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旅路
矛と王子
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「いやぁ~何だよ!奇跡の使い手な上に、料理上手だって~いいなぁ~。あ、この肉の揚げ物をもう少しくれ」
「はい……畏まりました」
何でこんなことになってるんだろう?
突然入って来た北ホグレイッツ王国のスィーダレン=シアデ=ホグレイッツ王子殿下はシーダと玄関先で剣を振り回して暴れて、私のMY箒を壊すし…何かいい匂いがする!と叫んでキッチンに勝手に押し入って行って、調理中のおかずを見て、これを食べるぞ !早く準備しろ!と騒ぎ…今、シーダ達とリビングでお酒を飲んでいる。
会社の同僚達と飲んでいた所に急に2代目お坊ちゃまの専務とか部長がやって来た…そんな所かな?
急遽、魔獣肉のカツレツとポテトサラダっぽいものも追加で作り、先に出来ていた肉団子と野菜の黒酢あえと、キャベツと白身魚とベーコンオイル焼きを出した。
私はキッチンでそれらを摘まみ食いしていたので、デザートのチーズケーキタルトを作ろうかと、リュックサックの中から少し古くなったバタークッキーを出してきた。
さっき軍手を出した時に、このクッキーの存在を思い出したんだよね。北ホグレイッツ王国は軍事国家ではあるけど、南の方に行けば酪農が盛んだとかで、チーズ、バター等の産地で、良質な乳製品が手に入るんだ。
これを利用しない手はないぜ…フフフ、ハッハハハ!
「ララーナ…棒で何か叩いてるとこ悪いけど、スイが話があるんだとよ」
私がクッキーを叩いてタルト生地を作っていると、シーダがキッチンを覗き込んでそう言ってきた。そうだ、さっきも思ってたんだけど…。
「ちょっとシーダ」
「何?」
「スィーダレン王子殿下に対して不敬じゃないですか?呼び捨てもして、おまけに抜刀したりして…」
シーダは顔をしかめた。
「スイは…まあいいんだよ。親友だし…」
ええ?王子殿下と親友なの?どんなSSS様イケメン様なのさ…ハッ!シーダとスィーダレン殿下の2人が並んでいると飛んでもないイケメンスチルが目の前に…ああっああっ…
「ララーナ…変な踊りはいいから、早く来いよ。スイが待ってるから…」
変な踊りって何だよ、目がぁ目がぁ…の有名な〇スカごっこじゃないか…
私はフライドポテトをモシャモシャ食べているスィーダレン殿下の横に立った。
「ララーナは変わった料理を作るね、めっちゃ美味しいけど!」
「ありがとうございます…」
早く本題を言え!まだMY箒を壊された恨みは忘れてないぞ。
「まあ、掛けなよ」
「はい」
私がソファに掛けるとシーダが横に座った。
「カリカント支部からシーダがララーナの護衛騎士の任命を受けたので、ララーナの診療をギルドで依頼として扱いたいとの打診を受けてな。丁度よい機会だし…世界治療術師協会の各支部とギルドで正式に提携して治療術師の派遣業務を請け負うことにした」
つまりどういうこと?スィーダレン殿下のキラキラした瞳を見詰める。
「つまりだ、ゆくゆくは世界治療術師協会と冒険者ギルドが合併統合して、治療術師をギルド会員として登録して…治療行為をギルドを通して依頼という形にしていく予定だ。今のような各国の寄付で成り立つような不安定な協会から脱却させるという訳だ。」
シーダの説明を受けて…そうだ、と思い出した。
確かに今の世界治療術師協会は協会支部のある各国の援助を受けて運営されている団体で…実際は支部の所在がある国の傘下に実質上入っている形だ。
つまり、その国が戦争を起こした場合、強制的にその国に準ずる支部は、その国の要請に応じて治療術師を派遣しなくてはならない。がっつりと国の利権に絡むことになる。
それ故に今まで世界治療術師協会とは名ばかりの組織で、よく間違えられる『世界魔術師協会』のような独立した強固な組織として存在出来ないでいた。
スィーダレン殿下は不敵な笑みを浮かべて私を見ていた。殿下の口がまだモゴモゴ動いているけど、すんばらしい美形ですね。
あ!私は今、逆ハーという状態でしょうか?ソファの周りにハーレムが出来ていますね!
