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旅路
矛と王様
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シーダの家の大きなバスタブで薔薇の香りの入浴剤を入れてお湯に浸かっている。
こちらの世界の人は魔法が使えるので、湯に浸かるというのはあまりしないらしい。シーダの家に内風呂があるのはただ単にシーダの好みらしい。
「気持ちいい…」
やっぱり日本人は湯舟に浸からなきゃね~。芯から体が温まらないもんね。
ゆっくりと風呂に入り、これまた香油などを体に塗りたくってから部屋に戻ろうとしたら、廊下にシーダがいた。嫌な予感がする。
「よ…よぅ」
「…今日はお疲れ様でした、明日もよろしくお願いします」
シーダから一定の距離を開けてジリジリと壁際を動きながら移動していると、一瞬で目の前にシーダが移動して来た。ずるいっ私は忍者みたいな動きは出来ないのに…。シーダに顔を覗き込まれる。
「ララーナの意見を聞かずに…勝手にギルドの提携の話を進めて悪かった」
「あ…」
真面目な話だった…。てっきりエロシーダが降臨しているのかと思っていた。またシーダに良からぬ妄想をしてしまっていたみたいだ。
私はシーダと共にリビングに移動してソファに座った。シーダには果実酒を、私はホットミルクにした。
「確かにいきなりのお話でびっくりしましたが、治療術師の方々がご自身の能力を生かそうにもその環境が整わないことのほうが、由々しき問題だと思うのです。私の信念は一人でも多く怪我やご病気で苦しんでいる方々が救われることですから…。その為の改革なら是非お願いしたいと思います」
シーダはとても優しい表情をして私を見詰めていた。
「ララーナは凄いよな。それも実際に叶えようと実践しているし、成果もあげている」
私は褒められて嬉しくなったが、それと同時に恥ずかしくもなった。
「全然すごくはありません。私はシーダが考えて実用化しようとしている、ギルドと協会の在り方なんて全然思いつかなかったし、ただ協会から与えられることを仕事としてこなしているだけでした。本当、まだまだ考え知らずの…子供です」
「そうだな…子供だな」
シーダに肯定されて…目の前が真っ暗になった。もしかして何も考えてない無知過ぎる私に嫌気がさしたとか?
声も出せなくて俯いていると、シーダが私の頭を撫でた。優しい魔力がシーダの手から流れて来る。怒っている訳じゃない?顔を上げるとシーダは困ったような顔をしていた。
「ホント、子供だよ~あのな、無防備にしてたらダメなんだよ。いいか、スイの前でも隙だらけだったし…」
ん?また説教モードに入って来たよ。
「隙って…スィーダレン殿下はそんな怖い人じゃなかったし…」
シーダがグイッと顔を寄せてきた。
「隙があるから側妃とか言われるんだぞ」
それは言いがかりだ!
「それにだな…お前、スイに見惚れてただろう?」
ギクゥ…それは当たりです…。シーダが更にグイッと顔を近付けてきて、私の鼻先に口付けを落とした。
「俺がいるのに、他の男に見惚れるのか?ん…?」
シーダに顎を掴まれて、更に頬やおでこ…そして唇にもキスをされる。あ、あ、甘い…っ。
「本当…子供のくせに、俺やスイを…ん、誘惑する悪い子だ…」
ちょっと待ってーーちょっと待ってーー!?今この家にリコイーダ君とギアラクさんがいるからっ!いくらなんでもマズイって!?
「ギアラクさ…と…んん、リコイーダ君がっ…ちょっ…いるから…」
シーダの背中をバンバン叩いていたら、シーダにお姫様抱っこをされてしまった!これは益々ヤバイんじゃないか!?
