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旅路
矛は護衛2
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「転移陣を使おうか」
翌朝シーダと朝食を食べていてそう言われたけど、真っ先に「それ高いよっ!」と貧乏人発言をしてしまった私を、シーダは生温かい目で見た。
「高くても…安全だ」
安全…ぐぅ、それを言われると言葉が返せない。もしかして昨日の攫われちゃった、えへへ。が尾を引いているのでしょうか?これ、あれだ…実は攫われた時に公子殿下に胸とお尻も触られた…とか更に暴露していたら檻にでも入れられて運ばれてるかも?
…言わなくて良かった…シーダパパを更に怒らせてしまうところだった。
「あはっアハハ…」
「笑って誤魔化すな。いいか、今までも費用を惜しんで徒歩移動ばかりしているから、変な輩に捕まったりだな…」
また朝から説教が長い…ミルクが冷めちゃうね、ズビビ…
「しっかり話を聞け!!俺がいるからには世界一の守りを提供するけどなぁ万が一にもはぐれたり、不測の事態に陥った時にはだな…」
なげぇ…まだ続くのか、おっと今日のスープはこれ魚介スープじゃない!美味しい~。
「食べてないで俺を話を聞けっ!」
ムッ…煩いなぁもう。私は頬杖をつくと、テーブル越しにジーッとシーダに見詰めた。
「何だよ…」
「話を聞けって言った」
「……」
ニコッと笑って見せたらシーダは大きな溜め息を付いた。
「飯食ったらモスビート王国に行くぞ…」
「はーい」
シーダと朝食を食べた後に冒険者ギルドに寄った。何でも冒険者ギルド専用の『転移陣』もあるらしく、ギルド会員なら割安らしい。そんなお得情報は早く言ってよっ!割引、三割引き、半額!が私の人生の三大パワーワードなのに!
そしてシーダと共にカリカントの冒険者ギルドに入った途端、冒険者のお兄さん達に一斉に見られた。これはぁ…背中を冷や汗が伝う。
純潔…シーダが強姦…とか怖いワードがチラチラと聞こえている。これはもしかしなくても昨日のリコイーダ君の様に、シーダが私を襲ったと勘違いされているんだよね?これはいけないよ…シーダに無実の罪を着せてはいけない!
私は私を見てヒソヒソ言っている冒険者のお兄様達を睨みつけた。
「皆様が囁かれていることは間違いです!私の方がっシーダに良からぬ妄想を抱いて彼を餌食にしており…ふがうぐっ…」
「バカッ!また何をでかい声で言ってんだ!」
シーダの無実を叫んでいたがシーダ本人に口を塞がれた。しかしすぐに手を振りほどくと私はシーダを見上げた。
「でもシーダが誤解されたままではダメですっ!シーダは村人を守る為に尽力している優れた冒険者ですしっとても格好いいで…もがほがっ…ううっ…!」
「もうやめろ!」
すると、一瞬静まり返ったギルド内が…物凄い歓声と野次とか口笛とか、何なの?皆何で笑ってるの。シーダを見ると真っ赤だ。
私、間違ったこと言ってないですよね?
シーダに口を塞がれたままギルド内の受付と待合室みたいな所を抜けて廊下に出た。
あれ?廊下の先にリコイーダ君とギアラクさんがいる。
「なんか表が騒がしいな?転移陣使うんだろ?」
ギアラクさんが笑顔でそう聞いてきた。ん~?隣のリコイーダ君を見た。リコイーダ君は若干慌てながら
「ホラッ?昨日ララーナがまた酔っぱらったみたいでシーダ兄ぃに部屋に連れて行かれただろ?」
と言った。アレか…またシーダに酔っぱらい扱いされて宿の部屋に放り込まれたんだよっ、どんな扱いだよっ!
