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第七章
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顧海が借りている雑居住宅を初めて訪れた白洛因は、彼の部屋がとても清潔なことに気づく。少なくとも自分の寝室よりずっと綺麗だった。
「お前の壊れた携帯、まだ置いてあるんだな」
白洛因は窓辺にあった古い携帯電話を手に取る。顧海は部屋を片付けながら適当に答えた。
「捨てるのを忘れてたんだ」
白洛因は隣の大叔父の家からドライバーとピンセットを借り、石造りの椅子に座って作業を始める。三十分もたたずに白洛因は外カバーを取り外し修理した携帯を元通りに組み立て、ディスプレイを綺麗に拭くと、部屋に戻って顧海に渡した。
「試してみろ」
顧海は疑いつつ携帯を起動してみる。すると正常に電源が入ってショートメッセージが送れ、通話もわずかに雑音が入るものの普通に使えるようになっていた。
「すごいな!」
顧海は目を見張る。
「あそこまで壊れてたのに、直せるんだな!」
「たいしたことはないよ。この手の古い機種はどれも頑丈にできてるんだ」
顧海は白洛因の賢く有能な一面を知り、さらに強く彼を好きになった。
「これを全部捨てるのか?」
白洛因は机の上に置かれた雑多なものを指す。顧海は腰を伸ばしながら目を向けた。
「どっちでもいい。使えるものがあれば持って行くよ」
白洛因は役に立ちそうなものを袋に詰めながら、机に貼られた紙に気づく。見なければ腹も立たなかったのだが、目にした以上顧海を咎めないわけにはいかない。そこにあったのはすべて白洛因の作文で、それも全部顧海に盗まれたものだった。本当に腹立たしい!
顧海は白洛因の反応を見ても恥じるどころか、自ら引き出しの中から何枚も取り出して彼の前に並べてみせた。
「見ろよ、俺の書いた字はお前の字といい勝負だろう?」
白洛因は怒りに目を剥く。
「この野郎、字を練習したいなら俺に一声かけろよ! この数回分の作文を提出しなかったせいで国語の先生は俺を無視するようになったんだぞ!」
「お前こそ先生にかまうなよ!」
「俺が無視するべきなのはお前だな」
白洛因は歯をむき出しにした。
「無視できるもんならやってみろよ」
顧海は白洛因の顔に向かって凄んで見せる。白洛因は臆することなく対峙し、二人はそのまま睨み合う。だが五秒が過ぎて先に目を逸らしたのは顧海だった。
「あのさ……俺の書いた字、上達したと思わないか?」
白洛因は聞かれる前から顧海の字がこの数カ月でかなり上達したと伝えるつもりでいたが、あまりにも期待に満ちた表情を見てその気が失せた。
「なんで黙ってるんだよ。いいのか悪いのか言えよ」
もし下手だと言ったら顧海は白洛因の尻を蹴り倒すつもりだった。
白洛因はツンと澄まして顧海を一瞥し、冷淡に答える。
「まあまあだな!」
その一言に顧海は歓喜した。白洛因の誉め言葉はとても貴重なのだ。顧海はレッドブルを十缶飲んだように力が漲り、家を持ち上げて中庭を二周できるくらいの様子を見せる。
顧海のドヤ顔に白洛因が笑うと、顧海はその顔にうっとり見とれた。
金璐璐は沈んだ面持ちで戸口に立ち、さきほどの仲睦まじい一幕をつぶさに観察していた。顧海と付き合って三年、彼のこんな表情は初めて目にする。以前彼の仲間たちはみな口を揃えて顧海は金璐璐といるときに別人みたいな顔をすると言っていたが、いま金璐璐は彼には第三の顔があることを知った。こんな顧海は見たことがない。
とても魅力的だが、傷つく。
女性はデリケートな生き物で、彼氏が友達どころか犬を可愛がるのも気に食わない。
白洛因は先に金璐璐に気づいて顧海をつつき、戸口を示す。顧海は驚いたようだった。
「なんで来たんだ?」
さっきまでの表情は消え失せ、金璐璐に目を向けた途端いつもの彼に戻る。
「なんで来たかって? 週末だからよ」
顧海は反応が遅れる。最近一週間が飛ぶように過ぎるので、気付いたらもう週末が来ていた。以前は平日がとても長く感じていたが、今はカレンダーを見ることもなくなり、どの一日も同じような存在だった。
