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冒険
矛と遺跡1
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怖い…何がって前世のイメージが先行してしまうからだ。私は、なんたらかんたら遺跡の前の森の入口で怖じ気付いていた。遺跡、ピラミッド、古墳……全てはお墓だよね。棺の中にミイラいるんだよね?
「ああ、いるよ」
と言われたらもう絶対無理!なので、確認はしない。沈黙が怖いので、リコイーダ君にわざと大きめの声で話しかけていたらスィダーレン殿下に森の入口で制された。
「声に反応して発動する魔法もあるから、森では声は遮断してね」
声で魔法!?
それにしても、遺跡に入る前の森のようなジャングル?の中ですら、何だかジメーーッとしてて気味が悪い。今までは遺跡の入口のこの森にすら、呪いが充満していて近寄れなかったらしい。
「ほら、頼んだよ!」
「ララーナちゃん!行けっ」
「……」
いやあ、あのさ?呪いが怖いからまずは私に呪いを解いてもらって…って気持ちは分かるんだけど、ゴツいおじさん達(ホグレイッツの魔術師団の偉い人達)がどう見てもひ弱っぽい私をグイグイ押すなんて、何か間違っている気がするよ。
殆んど、突き飛ばされるぐらいの勢いで森の前に叩き出された私。
仕方ないので、森の方に目をやった。
もし呪われたら、呪い移し?とか出来ないかな?一番丈夫そうなホグレイッツの第一王子、ナオミューデン殿下に移しちゃおうかな………流石に王子様はマズイか、いや他の人でもマズイけど。
さて
森に張り巡らされた魔力の流れを視る。
蜘蛛の巣みたいな細かさだね。う~ん、古代遺跡の呪いの解呪に現代魔術の解呪が効くのかな。
「………」
取り敢えず浄化魔法を唱えてみる。
魔法を詠唱する時に節とか音階とかは存在しないらしい。普通の術者は平坦なリズムで淡々と唱えるそうだ。だけど、私はリズムを入れてしまう。実はね、この世界にお経や念仏という概念はないと思う。音階をつけて詠っている人を見たことがないからだ。楽器や音楽はあるのにね。
どうやらそれには魔力があることが関係しているみたい。つまり声に乗せて詠うと魔力を乗せてしまい、声そのものが魔術になって音に乗って広がってしまうという訳だ。それは耳が聞こえる人には誰でも届いてしまう凶器にもそして癒しにもなる『声の魔術』になり…それは術者にも跳ね返ってくる。耳を塞いでいたら大丈夫だと思う?実は音は体にも響く。そう…骨伝導だ。
つまり攻撃魔法を自分の声で詠い唱えれば、それが自分にかかってしまう…という訳だ。
ただね、癒し魔法に関して暗黙の了解で詠ってもいいことになっているらしい。でも、伴奏も楽器演奏も無い所でアカペラを朗々と詠える強者は中々いないというわけだ。
私は詠っちゃうけどねぇ~だってカラオケ好きだもん!
「Hey!……」
つい余計な言葉を入れてしまった…おおっ蜘蛛の巣のような複雑な呪いが解けている~
「解呪されてますよっ!?嘘でしょう!」
「何て速さの解呪だ…」
ぎょえっ!?後ろのおじさん達の中から興奮したような数人の声がした。この呪いが視える人がいるの?まあ…いいけどさ。
しかし、呪いは解けても、暗くてジメーーッとした森には違いはない。
「解けましたよ~ささっ!お先にどうぞ~」
私は興奮して森の入口に近づいて来た冒険者のお兄様達に先を譲った。しかしお兄様達はまだ呪いを警戒しているのか、森に入らない。
先に入って先導してよ!怖くて入れないんだもん!
「いやいや、呪いもまだありそうだし…ララーナちゃんが先頭で!」
「それがいいと思うよ!」
なんでそうなる!?美しき譲り合いをしているとSSS様のスィダーレン殿下が優雅に森に入って行ってしまった。おまけにSSS様シーダ様も私の横に来て、腰を引き寄せてきた。
こんな森の入口で腰をくっつける意味はあるのでしょうか?
