど…そうだ。
「シーダ、夕食までの間、暫く横になっていますか?この寝台で……あ、私の寝台だから色々汚いかな?」
「…!」
シーダはびっくりするくらい上に飛び上がった。何ッ何ぃ!?そして着地した後、暫く駆けっこポーズで固まっていたけど、小声で
「……横になる」
と言って私に背を向けて横に寝転んだ。うんうん、寝てていいよ。疲れてるよね~
「私を背負って飛んでくれましたものね。あれ良いですね~シーダの背中でヌク…」
「いいからさっさと縫っちまえぇ!」
何だよ…またプリプリ怒っちゃって~シーダは私に背中を向けたまま、夕食の時間まで何かブツブツと呟いていた。
「あ~そうだ。ララーナのその鞄、俺のも作ってくれよ」
「あ、そうでしたね。黙っているかわりの…」
賄賂ですね…という言葉は鋭い殺し屋の(ような)目をしたシーダの眼力に圧されて飲み込んだ。
「腰に装着する形の鞄にしますか?」
冒険者なので所謂、ウエストポーチの方が動きやすいと思ったのだがシーダはその鞄の形状が思い付かないみたいだ。
「まあ、私に形はお任せ下さい」
とか何とか話しながら街道を歩いているともうお昼だね。
「やっぱり時間かかるから、カリカントまで俺が連れて行こうか…」
「そうですね…取り敢えずは、お弁……あっえっと、昼食は持ってますよ!」
キョトンとしたシーダにリュックサックから取り出したお弁当箱を見せた。
まあ、弁当箱というものは存在しないので代用品はキッチンで使う薬味を入れる小さい籠なんだけど、気分はお弁当箱ということで!
「私の鞄はモノが腐らないようになってますからね~」
シーダと共に街道を外れ、草原の広がっている場所で腰を降ろした。ピクニックみたいだね。
「おおっ!もしかしてララーナが作ったのか?」
「はいっ!主食系以外にもお菓子作りも得意ですよ!」
今日のお弁当はロールパンにハム、ジャム、それとチョコっぽいものを挟んだ惣菜パンだ。謎肉に野菜を巻いて甘辛タレで炒めた肉巻きと、卵焼きっぽいものも入れた。
マヨネーズ作りたい。漬物作りたい。時間が無くてチャレンジ出来ないけどいつかは…っ!
「ウマー!これ果実煮か?」
ジャムのことをそう言うのね?そうですよ~。やっぱりシーダはよく食べる。私はロールパン一個だけ貰って後は全部シーダにあげた。
「ララーナが一緒なら野営や野宿もいいよな!」
何だと?野宿だと…?
「フフフ…シーダ、この野宿のプロ……じゃなかった、野宿の専門家の私を舐めないでよ?」
「いや…良く分かんねぇけど、専門家?舐めてな…」
「いいですか?!いかに快適に外で過ごすかっその為の必需品がこの鞄に全て詰まっています!極貧生活の為に雨水を飲料にするためのグッズも入ってます。自作のテントも入れてあります!何日でも雨風を凌げますよ!」
私が立ち上がって力説していると、シーダから慈愛の籠った目を向けられているのに気が付いた。
「言ってること半分くらいしか分からんけど、野営してみたいのか?いつでもいいぞ?」
シーダパパァそうじゃないっ!貧乏人のお供、野宿の話なんだよっ。
私は長い距離の転移魔法は使えないし、勿論◯空術も使えない。本当に治癒と防御専門何だよ…だから移動は国や街が運営する『転移陣』のみ。しかもさ、転移陣…使用料高いんだ~
私の奇跡の使い手の仕事の関係で割引が使えるけど、やっぱり高いんだ。
乗り物代を捻出する為に、野宿なんてへっちらさ!ちゃ~ら~へっち~………とか歌いながら、昼食の後片付けをした。
その後はシーダの背中に捕まって快適にカリカントまで帰った。くぅ~快適過ぎる…これに慣れたらもう徒歩移動には戻れない。
「………おい」
「何ですかぁ~」
カリカントの街の入口に降り立ったが、快適過ぎる安全なのりもn…シーダ兄さんの背中にホッコリと頬を寄せていた。
「……」
グリグリ…温かいね~!快適快適!
背中ぬくぬくを堪能していたのに、ものすごい勢いでシーダ兄さんに背中から引っ剥がされた!
おまけに女子有るまじき姿の首根っこを掴まれてプラーンとぶら下げられた。うぐうっ首が締まるぅぅぅ…
「こんのっボケが!何度言わせるんだ!不用意に体を寄せるな!」
「うぇぇ…くびがじまる…」
「…!すまんっ…」
慌ててシーダが地面に降ろしてくれた。地面に降ろされてよろめいていると、シーダが腰を支えてくれた。
ホラね…シーダ兄さんは優しいのだよね。
「ウフフ~!」
「何だよ……」
ん?シーダの魔質がものすごく緊張している?どうしたのかな?
