パーティーから外されたメンバー同士でまったり冒険者ラブライフ

浦 かすみ

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邂逅

モチつもたれつ?

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「サエラ…いいか、ときに言葉は凶器になる」

「はぁ…」

スワイト殿下は胸に手を当てて荒い呼吸を繰り返している。

それはそうと、スワイト殿下が手に持っている小汚い巾着が気になる…モチって言ってた魔道具かな?それにしても、なんかヨレヨレな巾着だね。

「あの…このヨレヨレの袋……魔道具でしたよね?見せてもらっても構いませんか?」

私がスワイト殿下の左手に握られた小汚い巾着を指差すと、スワイト殿下がクワッ…と目を見開いた。

「サエラ!?これの価値が分かるのか?そうだよな!?君は視えるからねっ…このモチの性能のすごさは…」

「!」

のわわっ!?スワイト殿下がグイグイ…顔を近付けて来てド迫力の美顔?でモチの凄さを語ってきた!私は押してはいけないスイッチを押してしまったのでしょうか?

スワイト殿下から押し付けられたモチを手に取って、生地の縫い目ガタガタは見ないようにしつつ…モチの魔術印を視ていった。

読めない言葉だ…異国語だ。でも肌で感じる魔質から少しはこの魔道具の性質が分かる。

「複数の魔術式がかかってますね…残念ながら文字が読めないので式自体は分かりませんが…」

「そうかっそうか!術式の掛かり具合が分かるだけでも素晴ら…」

「殿下ぁ…それはいいので早く街に戻りましょうよ~サエラちゃんのご実家へ行く手配もしませんと~」

興奮気味のスワイト殿下の言葉をワイセリ少佐がぶった切った。

もうなんだよぉ~みたいな言葉をスワイト殿下はブツブツ呟きながら、モチの魔道具の中に浄化魔法をかけたモスゴモ2匹をアッと言う間に入れてしまった。

多分、異空間とか次元の違う空間を魔術で創り出しているんだ。詳しい原理は習えば分かるようになるかな?

「さ~て、戻ろうか!」

そうして、スワイト殿下達とまた転移魔法で一瞬で王都のに戻って来た。

スワイト殿下に以前書いておいた実家への手紙を渡して、明日ラジェンタのお店に朝一で来るように…と言われた。

じゃあ…クリスとギルドに行こうかと、スワイト殿下のモチからモスゴモ2体を取り出してもらっている最中に、近付いて来た金髪のカッコイイ軍人のお兄さんが、

「ラジェンタが歓迎会をしたいと言ってる。サエラが渡り人だったのが余程嬉しかったんだろう。おまけに同じ出身国なのだろう?」

そう言って優しい笑顔を浮かべていた。あれ?このお兄さんの笑顔って誰かに似てるな…

「はい…え~と異世界には190くらい国と地域がありますので、同じ日本の出身というだけでも奇跡的です」

「190?それはすごい数だな…なるほど、だから国同士の紛争が絶えないんだと…ラジェンタが言っていたのか」

ラジェンタさん…確か公爵家のご令嬢でスワイト殿下のお嫁さん、高貴な身分の方なのよね?そのラジェンタさんを気安く呼び捨てで呼んでいるお兄さん…そしてこの顔の感じは…

「もしかして…ラジェンタさんのお兄さんですか?」

金髪のカッコイイお兄さんは嬉しそうに頷くと、微笑み返してくれた。やっぱり、笑った顔がラジェンタさんとそっくりだ。

「カインダッハ=バラクーラだ。スワイト殿下とは同じ年で、昔からの友人でもある」

へぇ~幼馴染ということかな?

「ちょっと待て!?歓迎会ってなんだ?もしかしてラジーの店で料理が振る舞われるのか?」

そこへスワイト殿下がいきなり会話に食らい付いて来た。カインダッハお兄さんが渋い表情を見せている。

「そりゃ歓迎会っていうのだから、ラジェンタが何か作ってくれるとは思いますが…」

スワイト殿下は魔質をいきなり上げてきた。どうしたのぉ!?

「おぃっワイセリ、ヒゼリ!すぐに城に戻るぞっ夜までに政務を全て片付ける!」

「ええっ!?今からですかぁ…」

ワイセリ少佐が悲鳴を上げた。ヒゼリ…と呼ばれた無表情のお兄さんがピクッと頬を引きつらせている。

「じゃあそういうことで!歓迎会でまた会おう!」

そう叫んでスワイト殿下は一瞬で消えた…転移魔法を使ったんだろうね。一方的に置いて行かれてしまったワイセリ少佐とヒゼリさんは、渋い顔をしたまま私達に挨拶をして徒歩で帰って行った。

そうして必然的に後に取り残されたのは…私、クリス、カインダッハお兄さん、いつもスワイト殿下の後ろにいる怖い顔のおじさん?お兄さん?とカワイイ系の顔のお兄さんの計5人だった。

「サエラどうしよう…スワイト殿下忘れてる。この袋、魔道具だよな?」

「えっ!?」

私とカインダッハお兄さんの声が重なってクリスがこれ…と言って差し出しているのは、縫い目ガタガタのモチだった。

スワイト殿下ーー忘れてる!大事な魔道具だったよねぇ!?