「ララーナは俺と一緒に行こうな」
と、何故か無駄に甘い雰囲気を出してきた。どうしたの?冒険者のお兄様やホグレイッツ王国…魔術師協会の偉い人(だと思う)おじ様達が一斉にざわついた。
「ちょっと待てよ…遺跡の探索中ずっとあのイチャイチャを見ながら歩かなきゃいけないのか?」
フイに誰かがそう言った瞬間、周りの男達が一斉に騒ぎ出した。
「嘘だろぅ!?それでなくてもモレアの華が人妻だっていうのが衝撃だったのにぃぃ…」
「国王陛下っ!私も妻を連れて来ても宜しいでしょうか?」
「ああっ!?それいいですね師団長!俺も婚約者連れて来てもいいですかぁ!?」
「俺は恋人を…」
「独りなんだよ~畜生っ!」
「危険を伴う探索だっ馬鹿もんが!」
北ホグレイッツ王国の国王陛下の一喝に、お兄さんとおじさん達の悲鳴と絶叫が森の入口で響いていた。
取り敢えず
森に入る順番でいくら何でも王子様達を先頭に立たせるのは如何なものか…とおじさん達が苦言を呈してきたので、泣く泣く私が先頭になった。
ええ、ええ…死んでも困らない孤児ですしね。
でもこれにもまたお兄さん達から反対が上がった。
「モレアの華を危険に晒すなんて何事だ!」
いやぁ…もうどうしたらいいのかな…。でも仕方ないので、リコイーダ君とギアラクさん、そして私ともう2人のSSのお兄さんの一団が結成された。名付けて『ギルド組』その組が先頭を行くことになった。
シーダはララーナと手を繋ぎたいと騒いだが、一部独身貴族と思われるお兄さん達にイチャイチャするな!空気読め!と妬まれた為に私とは別グループの名付けて『プリンス組』の一員になってしまった。
さて森に入って行きますよぉぉぉ…移動しながら浄化魔法をブツブツと呟いています。私の異世界転生のチート能力のお陰で浄化魔法を唱えるだけでも森の魔素の気配が薄まるのは分かっているし、兎に角何かしておかなければ怖いからなのだけど…
「ぎゃあ!」
「ぐあっ!」
「んぎゃああ!」
「ひゃあああ!」
さっきから私とリコイーダ君が交互に悲鳴を上げていて、その度にギアラクさんに怒られている。
「少しは静かにしてくれないと~得体の知れない魔獣が声に釣られて近付いて来たらどうするんだ?」
「ひぇぇ!ギアラクさん止めて下さいよ?そんな魔獣とかいるの!?やだぁ…ぎゃあああ!顔に何かあたぅああああ!」
「ぎゃ…!だだだだ、大丈夫だぁ…はっ羽虫だよぉララーナ!?」
おでこに何かがガッサァと当たって叫びながら慌てふためくと、同じく叫びながらリコイーダ君が羽虫を払いのけてくれた。
寿命が縮む!今ので一年は縮んだよっ!
「ララーナ…今更言うのも何だけど、障壁張ってたら?」
「……」
ギアラクさんの呆れたような声で思い出した。恐怖ですっかり忘れていた。気分はお化け屋敷だった。何となくリコイーダ君と一緒に『きゃあああ!』と、叫ぶことにストレス発散をしていたのかもしれない…
「ああ、見えてきましたよ」
SSの大柄な方のお兄さんの声に森の向こうの方をよーく見ると、どーーーんとまさにどーーーんと大きな石像…パッと見は綺麗な女性の石像が聳え立っていた。
森の木々より大きい!
「でかいっ!」
「マラカサス神だ!」
小柄な方のSSのお兄さんが、手帳?辞書かな?をせわしく捲って叫んでいる。
なるほど、神様を模した像なんだね。しかし大きいね20m…いや30mはあるかな?
何だか目とかビカーッと光りそうだね。と、思っていたら女神と目が合った。ん?目が合った?
女神の目が動いて…黒い涙みたいなの流してないかな?ん……涙が糸を引き、涙が黒い塊になるとこっちに近付いて来てない!?