「駄目だって…!」
「騒ぐと余計にバレるぞ」
私は自分の口を手で塞いだ。
今思えば…何故ここで騒がなかったのだろうか…と後悔している。
結局シーダの部屋に連れ込まれて、消音魔法をご丁寧に部屋に張られて…朝までガッツリだった。
そう…朝までだ。手加減一切無しだった。鬼畜だと思った。
私だってこれでも夢を見ていたし、いずれはシーダとそうなればいいな♡とか可愛い妄想をしていたが、実際はそんな可愛いものではなかった。
取り敢えず、夜明けを迎えた時に死ななくて良かったと本気で思ったぐらいだったからだ。
「治療魔法と回復魔法かけてる方が良くないか?」
「………」
明け方のベッドの上で、痛めつけた側のシーダにニヤニヤ笑いながら言われて、ジロリとシーダの顔を睨んだ。言われなくても治療をするよっ。このエロ鬼畜めっ。
「明日起き上がれなかったら…どうしてくれるのですか…ゴホッ、ゲホッ…」
声が掠れてむせ込んでいたら、シーダがベッドサイドに置いていた水差しから果実水のコップに入れて差し出してくれた。
シーダに支えられながら起き上がって果実水を飲んだ。シーダは私の体を支えながら、体を密着させてくる。
「もう無理ですよ…」
「えぇ…」
「私を殺す気ですか?」
「すまん…」
取り敢えずシーダからの攻撃は回避出来たようだ。
翌朝
自分の治療魔法のお陰で、若干変な筋肉痛はあるが痛みとかその他諸々は問題無く動けるようでホッとした。
市場で買って来たパン類をフライパン焼いて温め直して、ベーコンスクランブルエッグを作り、野菜サラダを作った。デザートはスーリーの実を剥いて、お出しした。
スープも作っておくか…とトマトっぽい実と野菜を煮ているとギアラクさんとリコイーダ君が起きてきた。
「おはよ…。めっちゃ良い匂い」
「ララーナおはよう」
「リコイーダ君、ギアラクさんおはようございます。朝食はもう少し待って下さいね」
リコイーダ君はダイニングを見回してから
「シーダ兄ぃは?」
と聞いてきた。
「シーダは鍛錬とか言って外へ出ましたけど?」
「兄ぃは真面目だな…」
「だからSSSまで上り詰めることが出来たんだろ、リコイーダも見習えよ?」
とギアラクさんがリコイーダ君の頭をパチンとはたいている。
そしてスープが出来上がる頃、シーダが帰ってきたので皆で朝食を食べた。
さて
いよいよギルド本部に突撃です。そう言えば昨日聞きそびれていたけど、昨日来ていたスィーダレン殿下はギルドの本部長じゃないよね?確か、本部長は国王陛下だと聞いたし……。
ギルドの本部に行って、本部長の前で私は慄いている。怖い…だってスィーダレン殿下はシュッとした男前なのに、本部長つまりは北ホグレイッツ王国の国王陛下は岩みたいな怖そうなおじさんなんだもん。
いやよく見ると、瞳の色は金色だし、筋肉に覆われた顔?も実はスィーダレン殿下に似てて整っているのかもしれないけど、大きさがスィーダレン殿下の倍あるんだもん!
「ララーナ=レイジアンテで御座います。宜しくお願いします」
「……」
怖い…挨拶したのに凝視されたまま、固まっている国王陛下。ギルド内の応接室のソファに対面に座らせて頂いているのだけど、これって取り調べ?
「ふぃ………」
結構大きめの鼻息?を漏らして一呼吸置いた、ギルド本部長は何故だか私には話しかけずに横に立っている眼鏡をかけた厳しそうなおじ様に耳打ちをしている。
何?何なの?
