オークみたいな俺が転生したらエルフだった件

チェ・キルロイ

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第二話

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"この世界は巨石から産まれた"
あの一件から一夜明けこの世界に入り歴史に疎いと思われた私は一冊の本を読むことを勧められた
どうやら、この惑星の天地創造の書らしい

今から数千万年、数億年前
2つの神が世界を作り出した
原初の魔術師であり魔術神の"シノー"
そして、"巨神ゴウキ"
巨神が岩を混ぜ魔術神が炎によって混沌を生む
そして、混沌から様々な岩が生まれそれぞれに魔術神はルーンを撃ち込み続ける
それにより惑星が生まれゆく
水の惑星が生まれた段階で巨神が裏切る
水の惑星で巨神と魔術神が戦う
戦いは三日三晩続き
お互いにお互いを討ち合い終わった
ゴウキは粉微塵に砕かれ命を落とし
シノーは自らの魔法の杖を胸に突き立てられ命を落とした
ゴウキの血は海を肥やし肉は大陸となった
シノーの血はルーン溜まりとなり
突き立てられた杖は生命樹となった
そして、生命樹が実を結び
その実から新たな神が2人誕生する
女神ウィアと男神ライム
水と大陸の星に生まれた小さな神
星の重力に縛られた神は生命を作り出して往く
まずは育みで
それから創造で
最後には自らの身を削り

作り出された命はその環境の中で増え適応していく
そんな中小さな神は天寿をまっとうする
重力に縛られた神は寿命を持ち
全ての生物はそれに従った
ただ一つ生命樹を除いて
終わり

……よくわからない話だ
大きな神とその下に小さな神が居るということがわかった
あとわかったことがもう一つ
昔聞いたことがあるビッグバン
その概念がこの星にも存在するということぐらいだろう

それにしても、オーランドの蔵書は凄い
私はオーランドの書斎に居る
ここでアナに先程の本を渡され読んでいたところだ
作りのいい革張りの椅子に腰掛けている
私の目の前に本棚が見える
本棚には本がぎっしりとみっちりと詰められ
それが何列も並んでいる
しかも、その本のほとんどが魔導書というのが驚きだ
正確には魔法の使い方に関する本ばかり
オーランドが語るところによると200年前の戦いの際
自分が負けるふりをして転移石でここ…この山まで落ち延びたというのだ
それからは自らの持つ魔術やらを活かしてこの山小屋を作り
8年後には自らの正体を隠し民宿として山小屋を経営していたというのだから驚きだ
そして、昨今の魔術を忘れないために定期的に魔術の書を買い読み漁っていたというわけだ
それにしてもこの書斎に入ってからアナの様子がおかしい
本を見つけては一喜一憂しているのだ
まあ、無理もないか
ここにある本は200年分の蔵書な訳であり
魔術が研究されている間に廃れて忘れ去られた物もありそうなのだから
見聞きしたことのない魔導書を見てしかも好きに触れていいとなればその手の人間にはたまらないだろうなと私は思った

私の前で肉が焼ける
この肉はあの騒ぎのあと何かを思い出したエリーが持ってきた物だ
持ってきたそれはイノシシ
眉間を正確に矢で貫かれたイノシシだ
そいつは木に吊り下げる際にさり気なく頸動脈を裂いて血抜きを応急ではあるが済ませてはある様だ
大きさもそこそこで食いでがありそうなイノシシだった
私はそれを解体し今調理している
塩を振って焼き同じくエリーが取ってきてくれたノビルを一緒に加えて炒める
3日目だか4日目の晩にした記憶を移す転移魔法
それにより彼女はこの辺の野草を覚えた
それからは野生的な勘…
あるいはエルフの能力を活かしてかは分からないが積極的に野草を集めてくれている
おかげでこういったモノの調理もお手の物だ
私は料理を仕上げると
「おーい、二人とも昼だぞー!」
そう、書斎に入った二人を呼ぶ
本探しをアナ…アナスタシアには任せたが如何な物だろうとは思った

「はーい」
私は声にそう返事をします。
扉一枚を隔てて香る美味しそうな匂いがたまりません
「アナ、ご飯だって」
私は先程から目を輝かせながら部屋の中をうろつく彼女にそう声をかけます
「うん分かった先に食べてて」
アナはそう面倒くさそうに言います
「先に…ってもしかしたら食べきっちゃうかもしれないし本ならいつでも探せるでしょう?」
私は呆れてついそう言ってしまいます
「うーん…?それもそっか」
アナはそれを聞いて子首を傾げた後納得した様子で私に付いてきてくれました

