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しおりを挟むそもそもの話し、私の生まれ育った帝国と、第一王子の生まれ育った王国では国力が違いすぎる。
ここガーランド帝国は、六つの国と十三の部族とで成っており、その全てを支配し頂点に君臨するのが私の父であるガーランド帝国第十三皇帝シーバルト陛下である。
一方の彼の王国は、国土は広いが軍事面が強いという訳ではなく国益も農畜産物で得ているカタルカ王国の第十六国王陛下。
歴史だけは古く、帝国が領土争いで国土を拡げ国力を付け始めた頃から先んじて帝国と友好国としての縁を結び、数代置きに王国から帝国へと妃を送ることによって友好関係を繋いできた。
そのようにして帝国から火の矛先を向けられぬ様に過ごしてきた国である。
因みに、この友好関係が成されてから帝国から王国へと妃を嫁がせたことは一度もない。
そして、王国からの妃が皇妃となった事も一度もない。
この事から考えても、今回の私の王国への輿入れは、その事自体が大変に大きな意味を持つのだ。
それもこれは、第一とは言えど側妃である第一王子の母親が、我が子を立太子させる為に態々帝国の妃となった彼女の従姉妹まで頼って条約を結ぶことで漸く叶った婚約だった。
正妃ではなく、生家も伯爵位と後ろ盾に弱い側妃が何とか我が子を正妃の子供よりも強い立場に、将来の国王に据える事のできる程の後ろ盾を得るために奔走した結果だった。
今までは送ることしかなかった妃を初めて大国である帝国から迎えるのだから、当然妃は未来の王妃に据えられる。
そうなれば当然その伴侶となる者は国王に。
私は側妃様の執念とも言える強い願いで漸く得た、強い後ろ盾だったのだ。
それを、あの第一王子は自ら不意にするだけでなく、国交問題にまでしてしまった。
自国よりも優位にある国の、それも自分たちから申し出た婚約を息子が勝手に、それも公衆の面前で堂々と破棄したのだから、これが国との軋轢にならない筈がない。
国王はこれを軋轢にせず何とか元の鞘に収まろうと必死であるし、側妃様は息子の失態で最悪命の危機である。
だって事の起こりを正せば側妃様がこの縁談を持ち込まなければ起こらなかった事であるし、こうなった要因は彼女の息子であるのだから。それに立場としても正妃でもなく子も設け終えていて三人の中では最も重要度も低いし。
この責を取らされる可能性が一番高いのは彼女…。
そりゃあ顔色も青くなると言うもの。
そして、相も変わらず何も分かっていないのは、彼女の息子でありこの軋轢を起こした原因でもある第一王子である。
本当に、全くもって顔だけの残念な方だ。
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