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1.理不尽な世界へようこそ
Stay Home
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ーー目が覚めると、そこはっ!!
白色で統一された家具が置かれているだだっ広い部屋の奥で俺はベッドの上に寝かされていた。
よく見覚えのあるそこは、以前一緒に住んでいたミナトの部屋に間違いなかった。
またここに戻ってきたのか~。現実逃避をしたくなって二度寝しようと布団に潜り込んだ。
しかし、なかなか枕の居心地が悪い。なんというか、こう、首のとこに違和感が……
んっ!?なんだこれはっ!?
手を首に近づけて気付く。艶やかな革の感触と冷たい金具。
そう、俺は首輪を付けられていた。
どうにかして取ろうと試みたが、錠前が前に付いているせいで上手く外すことが出来なかった。
これを付けた犯人は一人しかいない。久世ミナトだ。
幸いにも今はこの部屋にいないようだ。あいつはこの地区の長だから、今頃多忙に追われているのだろう。
ここを出るチャンスを逃してはいけないと思い、気合を入れて起き上がることにした。
昨日、嗅がされてしまった薬品がまだ体内に残っているのだろうか。
まだ少しふわふわしている感じがする。
ベッドから降りて歩くとソファの中央に俺の黒猫のバディ、クロがいた。
天窓から明るい陽射しが入ってきて、温かいぬくもりを感じているのだろう。
とても気持ちよさそうに眠っているが、赤色の首輪を付けられてしまっている。
なんて悪趣味なんだっ。もしかして俺が付けられているのと同じものなんだろうかと考えてしまう。
そっと抱き上げて部屋の扉に向かう。
ここから出ようとしてドアノブに手をかけて押したが、扉が少ししか開かない。
何か奥につっかえているのかと思い薄い隙間をのぞき込むと、
「グルルルル、グアアアアオオオ」
「ひえっ!!」
獣の鳴き声が聞こえて、後ろに尻餅をついてしまった。
抱いていたクロも飛び上がって、ベッドの下に引きこもってしまった。
心臓がバクバクと鳴っている。
呼吸を整えながら、一旦ソファに腰をおとすことにした。
あれはミナトのバディであるライオンのレオだ。
あんな獰猛な獅子をどうやって飼い馴らしているのか疑問に残るが、
今は退路を断たれてしまった事による失望の方が大きい。
きっと俺をここから出さないように見張らせているんだ。
あんな獣に俺はどうする事もできないし、俺はここに居るしかないのか……
何もすることが無いので、どうしてこうなってしまったのか振り返ろう。
その間に、ここを抜け出すための良案が思いつくかも。
そういえば、ここに来る前、俺はやっと大学受験を終えて入学までの日々を謳歌していたんだ。
友達に誘われて、肝試しに神社に行ったのがまずかったんだろうなぁ。
不法侵入になるだろうし、罰が当たっても仕方ないか。
そういえば、俺が誘った親友の総は元気にしているだろうか。
あまり乗り気じゃなかったのに、俺が無理やり連れだしたせいで、迷惑をかけてしまったはずだ。
俺が突然消えてしまったせいで、誘拐犯とかにされなければいいのだけど。
はあ……、いつになったら元の世界に戻れるんだろう。
ーーいつか出会うそのためにーー
白色で統一された家具が置かれているだだっ広い部屋の奥で俺はベッドの上に寝かされていた。
よく見覚えのあるそこは、以前一緒に住んでいたミナトの部屋に間違いなかった。
またここに戻ってきたのか~。現実逃避をしたくなって二度寝しようと布団に潜り込んだ。
しかし、なかなか枕の居心地が悪い。なんというか、こう、首のとこに違和感が……
んっ!?なんだこれはっ!?
手を首に近づけて気付く。艶やかな革の感触と冷たい金具。
そう、俺は首輪を付けられていた。
どうにかして取ろうと試みたが、錠前が前に付いているせいで上手く外すことが出来なかった。
これを付けた犯人は一人しかいない。久世ミナトだ。
幸いにも今はこの部屋にいないようだ。あいつはこの地区の長だから、今頃多忙に追われているのだろう。
ここを出るチャンスを逃してはいけないと思い、気合を入れて起き上がることにした。
昨日、嗅がされてしまった薬品がまだ体内に残っているのだろうか。
まだ少しふわふわしている感じがする。
ベッドから降りて歩くとソファの中央に俺の黒猫のバディ、クロがいた。
天窓から明るい陽射しが入ってきて、温かいぬくもりを感じているのだろう。
とても気持ちよさそうに眠っているが、赤色の首輪を付けられてしまっている。
なんて悪趣味なんだっ。もしかして俺が付けられているのと同じものなんだろうかと考えてしまう。
そっと抱き上げて部屋の扉に向かう。
ここから出ようとしてドアノブに手をかけて押したが、扉が少ししか開かない。
何か奥につっかえているのかと思い薄い隙間をのぞき込むと、
「グルルルル、グアアアアオオオ」
「ひえっ!!」
獣の鳴き声が聞こえて、後ろに尻餅をついてしまった。
抱いていたクロも飛び上がって、ベッドの下に引きこもってしまった。
心臓がバクバクと鳴っている。
呼吸を整えながら、一旦ソファに腰をおとすことにした。
あれはミナトのバディであるライオンのレオだ。
あんな獰猛な獅子をどうやって飼い馴らしているのか疑問に残るが、
今は退路を断たれてしまった事による失望の方が大きい。
きっと俺をここから出さないように見張らせているんだ。
あんな獣に俺はどうする事もできないし、俺はここに居るしかないのか……
何もすることが無いので、どうしてこうなってしまったのか振り返ろう。
その間に、ここを抜け出すための良案が思いつくかも。
そういえば、ここに来る前、俺はやっと大学受験を終えて入学までの日々を謳歌していたんだ。
友達に誘われて、肝試しに神社に行ったのがまずかったんだろうなぁ。
不法侵入になるだろうし、罰が当たっても仕方ないか。
そういえば、俺が誘った親友の総は元気にしているだろうか。
あまり乗り気じゃなかったのに、俺が無理やり連れだしたせいで、迷惑をかけてしまったはずだ。
俺が突然消えてしまったせいで、誘拐犯とかにされなければいいのだけど。
はあ……、いつになったら元の世界に戻れるんだろう。
ーーいつか出会うそのためにーー
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