「正直ね、ギルドの傘下に入っちゃうということは北ホグレイッツ王国が治療術師を独占するのか…と世界中から避難を浴びるかもしれないのだけど、このままじゃ優秀な治療術師も奇跡の使い手も…不当な扱いを受けて庇護と言う名の下に攫われて、能力を搾取されるだけだろう?」
スィーダレン殿下の微笑みに、もしかして…と隣のシーダを仰ぎ見た。シーダは私の方を見て少し眉を動かしたけど何食わぬ顔をしている。
でも魔質は雄弁に物語っている。
シーダとギアラクさん、リコイーダ君も…ギルド支部やスィーダレン殿下に私が12才で試験の後、チャストレイ公国に攫われた事を改めて、訴えて出てくれたのかもしれない。
そう…実は奇跡の使い手になると、そういう組織に狙われる…と皆が知っていて、最近じゃそれを恐れて十分に受かる能力がある人が、ワザと奇跡の使い手の試験を受けないでいる、というのが問題になっているのだ。
誰も彼もが奇跡の使い手になって、良からぬ組織に入ってまで治療行為を行いたい訳じゃない。最初は志高くいた人でも、攫われて脅されて泣く泣く従っている…という噂を聞くくらいだ。
世界治療術師協会が冒険者ギルドの管轄下に置かれるだけで試験に合格した後の術者の身の安全も保障されるはずだ。
「冒険者ギルドの管轄になって、奇跡の使い手や治療術師の身の安全が保障されるなら…もっと奇跡の使い手の数が増えると思います!」
「そーでしょ、そーでしょ?」
スィーダレン殿下はニコニコしながら頷いている。
「この話をシーダとギアラク達に提案された時、父上も興奮していたもの。確かに冒険者ギルドに治療術師の能力者が一極集中してしまうけれど、あくまで派遣と提携業務の委託だとギルドの業務の一部だと位置付ければこれほど双方ともに益を産む提携はないからね」
私は嬉しくなって何度も頷いた。そうだ、考えれば考えるほど良い事尽くしだ。
「まずはこのギルド本部から、ララーナとシーダが試験的に派遣業務をおこなってみて欲しいんだ。改善点とか実際に業務してみないと分からないし。まずはカリカントの治療術師協会とバラウィド共和国の治療術師協会が提携に名乗りを上げてくれた」
「バラウィド共和国?」
私が首を捻っているとシーダが私の肩を優しく撫でてくれた。
「12才の時のララーナを助けてあげられなかったからだと…バラウィド共和国大統領からも全面的支持を頂いている」
「!」
チャストレイ公国に攫われた後、逃げ込んだバラウィド共和国でバラウィド共和国の軍人さんから手荒なことは一切されていない。寧ろ、常に私の側に居て監視というより護衛をしてくれたお陰で、チャストレイ公国の人に連れ去られたりされずに、無事に過ごすことが出来た。
チャストレイ公国の監視が無くなったら、すぐにバラウィド共和国の軍人さんの多分偉い人だと思うけど、おじ様数人が私に会いに来て「今まで息が詰まっただろう…申し訳なかったね。」と仰ってくれた。
きっとあの軍人のおじ様達は分かっておられたんだ。敢えて私の保護だ、護衛だということをチャストレイ公国に告げると国同士の睨み合いになってしまう。
それでチャストレイ公国の訴える、犯罪者である私の監視目的…その理由を掲げつつ私を守ってくれていたんだ。
その事に気が付いて嬉しさのあまり泣きそうになりスィーダレン殿下の方を見ようとしたら、何故だかシーダに手で目隠しをされた。
「え?何…シーダ?」
「潤んだ目で俺以外を見るのは禁止だ」
いやあの、確かに何か禁止だぁ!とか前に言ってた気もするけど、今ここで言うことかな?
「何だよ、それ?私がララーナと見詰め合って何が悪いんだよ?」
スィーダレン殿下は口を尖らせている。
私は何とかシーダの手を押し戻して睨みながらシーダを見上げた。
「スイに見られたらララーナが減っちまう」
そうシーダが澄まして答えたら、スィーダレン殿下が仰け反っていた。
「はあぁ?何それ?シーダがそんなこという権利あるのかな~?ララーナは冒険者ギルドの…え~と何だっけ?リコイーダ」
「ララーナは!俺達の高貴な花です!」
「ああ、それ。ララーナは是非私の側妃になって欲しいくらいなのに…」
ひえっ!?今なんと言いましたかぁ?そくひ?それって第二妃とかいわゆる正式な愛人さ…
「断る」
私が何か言う前にシーダが一刀両断してきた。スィーダレン殿下もリコイーダ君もギアラクさんもポカンとしてシーダの怖ーい顔を見詰めている。シーダさんは非常にイライラしておられます。
すると、スィーダレン殿下が負けじと怖ーい顔してシーダを睨み返した。
「シーダがララーナの護衛騎士だっけ?ただの護衛騎士がそこまでララーナの…」
「俺は恋人だから言って構わないんだ。散れ去れ鬱陶しい。」
んがーーーっ!いやいやぁ…そりゃ恋人?彼氏だと言われてたさ!だけど、こんな人前であからさまに言うことないんじゃない?!もっと慎んでよっ!
