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5.光と闇
再編
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第三地区の統治下では、地区長の号令によって臨時の部隊再編が行われていた。
ある者は旧友との再会に喜び、ある者は別離を悲しむ。
ある者は地位が上がったことに感謝し、ある者は剥奪されたことに嘆いた。
別に定期異動の時期でも無いのに、突拍子もなく行われた組織改革には誰もが驚いた。
実はそれだけではなかった。
彼らの中に、ある噂が流れ出したのだ。
”地区長直属の新たな部隊ができた。”と陰ながら囁かれているだそうだ。
もちろん、火のないところには煙は立たないと言うように、そこには必ず訳がある。
たとえ仲間であっても、どの部署へ移動になったのかを言えない者が一定数現れたり、長が自ら個人面談に顔を出されたという通常では起こらない事が幾つもあったらしい。
何を目的とした部署なのかは伏せられていて不明なのだが、噂によって様々な説があるようだ。
長の婚約者探しであったり、もうじき起こる紛争に対する備えとか、他にも組織内での派閥争いへの牽制とか根も葉もない噂ばかりだ。
今も廊下の端で集まって談笑している女性たちもきっとその話で盛り上がっている所なのだろう。
ミナトはそんな彼女らが見えても気にも留めない。
むしろ、彼女たちの方がミナトに気付くと熱い視線を投げかける程だ。
ミナトの容姿は、控えめに言っても端麗で、太陽の下ではその猫っ毛の赤茶髪が明るく輝いている。
すらっとした高身長な体系でも、よく見るとバランスの良い筋肉が裾からちらりと見えたりもする。
そして、猫のような大きな瞳には冷ややかな冷徹さを孕んでいる。
ミナトは数日かけて、この大きな仕事をやり遂げて、ヒデトの帰りを今か今かと待ち侘びていた。
この大きな改革で、怪しい者達を炙り出す事が出来た。
それに、万が一、まだ排除できていない不穏分子が残っていたとしてもランダムな場所異動ですぐに行動を移す事は難しいだろう。
一時凌ぎではあるが、やれる事はやった。
特に、奈緒を守る為の部隊を編成する事が出来たのは良い収穫と言えるだろう。
今は誰に文句を言われても知るもんか。
同じ失敗は二度としたくない。
愛する者を失うなんて、万が一にもあってはならない。
いつものように、他の業務に追われていると俺にある手紙が届けられた。
手紙が来るという事は、地区外からの連絡だ。
やっと、待ちに待った知らせなのだ。
ヒデトが何かの情報を掴んだのかもしれない。
少し期待して封を開けて差出人を確認した。
なんと、第四地区からの知らせだった。
そこに記されていたのは、奈緒が目を醒まして退院したとの事だった。
ミナトは目を見張った。
嘘だろ。これは一体、いつの話だっ!?
もし退院したとしたら、既にここに到着してる筈だ。
そもそもなんで一人で出たんだよっ!!
奈緒はまだ他の地区へとまともに旅行した事も無いのに。
一人で帰れる筈がない……。
もしかして、第四地区の者が勝手に放り出したのか?!
確かに、こちらの事情の詳細は話してないが、そんな対応をされたら黙ってはいられない。
急いで奈緒を捜さなければ!!
第四地区の者にも、事の顛末を聞かせて貰わなければ、納得が出来ない。
第四地区では、紛争はご法度とされている。
しかし、話を聴くくらいなら許されるだろう。
ミナトは早速、例の部隊を招集した。
そして、ミナトはこの第三地区から離れられないため、第四地区の責任者をこの場に招待する事にした。
いくら、なんでも長の誘いを無下に断ることはできないだろう。
奈緒が目覚めたという朗報だけが、今のミナトの心の支えである。
ーーー待ってて、すぐに見つけ出すよーーー
ある者は旧友との再会に喜び、ある者は別離を悲しむ。
ある者は地位が上がったことに感謝し、ある者は剥奪されたことに嘆いた。
別に定期異動の時期でも無いのに、突拍子もなく行われた組織改革には誰もが驚いた。
実はそれだけではなかった。
彼らの中に、ある噂が流れ出したのだ。
”地区長直属の新たな部隊ができた。”と陰ながら囁かれているだそうだ。
もちろん、火のないところには煙は立たないと言うように、そこには必ず訳がある。
たとえ仲間であっても、どの部署へ移動になったのかを言えない者が一定数現れたり、長が自ら個人面談に顔を出されたという通常では起こらない事が幾つもあったらしい。
何を目的とした部署なのかは伏せられていて不明なのだが、噂によって様々な説があるようだ。
長の婚約者探しであったり、もうじき起こる紛争に対する備えとか、他にも組織内での派閥争いへの牽制とか根も葉もない噂ばかりだ。
今も廊下の端で集まって談笑している女性たちもきっとその話で盛り上がっている所なのだろう。
ミナトはそんな彼女らが見えても気にも留めない。
むしろ、彼女たちの方がミナトに気付くと熱い視線を投げかける程だ。
ミナトの容姿は、控えめに言っても端麗で、太陽の下ではその猫っ毛の赤茶髪が明るく輝いている。
すらっとした高身長な体系でも、よく見るとバランスの良い筋肉が裾からちらりと見えたりもする。
そして、猫のような大きな瞳には冷ややかな冷徹さを孕んでいる。
ミナトは数日かけて、この大きな仕事をやり遂げて、ヒデトの帰りを今か今かと待ち侘びていた。
この大きな改革で、怪しい者達を炙り出す事が出来た。
それに、万が一、まだ排除できていない不穏分子が残っていたとしてもランダムな場所異動ですぐに行動を移す事は難しいだろう。
一時凌ぎではあるが、やれる事はやった。
特に、奈緒を守る為の部隊を編成する事が出来たのは良い収穫と言えるだろう。
今は誰に文句を言われても知るもんか。
同じ失敗は二度としたくない。
愛する者を失うなんて、万が一にもあってはならない。
いつものように、他の業務に追われていると俺にある手紙が届けられた。
手紙が来るという事は、地区外からの連絡だ。
やっと、待ちに待った知らせなのだ。
ヒデトが何かの情報を掴んだのかもしれない。
少し期待して封を開けて差出人を確認した。
なんと、第四地区からの知らせだった。
そこに記されていたのは、奈緒が目を醒まして退院したとの事だった。
ミナトは目を見張った。
嘘だろ。これは一体、いつの話だっ!?
もし退院したとしたら、既にここに到着してる筈だ。
そもそもなんで一人で出たんだよっ!!
奈緒はまだ他の地区へとまともに旅行した事も無いのに。
一人で帰れる筈がない……。
もしかして、第四地区の者が勝手に放り出したのか?!
確かに、こちらの事情の詳細は話してないが、そんな対応をされたら黙ってはいられない。
急いで奈緒を捜さなければ!!
第四地区の者にも、事の顛末を聞かせて貰わなければ、納得が出来ない。
第四地区では、紛争はご法度とされている。
しかし、話を聴くくらいなら許されるだろう。
ミナトは早速、例の部隊を招集した。
そして、ミナトはこの第三地区から離れられないため、第四地区の責任者をこの場に招待する事にした。
いくら、なんでも長の誘いを無下に断ることはできないだろう。
奈緒が目覚めたという朗報だけが、今のミナトの心の支えである。
ーーー待ってて、すぐに見つけ出すよーーー
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