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5.光と闇
飢えても
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――少し時を遡った第三地区――
地区長であるミナトは仕事部屋で、第七地区への調査に向かうヒデトを見送った直後である。
心から深く愛する者を、自ら助けに行けないという焦れったさを感じていた。
心なしか獅子のバディであるレオも退屈そうで、そのうえ隠しきれていない寂寥感が漂っている気がする。
「……はあ。」
ヒデトを見習って少し俺も冷静になろう。
彼は今も休む間もなく、俺の片腕として働いてくれている。
早速、第七地区へと飛び立って行ったが、大丈夫なのだろうか。
確か、昔からゲート酔いが酷かったような……?
1人でも対応できていればいいんだが。
どれだけ下っ端の部下がいようとも、この調査は信頼のおける者にしか頼めない。
地区も跨るし、柔軟な判断力と行動力が必要とされるからである。
何かあった時でも、ミナトの意に沿うように対処できるのは、一番近くの地位にいるヒデトが最適だと言える。
今回はとりあえず、不審者の身元が第七地区である事を突き止めたが、果たして何が起こっているのか。
物事の核心に迫るような緊迫感が生じる。
そして、一番気にかかることは、奈緒の事だ。
今じゃ、原因不明の能力によって目を覚まさずに第四地区へと送られてしまった。
あの時に起きた事件の事を考えると、一番怪しかったのはあの不審者の筈だ。
あいつが、何かの能力を奈緒に付与したのか……?
そんな余裕は無さそうに見えたのが、少し引っかかる。
他には、あの場には奈緒が助けようとした銀髪の少年が居たが、彼は意識を失っていたし、何も出来なかったはずだ。
今、悩んでいても、先には進まない。
この件は、やはりヒデトに任せて少しでも進展することを願う。
眠ったままの奈緒は、それはそれで可愛いが、やはり何か物足りない。
愛する覚悟は十分にあるが、愛されない哀しみがある事も知っている。
俺が奈緒を幸せに導きたいと、いつの間にか思うようになっていたんだ。
奈緒をこの手で抱きしめるまでに、やっておかなければならない事はいくつもある。
俺は、重たい腰を浮かして、席を立つことにした。
「……やるかぁー。」
手始めに部隊の再編をしよう。
この地域は住民が平和に暮らせることを前提としているし、遊技場もいくつもある。
他の地域でも、それぞれの特徴を活かしてその地区を発展させている。
地区の発展は、そこの地区長の手に掛かっているから、一度崩れれば格好の的にされて他の組織に乗っ取られてもおかしくない。
だから、俺はここから離れられないし、地区の長としての役割を果たさなければならない。
それに俺がこの役目を負っているのも、あの契約が関係してるしなー。
とにかく、一刻も早く、身元を固める必要がある。
これ以上、不穏分子が入らないように。
俺たちの平和が遠のかないように―――。
―――奈緒への愛は今もここに―――
地区長であるミナトは仕事部屋で、第七地区への調査に向かうヒデトを見送った直後である。
心から深く愛する者を、自ら助けに行けないという焦れったさを感じていた。
心なしか獅子のバディであるレオも退屈そうで、そのうえ隠しきれていない寂寥感が漂っている気がする。
「……はあ。」
ヒデトを見習って少し俺も冷静になろう。
彼は今も休む間もなく、俺の片腕として働いてくれている。
早速、第七地区へと飛び立って行ったが、大丈夫なのだろうか。
確か、昔からゲート酔いが酷かったような……?
1人でも対応できていればいいんだが。
どれだけ下っ端の部下がいようとも、この調査は信頼のおける者にしか頼めない。
地区も跨るし、柔軟な判断力と行動力が必要とされるからである。
何かあった時でも、ミナトの意に沿うように対処できるのは、一番近くの地位にいるヒデトが最適だと言える。
今回はとりあえず、不審者の身元が第七地区である事を突き止めたが、果たして何が起こっているのか。
物事の核心に迫るような緊迫感が生じる。
そして、一番気にかかることは、奈緒の事だ。
今じゃ、原因不明の能力によって目を覚まさずに第四地区へと送られてしまった。
あの時に起きた事件の事を考えると、一番怪しかったのはあの不審者の筈だ。
あいつが、何かの能力を奈緒に付与したのか……?
そんな余裕は無さそうに見えたのが、少し引っかかる。
他には、あの場には奈緒が助けようとした銀髪の少年が居たが、彼は意識を失っていたし、何も出来なかったはずだ。
今、悩んでいても、先には進まない。
この件は、やはりヒデトに任せて少しでも進展することを願う。
眠ったままの奈緒は、それはそれで可愛いが、やはり何か物足りない。
愛する覚悟は十分にあるが、愛されない哀しみがある事も知っている。
俺が奈緒を幸せに導きたいと、いつの間にか思うようになっていたんだ。
奈緒をこの手で抱きしめるまでに、やっておかなければならない事はいくつもある。
俺は、重たい腰を浮かして、席を立つことにした。
「……やるかぁー。」
手始めに部隊の再編をしよう。
この地域は住民が平和に暮らせることを前提としているし、遊技場もいくつもある。
他の地域でも、それぞれの特徴を活かしてその地区を発展させている。
地区の発展は、そこの地区長の手に掛かっているから、一度崩れれば格好の的にされて他の組織に乗っ取られてもおかしくない。
だから、俺はここから離れられないし、地区の長としての役割を果たさなければならない。
それに俺がこの役目を負っているのも、あの契約が関係してるしなー。
とにかく、一刻も早く、身元を固める必要がある。
これ以上、不穏分子が入らないように。
俺たちの平和が遠のかないように―――。
―――奈緒への愛は今もここに―――
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