そしてギルド本部長が言葉を発した…
「ガイブエラン=ホグレイッツだ。宜しく頼む…突然だがうちの倅の誰かの嫁に来る気はないか?」
「…っ!」
「父上っいい加減にしろっ!」
わわっ…!スィーダレン殿下に似たような魔質で顔も殿下にそっくりだが、性格は真面目そうなお兄様が国王陛下を怒鳴った。
因みに
北ホグレイッツ王国には後2人王子殿下がいるそうだ。男ばかりの4人兄弟だそうだ。妃殿下お1人で御産みになったようで、お疲れ様です。でもなんかむさくるしいね…皆様、美形のようだけど。
「ララーナには昨日断られているよ~シーダの嫁なんだって」
「何だって!?」
本部長(国王)と真面目そうなお兄様(恐らく第三王子)から同時に叫び声が上がった。私もスィーダレン殿下の嫁発言にびっくりして飛び上がってしまった。
「よ…よ、嫁じゃないです!」
「嫁なんです」
私とシーダの声が被った…が、お互いに違う言葉を発したようだ。
「ど、どっちなんだ?」
本部長が私とシーダの顔を交互に見た。
「違います」
「そうなんです」
またも同じタイミングでシーダと違う言葉を発したようだ。私はシーダを睨んだ。
「シーダは黙ってて下さいっ!」
シーダは珍しくムスッとして拗ねているようだ。
「何だよ!もう嫁と変わんねーだろ」
「…っ」
私はどう答えていいのか、分からずにオロオロするばかりだ。すると…ギアラクさんが、ハイハイハイ…と言いながら手を叩いた。
「嫁問題は後で話し合いをすればいいだろう?今は治療術師協会とギルドの提携の話だ」
私はハッとして居住まいを正した。シーダもまだ魔質は怒っているのか、うねりまくっていたが、何とか表面上は落ち着いて見せていた。
取り敢えず
今、世界治療術師協会に登録している治療術師に、冒険者ギルドのギルド会員登録を勧めて…冒険者ギルドから治療術師に依頼という形をとることになった。
私が行っている無医村や僻地への巡回診療は治療術師のローテーション制で回すことになり、緊急性を伴う診療の時のみ私が出向くことになった。
それはそれで無医村や僻地の診療が今まで通りに行われるのは良いのだけど、私はどうなるの?
「では早速、ララーナ嬢は魔素が濃くて近付きにくく今まで断念していた、旧パラボアニデ帝国の遺跡調査に行って貰いましょうか?」
おおぃ!眼鏡のおっちゃん?!それ私知ってるよ!5年くらい前に見つかった数千年前に滅んだ国の遺跡だって!しかも古代語魔術で防御されてて、すんごいお宝や歴史的な遺産が眠っているって、皆大騒ぎしてたもん!
そんな〇ァラオの呪い満載な怪しげ遺跡なんて誰が行くもんかっ…
「おお…あの遺跡かぁ、ララーナなら魔素の浄化も一発じゃねえか?」
シーダっ!あんたぁぁ…!
「そうだよな、なんて言っても呪いの剣をすぐに浄化しちゃったもんな」
リッ!?リコイーダーーーァ!
「怪我人が出るかもしれないが、ララーナが付いていれば安全だしな」
ギアラクさぁんんん、あんたまで裏切るのかぁ!?
「え?呪いの剣って何?」
スィーダレン殿下は興味を示すな!
私はダダンッ…とソファから立ち上がった。
「そ…そんな所、絶対いか…」
「ん~?」
シーダは笑顔のまま物凄い魔力をビシビシ私に当ててきた。これはワザとだね。
「そんな…脅しには屈しませんよ!シーダが何と言って…」
「スミーの生乳一年分」
うぐぅぅぅ…それはっ酪農の盛んな例の地方の有名なミルク…!