「何か飛んでくるぞ!障壁!」
ギアラクさんの声にそうだ障壁をっ…と、慌ててここにいる皆さんが入れるくらいの障壁を張った。
飛んで来た何かはそれほどの速さは無かった。ゆったりと飛んで?きたが見た目が私を戦慄させた。
「めっ…目玉?目玉ぁぁ!?」
そう、飛んで来たのは黒くて大きな目玉だった!しかしよく見ると目玉ではなく毛の模様?みたいだ。
「なんだよっあのキモイ擬態は!」
と叫んではみたものの、ゆったりとした動きだがその目玉もどきは私の障壁の上に次々に無事?辿り着いてしまい、障壁の外側でモゾモゾと動いている。動き回る目玉もどき…正直キモイ。
「ああっあれはテブラボランデ!?生きて動いているなんて…!」
私達ギルド組より遅れてやって来た『プリンス組』と『魔術師組』の魔術師のおじさん達が興奮して魔道具の映写石を手に持ってデボ?なんとか…を撮影している。
そう…撮影…あの映写石っていわゆるカメラ…デジカメみたいな魔道具みたいなんだよね。そこそこのお値段はするみたいだけどつまりは、皆がキャッキャ言いながら『変な生き物を撮影』しているわけだ。
気が抜けるわ…デボなんとか…はレア生物なのかな?騒ぐおっさん達を見てたら緊張していた私が馬鹿みたいに思えてくる。
「大丈夫だったか?ララーナ。さっきからリコイーダとお前の絶叫がずっと聞こえてたけど…」
若干半笑いのシーダにそう聞かれて、私とリコイーダ君は気まずげに目を彷徨わせた。
「モレアの華ぁぁぁ!女神像の付近から呪詛が張られているそうだぞ!」
野太い声で呼ばれて、振り向くと第一王子のナオミューデン殿下が私を手招きしている。
「ここからが本格的な侵入者を排除する呪詛かもな…」
とか言って、スィーダレン殿下が鋭い目で女神像を睨んでいるけど…え?本格的?森の入口の呪詛も結構複雑だったけど…
「もしかして時間かかったら、この森で野宿…かな?」
恐々とシーダに聞いたら
「古代遺跡の呪詛って入口の解術に一年かかるとかザラだしな。さっきのララーナの高速解呪でおっさん達は浮かれてるけど、数日はかかるんじゃないの?」
と、サラリと言われてしまった。
ひえええっ!?こんなジメーーーッとした森の中で数日も野宿…やぶ蚊とかいない?蛇とかいない?
シーダに手を引かれて渋々、女神像の付近まで移動する。魔術師のおじさん達は女神像の足元の台座?に何か珍しい文字が刻まれてるとかで、そこの写メ撮りに必死だ。
何か緊張感に欠けるなぁ…ああ、おまけに肩組んで女神像の前で記念撮影始めちゃったよ…
「あのぉ…おじさん達そこは危ないかもしれないから…下がって下さーーい」
もう声かけるのも面倒なんだけど、引率の先生はいないのか!?
一番に引率して欲しい北ホグレイッツの国王陛下もナオミューデン殿下も調子に乗って記念撮影しちゃってるし…おじさん達も冒険者のお兄さん達も初めて見る建造物やレア生物に興奮してしまって私の言う事を聞いてくれない。
その時、レア生物のデボなんとか…が一匹ヘロヘロ…と飛んで来てリコイーダ君の頭の上に止まってしまった!
頭にレア生物を乗せたまま、恐怖で固まっているリコイーダ君。私も恐怖で固まってしまった。ちょっと待って…?このデボなんとかって毒とか持ってないのかな?血を吸ったりしないのかなぁぁ!?
「ララララ…ラーナ…頭の上のアレ…どうなってる?どこにいる!?」
リコイーダ君がアワアワしながら何とか首を動かそうとした時、なんとシーダがペシン…とそのデボなんとかを平手で叩き落した。
古代遺跡のレア生物を平手で叩き落してしまったのだ。
シーダに叩き落とされてデボなんとか…は地面にベチャ…と叩きつけられて、なんと真っ青な色の体液を撒き散らせて潰れた。
「ぎゃああ!」
「やだあああ!」
体液に触れたくなくて1メートルは飛び上がったね。リコイーダ君なんて体浮かす魔術使ってるし…
「ちょっとシーダさん!テブラボランデは3000年前に絶滅したと言われている生物ですよ!?傷つけるのは止めて下さいよ!」
SSの小柄なお兄さんがシーダに怒っていたけど、デボ…テブラボランデさん?は傷どころか、絶滅どころか、絶命されていると思います。
前途多難だなぁ…
「ああ、いるよ」
と言われたらもう絶対無理!なので、確認はしない。沈黙が怖いので、リコイーダ君にわざと大きめの声で話しかけていたらスィダーレン殿下に森の入口で制された。
「声に反応して発動する魔法もあるから、森では声は遮断してね」
声で魔法!?