「シーダと一緒にいるといいですねぇ!」
シーダがまた無表情になってるね…あれ?急に街の入口に設置されている大きな門柱に近付いて…柱に手を付いて、一人壁ドンしている?暫く一人壁ドンをしているシーダの背中を見詰めていると…やっとシーダが戻って来た。
「うん…よしっ。ギルドに行こう」
何がよし…なの?シーダは何だか頬を赤くしている?のかな…妙に色っぽい。街道沿いの店舗の売り子のお姉さんから、めっちゃ呼び込み受けてるけど…行かないの?
「こらっ街道の土産物屋に何の用だ…フラフラするな」
フラフラと動きかけた私の手を取ったシーダに引っ張られながら、道を歩く。
「…!」
街道を歩く女性達から嫉妬と羨望…どちらも混ざった魔質をぶつけられている。シーダ格好いいもんなぁ。口は悪いけど、『王子様キャラ』には違いない。
シーダが王子様…というより、俺様王様シーダ様だね。キラキラの王様の衣裳とか似合いそう~
「グフグフ…」
「…お前、また酔ってんのか?」
うるせーよ。王子妄想ぐらい自由にさせてよっ!
冒険者ギルドのカリカント支部に戻ると、支部長さんが大喜びだった。ムトラの生皮をリュックサックから出すと、この私の私物の魔道具鞄に歓喜の悲鳴を上げていた。
「うわわっ!ララーナちゃぁん!この鞄を是非ギルドに作って卸してよ!冒険者には最高の魔道具だよぉぉ!」
支部長さんに唾を掛けられる勢いで迫られた。シーダ兄さんが間に入ってくれて、おっさんとの唾液間接キス?の危険は回避された。
「この案件、一度持ち帰りまして検討させて頂きます」
と、社交辞令でお答えしておいた。ハンドメイドなので、のんびりとしか作製出来ないので…それでよければね?
そして討伐したムトラの生皮をギルドに納品して買い取ってもらった。私は座っているだけだったけどムトラ討伐の報酬も頂けたし、ギルドに報酬と買取金のお金を貯金してニンマリしてしまう。ああ、残高が増えるって嬉しいわ。私ってばすっかりギルド貯金に嵌っている。
私がリュックサックの中のお金を取り出して追加で預入している間に、シーダは支部長さんと何か真剣な顔で話していた。後ろから近付いて話の内容を聞いてみた。
「夜中にカッダー村の周辺を見て回ったが、不審な者はいなかった」
「ムトラは自然発生的なものかな?」
「いや、夜番の村人達に聞いてみたが、通常のムトラはもっと小さい。あそこまで大きいのは初めてだそうだ。夜明けまで森の周辺で見張っていたが、帝国側からの気配もなかった」
「と言うことは、もしかするとまた大型のムトラが襲ってくるかもしれない…と?」
「そういう心配があると村長に言われたので万が一、大型ムトラに襲撃されたらララーナが作った魔法陣の障壁を村の集会場の入口に張って避難先にするように指示して、魔紙を渡してきた」
「それが最善だね」
あれ?今までのシーダと支部長さんの話を総合すると…昨日の夜中、村の女の子とキャッキャウフフをしていた訳ではなくて、見張りと巡回を夜明けまでしていたということなの?
私…てっきり昨夜はお楽しみでしたね…だと思ってた。恥ずかしいっ…何が恥ずかしいって勝手にそう思って結論づけて、シーダの女性関係の爛れた妄想をしてしまっていたことだ。
シーダ王子を妄想で穢してしまった!
