-にゃんでどうしてこうなった世界-

もちもちもふぃ

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5.光と闇

すれ違い

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ヒデトは自分のバディである鷹の頭をかいてやると、鷹は気持ちよさそうに首を竦めて目を閉じた。

あれから、第七地区の長である王様に大分振り回されて、よく分からないパーティーに参加させられていた。

華麗なドレスに身を包んだ貴婦人方はどんなにこちらが冷たい対応をしてもしつこく話しかけてくる。

あしらうのにも疲れて、人気の無いテラスへと逃げてきた所だ。

陛下に見つかれば、またすぐに会場に呼び戻されるのだろう。
早くこの国から去ってしまいたい。
しかし、不審者についての情報は、未だ得られていなかった。

第七地区の者に間違いはなく、不審者が発言していた主人という黒幕は一体誰なのか。

今回の一件は地域間を跨いでの事だ。
余程の力が無いとできないはずだ。

1番怪しいのは権力も持っているあの陛下なのだが……。
確たる証拠を見つける事ができずにいる。

奈緒様、無事だといいのですが……。
遠く彼方へとヒデトは思いを馳せて、月を眺めた。

鷹は飛び立ち、自由に夜空を滑空する。

そういえば、陛下との謁見が終わった後、廊下で珍しく若い青年とすれ違った事をふと思い出した。

陛下に呼ばれるなんてどこかの貴族の息子だろう。
丁度、奈緒様と同じ年齢ぐらいだった。
もし、私もあれくらいなら、もっと打ち解けられたのだろうか。

無事に何もかも元に戻って、またゆっくりとお買い物にでもお連れしたい。

希望を胸に抱き、ヒデトはテラスを後にして光の中へと舞い戻って行った。ーーー

   ~.。・。.~

ミナトの統括する第三地区では珍しく、来客が訪問していた。

第四地区の者達は、突然の事態に冷や汗を流しながら、腰を低くして終始背を丸めている。

彼らの到着を知ったミナトは足早に応接室へと向かった。
既に、無事に部下の案内で、彼らは揃って椅子に座っていた。

ミナトが扉を開けて入ると、彼らは勢いよく立ち上がり深いお辞儀をした。

「第三の長様っ……!」

「挨拶はいい、そこに座って。」

ミナトは彼らの前の椅子に腰をかけた。

「で、わざわざ来てもらって悪いんだけど。
率直に聞かせてもらうね。
俺の奈緒はどこ?」

第四地区の管理者の者はお互いに顔を見合わした。

「だからー、この前そっちに送られた藤沢奈緒をどこに隠してるのって聞いてるんだけどっ!
俺が保護者で、奈緒はまだ戻ってこない。
これがどーいう事だか分かってる?」

「えー……、私共と致しましても……。
彼はその、自ら退院したという事で。
そのように、判断しております。」

「はぁ?患者が勝手に言い訳ないでしょ?
本当は何か隠してるんじゃないの?」

「いいえっ、そんなっ……
めっそうもない……。」

「ふーん……。
俺は奈緒が帰ってくるまで許せないんだけど。
第四で患者が失踪したって他の地区が聞いたらどう思うかなー?
ついでに、人体実験してるなんて話も流してさぁ。」

第四地区の者達の顔色が、一瞬で変わった。
さっきとは打って変わり、焦りの表情が見える。

「お、おどすつもりですかっ!?
我々は平和協定を結んでいるはずですぞっ」

「そんなの、信頼あってこそでしょ?
無くなれば一瞬の事。
さー、どーするの?」

「わ、分かりましたっ!
こちらでも、最大限の努力はさせて頂きますからっ。」

「ほんとにー?
嘘ついたら能力で分っちゃうから。
ちゃんと正直に言ったほうが身のためだよ。」

「は、はぃ……。」

「じゃあ、最初から教えて。
搬送されてからの事を、全て。」

話が長くなる事を見越して、部下の1人が飲み物のお代わりを持ってきてくれた。

細やかな気遣いは、奈緒を思い出す。
ちょっとしたことでも、良く気が付く俺の愛しい人。

俺から彼を取り上げようとするなんて許さない。
全力を尽くしてでも取り返す。

たとえ、争いになっても。
俺は君を守るよ。




ーーー黒猫1匹さえ見つからずーーー
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