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旅路
矛は護衛1
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本日泊まる宿屋で夕食を頂いてます。
ホーホロという魔獣鳥の煮込みと野菜のシチュー、塩パン、デザートは果物のムース。食べた食感は蜜柑っぽい。
「美味しぃ…」
魔獣鳥の煮込み…鳥の出汁が出て溜まらんね。それはいいんだけどさ、何故だか私とシーダが夕食を食べている同じテーブルに、冒険者ランクSクラスの、リコイーダ君が座っているんだよね。いつの間に合流したの?
リコイーダ君は宿屋の食堂に入って来た時から目が据わっていた。
「ギルドで聞いてきたんですけどぉ穢したってなんすかぁ!?シーダ兄ぃが俺の高貴な花を穢したってことですか!?」
高貴な花?
「俺が…じゃねぇよ。それに逆だ……俺の純潔だか何だかをララーナが穢がしたとか叫んで…」
「シーダ兄ぃが純潔ぅぅ?!そんな訳あるはずないじゃないですかぁ?可憐な花を散らせて散らせて散ら……」
散らせて……
シーダがリコイーダ君をテーブルに押さえ込んだ。どこかで見たことある光景だ…あ、あれだ。被疑者確保!って言って刑事さんが犯人を取り押さえているあの場面だ。
「いででっ…痛いよ!聞いてよっ俺の高貴な花ぁ!シーダ兄ぃは◯◯◯で◯◯◯◯◯りで!あれとか◯◯△✕とか□△✕◯◯とか◯◯でぇ!」
リ…リコイーダ君はかなり酔ってるのかな?
ごめんね…私、前世は14才で亡くなっていて、おまけに今世は結構厳しい教育環境の孤児院出身で、向こうの世界で実地経験も無いし、こちらの世界の卑猥な単語とか隠語?みたいなの…異性から聞かされたり叫ばれたりしたこともほとんど無いから、エロ語に免疫ない方なんだよ。
でも正直ドン引きだ。可愛い顔のリコイーダ君に多分…下関係のエロ語を叫ばれているこの状況…ぶっちゃけ腹立ちさえ覚える。可愛い顔でエロを叫ぶな!と言いたい。
まあでも、男性から卑猥?な言葉をかけられるのは全く初めてではないけどさ……それは私の中ではかなりのトラウマな思い出だ。
「リコイーダっ!いい加減にしろっ。悪いな、こいつララーナがギルドで純潔がどうとか、お前が言った言葉を又聞きしてきたんだろ?全くっ…」
「あっ…あれは私も言い方が悪くて、シーダに変な妄想をしていたのも本当だし…」
「変な妄想!?あぁ……俺の花がぁ…キュッ……」
リコイーダ君の口から変な音がしてリコイーダ君が静かになった。大丈夫なのかな?シーダを見ると、いつもと変わらない表情で再び席に座り直して、お酒を飲んでいる。
うん…大丈夫のようだ。
「今言ったリコイーダの言葉は全部忘れろ」
「あっうん。大丈夫、全然分からなかったし…」
何だかシーダがびっくりしたような顔をして私を見ている。
「ララーナ…お前いくつだ?」
「えっ18才だけど」
「リコイーダと同い年か…ララーナ…お前本当に孤児なのか?まさかどこかの高位貴族の令嬢か…あ、いや貴族の令嬢なら逆にもっと…」
何だろうか?18才なのにエロに耐性がない幼い子供みたいとか?
何だか悔しくなってシーダにムキになって反論した。
「孤児院がそういう穢れや邪心に厳しい教えをされる所だったのです。それに…私自身もなるべくそういうのに目を向けないようにしてきました…怖いし」
ガチャン……と音をたててグラスがテーブルに転がった。シーダが目を見開いて私を見ている。驚愕ってこういう表情のことをいうのかな?びっくりしててもイケメンはイケメンだね。
「穢れ…邪心…」
びっくりした……リコイーダ君いつ目覚めたの?地の底を這うような声を出して私を見詰めるリコイーダ君。イケメン2人に見詰められて緊張するね。
「怖いって…何かあったのか?いや…ララーナなら有り過ぎるくらいだったんだろ?そうなんだろう?」
ズイィッ…とシーダににじり寄られる。
えっ怖いこと…てアレのことなんだけど…あ、そうだ。あの国に行くようなギルドの用事とか奇跡の使い手の用事が出来た時に断る理由付けにシーダやリコイーダ君に伝えてても大丈夫かな?