するとリコイーダ君が立ち上がってプルプル震える指でシーダを指差した。
「俺の熟れたモリアの実がシーダ兄ぃに舐め回されたぁぁぁ!」
「とうとう粘膜の接触が行われたか…」
「ギアラク…卑猥な言い方はよせ」
モリアの実?粘膜?私はシーダの顔を見上げた。またシーダは少し眉を動かしただけで素知らぬふりをしている。
「ええっ?すでにシーダのものなのぉ!?それは残念だよ…でもシーダに飽きたら私の所においでトロトロに甘やかしてあげるから」
「余計なお世話だ。速やかに魔獣討伐にでも行ってこい」
そう言ったシーダに抱き込まれつつ…無理矢理にスィーダレン殿下に手を取られて引っ張られ、馬鹿力のSSS様と王子殿下が本気で私を引っ張るので、腕がもげそうだ。
「シーダに聞いてないよ。ララーナに聞いてるもんね?」
ちょ…おいっ!私は人間だっそんな別方向から引っ張りあったら…腕が千切れるわ!
「そんなに引っ張ったら千切れます!シーダは暫く接触禁止にします!殿下も明日、本部にお伺いしますから今日はお引き取り下さいっ!」
腕が反対方向に捩れそうになったので、シーダとスィーダレン殿下に怒鳴った。
シーダはブスッとして手を離してくれて、スィーダレン殿下は何度か私の手をスリスリと撫でた後
「怒られちゃった~!明日本部で待っているね」
と手を振りながら帰って行った。あのスィーダレン殿下って見た目シュッとしたクールなイケメン風なんだけど中身はチャラチャラしているね。
ああ、北ホグレイッツ王国の来たばかりだっていうのにドッと疲れたわ。今日は早く寝よう…
「はい……畏まりました」
何でこんなことになってるんだろう?
突然入って来た北ホグレイッツ王国のスィーダレン=シアデ=ホグレイッツ王子殿下はシーダと玄関先で剣を振り回して暴れて、私のMY箒を壊すし…何かいい匂いがする!と叫んでキッチンに勝手に押し入って行って、調理中のおかずを見て、これを食べるぞ !早く準備しろ!と騒ぎ…今、シーダ達とリビングでお酒を飲んでいる。
会社の同僚達と飲んでいた所に急に2代目お坊ちゃまの専務とか部長がやって来た…そんな所かな?
急遽、魔獣肉のカツレツとポテトサラダっぽいものも追加で作り、先に出来ていた肉団子と野菜の黒酢あえと、キャベツと白身魚とベーコンオイル焼きを出した。
私はキッチンでそれらを摘まみ食いしていたので、デザートのチーズケーキタルトを作ろうかと、リュックサックの中から少し古くなったバタークッキーを出してきた。
さっき軍手を出した時に、このクッキーの存在を思い出したんだよね。北ホグレイッツ王国は軍事国家ではあるけど、南の方に行けば酪農が盛んだとかで、チーズ、バター等の産地で、良質な乳製品が手に入るんだ。
これを利用しない手はないぜ…フフフ、ハッハハハ!