「ララーナが欲しかったら買ってあげてもいいけどぉ~?」
シーダが私に金品をチラつかせてきた。
ぐぬぅ…スミーのミルクはとても美味しいのだが、大変にお高い。常備するには贅沢過ぎるお値段だ。
「スミーの生乳にスミーポンズ1レンを1年分」
スミーポンズとは、チーズのことだ。しかも1レンは大体1キロ相当…。うおおっチーズもめちゃめちゃ高いんだよ。
「分かりました…その賄賂受け取りましょう」
負けた…ミルクとチーズの誘惑に勝てなかった…これで料理のレパートリーが増えるが…くうぅっ…
こちらの世界の人は魔法が使えるので、湯に浸かるというのはあまりしないらしい。シーダの家に内風呂があるのはただ単にシーダの好みらしい。
「気持ちいい…」
やっぱり日本人は湯舟に浸からなきゃね~。芯から体が温まらないもんね。
ゆっくりと風呂に入り、これまた香油などを体に塗りたくってから部屋に戻ろうとしたら、廊下にシーダがいた。嫌な予感がする。
「よ…よぅ」
「…今日はお疲れ様でした、明日もよろしくお願いします」
シーダから一定の距離を開けてジリジリと壁際を動きながら移動していると、一瞬で目の前にシーダが移動して来た。ずるいっ私は忍者みたいな動きは出来ないのに…。シーダに顔を覗き込まれる。
「ララーナの意見を聞かずに…勝手にギルドの提携の話を進めて悪かった」
「あ…」
真面目な話だった…。てっきりエロシーダが降臨しているのかと思っていた。またシーダに良からぬ妄想をしてしまっていたみたいだ。
私はシーダと共にリビングに移動してソファに座った。シーダには果実酒を、私はホットミルクにした。
「確かにいきなりのお話でびっくりしましたが、治療術師の方々がご自身の能力を生かそうにもその環境が整わないことのほうが、由々しき問題だと思うのです。私の信念は一人でも多く怪我やご病気で苦しんでいる方々が救われることですから…。その為の改革なら是非お願いしたいと思います」
シーダはとても優しい表情をして私を見詰めていた。
「ララーナは凄いよな。それも実際に叶えようと実践しているし、成果もあげている」
私は褒められて嬉しくなったが、それと同時に恥ずかしくもなった。
「全然すごくはありません。私はシーダが考えて実用化しようとしている、ギルドと協会の在り方なんて全然思いつかなかったし、ただ協会から与えられることを仕事としてこなしているだけでした。本当、まだまだ考え知らずの…子供です」
「そうだな…子供だな」
シーダに肯定されて…目の前が真っ暗になった。もしかして何も考えてない無知過ぎる私に嫌気がさしたとか?
声も出せなくて俯いていると、シーダが私の頭を撫でた。優しい魔力がシーダの手から流れて来る。怒っている訳じゃない?顔を上げるとシーダは困ったような顔をしていた。
「ホント、子供だよ~あのな、無防備にしてたらダメなんだよ。いいか、スイの前でも隙だらけだったし…」
ん?また説教モードに入って来たよ。
「隙って…スィーダレン殿下はそんな怖い人じゃなかったし…」
シーダがグイッと顔を寄せてきた。
「隙があるから側妃とか言われるんだぞ」
それは言いがかりだ!
「それにだな…お前、スイに見惚れてただろう?」
ギクゥ…それは当たりです…。シーダが更にグイッと顔を近付けてきて、私の鼻先に口付けを落とした。
「俺がいるのに、他の男に見惚れるのか?ん…?」
シーダに顎を掴まれて、更に頬やおでこ…そして唇にもキスをされる。あ、あ、甘い…っ。
「本当…子供のくせに、俺やスイを…ん、誘惑する悪い子だ…」
ちょっと待ってーーちょっと待ってーー!?今この家にリコイーダ君とギアラクさんがいるからっ!いくらなんでもマズイって!?
「ギアラクさ…と…んん、リコイーダ君がっ…ちょっ…いるから…」
シーダの背中をバンバン叩いていたら、シーダにお姫様抱っこをされてしまった!これは益々ヤバイんじゃないか!?