「酔ってないし…無理矢理押し込められた…」
「その後にギアラクも来てさ~」
「ええっ!」
なんだソレ~!?男3人でイチャイチャしてたの?それはそれで見たかった…私の癒しがぁ目の保養がぁ~
ギアラクさんとリコイーダ君が一瞬目を見合わせた。
「俺達も一緒に行こうか、って話になってね。それに移動には転移陣使った方がいいね…って話になってね。俺達は無料だし」
………ん?
私の大好きなパワーワードが聞こえたぞ?
「無料?」
私が聞くとリコイーダ君がキョトンとした顔をした。
「うん?だってSクラス以上は転移陣使うのは無料だよ、な?」
リコイーダ君はギアラクさんとシーダに、な?と聞いている。2人は同時に頷いた。
「嘘ぉ!?無料なの?ズルい!」
「何がズルいんだよ、そのランクに行く為に冒険者の皆が必死になって戦闘して実積あげて、死にかけて掴んだ権利だろうが?」
シーダの精悍でカッコいい顔を睨んでやった。イケメン顔が余計にムカつくとはこの事だ。
私は廊下の奥にある事務室で転移陣の許可申請をして使用料を払った……私だけ!
まあ、本当はシーダが払ってくれたんだけど…えっ?まるで保護者みたいだって?
私としては対等な立場のつもりだけど、確かにシーダパパにはおぶわれてヌクヌクさせてもらっている。でもねっ異世界の享年14年までの人生と今の世界での18年間を足すと私の方がお姉さんじゃないか!
シーダ君シーダ君…ちょっとこっちに来なさいな…ぐへへっ。おねいさんが良いこと教えてあげるから…ぐへへ。ああん、おねいさん…そんなぁ、僕恥ずかしい…良いではないの?おねいさんに任せなさい…
「おい…なんかゲスい笑いをしてっけど、転移陣を設置してる部屋はこっちだから…ギルド内で迷子になるなよ」
「…………はーい」
おねいさんとシーダ少年の耽美な妄想ぐらい自由にさせてくれ!
私はシーダに手を引かれて、廊下を進んだ。廊下の奥…重厚な扉がある。
「ここが転移陣の間」
「ほぉ…」
先に着いていたリコイーダ君が振り向いて私に呆れたような顔を向けた。
「ちょっと~何やってんの?ギルド内で迷子?ララーナはぼんやりしてて危なっかしいなぁ~」
「こらぁ、おねいさんに向かってぼんやりとは生意気だぞっ!」
「……同い年だよな?シーダ兄ぃ、こいつまた酔ってんの?」
ごるぁ!人をアル中のように言うな!
転移陣の間は入ると中は2つ部屋があって、一つは床に大きな魔法陣が描かれた部屋で、その横の部屋には職員らしきの人が3人いた。
「あ、お疲れ様です。どちらまで?」
事務机で書類を仕訳していた、色っぽい雰囲気のお姉さんが部屋に入って来た私達にそう声を掛けてきた。シーダは腕のSSSのブレスレットを見せながら
「モスビート王国まで」
と言った。
「りょーかいです。はいどうぞ」
お姉さんは手元の装置を弄っている。
「座標指定しましたから、いつでもどうぞ」
私達は隣の部屋に戻り、大きな陣の上に足を踏み入れた。シーダとギアラクさんが転移陣に魔力を籠めている。
「行くぞー」
「はい!」
元気良く答えたが…私の認識は転移魔法も細かな瞬間移動の繰り返しで移動していると思っている。高速移動、光速かな?で長距離移動をしているはずなのだ。
つまりは…転移が終わると三半規管がクラクラするのだ。
「着いたぞ」
クラクラする頭に治療魔法をかけてから、魔法陣から外へ出た。ギアラクさんが入国の手続きをしている。隣の部屋を覗くと数人の冒険者の方かな?がソファに座っていた。
そのまま部屋を出て、廊下を進む。前を歩くギアラクさんが、そう言えば…と私の方を顧みた。
「ララーナは無医村や僻地の診療を主体に活動してるんだよね?周る場所はどうやって決めてるの?」
「ああ、それは…世界治療術師協会に届けられる依頼書で選別しているのです」
世界治療術師協会にも冒険者ギルドのようなシステムがある。治療をして欲しい患者、または家族や色々な団体から依頼が送られてきて、それを手隙の術師が派遣という形で伺うシステムだ。
街の治療術師で治療出来なかった重篤な患者や、私が訪れている無医村などの地方からの依頼も直接、世界治療術師協会が受けている。
私も依頼を受けて伺う事もあるが、基本は協会からの指示で無医村と僻地、辺境などを巡回しているのだ。
「定期的に各地方を巡回して治療をしています。同じ村には大体30日から40日の間にまた訪れるように回っています。あ、緊急の治療の時はそちらを優先してますね」
「なるほど~結構計画的な治療してるんだね」
ギアラクさんもリコイーダ君も大きく頷いている。…今更だけど、そう言えば何で2人が付いて来てるの?何か用事?あまりに自然について来るから聞きそびれちゃったよ。
でもまあいいか。ホラあれだよね?毎晩さ、ウフフアハハ…と語り合っているイケメンスチルを目の前で披露してくれちゃったりするんだよね?無料で見れるんだよね?最前列のステージだよね?