何かあった時にフォローしてもらえるかもだし。
「あのでも、ここで話すには…」
その時シーダが何か術の詠唱をした。これは…消音魔法?わ~すごい!流石SSS様、シーダ様だね。
「これで外に声は漏れない。話してみろ」
逃げ場無しっ待った無し…いずれは話さなきゃいけないことだし、腹を括ろう。
「シーダとリコイーダ君は、チャレストア公国をご存じでしょうか?」
「おお…南の方に位置する国だな…ギルドの用事で何度か行ったが…」
「物価も高いし定住は避けたい国だよね」
シーダとリコイーダ君の返事を聞いてから、深呼吸して目を瞑り、それから顔を上げた。
「私は12才の時に奇跡の使い手の試験を受けました。そして合格が発表されました。あ、因みに発表は世界治療術師協会の各支部の事務所内に貼り出されます」
「うん、それで?」
シーダの相槌に一度頷いて見せた。
「合格発表を見て、協会で術師の登録手続きをした帰りに私、攫われたんです」
「なっ!?」
「ええっ!?」
シーダもリコイーダ君も立ち上がったので、慌てて話を続けた。
「あのっ馬車に押し込まれましたが手荒なことはなかったんですよ?でも……怖くて、人買いとかだろうかとか、どうやって逃げようか、一生懸命考えていました。そして…馬車から降ろされて着いたのは大きな建物でした。とても豪華で…流石に私も気が付きました。人買いではなくどこかの貴族かも知れないと…」
シーダ兄さんの魔力が上がってきている気がする…おまけにリコイーダ君も怖い顔してるんだけど…
「そこで私を待っていたのは……チャレストア公国、第一公子殿下サラエート殿下でした」
「チャレストア…!」
「あっちゃ~公子殿下が人攫い?不味いよ、それ!」
リコイーダ君はそう言ったけど、私は苦笑いを返した。
「サラエート公子殿下は、攫ってきた私に言いました。『今日からお前は私の物だ。私に全てを捧げよ』」
「なっ…!」
「ひっ!」
完全にシーダとリコイーダ君は戦闘態勢?みたいな魔圧を放っている。食堂にいる人達がびっくりしているから、押さえてよね?
「無事…だったの…か?」
シーダが掠れた声でそう聞いた。何とか頷いて見せてまた苦笑いをしてしまった。
「私は奇跡の使い手の資格を得られたなら、無医村や最新の医療を受けれない地域を診て回ろうと決めていたので…すぐに断りました。こんな誘拐までして訳の分からないことを言う公子殿下の申し出なんて、端から受けるつもりもなかったですが…でも、公子殿下には私が断るなんて想像もしていなかったみたいでした」
私は私達の周りに魔物理防御の障壁を張った。だってね、2人共すごい魔力なんだもんね。お店の備品を壊したら困る…
「殿下はすぐに断った私に掴み掛って怒鳴ったんです『何を言っている!私の命だぞ』って…私は何とか公子殿下の手を振り切って…すぐに魔物理防御障壁を張ることが出来ました」
「障壁…そうか!ララーナの障壁なら張れたら…」
良かった…シーダが少し魔力を下げてくれた。私は笑顔で頷きました。
「はい、なんとか障壁を張れましたが、暫くは怖くて動けませんでした。その間にも公子が騒いだので、近衛の方や軍や魔術師団だと思われる人達が私の障壁を壊そうと、周りで騒いでいました。でもこのままここに居てもいつ障壁を壊されるか分からないので…ゆっくりとですが歩いて逃げることにしました」
「歩いて…?」
「ええっ…あ、でも障壁が壊されなければ危険は無いよな。そうか…」
