ふたり、背中越し。

神奈川雪枝

文字の大きさ
1 / 1

ふたり背中越し

しおりを挟む
馬鹿じゃん、私。
不毛な恋なんて……。

「如月ー。」
「何、中野ちゃん?」
「今日、一緒帰ろうや?」
「分かったぁ~。」

無理して、笑って……。
友達関係が、苦しい。

「如月、話あんねんけど 。」
「んっ、どうしたの中野ちゃん?」
「 真面目な話やねん 。」
「 うん?」
(かっこいいななんて、不謹慎?)

「お前、彼氏居るんやって?」

「 えっ ?」
「橋田から聞いてん。」
(橋田ちゃんはなんてことをしてくれるの?)

「俺と帰って、彼氏怒らんの?」

(それは、遠まわしに私と一緒に帰りたくないって言ってるの?)
(私の被害妄想なだけ ?)

「他校生やからさ 。
 それに、中野ちゃんは友達やもん。
 友達と帰ること怒るような男、こっちから願い下げやし 。」

「 せやな 。」

「真面目な話って、これんことなん?」
「せやで。」
「なんや、むっちゃシビアな顔してたからなんや思ったやん。」
「むちゃくちゃ真面目な話やったやん。」



笑って誤魔化すの、もう何回目かな?
心が痛いよ。
何だか嘘を吐いているみたいで……。

自分の言葉に傷ついて、馬鹿みたい。

友達って、自分から関係決めてる。

私って、本当救いようがない馬鹿だ……。






                            ふ た り 、 背 中 越 し 。







友達っていう関係が長すぎたね。

もっと、素直だったら良かったのにね。


私たち、似たもの同士だから。
惹かれたのに、素直になれないから、いらない涙を我慢してる。

心を苦しめている。


本気じゃない恋を、しているね。





本当は、両思いだったってこと知ったのは、二十代のときだった。
同窓会で、お酒の力もあってか、私たちはへんに素直だった。










「 俺なぁ、お前のこと好きやってんぞぉー。」

「ほんまぁー?
 嬉しいなぁー。」

「嬉しいって、お前男居ったやん。」

「あんなん、向こうから告られただけやもん。」

「嘘やん。」

「ほんま。」

「せやったら、何で付き合ってん?」

「私やって、中野ちゃんのこと好きやってんで。
 せやけど、片思いしてるって聞いてん。
 どうせ報われへん恋やったら、付き合ってしまえ思って……。」

「あほか、お前。
 そんなん、俺直接言うてないやん。」

「せやけどさぁ、信じちゃう年頃やんか。
 十代なんかとくに、噂に振り回されんねん 。」

「俺、告白してたら良かったなぁ。」

「ほんまやで。」

「男居るって聞いただけで、告白する勇気失せたし 。
 十代って、怖いなぁ。」

「せやなぁ。」

「無駄に純情やし 。」

「楽しいけど、変に大人で子供やからなぁ 。」

「今やったら、男おっても告白するもん。」

「今やったら、遊びと恋愛分けれちゃうもんなぁ 。」

「奪ったろ思うし。」

「根こそぎ金吸い尽くしたろ思う。」

「 お前、なんぼ性悪女やねん。」

「そーいう中野ちゃんは、いつまでたっても子供やなぁ 。」

「うっさい、ぼけぇー。」

「ぼけは、あんたやろぉー。」



二人で笑いあった。

好きって感情が無くなったわけじゃない。


けど、やっぱり素直になれないんだ。


言い訳ばっかり……。










恋人になれなくても、一生涯の友達でもいいかななんて思ってしまうのは、弱い私のズルイ妥協。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

婚約破棄? あら、それって何時からでしたっけ

松本雀
恋愛
――午前十時、王都某所。 エマ=ベルフィールド嬢は、目覚めと共に察した。 「…………やらかしましたわね?」 ◆ 婚約破棄お披露目パーティーを寝過ごした令嬢がいた。 目を覚ましたときには王子が困惑し、貴族たちは騒然、そしてエマ嬢の口から放たれたのは伝説の一言―― 「婚約破棄されに来ましたわ!」 この事件を皮切りに、彼女は悪役令嬢の星として注目され、次々と舞い込む求婚と、空回る王子の再アタックに悩まされることになる。 これは、とある寝坊令嬢の名言と昼寝と誤解に満ちた優雅なる騒動録である。

別れ話

はるきりょう
恋愛
別れ話をする男女の話

貴方が望むなら死んであげる。でも、後に何があっても、後悔しないで。

四季
恋愛
私は人の本心を読むことができる。 だから婚約者が私に「死んでほしい」と思っていることも知っている。

【完】はしたないですけど言わせてください……ざまぁみろ!

咲貴
恋愛
招かれてもいないお茶会に現れた妹。 あぁ、貴女が着ているドレスは……。

あなたへの恋心を消し去りました

恋愛
 私には両親に決められた素敵な婚約者がいる。  私は彼のことが大好き。少し顔を見るだけで幸せな気持ちになる。  だけど、彼には私の気持ちが重いみたい。  今、彼には憧れの人がいる。その人は大人びた雰囲気をもつ二つ上の先輩。  彼は心は自由でいたい言っていた。  その女性と話す時、私には見せない楽しそうな笑顔を向ける貴方を見て、胸が張り裂けそうになる。  友人たちは言う。お互いに干渉しない割り切った夫婦のほうが気が楽だって……。  だから私は彼が自由になれるように、魔女にこの激しい気持ちを封印してもらったの。 ※このお話はハッピーエンドではありません。 ※短いお話でサクサクと進めたいと思います。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました

あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。 そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。 平民出身のヒロインの「善意」、 王太子の「優しさ」、 そしてそれらが生み出す無数の歪み。 感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。 やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。 それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。 なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。 これは、 「断罪される側」が最後まで正しかった物語。 そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。

処理中です...