ホラホラ~もっと大胆に脱いで見せなさいよ!ああん、おねいさんこれ以上は無理…。そんな訳ないでしょ?やればできる子よ?ホラホラ素直になりなさいな…。あああんおねいさん僕壊れちゃうう…。壊れたらおねいさんが優しく治してあげるから♡
「…おいっ、口押さえてモゴモゴして吐きそうなのか?…まさか転移魔法で酔ったのか?たまにいるんだよな…」
そっちじゃねーよ!シーダ兄さん!
「まずはどうする?俺達は鍛冶屋に行きたいんだ。このモスビート王国に有名な鍛冶職人の親父がいてさ。そこの武器見てみたいんだよね」
おおっ!なるほど、もしかしてそれが目当て?
「はい、鍛冶の見学出来ますかね!楽しみ~。私は治療術師協会の支部にご報告するだけですし」
私がそう答えると、3人は、一斉にへぇ~となにやら声を上げた。何でしょうか?
「女の子って鍛冶屋に行くって言ったら大抵の子は、嫌がるしついて来ないよ。やっぱりララーナ変ってるね」
「リコイーダ君…それは誉め言葉かな?」
リコイーダ君は爽やかな笑顔を私に向けた。
「誉め言葉、誉め言葉ぁ!」
アイドルイケメンの笑顔が胡散臭い…
私は3人の冒険者様に連れられて鍛冶屋街に向かった。道のあちこちに『鍛冶屋の町にようこそ!』『鍛冶屋街はこっち』みたいな看板が建ててある。もしかして観光地的な感じで有名なのかも。
皆について歩きながら周りを見ていると…わわっ飴屋さんがある~!虹色のキャンディだ。美味しそう!こっちの方向の商店街に行ったことないから知らなかった。
「こら、またフラフラしてんなよ」
「あっシーダ。飴屋さんがありますよ」
「後で買ってやるから…」
「はーい」
そう返事をしてリコイーダ君とギアラクさんに追いつくと、2人共ニヨニヨしている。
「や~微笑ましいね」
「シーダ兄ぃはララーナの親だな」
「ちげぇよ!」
「そーだよ!」
ん?私とシーダの返答が分かれましたぞ?おかしいね?シーダは前は保護者だとか言わなかったっけ?
「シーダ自身が私の保護者だとか言ってませんでした?」
「……護衛だ」
何故に偉そうにふんぞり返って答えるのでしょうか?保護者でも護衛でも同じようなものだと思うのは私だけ?
「もういいんじゃね?シーダは高貴な花が大事~っ…ぐふぅ」
私が振り返った時にはリコイーダ君はすでに地面にひっくり返っていた。そんなリコイーダ君を素早くギアラクさんが肩に担ぎ上げた。
「大丈夫だからね?さあ鍛冶屋に行こうか」
ギアラクさんは笑顔でそう言ってリコイーダ君を担いでいるが、まるで重さを感じさせない軽快な足取りで歩き出した。
一体何だったのだろうか?