それにしても、遺跡に入る前の森のようなジャングル?の中ですら、何だかジメーーッとしてて気味が悪い。今までは遺跡の入口のこの森にすら、呪いが充満していて近寄れなかったらしい。
「ほら、頼んだよ!」
「ララーナちゃん!行けっ」
「……」
いやあ、あのさ?呪いが怖いからまずは私に呪いを解いてもらって…って気持ちは分かるんだけど、ゴツいおじさん達(ホグレイッツの魔術師団の偉い人達)がどう見てもひ弱っぽい私をグイグイ押すなんて、何か間違っている気がするよ。
殆んど、突き飛ばされるぐらいの勢いで森の前に叩き出された私。
仕方ないので、森の方に目をやった。
もし呪われたら、呪い移し?とか出来ないかな?一番丈夫そうなホグレイッツの第一王子、ナオミューデン殿下に移しちゃおうかな………流石に王子様はマズイか、いや他の人でもマズイけど。
さて
森に張り巡らされた魔力の流れを視る。
蜘蛛の巣みたいな細かさだね。う~ん、古代遺跡の呪いの解呪に現代魔術の解呪が効くのかな。
「………」
取り敢えず浄化魔法を唱えてみる。
魔法を詠唱する時に節とか音階とかは存在しないらしい。普通の術者は平坦なリズムで淡々と唱えるそうだ。だけど、私はリズムを入れてしまう。実はね、この世界にお経や念仏という概念はないと思う。音階をつけて詠っている人を見たことがないからだ。楽器や音楽はあるのにね。
どうやらそれには魔力があることが関係しているみたい。つまり声に乗せて詠うと魔力を乗せてしまい、声そのものが魔術になって音に乗って広がってしまうという訳だ。それは耳が聞こえる人には誰でも届いてしまう凶器にもそして癒しにもなる『声の魔術』になり…それは術者にも跳ね返ってくる。耳を塞いでいたら大丈夫だと思う?実は音は体にも響く。そう…骨伝導だ。
つまり攻撃魔法を自分の声で詠い唱えれば、それが自分にかかってしまう…という訳だ。
ただね、癒し魔法に関して暗黙の了解で詠ってもいいことになっているらしい。でも、伴奏も楽器演奏も無い所でアカペラを朗々と詠える強者は中々いないというわけだ。
私は詠っちゃうけどねぇ~だってカラオケ好きだもん!
「Hey!……」
つい余計な言葉を入れてしまった…おおっ蜘蛛の巣のような複雑な呪いが解けている~
「解呪されてますよっ!?嘘でしょう!」
「何て速さの解呪だ…」
ぎょえっ!?後ろのおじさん達の中から興奮したような数人の声がした。この呪いが視える人がいるの?まあ…いいけどさ。
しかし、呪いは解けても、暗くてジメーーッとした森には違いはない。
「解けましたよ~ささっ!お先にどうぞ~」
私は興奮して森の入口に近づいて来た冒険者のお兄様達に先を譲った。しかしお兄様達はまだ呪いを警戒しているのか、森に入らない。
先に入って先導してよ!怖くて入れないんだもん!
「いやいや、呪いもまだありそうだし…ララーナちゃんが先頭で!」
「それがいいと思うよ!」
なんでそうなる!?美しき譲り合いをしているとSSS様のスィダーレン殿下が優雅に森に入って行ってしまった。おまけにSSS様シーダ様も私の横に来て、腰を引き寄せてきた。
こんな森の入口で腰をくっつける意味はあるのでしょうか?