恐々とカインダッハお兄さんを見ると、モチを嫌そうな顔で見詰めている。

大事な魔道具…ですよね?何故そんな目で見てるの?

「カインダッハ…取り敢えずモスゴモをギルドに納めに行くのを優先させよう」

怖い顔のお兄さんがそう言ったので、皆でギルドに向かった。よく考えたらお兄さん達は軍服を着ているし、私とクリスは一般人?だし、まさかの軍人に拘束されている女子と男子に見えるのではないかと…今頃気が付いてしまって、妙に焦ってしまう。

その焦りが足の運びに出てしまっていたのだろう、カインダッハお兄さんとカワイイ系のお兄さんの2人に

「サエラ、慌てなくても構わない。俺達は政務は手伝わんからな」

「そうそう~今日は殿下の護衛だけの任務だからさ、時間はあるからね」

と、心配気な顔で顔を覗き込まれてしまった。焦っているのは実はソレじゃないけど、黙って苦笑いを返しておいた。

冒険者ギルドに到着して、ここでひと悶着があった。誰がモチの魔道具からモスゴモを取り出すかで揉めた。

先程の反応からも分かるとおり、カインダッハお兄さんは触るのも嫌らしい。理由は…

「そんな古の魔道具…何が起こるか分からん」

だった。

因みに残りの2人の軍人のお兄さんにモチを開けて中を覗き込んでもらったが、巾着袋の中はにしか見えないらしかった。

これは困った…

クリスも巾着の中を覗き込んでいるが、何も見えないらしい。そもそも異次元空間らしき所に繋がっている物体が目視確認が出来るものなのかな?

仕方ないので、一番最年少の私が巾着の中に手を突っ込んでみた。こういうのは見ても見えないと思う。きっと呼び出す系だ…多分、私の女の勘がそう囁いている!

「出でよ、魔神!」

何となく魔法のランプの呼ばれて~じゃ~ん!な、イメージで叫んでみたけど上手くいったみたいだった。

巾着の中で手に毛むくじゃらの質感のあるものが触れてきたからだ。

「よしっ、掴んだよ!」

グイィ…とモスゴモの足を掴んで、モチの中から引っ張り出した。

「おおっ!?」

引っ張り出したモスゴモを見て男達の野太い声がギルド内に響いた。

気が付くといつのまにやら、私達の周りには冒険者の人達が集まって来ていた。

目立っちゃった…慌ててクリスと共に買取カウンターにモスゴモを引っ張って行ってカウンターの向こうにいる男性に声をかけた。

「買取お願いします」

「はい、お待ち下さい」

受付の男性はカウンターの外に出て来ると、モスゴモ二匹を見た。

「モスゴモですね、解体はこちらで致しますと解体料、一体につき300ベイかかりますが大丈夫ですか?」

300…一体につき1500円か、まあそんなものかな?

「はい、お願いします」

私が頷くと、お兄さんはモスゴモの状態を確認して…頷いてから何かを用紙に書き込んで、それをモスゴモに貼り付けていた。

「少しお待ち下さいね、番号札です。買取完了しましたらお呼びしますので」

「はい、お願いします」

受付のお兄さんから番号札を受け取り、カインダッハお兄さんの所に戻り、モスゴモを入れていたモチを差し出すと手で制された。

「ちょっと待て、ソレ…あのモスゴモが中に入ってたんだろう?臭ったり、血濡れていないか?」

まさかの触るのも嫌な、潔癖?神経質男だーー!

いや~?確かに直入れだったし、汚れてると言えば汚れてそうだけど…元々、外側は手縫いっぽいし、ヨレヨレのガタガタだから今更感があるけど…

「一度使っているし、捨ててしまえば?」

「!?」

いつもスワイト殿下といる怖い顔の軍人のお兄さんがボソッと呟いた。

「リヒャイド、それいいな…」

「ひえっ…」

まさかのカインダッハお兄さんの同意!?

リヒャイドさんは怖い顔のまま、私が持っているモチに手を伸ばして来た。

モチが捨てられる!?

何故だか一瞬、悲しそうなスワイト殿下の顔が頭の中に浮かんだ。

「ダッダメ!!……私が洗ってスワイト殿下にお返しします…」

急いで手を引っ込めて、モチを自分のズボンのポケットに入れるのをお兄さん達が凝視している。

「しっかり洗ってくれ…」

「宜しく頼む…」

「洗ったりして大丈夫なのかな~?」

カインダッハさん、リヒャイドさんは深く頷いてる。

カワイイ系のお兄さんの疑問には誰も答えずに、その場で散開になった。

夜にでも洗って干しておけば明日乾くかな…買取カウンターで呼ばれるのを待ちながらぼんやりとそんなことを考えていた。
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