「ララーナ…棒で何か叩いてるとこ悪いけど、スイが話があるんだとよ」
私がクッキーを叩いてタルト生地を作っていると、シーダがキッチンを覗き込んでそう言ってきた。そうだ、さっきも思ってたんだけど…。
「ちょっとシーダ」
「何?」
「スィーダレン王子殿下に対して不敬じゃないですか?呼び捨てもして、おまけに抜刀したりして…」
シーダは顔をしかめた。
「スイは…まあいいんだよ。親友だし…」
ええ?王子殿下と親友なの?どんなSSS様イケメン様なのさ…ハッ!シーダとスィーダレン殿下の2人が並んでいると飛んでもないイケメンスチルが目の前に…ああっああっ…
「ララーナ…変な踊りはいいから、早く来いよ。スイが待ってるから…」
変な踊りって何だよ、目がぁ目がぁ…の有名な〇スカごっこじゃないか…
私はフライドポテトをモシャモシャ食べているスィーダレン殿下の横に立った。
「ララーナは変わった料理を作るね、めっちゃ美味しいけど!」
「ありがとうございます…」
早く本題を言え!まだMY箒を壊された恨みは忘れてないぞ。
「まあ、掛けなよ」
「はい」
私がソファに掛けるとシーダが横に座った。
「カリカント支部からシーダがララーナの護衛騎士の任命を受けたので、ララーナの診療をギルドで依頼として扱いたいとの打診を受けてな。丁度よい機会だし…世界治療術師協会の各支部とギルドで正式に提携して治療術師の派遣業務を請け負うことにした」
つまりどういうこと?スィーダレン殿下のキラキラした瞳を見詰める。
「つまりだ、ゆくゆくは世界治療術師協会と冒険者ギルドが合併統合して、治療術師をギルド会員として登録して…治療行為をギルドを通して依頼という形にしていく予定だ。今のような各国の寄付で成り立つような不安定な協会から脱却させるという訳だ。」
シーダの説明を受けて…そうだ、と思い出した。
確かに今の世界治療術師協会は協会支部のある各国の援助を受けて運営されている団体で…実際は支部の所在がある国の傘下に実質上入っている形だ。
つまり、その国が戦争を起こした場合、強制的にその国に準ずる支部は、その国の要請に応じて治療術師を派遣しなくてはならない。がっつりと国の利権に絡むことになる。
それ故に今まで世界治療術師協会とは名ばかりの組織で、よく間違えられる『世界魔術師協会』のような独立した強固な組織として存在出来ないでいた。
スィーダレン殿下は不敵な笑みを浮かべて私を見ていた。殿下の口がまだモゴモゴ動いているけど、すんばらしい美形ですね。
あ!私は今、逆ハーという状態でしょうか?ソファの周りにハーレムが出来ていますね!
「正直ね、ギルドの傘下に入っちゃうということは北ホグレイッツ王国が治療術師を独占するのか…と世界中から避難を浴びるかもしれないのだけど、このままじゃ優秀な治療術師も奇跡の使い手も…不当な扱いを受けて庇護と言う名の下に攫われて、能力を搾取されるだけだろう?」
スィーダレン殿下の微笑みに、もしかして…と隣のシーダを仰ぎ見た。シーダは私の方を見て少し眉を動かしたけど何食わぬ顔をしている。
でも魔質は雄弁に物語っている。
シーダとギアラクさん、リコイーダ君も…ギルド支部やスィーダレン殿下に私が12才で試験の後、チャストレイ公国に攫われた事を改めて、訴えて出てくれたのかもしれない。
そう…実は奇跡の使い手になると、そういう組織に狙われる…と皆が知っていて、最近じゃそれを恐れて十分に受かる能力がある人が、ワザと奇跡の使い手の試験を受けないでいる、というのが問題になっているのだ。
誰も彼もが奇跡の使い手になって、良からぬ組織に入ってまで治療行為を行いたい訳じゃない。最初は志高くいた人でも、攫われて脅されて泣く泣く従っている…という噂を聞くくらいだ。
世界治療術師協会が冒険者ギルドの管轄下に置かれるだけで試験に合格した後の術者の身の安全も保障されるはずだ。
「冒険者ギルドの管轄になって、奇跡の使い手や治療術師の身の安全が保障されるなら…もっと奇跡の使い手の数が増えると思います!」
「そーでしょ、そーでしょ?」
スィーダレン殿下はニコニコしながら頷いている。
「この話をシーダとギアラク達に提案された時、父上も興奮していたもの。確かに冒険者ギルドに治療術師の能力者が一極集中してしまうけれど、あくまで派遣と提携業務の委託だとギルドの業務の一部だと位置付ければこれほど双方ともに益を産む提携はないからね」
私は嬉しくなって何度も頷いた。そうだ、考えれば考えるほど良い事尽くしだ。
「まずはこのギルド本部から、ララーナとシーダが試験的に派遣業務をおこなってみて欲しいんだ。改善点とか実際に業務してみないと分からないし。まずはカリカントの治療術師協会とバラウィド共和国の治療術師協会が提携に名乗りを上げてくれた」
「バラウィド共和国?」
私が首を捻っているとシーダが私の肩を優しく撫でてくれた。
「12才の時のララーナを助けてあげられなかったからだと…バラウィド共和国大統領からも全面的支持を頂いている」
「!」
チャストレイ公国に攫われた後、逃げ込んだバラウィド共和国でバラウィド共和国の軍人さんから手荒なことは一切されていない。寧ろ、常に私の側に居て監視というより護衛をしてくれたお陰で、チャストレイ公国の人に連れ去られたりされずに、無事に過ごすことが出来た。
チャストレイ公国の監視が無くなったら、すぐにバラウィド共和国の軍人さんの多分偉い人だと思うけど、おじ様数人が私に会いに来て「今まで息が詰まっただろう…申し訳なかったね。」と仰ってくれた。
きっとあの軍人のおじ様達は分かっておられたんだ。敢えて私の保護だ、護衛だということをチャストレイ公国に告げると国同士の睨み合いになってしまう。
それでチャストレイ公国の訴える、犯罪者である私の監視目的…その理由を掲げつつ私を守ってくれていたんだ。
その事に気が付いて嬉しさのあまり泣きそうになりスィーダレン殿下の方を見ようとしたら、何故だかシーダに手で目隠しをされた。
「え?何…シーダ?」
「潤んだ目で俺以外を見るのは禁止だ」
いやあの、確かに何か禁止だぁ!とか前に言ってた気もするけど、今ここで言うことかな?