シーダもリコイーダ君も私の地味地味作戦を聞いて、ちょっと半笑いになった。
「地味ですけど、走ったら体力を使い過ぎて魔力を発動出来なくなったら困るので、のんびりと歩きながら城の出口を目指しました。でも移動している私って外から丸見えでしょう?私の作戦なんてすぐに向こうに知られてしまったみたいで、廊下に障害物を置かれたりして…邪魔され始めました。何とか乗り越えたり、少しだけなら転移魔法も使えるで駆使しつつ…城から脱出しました。そしてずっと町を歩き続けました」
「お前よく頑張ったな…」
シーダが頭を撫でてくれた。思わず照れてしまって頬が緩む。
「怖いけど、怒りの方が勝っていました。何故こんな理不尽なことをするのだろう…と移動する私に障壁の外から、随分な大金を見せてきたり、罵声を浴びせたり怒鳴ったりする大人の姿を見て腹が立って仕方ありませんでした。だからわざと休憩して、おやつを食べたり雑貨屋に入って小物を買ったりして…嫌がらせしてやりました」
「ぶふぅ!面白っ…ララーナすげぇな」
リコイーダ君が笑い飛ばしてくれたので、ホッとした。
「流石に町中では私に罵声を浴びせたりはして来ませんでした。公子殿下はすぐ追いかけて来なくなったし1人減り2人減り…町はずれに出た時には、軍の人数人だけでした。そこからがまた…苦痛でしたけどね」
シーダが目付きを鋭くした。
「人通りの少ない街道を進み始めると…その、さっきのリコイーダ君みたいな言葉だと思うのですが、そんな感じの言葉を随分浴びせられました。その人達の顔は極力見ないようにして何とか歩き続けて…15日掛けて国境まで辿り着きました」
「すげぇ…」
「その頃には歩く私の周りに、チャレストアの人間はいませんでしたが、あいつらは先回りしてすでに国境に来ていました。私が王族を殺そうとした重罪人ですぐにチャレストアに引き渡すように、と国境警備の方々に叫んでいました。私はアイデーカードを見せて隣の国、バラウィドに入りました。バラウィドの警備の責任者の方は、私が攫われたということを訴えても信じてはくれませんでした。暫くはチャレストア公国の軍人とバラウィドの軍人に監視されていました」
「酷いな…」
そう…その後、世界治療術師協会にも訴えたが、チャレストア公国の誘拐は不起訴になったのだ。暫く両国に監視され続けたが、わたしが無医村や辺境の村を訪ねて治療を始め暫く経つと、チャレストア公国の手の者はいなくなっていた。
それから暫くして、バラウィド共和国の軍のおじ様方が直接、謝罪に来られた。でも私は正直バラウィド共和国の軍の人達に見て貰ってて助かったと伝えた。
だってバラウィド軍の人がいなかったら私、またチャレストアに攫われていたかもしれないから…
そう伝えると、いかついおじ様方はちょっと涙ぐんでいた。
私が話し終えると、シーダは憤怒の表情をしていた。リコイーダ君も怖い顔をしている。
「シーダ兄ぃ。チャレストア潰しとくか?」
「そうだな…息の根を止めとくかぁ…」
「うわわっ!いいよっいいよ…え~と前にシーダもちょろっと言ってたけど、特権階級?の人達だしさ。もう関わらないでおこうってだけで…もういいのっ!」
シーダはまだ若干怖い顔して私を見詰めて
「いつでも俺はイケるぜ?一国くらい消滅させるなんざ、朝飯前だ」
と言って自分を親指立てて指差していた。
ふわああああ!また俺強えぇぇぇ!の名台詞だよっ!いつでも俺はイケるぜ……ひぃぃぃ格好いい!