支部長さんと話を終えたシーダは後ろにいた私の方を顧みた。
「どうした?」
「シーダ…シーダの純潔を穢してしまってごめんなさい!」
冒険者ギルド内に居たお兄様達からどよめきが起こった。シーダは真っ赤になって固まっていた。ありゃ?どうしたの………シーダのこの魔質は……
「おっ…お前はまた、発言に気を付けろぉぉぉ!」
シーダにめっちゃ怒られた。なんでよ?誤解しててゴメンね?でしょ…もう一回シーダに、いやらしい想像しちゃっててゴメンね。と伝えたら今度はシーダに壁際まで飛び退いて逃げられてしまった。
そんな飛び退くほど、いやらしい妄想女にドン引きですか?逃げられるなんてヘコむわ~。
暫くギルド内が異様な興奮状態だった。お兄様達どうしたの?そしてやっと落ち着いたらしいシーダと共に外へ出た。
「あ…で、今日はこの後どうするんだ?」
「はい、明日はモスビート王国に向かいますので、そうですね…そろそろシーダの魔道具の鞄を作りましょうか~」
「おっ頼むな。じゃあ生地屋に行くのか?」
「はい!」
今まで国から国への移動は最低1、2度は山道で野宿ということもあったので、遠出の前にはお弁当作りに精を出していたのだけど、どうやら今度からはシーダの背中でぬくぬく移動が定番化しそうなのでお弁当作りは後回しだ。
生地屋にシーダと共に出かけ、布地の基本色は深紅色を強力にお薦めしておいた。
「何で赤?まあいい色かな…とは思うけど、なんか魔道具作りに関係あるのか?」
いや、ないよっ!全くかんけーないんだけど王子様や王様といえば定番カラーは燃えるような赤色のマントじゃない?そこは外せないね!
生地と糸などを購入した後に昨日泊まった宿屋に戻り、連泊の手続きをしてから部屋に戻った。部屋にシーダを呼びつけて、鞄の採寸をしようとシーダの腰回りのサイズを測らせてもらった。
その時にうっかり、本当にうっかりとだけどシーダ兄さんの腰やお尻を触っちゃったんだけど、硬いお尻の筋肉の質感に………ハァハァ言ってしまった。お尻妄想で丼飯15杯は軽く頂けるね。
そして鞄を縫い始めたんだけど、シーダがさり気なく私の部屋に居座っているんだけど、何だろうかね?
「な、なあ?」
「はい?」
「俺のいやらしい想像って…何を想像してたの?」
んん?その話か…私の不名誉な黒歴史が暴かれるんだけど…まあいいか。
「昨日夜中にシーダが外へ出ましたよね?私はてっきり村の女性と…え~と一晩のお楽しみをされていたと思っていたのです。シーダも私の子守ばかりでは、欲望?を解放出来ないかと思いまして、次のお宿は別々の所に宿泊してお邪魔しないよ……う……に…すみません、興味無いですよね?こんな話…」
シーダの表情が段々抜けて行って今は無表情になっています。怖い…魔質がとんでもなく怖い。私、素人だしそんな魔質投げないで下さいよぉ。
「護衛が別の宿に泊まるなんてありえねぇよ。俺はずっとお前の傍にいる。勘違いするな」
「ひぃぃぃ…すみませんっすみませんっ!」
怖いから取り敢えず謝っておいた。こんなへっぽこな私を責めないでおくれ…
「………………はぁ………」
シーダはまたおじいちゃんみたいな長い溜め息をついて、頭を抱えて俯いちゃったけど…そうだ。
「シーダ、夕食までの間、暫く横になっていますか?この寝台で……あ、私の寝台だから色々汚いかな?」
「…!」
シーダはびっくりするくらい上に飛び上がった。何ッ何ぃ!?そして着地した後、暫く駆けっこポーズで固まっていたけど、小声で
「……横になる」
と言って私に背を向けて横に寝転んだ。うんうん、寝てていいよ。疲れてるよね~
「私を背負って飛んでくれましたものね。あれ良いですね~シーダの背中でヌク…」
「いいからさっさと縫っちまえぇ!」
何だよ…またプリプリ怒っちゃって~シーダは私に背中を向けたまま、夕食の時間まで何かブツブツと呟いていた。
2
あなたにおすすめの小説
義兄に恋してたら、男になっちゃった!? こじ恋はじめます
桜 こころ🌸
恋愛
恋と変身が同時進行!? 波乱すぎる兄妹(仮)ラブストーリー♡
お兄ちゃんが好き。でも私、ドキドキすると“男”になっちゃう体質なんです――!
義兄・咲夜に片想い中の唯。
血はつながっていないけど、「兄妹」という関係が壁になって、想いを伝えられずにいた。
そんなある日、謎の薬を飲まされ、唯の体に異変が――なんと“男”に変身する体質になってしまった!?
ドキドキするとスイッチが入り、戻るタイミングはバラバラ。
恋心と秘密を抱えた、波乱の日々が始まる!
しかも、兄の親友や親友の恋心まで巻き込んで、恋はどんどん混線中!?
果たして唯は元に戻れるのか?
そして、義兄との禁断の恋の行方は……?
笑ってキュンして悩ましい、変身ラブコメディ開幕!