翌朝シーダと朝食を食べていてそう言われたけど、真っ先に「それ高いよっ!」と貧乏人発言をしてしまった私を、シーダは生温かい目で見た。
「高くても…安全だ」
安全…ぐぅ、それを言われると言葉が返せない。もしかして昨日の攫われちゃった、えへへ。が尾を引いているのでしょうか?これ、あれだ…実は攫われた時に公子殿下に胸とお尻も触られた…とか更に暴露していたら檻にでも入れられて運ばれてるかも?
…言わなくて良かった…シーダパパを更に怒らせてしまうところだった。
「あはっアハハ…」
「笑って誤魔化すな。いいか、今までも費用を惜しんで徒歩移動ばかりしているから、変な輩に捕まったりだな…」
また朝から説教が長い…ミルクが冷めちゃうね、ズビビ…
「しっかり話を聞け!!俺がいるからには世界一の守りを提供するけどなぁ万が一にもはぐれたり、不測の事態に陥った時にはだな…」
なげぇ…まだ続くのか、おっと今日のスープはこれ魚介スープじゃない!美味しい~。
「食べてないで俺を話を聞けっ!」
ムッ…煩いなぁもう。私は頬杖をつくと、テーブル越しにジーッとシーダに見詰めた。
「何だよ…」
「話を聞けって言った」
「……」
ニコッと笑って見せたらシーダは大きな溜め息を付いた。
「飯食ったらモスビート王国に行くぞ…」
「はーい」
シーダと朝食を食べた後に冒険者ギルドに寄った。何でも冒険者ギルド専用の『転移陣』もあるらしく、ギルド会員なら割安らしい。そんなお得情報は早く言ってよっ!割引、三割引き、半額!が私の人生の三大パワーワードなのに!
そしてシーダと共にカリカントの冒険者ギルドに入った途端、冒険者のお兄さん達に一斉に見られた。これはぁ…背中を冷や汗が伝う。
純潔…シーダが強姦…とか怖いワードがチラチラと聞こえている。これはもしかしなくても昨日のリコイーダ君の様に、シーダが私を襲ったと勘違いされているんだよね?これはいけないよ…シーダに無実の罪を着せてはいけない!
私は私を見てヒソヒソ言っている冒険者のお兄様達を睨みつけた。
「皆様が囁かれていることは間違いです!私の方がっシーダに良からぬ妄想を抱いて彼を餌食にしており…ふがうぐっ…」
「バカッ!また何をでかい声で言ってんだ!」
シーダの無実を叫んでいたがシーダ本人に口を塞がれた。しかしすぐに手を振りほどくと私はシーダを見上げた。
「でもシーダが誤解されたままではダメですっ!シーダは村人を守る為に尽力している優れた冒険者ですしっとても格好いいで…もがほがっ…ううっ…!」
「もうやめろ!」
すると、一瞬静まり返ったギルド内が…物凄い歓声と野次とか口笛とか、何なの?皆何で笑ってるの。シーダを見ると真っ赤だ。
私、間違ったこと言ってないですよね?
シーダに口を塞がれたままギルド内の受付と待合室みたいな所を抜けて廊下に出た。
あれ?廊下の先にリコイーダ君とギアラクさんがいる。
「なんか表が騒がしいな?転移陣使うんだろ?」
ギアラクさんが笑顔でそう聞いてきた。ん~?隣のリコイーダ君を見た。リコイーダ君は若干慌てながら
「ホラッ?昨日ララーナがまた酔っぱらったみたいでシーダ兄ぃに部屋に連れて行かれただろ?」
と言った。アレか…またシーダに酔っぱらい扱いされて宿の部屋に放り込まれたんだよっ、どんな扱いだよっ!