「引っ越しするんだよ。携帯もないし、連絡できなかったんだ」
金璐璐は机の上の携帯を手に取って揺らす。
「これは何?」
「その携帯はとっくに壊れてただろう?」
顧海がそう言った途端、携帯電話が鳴る。金璐璐が冷ややかに押した途端、電話はつながった。
パン! 金璐璐が猛然と携帯を地面に投げつけると、躯体はバラバラになり、ディスプレイも砕けてあたりに散らばる。
顧海の顔は驚愕から憤怒に変わり、制御を失う。それはわずか一瞬の出来事だった。
顧海は大股で金璐璐に近づいて彼女の肩を掴み壁に押し付け、恐ろしい声で問い詰める。
「なんで壊した!」
金璐璐は涙を浮かべながらもまったく譲る気配はなかった。
「私たちがケンカで携帯を壊したことなんて、別にこれが初めてじゃないでしょう? こんなボロボロの携帯ひとつであんたは怒るの?」
顧海の目は怒りで赤く染まり、それ以外の感情は一切消え失せた。
「因子が直してくれたばかりなんだぞ。なんでお前が壊すんだ?」
「そんなの私の勝手でしょう。彼が直したからって何よ!」
金璐璐は床に落ちた残骸を何度も踏みつける。破片が砕ける音が残酷に顧海の耳を刺した。
「私が壊して踏みつけたのよ。悔しかったら私を殺しなさい!」
部屋中に二人の殺気が満ちる中、誰かの手が伸びてきて怒りに震える顧海の腕を掴んだ。
「もういいだろう。たかが携帯じゃないか」
白洛因の声はとても冷静で、顧海を止める力もそう強くはなかったが、穏やかな力の拮抗により顧海の暴虐心は緩み、金璐璐の肩を掴む力も弱まる。
「顧海、あんたは人でなしよ!」
金璐璐は大声で怒鳴りつけて顧海を押しのけると、雑居住宅を飛び出していく。顧海はその場から一歩も動かなかった。白洛因は彼の肩を激しく叩く。
「おい、さっさと追いかけろよ!」
「なんで俺があいつを追いかけなきゃならないんだ?」
顧海は赤い目で白洛因を睨みつける。
「遠路はるばるお前に会いに来たんだぞ。お前はあの子と三年付き合っていて、あの子と寝たんだろう。それが理由だ」
顧海は黙っていた。白洛因は顧海の襟を掴んで怒号を上げる。
「お前はそれでも男か?」
顧海は白洛因の手を掴み、激しく渦巻く感情を押し殺して静かな声で答えた。
「因子、わかるだろう。俺はお前の言うことしか聞きたくない。俺を本気で行かせたいのか?」
そう言われ、白洛因はふいに支えを失い不安な気分になったが、まるで機械に操られたように勝手に口が動いた。
「ああ。お前は絶対行くべきだ。女の子の感情が暴走するとトラブルになりやすいからな」
顧海は踵を返して出て行く。
白洛因はまっすぐな体躯を伸ばしてその場に立ち尽くしていたが、やがて腰をかがめて携帯の残骸を片付け始めた。
「お前の壊れた携帯、まだ置いてあるんだな」
白洛因は窓辺にあった古い携帯電話を手に取る。顧海は部屋を片付けながら適当に答えた。
「捨てるのを忘れてたんだ」
白洛因は隣の大叔父の家からドライバーとピンセットを借り、石造りの椅子に座って作業を始める。三十分もたたずに白洛因は外カバーを取り外し修理した携帯を元通りに組み立て、ディスプレイを綺麗に拭くと、部屋に戻って顧海に渡した。
「試してみろ」
顧海は疑いつつ携帯を起動してみる。すると正常に電源が入ってショートメッセージが送れ、通話もわずかに雑音が入るものの普通に使えるようになっていた。
「すごいな!」
顧海は目を見張る。
「あそこまで壊れてたのに、直せるんだな!」
「たいしたことはないよ。この手の古い機種はどれも頑丈にできてるんだ」
顧海は白洛因の賢く有能な一面を知り、さらに強く彼を好きになった。
「これを全部捨てるのか?」
白洛因は机の上に置かれた雑多なものを指す。顧海は腰を伸ばしながら目を向けた。
「どっちでもいい。使えるものがあれば持って行くよ」
白洛因は役に立ちそうなものを袋に詰めながら、机に貼られた紙に気づく。見なければ腹も立たなかったのだが、目にした以上顧海を咎めないわけにはいかない。そこにあったのはすべて白洛因の作文で、それも全部顧海に盗まれたものだった。本当に腹立たしい!
