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第5章
相談
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(うわぁ…すっごく帰りたい……空気が重い…っていうかこれ、ボク要る…?)
裕璃は今、萌愛の相談に乗って助力すると約束したことを猛烈に後悔していた。
天井にキラキラと輝くシャンデリアが下がった豪勢な客間で、いかにも高そうな革張りのソファに座らせられたら誰だって萎縮するものだ。
いや、萎縮の原因はそれだけでない。むしろこの状況を考えれば、金持ちらしさ溢れる空間よりもこちらが主な要因だと誰もが思うだろう。
裕璃の横には神妙な顔つきをした龍が、そして彼の前には訝しげな表情の萌愛の父親が座っているのだ。もちろん萌愛も、父親の横で同席している。
国を揺るがすほどの力を持った黒城組の当主である龍に迫力を感じるのは当然だが、髪を綺麗にセットし眼光を鋭くさせた萌愛の父親も、龍に負けず劣らずの覇気を放っていた。
裕璃は萌愛からの相談に乗った日の夜、さっそく龍にあらかたの事情を説明した後、どのようにできるのか尋ねた。すると龍は、本人から直接話を聞きたいので会わせろと言ったのだ。
そこで萌愛に連絡を入れ、時間を設け面談をしてる訳なのだが、どうも萌愛はこの一件について他者に話すことを止められていたらしく、ぎくしゃくとした気まずい雰囲気が漂っているのである。
「…ご足労いただきありがとうございます。萌愛から大体のことは伝えたと聞いておりますが、私は貴方がたに手伝っていただくつもりはありません」
「ほう?それはどういった理由で?」
龍は割と寛大な心の持ち主であるので、利益が出ないであろう今回の案件でも快く引き受け時間を割いて此処に来た訳だが、依頼主の父親があまりにも無愛想なので内心では少しばかりの苛立ちを感じていた。
萌愛の父はひと息つくと、冷ややかな眼で話し出した。
「ストーカーがいると言えど、萌愛が外出時にたまに視線を感じる程度のことで、これまでに手紙が送られてきたり話しかけられたり等の直接的な接触はありません。それに、警察は全くの役立たずでしたが、我が社の傘下に探偵業を営む人間がおりまして、その者に数日前から調査させていますので、何も貴方がたを巻き込む必要がないのです」
「しかしお宅の娘さんは裕璃に助けを求めた訳でしょう?何か不安要素があるのではありませんか?」
「大丈夫です。我々で何とかしてみせます。こんなことで借りを作る訳にはいかないのです」
「…さっきから黙って聞いていれば勝手に人のこと決めつけて何なの!?」
ここでずっと大人二人の会話を聞いていた裕璃が、机をバンッと叩きつけて声を上げた。
「あんたの娘とは言え自分とは別の人間でしょ!?何で大丈夫とか勝手に決めつけるわけ!?大丈夫じゃないからボクに相談してきたんでしょ!!!」
突然の剣幕に、萌愛の父はたじろいだ。
まさか大人しく話を聞いていた小柄な少女が急に怒鳴り出すとは思わなかったのだろう。
龍はクスリと笑い、裕璃の援護に出た。
「こればかりは裕璃の言うとおりですな。神林さん、一旦我々に任せてみては?」
そこで、それまで少し怯えたような表情で父親を見ていた萌愛も懇願した。
「お父様、お願いです。家で今雇ってくださっている探偵さん、いまいち信用できないの…たまに言ってることがちぐはぐだったりするし……お願い…」
すると、渋々といった感じで数回頷くと、萌愛の父は龍の目をまっすぐに見つめこう言った。
「…先程は大変失礼致しました。今回の一件、引き受けてくださいますでしょうか」
龍はニヤリと自信ありげな表情で答えた。
「お任せください。ウチの調査員はとても優秀ですよ」
裕璃は今、萌愛の相談に乗って助力すると約束したことを猛烈に後悔していた。
天井にキラキラと輝くシャンデリアが下がった豪勢な客間で、いかにも高そうな革張りのソファに座らせられたら誰だって萎縮するものだ。
いや、萎縮の原因はそれだけでない。むしろこの状況を考えれば、金持ちらしさ溢れる空間よりもこちらが主な要因だと誰もが思うだろう。
裕璃の横には神妙な顔つきをした龍が、そして彼の前には訝しげな表情の萌愛の父親が座っているのだ。もちろん萌愛も、父親の横で同席している。
国を揺るがすほどの力を持った黒城組の当主である龍に迫力を感じるのは当然だが、髪を綺麗にセットし眼光を鋭くさせた萌愛の父親も、龍に負けず劣らずの覇気を放っていた。
裕璃は萌愛からの相談に乗った日の夜、さっそく龍にあらかたの事情を説明した後、どのようにできるのか尋ねた。すると龍は、本人から直接話を聞きたいので会わせろと言ったのだ。
そこで萌愛に連絡を入れ、時間を設け面談をしてる訳なのだが、どうも萌愛はこの一件について他者に話すことを止められていたらしく、ぎくしゃくとした気まずい雰囲気が漂っているのである。
「…ご足労いただきありがとうございます。萌愛から大体のことは伝えたと聞いておりますが、私は貴方がたに手伝っていただくつもりはありません」
「ほう?それはどういった理由で?」
龍は割と寛大な心の持ち主であるので、利益が出ないであろう今回の案件でも快く引き受け時間を割いて此処に来た訳だが、依頼主の父親があまりにも無愛想なので内心では少しばかりの苛立ちを感じていた。
萌愛の父はひと息つくと、冷ややかな眼で話し出した。
「ストーカーがいると言えど、萌愛が外出時にたまに視線を感じる程度のことで、これまでに手紙が送られてきたり話しかけられたり等の直接的な接触はありません。それに、警察は全くの役立たずでしたが、我が社の傘下に探偵業を営む人間がおりまして、その者に数日前から調査させていますので、何も貴方がたを巻き込む必要がないのです」
「しかしお宅の娘さんは裕璃に助けを求めた訳でしょう?何か不安要素があるのではありませんか?」
「大丈夫です。我々で何とかしてみせます。こんなことで借りを作る訳にはいかないのです」
「…さっきから黙って聞いていれば勝手に人のこと決めつけて何なの!?」
ここでずっと大人二人の会話を聞いていた裕璃が、机をバンッと叩きつけて声を上げた。
「あんたの娘とは言え自分とは別の人間でしょ!?何で大丈夫とか勝手に決めつけるわけ!?大丈夫じゃないからボクに相談してきたんでしょ!!!」
突然の剣幕に、萌愛の父はたじろいだ。
まさか大人しく話を聞いていた小柄な少女が急に怒鳴り出すとは思わなかったのだろう。
龍はクスリと笑い、裕璃の援護に出た。
「こればかりは裕璃の言うとおりですな。神林さん、一旦我々に任せてみては?」
そこで、それまで少し怯えたような表情で父親を見ていた萌愛も懇願した。
「お父様、お願いです。家で今雇ってくださっている探偵さん、いまいち信用できないの…たまに言ってることがちぐはぐだったりするし……お願い…」
すると、渋々といった感じで数回頷くと、萌愛の父は龍の目をまっすぐに見つめこう言った。
「…先程は大変失礼致しました。今回の一件、引き受けてくださいますでしょうか」
龍はニヤリと自信ありげな表情で答えた。
「お任せください。ウチの調査員はとても優秀ですよ」
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