「駄目だって…!」
「騒ぐと余計にバレるぞ」
私は自分の口を手で塞いだ。
今思えば…何故ここで騒がなかったのだろうか…と後悔している。
結局シーダの部屋に連れ込まれて、消音魔法をご丁寧に部屋に張られて…朝までガッツリだった。
そう…朝までだ。手加減一切無しだった。鬼畜だと思った。
私だってこれでも夢を見ていたし、いずれはシーダとそうなればいいな♡とか可愛い妄想をしていたが、実際はそんな可愛いものではなかった。
取り敢えず、夜明けを迎えた時に死ななくて良かったと本気で思ったぐらいだったからだ。
「治療魔法と回復魔法かけてる方が良くないか?」
「………」
明け方のベッドの上で、痛めつけた側のシーダにニヤニヤ笑いながら言われて、ジロリとシーダの顔を睨んだ。言われなくても治療をするよっ。このエロ鬼畜めっ。
「明日起き上がれなかったら…どうしてくれるのですか…ゴホッ、ゲホッ…」
声が掠れてむせ込んでいたら、シーダがベッドサイドに置いていた水差しから果実水のコップに入れて差し出してくれた。
シーダに支えられながら起き上がって果実水を飲んだ。シーダは私の体を支えながら、体を密着させてくる。
「もう無理ですよ…」
「えぇ…」
「私を殺す気ですか?」
「すまん…」
取り敢えずシーダからの攻撃は回避出来たようだ。
翌朝
自分の治療魔法のお陰で、若干変な筋肉痛はあるが痛みとかその他諸々は問題無く動けるようでホッとした。
市場で買って来たパン類をフライパン焼いて温め直して、ベーコンスクランブルエッグを作り、野菜サラダを作った。デザートはスーリーの実を剥いて、お出しした。
スープも作っておくか…とトマトっぽい実と野菜を煮ているとギアラクさんとリコイーダ君が起きてきた。
「おはよ…。めっちゃ良い匂い」
「ララーナおはよう」
「リコイーダ君、ギアラクさんおはようございます。朝食はもう少し待って下さいね」
リコイーダ君はダイニングを見回してから
「シーダ兄ぃは?」
と聞いてきた。
「シーダは鍛錬とか言って外へ出ましたけど?」
「兄ぃは真面目だな…」
「だからSSSまで上り詰めることが出来たんだろ、リコイーダも見習えよ?」
とギアラクさんがリコイーダ君の頭をパチンとはたいている。
そしてスープが出来上がる頃、シーダが帰ってきたので皆で朝食を食べた。
さて
いよいよギルド本部に突撃です。そう言えば昨日聞きそびれていたけど、昨日来ていたスィーダレン殿下はギルドの本部長じゃないよね?確か、本部長は国王陛下だと聞いたし……。
ギルドの本部に行って、本部長の前で私は慄いている。怖い…だってスィーダレン殿下はシュッとした男前なのに、本部長つまりは北ホグレイッツ王国の国王陛下は岩みたいな怖そうなおじさんなんだもん。
いやよく見ると、瞳の色は金色だし、筋肉に覆われた顔?も実はスィーダレン殿下に似てて整っているのかもしれないけど、大きさがスィーダレン殿下の倍あるんだもん!
「ララーナ=レイジアンテで御座います。宜しくお願いします」
「……」
怖い…挨拶したのに凝視されたまま、固まっている国王陛下。ギルド内の応接室のソファに対面に座らせて頂いているのだけど、これって取り調べ?
「ふぃ………」
結構大きめの鼻息?を漏らして一呼吸置いた、ギルド本部長は何故だか私には話しかけずに横に立っている眼鏡をかけた厳しそうなおじ様に耳打ちをしている。
何?何なの?
