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2.動き出す歯車
おさないで
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ヒデトに連れられて来たそこは多くの人で賑わっていた。
中には背中から翼をはやし、空中で話し合っている人もいる。
本当に空を飛べるんだなー、すげー!!
俺も少しくらいなら、飛んでみたいかも。
「なあ、あれどうやって飛んでるの?」
「余所見をすると危ないですよ。
飛行もバディから授けられる能力です。
鳥類のバディをお持ちの方が多いですね。」
「えっ、それじゃあ、ヒデトも?」
「はい。私のバディは鷹なので、もちろん飛行可能ですよ。
また今度、お見せいたしますね。」
「いいなー、空飛べるのうらやましー」
「もし空を飛びたいなら、私がお連れすることも可能ですよ?落ちないようにしっかりと隙間なく抱いて差し上げます。」
その言葉を聞いて、俺の空を飛ぶ計画が儚くも散ってしまった。
「遠慮させていただきます……」
「ふふ。さて、いくつか買うものもありますので、私の傍から離れないように。」
奈緒は人混みの中、ヒデトを見失わないように、懸命にそのあとについていく。
表通りを五分ほど歩いたところでヒデトは立ち止った。
ここが最初の目的地のようだ。
俺の世界でいう、花屋さんみたいなもので、
あらゆる植物が並んでいる。
たまに、風もないのに、うにょうにょと動いているものもあるが、
怖いので近寄らないでおこう。
ヒデトは俺にこの店から出ないように釘をさして、店の奥にいる店主に話しかけている。
元から話をつけていたようで、すぐに商品を受け取って戻ってきた。
「支払いはしなくていいの?」
「特に手続きはありません。ああ、そうでした。
昔は貨幣制度でしたね。今では豊かになって、
最低限度の暮らしは誰にでも保障されています。
その分、身分が高くなるほど、様々なサービスを利用することができる事になっているんですよ。」
「ヘぇー、その場合、俺はどうなるの?」
「奈緒様は、ミナト様のお客人ですからね。
住民たちとは異なり、仮の扱いとして、
不便は無いようなシステムになっておりますが、
何かのサービスを利用する度にミナト様に通知が行くようになっております。」
「げっ、それってどこに逃げても足がつくって事じゃん。
だから、あの時、簡単に見つかったのかー。」
「そうですね、ミナト様はこの情報は特に必要ないと判断して、お教えしていなかったのでしょう。」
「ふーん、次から気をつけようっとー。
俺に隠してたなんてひどい奴ー。」
「まあ、ミナト様はあなたにご執心のようなので、
どこへ行っても、その制度を使う暇はないでしょうね。」
「それは、それでなんかやだな。」
ヒデトと話し合いながら次の店へと向かう。
長刀のようなものから、鋭利な極小の針まである。
何に使うのか不明だが、刃がついた道具を見繕っていた。
先ほどと同様に、すぐに手続きが済んだようだ。
「さて、用事は済みました。
奈緒さん、何か欲しいものはありますか?
大人しくして頂いたのでご褒美に何か差し上げましょう。」
「えっ!いいの!?
実はあのキラキラしているお店が気になってたんだよね。」
「かしこまりました。では向かいましょう。」
そういって、ヒデトは俺に手を差し伸べてくる。
俺は、見た事が無い物でいっぱいで少し興奮していたのもあり、
無意識にその延ばされた手のひらに自分の手を重ね合わせた。
少し冷たいその手には、今までどれほどの苦労があったのか、
治っても消えない傷跡で柔らかいとはいえないものだったが、
この広い世界で、俺はその手に頼もしさを感じたのだった。
――そのぬくもりにすがりたい――
中には背中から翼をはやし、空中で話し合っている人もいる。
本当に空を飛べるんだなー、すげー!!
俺も少しくらいなら、飛んでみたいかも。
「なあ、あれどうやって飛んでるの?」
「余所見をすると危ないですよ。
飛行もバディから授けられる能力です。
鳥類のバディをお持ちの方が多いですね。」
「えっ、それじゃあ、ヒデトも?」
「はい。私のバディは鷹なので、もちろん飛行可能ですよ。
また今度、お見せいたしますね。」
「いいなー、空飛べるのうらやましー」
「もし空を飛びたいなら、私がお連れすることも可能ですよ?落ちないようにしっかりと隙間なく抱いて差し上げます。」
その言葉を聞いて、俺の空を飛ぶ計画が儚くも散ってしまった。
「遠慮させていただきます……」
「ふふ。さて、いくつか買うものもありますので、私の傍から離れないように。」
奈緒は人混みの中、ヒデトを見失わないように、懸命にそのあとについていく。
表通りを五分ほど歩いたところでヒデトは立ち止った。
ここが最初の目的地のようだ。
俺の世界でいう、花屋さんみたいなもので、
あらゆる植物が並んでいる。
たまに、風もないのに、うにょうにょと動いているものもあるが、
怖いので近寄らないでおこう。
ヒデトは俺にこの店から出ないように釘をさして、店の奥にいる店主に話しかけている。
元から話をつけていたようで、すぐに商品を受け取って戻ってきた。
「支払いはしなくていいの?」
「特に手続きはありません。ああ、そうでした。
昔は貨幣制度でしたね。今では豊かになって、
最低限度の暮らしは誰にでも保障されています。
その分、身分が高くなるほど、様々なサービスを利用することができる事になっているんですよ。」
「ヘぇー、その場合、俺はどうなるの?」
「奈緒様は、ミナト様のお客人ですからね。
住民たちとは異なり、仮の扱いとして、
不便は無いようなシステムになっておりますが、
何かのサービスを利用する度にミナト様に通知が行くようになっております。」
「げっ、それってどこに逃げても足がつくって事じゃん。
だから、あの時、簡単に見つかったのかー。」
「そうですね、ミナト様はこの情報は特に必要ないと判断して、お教えしていなかったのでしょう。」
「ふーん、次から気をつけようっとー。
俺に隠してたなんてひどい奴ー。」
「まあ、ミナト様はあなたにご執心のようなので、
どこへ行っても、その制度を使う暇はないでしょうね。」
「それは、それでなんかやだな。」
ヒデトと話し合いながら次の店へと向かう。
長刀のようなものから、鋭利な極小の針まである。
何に使うのか不明だが、刃がついた道具を見繕っていた。
先ほどと同様に、すぐに手続きが済んだようだ。
「さて、用事は済みました。
奈緒さん、何か欲しいものはありますか?
大人しくして頂いたのでご褒美に何か差し上げましょう。」
「えっ!いいの!?
実はあのキラキラしているお店が気になってたんだよね。」
「かしこまりました。では向かいましょう。」
そういって、ヒデトは俺に手を差し伸べてくる。
俺は、見た事が無い物でいっぱいで少し興奮していたのもあり、
無意識にその延ばされた手のひらに自分の手を重ね合わせた。
少し冷たいその手には、今までどれほどの苦労があったのか、
治っても消えない傷跡で柔らかいとはいえないものだったが、
この広い世界で、俺はその手に頼もしさを感じたのだった。
――そのぬくもりにすがりたい――
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