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第七章
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「なあ、お前の家に十日以上も泊まってるっていうのに、俺はお前がやってるところを一度も見たことがないぞ」
白洛因は顧海を無視するように背中を向けた。
「なんでお前に見せなきゃならないんだ!」
顧海はまた身体をすり寄せ、白洛因の背中に自分の胸をぴったりくっつけながら魅惑的な声を出す。
「いつやってるんだ? 俺は二十四時間お前といるのに、まったくそんな素振りを見せないじゃないか」
白洛因は猛然と肘で顧海の脇を突いた。
「深夜にそんな話をしてどうするんだ?」
顧海の脇は痛みに痺れ、言葉も軽薄なものに変わる。
「スケベ話を夜にしないでいつするんだ?」
白洛因は目を閉じ、深夜のセクハラ男を無視することにした。
顧海はまたも手を伸ばし、今度は白洛因のズボンに突っ込む。まずは下腹の筋肉を摘まむふりをし、彼の気が緩んだ隙にサッと中に手を潜り込ませ、白洛因が止めようとしたときにはすでに下生えに触れていた。
白洛因の目は怒りに燃え、顧海を抑え込んで彼の弱点を苛烈に殴りつける。
「この野郎、いい加減にしないと追い出すぞ!」
顧海は笑いすぎて顎が外れそうになった。
「大の男が触り合ったっていいじゃないか。聞いたことないか? 男に抜いてもらうと性的能力が上がるって」
「黙れよ。そんな話は聞いたことがないし、お前に抜いてもらわなくても俺の能力は一流だ」
「へえ!」
顧海は驚きの色を浮かべる。
「ずいぶん経験豊富そうだな。なんだ、お前彼女とやったことあるのか?」
「お前に関係ないだろう」
顧海は好奇心なのか焦りなのか自分でもわからないまま彼を問い詰める。
「なあ、マジでお前まだ童貞なんじゃないのか?」
白洛因は冷淡に答える。
「自分の胸に聞けよ。それが答えだ」
顧海は確信した。
「じゃあ情報交換しようぜ。おまえの慧ちゃんとの初体験を話せよ。そしたら俺はうちの璐璐ちゃんとの初体験を話すから」
「お前の初体験なんか聞きたくない」
白洛因の言葉に、顧海は疑問を投げかける。
「なんでだよ。エロ話は誰でも好きだろう?」
「別にエロくない」
白洛因は鼻で笑う。
「男同士が二人一緒にやるみたいなもんだろう?」
顧海は白洛因にデコピンした。
「誰が男二人だ」
それがちょうど白洛因の額にあるたんこぶに当たり、彼は痛みに息を飲む。顧海はあわててすぐに白洛因のたんこぶを調べ、慎重にふーふーと息を吹きかけた。
「痛むか?」
白洛因は顧海の手を押しのけ、駆け布団に首まですっぽりくるまり、吐き捨てる。
「寝るぞ!」
「待てよ!」
顧海は上から白洛因にのしかかった。
「話せって」
「話してどうなる」
白洛因は堪忍袋の緒が切れそうになった。
「俺の好奇心を満足させろよ。お前のベッドテクにものすごく興味があるんだよ」
「俺の傷を攻撃したくせに。俺はもう彼女とは別れたんだよ」
なぜかはわからないが、顧海は白洛因が過去を隠そうとする理由は石慧という女をとても気にしているからだと思い、突然不機嫌になった。
「話さないのはお前がダメな証拠だ。俺は党と中国人民解放軍を代表してお前を軽蔑する」
白洛因も話したくないわけではなく、話せないだけだった。彼と石慧は一度だけそうなりかけたことがあった。石慧が出国する前の晩だ。白洛因はその頃強烈に彼女を独占したくて束縛した。彼女と一日中一緒にいて老公(旦那という意味)と呼ばせ、たとえ留学に行っても自分のものだと言える証を刻みたかったのだ。だが実際は彼女が全裸で彼の目の前に横たわったときにも最後の一歩を踏み出さなかった。
もし本当に彼らが別れる日が来た時に、処女膜は最善の贈り物だと思ったのだ。
だから石慧がいなくなってから、白洛因は果たせなかった最後の一歩を毎晩夢の中で叶えた。
「じゃあお前の初体験を話せよ」
白洛因は顧海のように精力旺盛な男を金璐璐の細い身体でどうやって受け止めたのかどうしても想像できなかった。
「俺の初体験は、いわば魂が抜けるような衝撃だったよ」
顧海はまたバカなことを言い始め、白洛因はそれに興味を示した。
「話してみろよ。どういうふうに魂が抜けたんだ?」
顧海は生き生きと語る。男二人がエロ話を始めれば盛り上がるに決まっていた。服の中のムスコたちも元気になり、薄布一枚を隔てて首をもたげる。顧海は白洛因をつついた。
「誰かにやってもらったことはあるか? めちゃくちゃ気持ちいいぞ」
白洛因はきまり悪そうに笑う。
「俺は自分でやるほうがいい」
「仲良し同士で抜き合いをするくらいなんてことないぞ。それにお前のムスコの小因子はずっと俺を呼んでるじゃないか!」
「あっちに行けよ!」