「ララーナは俺と一緒に行こうな」
と、何故か無駄に甘い雰囲気を出してきた。どうしたの?冒険者のお兄様やホグレイッツ王国…魔術師協会の偉い人(だと思う)おじ様達が一斉にざわついた。
「ちょっと待てよ…遺跡の探索中ずっとあのイチャイチャを見ながら歩かなきゃいけないのか?」
フイに誰かがそう言った瞬間、周りの男達が一斉に騒ぎ出した。
「嘘だろぅ!?それでなくてもモレアの華が人妻だっていうのが衝撃だったのにぃぃ…」
「国王陛下っ!私も妻を連れて来ても宜しいでしょうか?」
「ああっ!?それいいですね師団長!俺も婚約者連れて来てもいいですかぁ!?」
「俺は恋人を…」
「独りなんだよ~畜生っ!」
「危険を伴う探索だっ馬鹿もんが!」
北ホグレイッツ王国の国王陛下の一喝に、お兄さんとおじさん達の悲鳴と絶叫が森の入口で響いていた。
取り敢えず
森に入る順番でいくら何でも王子様達を先頭に立たせるのは如何なものか…とおじさん達が苦言を呈してきたので、泣く泣く私が先頭になった。
ええ、ええ…死んでも困らない孤児ですしね。
でもこれにもまたお兄さん達から反対が上がった。
「モレアの華を危険に晒すなんて何事だ!」
いやぁ…もうどうしたらいいのかな…。でも仕方ないので、リコイーダ君とギアラクさん、そして私ともう2人のSSのお兄さんの一団が結成された。名付けて『ギルド組』その組が先頭を行くことになった。
シーダはララーナと手を繋ぎたいと騒いだが、一部独身貴族と思われるお兄さん達にイチャイチャするな!空気読め!と妬まれた為に私とは別グループの名付けて『プリンス組』の一員になってしまった。
さて森に入って行きますよぉぉぉ…移動しながら浄化魔法をブツブツと呟いています。私の異世界転生のチート能力のお陰で浄化魔法を唱えるだけでも森の魔素の気配が薄まるのは分かっているし、兎に角何かしておかなければ怖いからなのだけど…
「ぎゃあ!」
「ぐあっ!」
「んぎゃああ!」
「ひゃあああ!」
さっきから私とリコイーダ君が交互に悲鳴を上げていて、その度にギアラクさんに怒られている。
「少しは静かにしてくれないと~得体の知れない魔獣が声に釣られて近付いて来たらどうするんだ?」
「ひぇぇ!ギアラクさん止めて下さいよ?そんな魔獣とかいるの!?やだぁ…ぎゃあああ!顔に何かあたぅああああ!」
「ぎゃ…!だだだだ、大丈夫だぁ…はっ羽虫だよぉララーナ!?」
おでこに何かがガッサァと当たって叫びながら慌てふためくと、同じく叫びながらリコイーダ君が羽虫を払いのけてくれた。
寿命が縮む!今ので一年は縮んだよっ!
「ララーナ…今更言うのも何だけど、障壁張ってたら?」
「……」
ギアラクさんの呆れたような声で思い出した。恐怖ですっかり忘れていた。気分はお化け屋敷だった。何となくリコイーダ君と一緒に『きゃあああ!』と、叫ぶことにストレス発散をしていたのかもしれない…
「ああ、見えてきましたよ」
SSの大柄な方のお兄さんの声に森の向こうの方をよーく見ると、どーーーんとまさにどーーーんと大きな石像…パッと見は綺麗な女性の石像が聳え立っていた。
森の木々より大きい!
「でかいっ!」
「マラカサス神だ!」
小柄な方のSSのお兄さんが、手帳?辞書かな?をせわしく捲って叫んでいる。
なるほど、神様を模した像なんだね。しかし大きいね20m…いや30mはあるかな?
何だか目とかビカーッと光りそうだね。と、思っていたら女神と目が合った。ん?目が合った?
女神の目が動いて…黒い涙みたいなの流してないかな?ん……涙が糸を引き、涙が黒い塊になるとこっちに近付いて来てない!?