顧海は白洛因の反応を見ても恥じるどころか、自ら引き出しの中から何枚も取り出して彼の前に並べてみせた。
「見ろよ、俺の書いた字はお前の字といい勝負だろう?」
白洛因は怒りに目を剥く。
「この野郎、字を練習したいなら俺に一声かけろよ! この数回分の作文を提出しなかったせいで国語の先生は俺を無視するようになったんだぞ!」
「お前こそ先生にかまうなよ!」
「俺が無視するべきなのはお前だな」
白洛因は歯をむき出しにした。
「無視できるもんならやってみろよ」
顧海は白洛因の顔に向かって凄んで見せる。白洛因は臆することなく対峙し、二人はそのまま睨み合う。だが五秒が過ぎて先に目を逸らしたのは顧海だった。
「あのさ……俺の書いた字、上達したと思わないか?」
白洛因は聞かれる前から顧海の字がこの数カ月でかなり上達したと伝えるつもりでいたが、あまりにも期待に満ちた表情を見てその気が失せた。
「なんで黙ってるんだよ。いいのか悪いのか言えよ」
もし下手だと言ったら顧海は白洛因の尻を蹴り倒すつもりだった。
白洛因はツンと澄まして顧海を一瞥し、冷淡に答える。
「まあまあだな!」
その一言に顧海は歓喜した。白洛因の誉め言葉はとても貴重なのだ。顧海はレッドブルを十缶飲んだように力が漲り、家を持ち上げて中庭を二周できるくらいの様子を見せる。
顧海のドヤ顔に白洛因が笑うと、顧海はその顔にうっとり見とれた。
金璐璐は沈んだ面持ちで戸口に立ち、さきほどの仲睦まじい一幕をつぶさに観察していた。顧海と付き合って三年、彼のこんな表情は初めて目にする。以前彼の仲間たちはみな口を揃えて顧海は金璐璐といるときに別人みたいな顔をすると言っていたが、いま金璐璐は彼には第三の顔があることを知った。こんな顧海は見たことがない。
とても魅力的だが、傷つく。
女性はデリケートな生き物で、彼氏が友達どころか犬を可愛がるのも気に食わない。
白洛因は先に金璐璐に気づいて顧海をつつき、戸口を示す。顧海は驚いたようだった。
「なんで来たんだ?」
さっきまでの表情は消え失せ、金璐璐に目を向けた途端いつもの彼に戻る。
「なんで来たかって? 週末だからよ」
顧海は反応が遅れる。最近一週間が飛ぶように過ぎるので、気付いたらもう週末が来ていた。以前は平日がとても長く感じていたが、今はカレンダーを見ることもなくなり、どの一日も同じような存在だった。
「引っ越しするんだよ。携帯もないし、連絡できなかったんだ」
金璐璐は机の上の携帯を手に取って揺らす。
「これは何?」
「その携帯はとっくに壊れてただろう?」
顧海がそう言った途端、携帯電話が鳴る。金璐璐が冷ややかに押した途端、電話はつながった。
パン! 金璐璐が猛然と携帯を地面に投げつけると、躯体はバラバラになり、ディスプレイも砕けてあたりに散らばる。
顧海の顔は驚愕から憤怒に変わり、制御を失う。それはわずか一瞬の出来事だった。
顧海は大股で金璐璐に近づいて彼女の肩を掴み壁に押し付け、恐ろしい声で問い詰める。
「なんで壊した!」
金璐璐は涙を浮かべながらもまったく譲る気配はなかった。
「私たちがケンカで携帯を壊したことなんて、別にこれが初めてじゃないでしょう? こんなボロボロの携帯ひとつであんたは怒るの?」
顧海の目は怒りで赤く染まり、それ以外の感情は一切消え失せた。
「因子が直してくれたばかりなんだぞ。なんでお前が壊すんだ?」
「そんなの私の勝手でしょう。彼が直したからって何よ!」
金璐璐は床に落ちた残骸を何度も踏みつける。破片が砕ける音が残酷に顧海の耳を刺した。
「私が壊して踏みつけたのよ。悔しかったら私を殺しなさい!」
部屋中に二人の殺気が満ちる中、誰かの手が伸びてきて怒りに震える顧海の腕を掴んだ。
「もういいだろう。たかが携帯じゃないか」
白洛因の声はとても冷静で、顧海を止める力もそう強くはなかったが、穏やかな力の拮抗により顧海の暴虐心は緩み、金璐璐の肩を掴む力も弱まる。
「顧海、あんたは人でなしよ!」
金璐璐は大声で怒鳴りつけて顧海を押しのけると、雑居住宅を飛び出していく。顧海はその場から一歩も動かなかった。白洛因は彼の肩を激しく叩く。
「おい、さっさと追いかけろよ!」
「なんで俺があいつを追いかけなきゃならないんだ?」
顧海は赤い目で白洛因を睨みつける。
「遠路はるばるお前に会いに来たんだぞ。お前はあの子と三年付き合っていて、あの子と寝たんだろう。それが理由だ」
顧海は黙っていた。白洛因は顧海の襟を掴んで怒号を上げる。
「お前はそれでも男か?」
顧海は白洛因の手を掴み、激しく渦巻く感情を押し殺して静かな声で答えた。
「因子、わかるだろう。俺はお前の言うことしか聞きたくない。俺を本気で行かせたいのか?」
そう言われ、白洛因はふいに支えを失い不安な気分になったが、まるで機械に操られたように勝手に口が動いた。
「ああ。お前は絶対行くべきだ。女の子の感情が暴走するとトラブルになりやすいからな」
顧海は踵を返して出て行く。
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