そしてギルド本部長が言葉を発した…
「ガイブエラン=ホグレイッツだ。宜しく頼む…突然だがうちの倅の誰かの嫁に来る気はないか?」
「…っ!」
「父上っいい加減にしろっ!」
わわっ…!スィーダレン殿下に似たような魔質で顔も殿下にそっくりだが、性格は真面目そうなお兄様が国王陛下を怒鳴った。
因みに
北ホグレイッツ王国には後2人王子殿下がいるそうだ。男ばかりの4人兄弟だそうだ。妃殿下お1人で御産みになったようで、お疲れ様です。でもなんかむさくるしいね…皆様、美形のようだけど。
「ララーナには昨日断られているよ~シーダの嫁なんだって」
「何だって!?」
本部長(国王)と真面目そうなお兄様(恐らく第三王子)から同時に叫び声が上がった。私もスィーダレン殿下の嫁発言にびっくりして飛び上がってしまった。
「よ…よ、嫁じゃないです!」
「嫁なんです」
私とシーダの声が被った…が、お互いに違う言葉を発したようだ。
「ど、どっちなんだ?」
本部長が私とシーダの顔を交互に見た。
「違います」
「そうなんです」
またも同じタイミングでシーダと違う言葉を発したようだ。私はシーダを睨んだ。
「シーダは黙ってて下さいっ!」
シーダは珍しくムスッとして拗ねているようだ。
「何だよ!もう嫁と変わんねーだろ」
「…っ」
私はどう答えていいのか、分からずにオロオロするばかりだ。すると…ギアラクさんが、ハイハイハイ…と言いながら手を叩いた。
「嫁問題は後で話し合いをすればいいだろう?今は治療術師協会とギルドの提携の話だ」
私はハッとして居住まいを正した。シーダもまだ魔質は怒っているのか、うねりまくっていたが、何とか表面上は落ち着いて見せていた。
取り敢えず
今、世界治療術師協会に登録している治療術師に、冒険者ギルドのギルド会員登録を勧めて…冒険者ギルドから治療術師に依頼という形をとることになった。
私が行っている無医村や僻地への巡回診療は治療術師のローテーション制で回すことになり、緊急性を伴う診療の時のみ私が出向くことになった。
それはそれで無医村や僻地の診療が今まで通りに行われるのは良いのだけど、私はどうなるの?
「では早速、ララーナ嬢は魔素が濃くて近付きにくく今まで断念していた、旧パラボアニデ帝国の遺跡調査に行って貰いましょうか?」
おおぃ!眼鏡のおっちゃん?!それ私知ってるよ!5年くらい前に見つかった数千年前に滅んだ国の遺跡だって!しかも古代語魔術で防御されてて、すんごいお宝や歴史的な遺産が眠っているって、皆大騒ぎしてたもん!
そんな〇ァラオの呪い満載な怪しげ遺跡なんて誰が行くもんかっ…
「おお…あの遺跡かぁ、ララーナなら魔素の浄化も一発じゃねえか?」
シーダっ!あんたぁぁ…!
「そうだよな、なんて言っても呪いの剣をすぐに浄化しちゃったもんな」
リッ!?リコイーダーーーァ!
「怪我人が出るかもしれないが、ララーナが付いていれば安全だしな」
ギアラクさぁんんん、あんたまで裏切るのかぁ!?
「え?呪いの剣って何?」
スィーダレン殿下は興味を示すな!
私はダダンッ…とソファから立ち上がった。
「そ…そんな所、絶対いか…」
「ん~?」
シーダは笑顔のまま物凄い魔力をビシビシ私に当ててきた。これはワザとだね。
「そんな…脅しには屈しませんよ!シーダが何と言って…」
「スミーの生乳一年分」
うぐぅぅぅ…それはっ酪農の盛んな例の地方の有名なミルク…!
「ララーナが欲しかったら買ってあげてもいいけどぉ~?」
シーダが私に金品をチラつかせてきた。
ぐぬぅ…スミーのミルクはとても美味しいのだが、大変にお高い。常備するには贅沢過ぎるお値段だ。
「スミーの生乳にスミーポンズ1レンを1年分」
スミーポンズとは、チーズのことだ。しかも1レンは大体1キロ相当…。うおおっチーズもめちゃめちゃ高いんだよ。
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