「何か飛んでくるぞ!障壁!」
ギアラクさんの声にそうだ障壁をっ…と、慌ててここにいる皆さんが入れるくらいの障壁を張った。
飛んで来た何かはそれほどの速さは無かった。ゆったりと飛んで?きたが見た目が私を戦慄させた。
「めっ…目玉?目玉ぁぁ!?」
そう、飛んで来たのは黒くて大きな目玉だった!しかしよく見ると目玉ではなく毛の模様?みたいだ。
「なんだよっあのキモイ擬態は!」
と叫んではみたものの、ゆったりとした動きだがその目玉もどきは私の障壁の上に次々に無事?辿り着いてしまい、障壁の外側でモゾモゾと動いている。動き回る目玉もどき…正直キモイ。
「ああっあれはテブラボランデ!?生きて動いているなんて…!」
私達ギルド組より遅れてやって来た『プリンス組』と『魔術師組』の魔術師のおじさん達が興奮して魔道具の映写石を手に持ってデボ?なんとか…を撮影している。
そう…撮影…あの映写石っていわゆるカメラ…デジカメみたいな魔道具みたいなんだよね。そこそこのお値段はするみたいだけどつまりは、皆がキャッキャ言いながら『変な生き物を撮影』しているわけだ。
気が抜けるわ…デボなんとか…はレア生物なのかな?騒ぐおっさん達を見てたら緊張していた私が馬鹿みたいに思えてくる。
「大丈夫だったか?ララーナ。さっきからリコイーダとお前の絶叫がずっと聞こえてたけど…」
若干半笑いのシーダにそう聞かれて、私とリコイーダ君は気まずげに目を彷徨わせた。
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野太い声で呼ばれて、振り向くと第一王子のナオミューデン殿下が私を手招きしている。
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とか言って、スィーダレン殿下が鋭い目で女神像を睨んでいるけど…え?本格的?森の入口の呪詛も結構複雑だったけど…
「もしかして時間かかったら、この森で野宿…かな?」
恐々とシーダに聞いたら
「古代遺跡の呪詛って入口の解術に一年かかるとかザラだしな。さっきのララーナの高速解呪でおっさん達は浮かれてるけど、数日はかかるんじゃないの?」
と、サラリと言われてしまった。
ひえええっ!?こんなジメーーーッとした森の中で数日も野宿…やぶ蚊とかいない?蛇とかいない?
シーダに手を引かれて渋々、女神像の付近まで移動する。魔術師のおじさん達は女神像の足元の台座?に何か珍しい文字が刻まれてるとかで、そこの写メ撮りに必死だ。
何か緊張感に欠けるなぁ…ああ、おまけに肩組んで女神像の前で記念撮影始めちゃったよ…
「あのぉ…おじさん達そこは危ないかもしれないから…下がって下さーーい」
もう声かけるのも面倒なんだけど、引率の先生はいないのか!?
一番に引率して欲しい北ホグレイッツの国王陛下もナオミューデン殿下も調子に乗って記念撮影しちゃってるし…おじさん達も冒険者のお兄さん達も初めて見る建造物やレア生物に興奮してしまって私の言う事を聞いてくれない。
その時、レア生物のデボなんとか…が一匹ヘロヘロ…と飛んで来てリコイーダ君の頭の上に止まってしまった!
頭にレア生物を乗せたまま、恐怖で固まっているリコイーダ君。私も恐怖で固まってしまった。ちょっと待って…?このデボなんとかって毒とか持ってないのかな?血を吸ったりしないのかなぁぁ!?
「ララララ…ラーナ…頭の上のアレ…どうなってる?どこにいる!?」
リコイーダ君がアワアワしながら何とか首を動かそうとした時、なんとシーダがペシン…とそのデボなんとかを平手で叩き落した。
古代遺跡のレア生物を平手で叩き落してしまったのだ。
シーダに叩き落とされてデボなんとか…は地面にベチャ…と叩きつけられて、なんと真っ青な色の体液を撒き散らせて潰れた。
「ぎゃああ!」
「やだあああ!」
体液に触れたくなくて1メートルは飛び上がったね。リコイーダ君なんて体浮かす魔術使ってるし…
「ちょっとシーダさん!テブラボランデは3000年前に絶滅したと言われている生物ですよ!?傷つけるのは止めて下さいよ!」
SSの小柄なお兄さんがシーダに怒っていたけど、デボ…テブラボランデさん?は傷どころか、絶滅どころか、絶命されていると思います。
前途多難だなぁ…
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