「酔ってないし…無理矢理押し込められた…」
「その後にギアラクも来てさ~」
「ええっ!」
なんだソレ~!?男3人でイチャイチャしてたの?それはそれで見たかった…私の癒しがぁ目の保養がぁ~
ギアラクさんとリコイーダ君が一瞬目を見合わせた。
「俺達も一緒に行こうか、って話になってね。それに移動には転移陣使った方がいいね…って話になってね。俺達は無料だし」
………ん?
私の大好きなパワーワードが聞こえたぞ?
「無料?」
私が聞くとリコイーダ君がキョトンとした顔をした。
「うん?だってSクラス以上は転移陣使うのは無料だよ、な?」
リコイーダ君はギアラクさんとシーダに、な?と聞いている。2人は同時に頷いた。
「嘘ぉ!?無料なの?ズルい!」
「何がズルいんだよ、そのランクに行く為に冒険者の皆が必死になって戦闘して実積あげて、死にかけて掴んだ権利だろうが?」
シーダの精悍でカッコいい顔を睨んでやった。イケメン顔が余計にムカつくとはこの事だ。
私は廊下の奥にある事務室で転移陣の許可申請をして使用料を払った……私だけ!
まあ、本当はシーダが払ってくれたんだけど…えっ?まるで保護者みたいだって?
私としては対等な立場のつもりだけど、確かにシーダパパにはおぶわれてヌクヌクさせてもらっている。でもねっ異世界の享年14年までの人生と今の世界での18年間を足すと私の方がお姉さんじゃないか!
シーダ君シーダ君…ちょっとこっちに来なさいな…ぐへへっ。おねいさんが良いこと教えてあげるから…ぐへへ。ああん、おねいさん…そんなぁ、僕恥ずかしい…良いではないの?おねいさんに任せなさい…
「おい…なんかゲスい笑いをしてっけど、転移陣を設置してる部屋はこっちだから…ギルド内で迷子になるなよ」
「…………はーい」
おねいさんとシーダ少年の耽美な妄想ぐらい自由にさせてくれ!
私はシーダに手を引かれて、廊下を進んだ。廊下の奥…重厚な扉がある。
「ここが転移陣の間」
「ほぉ…」
先に着いていたリコイーダ君が振り向いて私に呆れたような顔を向けた。
「ちょっと~何やってんの?ギルド内で迷子?ララーナはぼんやりしてて危なっかしいなぁ~」
「こらぁ、おねいさんに向かってぼんやりとは生意気だぞっ!」
「……同い年だよな?シーダ兄ぃ、こいつまた酔ってんの?」
ごるぁ!人をアル中のように言うな!
転移陣の間は入ると中は2つ部屋があって、一つは床に大きな魔法陣が描かれた部屋で、その横の部屋には職員らしきの人が3人いた。
「あ、お疲れ様です。どちらまで?」
事務机で書類を仕訳していた、色っぽい雰囲気のお姉さんが部屋に入って来た私達にそう声を掛けてきた。シーダは腕のSSSのブレスレットを見せながら
「モスビート王国まで」
と言った。
「りょーかいです。はいどうぞ」
お姉さんは手元の装置を弄っている。
「座標指定しましたから、いつでもどうぞ」
私達は隣の部屋に戻り、大きな陣の上に足を踏み入れた。シーダとギアラクさんが転移陣に魔力を籠めている。
「行くぞー」
「はい!」
元気良く答えたが…私の認識は転移魔法も細かな瞬間移動の繰り返しで移動していると思っている。高速移動、光速かな?で長距離移動をしているはずなのだ。
つまりは…転移が終わると三半規管がクラクラするのだ。
「着いたぞ」
クラクラする頭に治療魔法をかけてから、魔法陣から外へ出た。ギアラクさんが入国の手続きをしている。隣の部屋を覗くと数人の冒険者の方かな?がソファに座っていた。
そのまま部屋を出て、廊下を進む。前を歩くギアラクさんが、そう言えば…と私の方を顧みた。
「ララーナは無医村や僻地の診療を主体に活動してるんだよね?周る場所はどうやって決めてるの?」
「ああ、それは…世界治療術師協会に届けられる依頼書で選別しているのです」
世界治療術師協会にも冒険者ギルドのようなシステムがある。治療をして欲しい患者、または家族や色々な団体から依頼が送られてきて、それを手隙の術師が派遣という形で伺うシステムだ。
街の治療術師で治療出来なかった重篤な患者や、私が訪れている無医村などの地方からの依頼も直接、世界治療術師協会が受けている。
私も依頼を受けて伺う事もあるが、基本は協会からの指示で無医村と僻地、辺境などを巡回しているのだ。
「定期的に各地方を巡回して治療をしています。同じ村には大体30日から40日の間にまた訪れるように回っています。あ、緊急の治療の時はそちらを優先してますね」
「なるほど~結構計画的な治療してるんだね」
ギアラクさんもリコイーダ君も大きく頷いている。…今更だけど、そう言えば何で2人が付いて来てるの?何か用事?あまりに自然について来るから聞きそびれちゃったよ。
でもまあいいか。ホラあれだよね?毎晩さ、ウフフアハハ…と語り合っているイケメンスチルを目の前で披露してくれちゃったりするんだよね?無料で見れるんだよね?最前列のステージだよね?