兄みたいな騎士団長の愛が実は重すぎでした
鳥花風星
恋愛
代々騎士団寮の寮母を務める家に生まれたレティシアは、若くして騎士団の一つである「群青の騎士団」の寮母になり、
幼少の頃から仲の良い騎士団長のアスールは、そんなレティシアを陰からずっと見守っていた。レティシアにとってアスールは兄のような存在だが、次第に兄としてだけではない思いを持ちはじめてしまう。
アスールにとってもレティシアは妹のような存在というだけではないようで……。兄としてしか思われていないと思っているアスールはレティシアへの思いを拗らせながらどんどん膨らませていく。
すれ違う恋心、アスールとライバルの心理戦。拗らせ溺愛が激しい、じれじれだけどハッピーエンドです。
☆他投稿サイトにも掲載しています。
☆番外編はアスールの同僚ノアールがメインの話になっています。
不憫な侯爵令嬢は、王子様に溺愛される。
猫宮乾
恋愛
再婚した父の元、継母に幽閉じみた生活を強いられていたマリーローズ(私)は、父が没した事を契機に、結婚して出ていくように迫られる。皆よりも遅く夜会デビューし、結婚相手を探していると、第一王子のフェンネル殿下が政略結婚の話を持ちかけてくる。他に行く場所もない上、自分の未来を切り開くべく、同意したマリーローズは、その後後宮入りし、正妃になるまでは婚約者として過ごす事に。その内に、フェンネルの優しさに触れ、溺愛され、幸せを見つけていく。※pixivにも掲載しております(あちらで完結済み)。
病弱な第四皇子は屈強な皇帝となって、兎耳宮廷薬師に求愛する
藤原 秋
恋愛
大規模な自然災害により絶滅寸前となった兎耳族の生き残りは、大帝国の皇帝の計らいにより宮廷で保護という名目の軟禁下に置かれている。
彼らは宮廷内の仕事に従事しながら、一切の外出を許可されず、婚姻は同族間のみと定義づけられ、宮廷内の籠の鳥と化していた。
そんな中、宮廷薬師となった兎耳族のユーファは、帝国に滅ぼされたアズール王国の王子で今は皇宮の側用人となったスレンツェと共に、生まれつき病弱で両親から次期皇帝候補になることはないと見限られた五歳の第四皇子フラムアーク付きとなり、皇子という地位にありながら冷遇された彼を献身的に支えてきた。
フラムアークはユーファに懐き、スレンツェを慕い、成長と共に少しずつ丈夫になっていく。
だがそれは、彼が現実という名の壁に直面し、自らの境遇に立ち向かっていかねばならないことを意味していた―――。
柔和な性格ながら確たる覚悟を内に秘め、男としての牙を隠す第四皇子と、高潔で侠気に富み、自らの過去と戦いながら彼を補佐する亡国の王子、彼らの心の支えとなり、国の制約と湧き起こる感情の狭間で葛藤する亜人の宮廷薬師。
三者三様の立ち位置にある彼らが手を携え合い、ひとつひとつ困難を乗り越えて掴み取る、思慕と軌跡の逆転劇。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
死んでるはずの私が溺愛され、いつの間にか救国して、聖女をざまぁしてました。
みゅー
恋愛
異世界へ転生していると気づいたアザレアは、このままだと自分が死んでしまう運命だと知った。
同時にチート能力に目覚めたアザレアは、自身の死を回避するために奮闘していた。するとなぜか自分に興味なさそうだった王太子殿下に溺愛され、聖女をざまぁし、チート能力で世界を救うことになり、国民に愛される存在となっていた。
そんなお話です。
以前書いたものを大幅改稿したものです。
フランツファンだった方、フランツフラグはへし折られています。申し訳ありません。
六十話程度あるので改稿しつつできれば一日二話ずつ投稿しようと思います。
また、他シリーズのサイデューム王国とは別次元のお話です。
丹家栞奈は『モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します』に出てくる人物と同一人物です。
写真の花はリアトリスです。
ご褒美人生~転生した私の溺愛な?日常~
紅子
恋愛
魂の修行を終えた私は、ご褒美に神様から丈夫な身体をもらい最後の転生しました。公爵令嬢に生まれ落ち、素敵な仮婚約者もできました。家族や仮婚約者から溺愛されて、幸せです。ですけど、神様。私、お願いしましたよね?寿命をベッドの上で迎えるような普通の目立たない人生を送りたいと。やりすぎですよ💢神様。
毎週火・金曜日00:00に更新します。→完結済みです。毎日更新に変更します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
逆行したので運命を変えようとしたら、全ておばあさまの掌の上でした
ひとみん
恋愛
夫に殺されたはずなのに、目覚めれば五才に戻っていた。同じ運命は嫌だと、足掻きはじめるクロエ。
なんとか前に死んだ年齢を超えられたけど、実は何やら祖母が裏で色々動いていたらしい。
ザル設定のご都合主義です。
最初はほぼ状況説明的文章です・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる