あの日咲かせた緋色の花は

棺ノア

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-プロローグ-

2人目の少女

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小柄な少女である。

さらさらと揺れる赤いミディアムヘアに明るいデニム生地のキャスケットを被り、エメラルドグリーンの瞳をランランと輝かせている。

「…ユリ?あれ、今日は私1人の案件じゃなかったっけ?」

「ん~…その予定だったけど、ボクの方がすぐに終わったからこっちの手伝いもして来いって言われたの。手伝うことなかったけど!」

そう言って満面に笑みをたたえる彼女は裕璃
(ユウリ)という名の14歳の中学生であり、親しい間柄の人間にはユリと呼ばれている。芽愚とは血が繋がってはいないものの、姉妹のような関係を築いていた。

ちなみに今、2人は実の両親のもとにいない。ろくでもない環境の中にいたところを拾ってくれたとある人物のおかげで、現在の居場所があるのだ。

「まったく……こんな汚れた格好で走り回っていたらものすごく目立つじゃないの」

「裏道しか通ってないから大丈夫☆」

そんな会話をしつつ、裕璃はキャスケットを鞄にしまう。基本的に黒髪の多いこの地域で赤い髪はそれなりに目立つのだが、芽愚には黒髪に見えるので誤って味方を攻撃しないよう目印として被っているものだからだ。

今回は結構派手にやったんだねぇ~と言いつつ、周りに転がるつい先程まで生きた人間だったものをマジマジと眺めていた彼女は自身の持つ凄惨な過去により、潰れた死体を見ることなどに全く抵抗を示さない。
芽愚はそんな裕璃の様子をしばらく痛ましげに見つめていたが、はっと現在の状況を思い出し撤収するよう呼びかけた。

「ユリ、そろそろいくよ。ソレはあと少ししたら処理班が全部片付けてくれるから。」

「は~い!」

返事をし、いつものように芽愚の横に並んでくる。日が沈んだとはいえ表通りにはまだ人気があり、返り血を浴びた格好で歩くわけにはいかないので、2人は建物の間を通り帰路に就いた。

この街は治安が悪くあちこちで暴力沙汰が起こるので、そんな目立つ姿でうろついていても気に留めるものはいない。2人はそのまま、夜の街に紛れていった。


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