ホラホラ~もっと大胆に脱いで見せなさいよ!ああん、おねいさんこれ以上は無理…。そんな訳ないでしょ?やればできる子よ?ホラホラ素直になりなさいな…。あああんおねいさん僕壊れちゃうう…。壊れたらおねいさんが優しく治してあげるから♡
「…おいっ、口押さえてモゴモゴして吐きそうなのか?…まさか転移魔法で酔ったのか?たまにいるんだよな…」
そっちじゃねーよ!シーダ兄さん!
「まずはどうする?俺達は鍛冶屋に行きたいんだ。このモスビート王国に有名な鍛冶職人の親父がいてさ。そこの武器見てみたいんだよね」
おおっ!なるほど、もしかしてそれが目当て?
「はい、鍛冶の見学出来ますかね!楽しみ~。私は治療術師協会の支部にご報告するだけですし」
私がそう答えると、3人は、一斉にへぇ~となにやら声を上げた。何でしょうか?
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「リコイーダ君…それは誉め言葉かな?」
リコイーダ君は爽やかな笑顔を私に向けた。
「誉め言葉、誉め言葉ぁ!」
アイドルイケメンの笑顔が胡散臭い…
私は3人の冒険者様に連れられて鍛冶屋街に向かった。道のあちこちに『鍛冶屋の町にようこそ!』『鍛冶屋街はこっち』みたいな看板が建ててある。もしかして観光地的な感じで有名なのかも。
皆について歩きながら周りを見ていると…わわっ飴屋さんがある~!虹色のキャンディだ。美味しそう!こっちの方向の商店街に行ったことないから知らなかった。
「こら、またフラフラしてんなよ」
「あっシーダ。飴屋さんがありますよ」
「後で買ってやるから…」
「はーい」
そう返事をしてリコイーダ君とギアラクさんに追いつくと、2人共ニヨニヨしている。
「や~微笑ましいね」
「シーダ兄ぃはララーナの親だな」
「ちげぇよ!」
「そーだよ!」
ん?私とシーダの返答が分かれましたぞ?おかしいね?シーダは前は保護者だとか言わなかったっけ?
「シーダ自身が私の保護者だとか言ってませんでした?」
「……護衛だ」
何故に偉そうにふんぞり返って答えるのでしょうか?保護者でも護衛でも同じようなものだと思うのは私だけ?
「もういいんじゃね?シーダは高貴な花が大事~っ…ぐふぅ」
私が振り返った時にはリコイーダ君はすでに地面にひっくり返っていた。そんなリコイーダ君を素早くギアラクさんが肩に担ぎ上げた。
「大丈夫だからね?さあ鍛冶屋に行こうか」
ギアラクさんは笑顔でそう言ってリコイーダ君を担いでいるが、まるで重さを感じさせない軽快な足取りで歩き出した。
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