あまりの格好よさに思わず
「シーダ素敵ぃ!」
と叫んでしまっていた。一瞬怯んだシーダだったが、最近は私の発作になれたのか…びっくりして固まってしまったリコイーダ君にシーダは
「気にすんな、ララーナの素敵や格好良いは、腹減ったと同じ意味だから」
と、真顔で言っていた。
こらっ違うよっ!乙女の心から賛美を三大欲求と一緒にすんな!
ホーホロという魔獣鳥の煮込みと野菜のシチュー、塩パン、デザートは果物のムース。食べた食感は蜜柑っぽい。
「美味しぃ…」
魔獣鳥の煮込み…鳥の出汁が出て溜まらんね。それはいいんだけどさ、何故だか私とシーダが夕食を食べている同じテーブルに、冒険者ランクSクラスの、リコイーダ君が座っているんだよね。いつの間に合流したの?
リコイーダ君は宿屋の食堂に入って来た時から目が据わっていた。
「ギルドで聞いてきたんですけどぉ穢したってなんすかぁ!?シーダ兄ぃが俺の高貴な花を穢したってことですか!?」
高貴な花?
「俺が…じゃねぇよ。それに逆だ……俺の純潔だか何だかをララーナが穢がしたとか叫んで…」
「シーダ兄ぃが純潔ぅぅ?!そんな訳あるはずないじゃないですかぁ?可憐な花を散らせて散らせて散ら……」
散らせて……
シーダがリコイーダ君をテーブルに押さえ込んだ。どこかで見たことある光景だ…あ、あれだ。被疑者確保!って言って刑事さんが犯人を取り押さえているあの場面だ。
「いででっ…痛いよ!聞いてよっ俺の高貴な花ぁ!シーダ兄ぃは◯◯◯で◯◯◯◯◯りで!あれとか◯◯△✕とか□△✕◯◯とか◯◯でぇ!」
リ…リコイーダ君はかなり酔ってるのかな?
ごめんね…私、前世は14才で亡くなっていて、おまけに今世は結構厳しい教育環境の孤児院出身で、向こうの世界で実地経験も無いし、こちらの世界の卑猥な単語とか隠語?みたいなの…異性から聞かされたり叫ばれたりしたこともほとんど無いから、エロ語に免疫ない方なんだよ。
でも正直ドン引きだ。可愛い顔のリコイーダ君に多分…下関係のエロ語を叫ばれているこの状況…ぶっちゃけ腹立ちさえ覚える。可愛い顔でエロを叫ぶな!と言いたい。
まあでも、男性から卑猥?な言葉をかけられるのは全く初めてではないけどさ……それは私の中ではかなりのトラウマな思い出だ。
「リコイーダっ!いい加減にしろっ。悪いな、こいつララーナがギルドで純潔がどうとか、お前が言った言葉を又聞きしてきたんだろ?全くっ…」
「あっ…あれは私も言い方が悪くて、シーダに変な妄想をしていたのも本当だし…」
「変な妄想!?あぁ……俺の花がぁ…キュッ……」
リコイーダ君の口から変な音がしてリコイーダ君が静かになった。大丈夫なのかな?シーダを見ると、いつもと変わらない表情で再び席に座り直して、お酒を飲んでいる。
うん…大丈夫のようだ。
「今言ったリコイーダの言葉は全部忘れろ」
「あっうん。大丈夫、全然分からなかったし…」
何だかシーダがびっくりしたような顔をして私を見ている。
「ララーナ…お前いくつだ?」
「えっ18才だけど」
「リコイーダと同い年か…ララーナ…お前本当に孤児なのか?まさかどこかの高位貴族の令嬢か…あ、いや貴族の令嬢なら逆にもっと…」
何だろうか?18才なのにエロに耐性がない幼い子供みたいとか?