「何だよ、それ?私がララーナと見詰め合って何が悪いんだよ?」
スィーダレン殿下は口を尖らせている。
私は何とかシーダの手を押し戻して睨みながらシーダを見上げた。
「スイに見られたらララーナが減っちまう」
そうシーダが澄まして答えたら、スィーダレン殿下が仰け反っていた。
「はあぁ?何それ?シーダがそんなこという権利あるのかな~?ララーナは冒険者ギルドの…え~と何だっけ?リコイーダ」
「ララーナは!俺達の高貴な花です!」
「ああ、それ。ララーナは是非私の側妃になって欲しいくらいなのに…」
ひえっ!?今なんと言いましたかぁ?そくひ?それって第二妃とかいわゆる正式な愛人さ…
「断る」
私が何か言う前にシーダが一刀両断してきた。スィーダレン殿下もリコイーダ君もギアラクさんもポカンとしてシーダの怖ーい顔を見詰めている。シーダさんは非常にイライラしておられます。
すると、スィーダレン殿下が負けじと怖ーい顔してシーダを睨み返した。
「シーダがララーナの護衛騎士だっけ?ただの護衛騎士がそこまでララーナの…」
「俺は恋人だから言って構わないんだ。散れ去れ鬱陶しい。」
んがーーーっ!いやいやぁ…そりゃ恋人?彼氏だと言われてたさ!だけど、こんな人前であからさまに言うことないんじゃない?!もっと慎んでよっ!
するとリコイーダ君が立ち上がってプルプル震える指でシーダを指差した。
「俺の熟れたモリアの実がシーダ兄ぃに舐め回されたぁぁぁ!」
「とうとう粘膜の接触が行われたか…」
「ギアラク…卑猥な言い方はよせ」
モリアの実?粘膜?私はシーダの顔を見上げた。またシーダは少し眉を動かしただけで素知らぬふりをしている。
「ええっ?すでにシーダのものなのぉ!?それは残念だよ…でもシーダに飽きたら私の所においでトロトロに甘やかしてあげるから」
「余計なお世話だ。速やかに魔獣討伐にでも行ってこい」
そう言ったシーダに抱き込まれつつ…無理矢理にスィーダレン殿下に手を取られて引っ張られ、馬鹿力のSSS様と王子殿下が本気で私を引っ張るので、腕がもげそうだ。
「シーダに聞いてないよ。ララーナに聞いてるもんね?」
ちょ…おいっ!私は人間だっそんな別方向から引っ張りあったら…腕が千切れるわ!
「そんなに引っ張ったら千切れます!シーダは暫く接触禁止にします!殿下も明日、本部にお伺いしますから今日はお引き取り下さいっ!」
腕が反対方向に捩れそうになったので、シーダとスィーダレン殿下に怒鳴った。
シーダはブスッとして手を離してくれて、スィーダレン殿下は何度か私の手をスリスリと撫でた後
「怒られちゃった~!明日本部で待っているね」
と手を振りながら帰って行った。あのスィーダレン殿下って見た目シュッとしたクールなイケメン風なんだけど中身はチャラチャラしているね。
ああ、北ホグレイッツ王国の来たばかりだっていうのにドッと疲れたわ。今日は早く寝よう…
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