白洛因はベッドを降りると上着を引っかけて外に出た。顧海はわざと後ろからからかう。
「お前んちの便所は屋根がないだろう。小因子を凍傷にさせるつもりか? 俺はそれが心配だよ!」
白洛因は顧海を無視するように背中を向けた。
「なんでお前に見せなきゃならないんだ!」
顧海はまた身体をすり寄せ、白洛因の背中に自分の胸をぴったりくっつけながら魅惑的な声を出す。
「いつやってるんだ? 俺は二十四時間お前といるのに、まったくそんな素振りを見せないじゃないか」
白洛因は猛然と肘で顧海の脇を突いた。
「深夜にそんな話をしてどうするんだ?」
顧海の脇は痛みに痺れ、言葉も軽薄なものに変わる。
「スケベ話を夜にしないでいつするんだ?」
白洛因は目を閉じ、深夜のセクハラ男を無視することにした。
顧海はまたも手を伸ばし、今度は白洛因のズボンに突っ込む。まずは下腹の筋肉を摘まむふりをし、彼の気が緩んだ隙にサッと中に手を潜り込ませ、白洛因が止めようとしたときにはすでに下生えに触れていた。
白洛因の目は怒りに燃え、顧海を抑え込んで彼の弱点を苛烈に殴りつける。
「この野郎、いい加減にしないと追い出すぞ!」
顧海は笑いすぎて顎が外れそうになった。
「大の男が触り合ったっていいじゃないか。聞いたことないか? 男に抜いてもらうと性的能力が上がるって」
「黙れよ。そんな話は聞いたことがないし、お前に抜いてもらわなくても俺の能力は一流だ」
「へえ!」
顧海は驚きの色を浮かべる。
「ずいぶん経験豊富そうだな。なんだ、お前彼女とやったことあるのか?」
「お前に関係ないだろう」
顧海は好奇心なのか焦りなのか自分でもわからないまま彼を問い詰める。
「なあ、マジでお前まだ童貞なんじゃないのか?」
白洛因は冷淡に答える。
「自分の胸に聞けよ。それが答えだ」
顧海は確信した。
「じゃあ情報交換しようぜ。おまえの慧ちゃんとの初体験を話せよ。そしたら俺はうちの璐璐ちゃんとの初体験を話すから」
「お前の初体験なんか聞きたくない」
白洛因の言葉に、顧海は疑問を投げかける。
「なんでだよ。エロ話は誰でも好きだろう?」
「別にエロくない」
白洛因は鼻で笑う。
「男同士が二人一緒にやるみたいなもんだろう?」
顧海は白洛因にデコピンした。
「誰が男二人だ」
それがちょうど白洛因の額にあるたんこぶに当たり、彼は痛みに息を飲む。顧海はあわててすぐに白洛因のたんこぶを調べ、慎重にふーふーと息を吹きかけた。
「痛むか?」
白洛因は顧海の手を押しのけ、駆け布団に首まですっぽりくるまり、吐き捨てる。
「寝るぞ!」
「待てよ!」
顧海は上から白洛因にのしかかった。
「話せって」
「話してどうなる」
白洛因は堪忍袋の緒が切れそうになった。
「俺の好奇心を満足させろよ。お前のベッドテクにものすごく興味があるんだよ」
「俺の傷を攻撃したくせに。俺はもう彼女とは別れたんだよ」
なぜかはわからないが、顧海は白洛因が過去を隠そうとする理由は石慧という女をとても気にしているからだと思い、突然不機嫌になった。
「話さないのはお前がダメな証拠だ。俺は党と中国人民解放軍を代表してお前を軽蔑する」
白洛因も話したくないわけではなく、話せないだけだった。彼と石慧は一度だけそうなりかけたことがあった。石慧が出国する前の晩だ。白洛因はその頃強烈に彼女を独占したくて束縛した。彼女と一日中一緒にいて老公(旦那という意味)と呼ばせ、たとえ留学に行っても自分のものだと言える証を刻みたかったのだ。だが実際は彼女が全裸で彼の目の前に横たわったときにも最後の一歩を踏み出さなかった。
もし本当に彼らが別れる日が来た時に、処女膜は最善の贈り物だと思ったのだ。
だから石慧がいなくなってから、白洛因は果たせなかった最後の一歩を毎晩夢の中で叶えた。
「じゃあお前の初体験を話せよ」
白洛因は顧海のように精力旺盛な男を金璐璐の細い身体でどうやって受け止めたのかどうしても想像できなかった。
「俺の初体験は、いわば魂が抜けるような衝撃だったよ」
顧海はまたバカなことを言い始め、白洛因はそれに興味を示した。
「話してみろよ。どういうふうに魂が抜けたんだ?」
顧海は生き生きと語る。男二人がエロ話を始めれば盛り上がるに決まっていた。服の中のムスコたちも元気になり、薄布一枚を隔てて首をもたげる。顧海は白洛因をつついた。
「誰かにやってもらったことはあるか? めちゃくちゃ気持ちいいぞ」
白洛因はきまり悪そうに笑う。
「俺は自分でやるほうがいい」
「仲良し同士で抜き合いをするくらいなんてことないぞ。それにお前のムスコの小因子はずっと俺を呼んでるじゃないか!」
「あっちに行けよ!」
白洛因はベッドを降りると上着を引っかけて外に出た。顧海はわざと後ろからからかう。
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