何だか悔しくなってシーダにムキになって反論した。
「孤児院がそういう穢れや邪心に厳しい教えをされる所だったのです。それに…私自身もなるべくそういうのに目を向けないようにしてきました…怖いし」
ガチャン……と音をたててグラスがテーブルに転がった。シーダが目を見開いて私を見ている。驚愕ってこういう表情のことをいうのかな?びっくりしててもイケメンはイケメンだね。
「穢れ…邪心…」
びっくりした……リコイーダ君いつ目覚めたの?地の底を這うような声を出して私を見詰めるリコイーダ君。イケメン2人に見詰められて緊張するね。
「怖いって…何かあったのか?いや…ララーナなら有り過ぎるくらいだったんだろ?そうなんだろう?」
ズイィッ…とシーダににじり寄られる。
えっ怖いこと…てアレのことなんだけど…あ、そうだ。あの国に行くようなギルドの用事とか奇跡の使い手の用事が出来た時に断る理由付けにシーダやリコイーダ君に伝えてても大丈夫かな?
何かあった時にフォローしてもらえるかもだし。
「あのでも、ここで話すには…」
その時シーダが何か術の詠唱をした。これは…消音魔法?わ~すごい!流石SSS様、シーダ様だね。
「これで外に声は漏れない。話してみろ」
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「シーダとリコイーダ君は、チャレストア公国をご存じでしょうか?」
「おお…南の方に位置する国だな…ギルドの用事で何度か行ったが…」
「物価も高いし定住は避けたい国だよね」
シーダとリコイーダ君の返事を聞いてから、深呼吸して目を瞑り、それから顔を上げた。
「私は12才の時に奇跡の使い手の試験を受けました。そして合格が発表されました。あ、因みに発表は世界治療術師協会の各支部の事務所内に貼り出されます」
「うん、それで?」
シーダの相槌に一度頷いて見せた。
「合格発表を見て、協会で術師の登録手続きをした帰りに私、攫われたんです」
「なっ!?」
「ええっ!?」
シーダもリコイーダ君も立ち上がったので、慌てて話を続けた。
「あのっ馬車に押し込まれましたが手荒なことはなかったんですよ?でも……怖くて、人買いとかだろうかとか、どうやって逃げようか、一生懸命考えていました。そして…馬車から降ろされて着いたのは大きな建物でした。とても豪華で…流石に私も気が付きました。人買いではなくどこかの貴族かも知れないと…」
シーダ兄さんの魔力が上がってきている気がする…おまけにリコイーダ君も怖い顔してるんだけど…
「そこで私を待っていたのは……チャレストア公国、第一公子殿下サラエート殿下でした」
「チャレストア…!」
「あっちゃ~公子殿下が人攫い?不味いよ、それ!」
リコイーダ君はそう言ったけど、私は苦笑いを返した。
「サラエート公子殿下は、攫ってきた私に言いました。『今日からお前は私の物だ。私に全てを捧げよ』」
「なっ…!」
「ひっ!」
完全にシーダとリコイーダ君は戦闘態勢?みたいな魔圧を放っている。食堂にいる人達がびっくりしているから、押さえてよね?
「無事…だったの…か?」
シーダが掠れた声でそう聞いた。何とか頷いて見せてまた苦笑いをしてしまった。
「私は奇跡の使い手の資格を得られたなら、無医村や最新の医療を受けれない地域を診て回ろうと決めていたので…すぐに断りました。こんな誘拐までして訳の分からないことを言う公子殿下の申し出なんて、端から受けるつもりもなかったですが…でも、公子殿下には私が断るなんて想像もしていなかったみたいでした」
私は私達の周りに魔物理防御の障壁を張った。だってね、2人共すごい魔力なんだもんね。お店の備品を壊したら困る…
「殿下はすぐに断った私に掴み掛って怒鳴ったんです『何を言っている!私の命だぞ』って…私は何とか公子殿下の手を振り切って…すぐに魔物理防御障壁を張ることが出来ました」
「障壁…そうか!ララーナの障壁なら張れたら…」
良かった…シーダが少し魔力を下げてくれた。私は笑顔で頷きました。
「はい、なんとか障壁を張れましたが、暫くは怖くて動けませんでした。その間にも公子が騒いだので、近衛の方や軍や魔術師団だと思われる人達が私の障壁を壊そうと、周りで騒いでいました。でもこのままここに居てもいつ障壁を壊されるか分からないので…ゆっくりとですが歩いて逃げることにしました」
「歩いて…?」
「ええっ…あ、でも障壁が壊されなければ危険は無いよな。そうか…」
シーダもリコイーダ君も私の地味地味作戦を聞いて、ちょっと半笑いになった。
「地味ですけど、走ったら体力を使い過ぎて魔力を発動出来なくなったら困るので、のんびりと歩きながら城の出口を目指しました。でも移動している私って外から丸見えでしょう?私の作戦なんてすぐに向こうに知られてしまったみたいで、廊下に障害物を置かれたりして…邪魔され始めました。何とか乗り越えたり、少しだけなら転移魔法も使えるで駆使しつつ…城から脱出しました。そしてずっと町を歩き続けました」
「お前よく頑張ったな…」
シーダが頭を撫でてくれた。思わず照れてしまって頬が緩む。
「怖いけど、怒りの方が勝っていました。何故こんな理不尽なことをするのだろう…と移動する私に障壁の外から、随分な大金を見せてきたり、罵声を浴びせたり怒鳴ったりする大人の姿を見て腹が立って仕方ありませんでした。だからわざと休憩して、おやつを食べたり雑貨屋に入って小物を買ったりして…嫌がらせしてやりました」
「ぶふぅ!面白っ…ララーナすげぇな」
リコイーダ君が笑い飛ばしてくれたので、ホッとした。
「流石に町中では私に罵声を浴びせたりはして来ませんでした。公子殿下はすぐ追いかけて来なくなったし1人減り2人減り…町はずれに出た時には、軍の人数人だけでした。そこからがまた…苦痛でしたけどね」
シーダが目付きを鋭くした。
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「すげぇ…」
「その頃には歩く私の周りに、チャレストアの人間はいませんでしたが、あいつらは先回りしてすでに国境に来ていました。私が王族を殺そうとした重罪人ですぐにチャレストアに引き渡すように、と国境警備の方々に叫んでいました。私はアイデーカードを見せて隣の国、バラウィドに入りました。バラウィドの警備の責任者の方は、私が攫われたということを訴えても信じてはくれませんでした。暫くはチャレストア公国の軍人とバラウィドの軍人に監視されていました」
「酷いな…」
そう…その後、世界治療術師協会にも訴えたが、チャレストア公国の誘拐は不起訴になったのだ。暫く両国に監視され続けたが、わたしが無医村や辺境の村を訪ねて治療を始め暫く経つと、チャレストア公国の手の者はいなくなっていた。
それから暫くして、バラウィド共和国の軍のおじ様方が直接、謝罪に来られた。でも私は正直バラウィド共和国の軍の人達に見て貰ってて助かったと伝えた。
だってバラウィド軍の人がいなかったら私、またチャレストアに攫われていたかもしれないから…
そう伝えると、いかついおじ様方はちょっと涙ぐんでいた。
私が話し終えると、シーダは憤怒の表情をしていた。リコイーダ君も怖い顔をしている。
「シーダ兄ぃ。チャレストア潰しとくか?」
「そうだな…息の根を止めとくかぁ…」
「うわわっ!いいよっいいよ…え~と前にシーダもちょろっと言ってたけど、特権階級?の人達だしさ。もう関わらないでおこうってだけで…もういいのっ!」
シーダはまだ若干怖い顔して私を見詰めて
「いつでも俺はイケるぜ?一国くらい消滅させるなんざ、朝飯前だ」
と言って自分を親指立てて指差していた。
ふわああああ!また俺強えぇぇぇ!の名台詞だよっ!いつでも俺はイケるぜ……ひぃぃぃ格好いい!
あまりの格好よさに思わず
「シーダ素敵ぃ!」
と叫んでしまっていた。一瞬怯んだシーダだったが、最近は私の発作になれたのか…びっくりして固まってしまったリコイーダ君にシーダは
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