昼は猪肉とノビルの炒めものでした
とても美味しくいただくことができました
皿を下げ洗う段になりアナが何かを言い出します
「そういえば、ここより上に集落があったよね」
この山小屋より上に集落があるというのです
「ああ、あのキノコが名産の村か?」
オーランドはそれを聞き当然のようにそう言います
「へえ、あそこってキノコが名産なんだ…」
アナは納得した様に首を縦に振りながらそう言い
「そういえば、あそこに抜いた者は願いを叶えるとかいう剣が刺さってるって聞いたけど」
そう続けます
「なるほど…あそこの洞窟はそういう」
オーランドは腕を組みながら同じように首を縦に振りながら言います
「行ってみたいんだけど」
アナはオーランドを見つめそう言います
「ああいいよ…ただ、遠いぞ」
オーランドは行きたいと言われると読んでそう言います
「大丈夫です。行けます」
アナは強調する様にそう言い返します
「そうか…ところでエリー、お前さんはどうする?」
オーランドは私の方に向き直りそう言います
急に話しかけられ私は驚きます。そして
「え?私ですか?もちろん行きますよ」
そう返すのでした

それから、オーランドは私とアナに背負う鞄…リュックサックを持たせます
中には陶器でできた水筒と革できた水筒が1つづつ入っています
その他に私は弓を担ぎ腰にはいつも通り鞘に収まった山刀を挿します
これは私が山を歩くときのいつもの格好です
アナはリュックサック以外に魔法使いらしく杖を持っています
オーランドの方はリュックを背負った以外はいつも通りの格好です
各々が荷物を持つと
「さて、行こうか」
そう言い私達を連れて外に出て山小屋に鍵を掛けます
そして、山小屋から出て左手の方角
緩やかな上り坂を進んでいくのでした

少し歩き目の前の道が2つに別れ真ん中に道標が刺さっています
そして、この場所は前に来たことを思い出し記憶に間違いがないか
私は道標に近づくと何と書かれているか確認します
←清めの泉 
    野営地→
道標にはその様に書かれており字体もどこか見覚えがあります
「あれ?この字…」
私は呟きます
「私が書いた。泉はこの間入ったあそこだ」
オーランドが道標を確認している私へそう言ってきます
「そうなのですね…ところで、どちらに行くのが正しいのです?」
オーランドが書いた事に少し戸惑いながらも私はそう返し道の方を見ます
泉の方は平坦な道で野営地の方はその逆で鬱蒼としており道標があるからかろうじて道であることが確認できる様な林道です
「野営地の方だ…行くぞ」
オーランドはそう言うと林道の方へと歩いていきます
「えー、この道を歩くの?」
アナが口先を尖らせる様にそう言います
「仕方ないだろう…さあ、行くぞ」
オーランドは少しぶっきらぼうにそう言い歩いていきます
私とアナはそれに付いていくのでした

道なき道とも言える林道を抜ける
途中何度かアナが転びそうになり心配だからとエリーはアナと手をつなぎ一緒に歩いてきてここまで来た
そこは切り立った崖の上
野営地…そう狩猟の時期になると狩人たちがテントを建てて住まう野営地についたのだ
もちろん、この野営地を築いたのも私だ
木を切り払い開けた場所にし
崖岸には転落防止用の柵を組み立て差し込み
各人が使いやすいようにカマドが設置してある
それがこの場所だ
「ここが野営地だ…よーし休憩するぞー!」
私はついてきている少女二人にそう声をかける
「まだつかないの…ヘトヘトだよぉー」
そう声を上げたのは黒色のローブに身を包んだ少女だ
「遠いと言っただろ」
私はそう言わずには居られない
「うー」
黒ローブの少女…アナは悔しそうに唸り切り株に腰掛ける
もう一人の少女。エルフのエリーの方は特に疲れた様子は無いが頬を少し赤く染めている
「エリー、お前さんは大丈夫か?」
私はそれが気になり一応声をかける
「私は平気ですよ」
エリーは至極当然のようにそう返してくる
「その割に頬が赤いが」
私は頬を染めていること以外は平然としているエリーをからかう様そう言った
「これは…その…」
エリーは顔をさらに赤くし言い淀んだ
…そういうことだろうな
私は心の中でそう呟く
「とりあえず、水でも飲もうか」
私は荷物を下ろし中から水筒を取り出す
それに連られ少女らも荷物を下ろし水筒を取り出しはじめる
「その前にちょっとした手品だ…エリー水筒を貸してくれ」
私はそう得意げにエリーにそう言う
不思議そうに水筒を差し出すエリー
「むんっ」
私は彼女の水筒に手を当てると目を閉じ気を送り
「飲んでみてくれ」
また、得意げにそう言う
エリーはまた不思議そうに水筒を戻すと蓋を開ける
そして、一口飲むと同時に目を丸くする
「冷たい…冷たくなってるわ」
そして、水筒から口を離すと驚いた様子でそう言った
「オーランドさん、あたしにもやってくれる?」
それを見ていたアナも好奇心と嬉しさの混じった面持ちと口調で水筒を差し出す
「むんっ」
私はアナの水筒に手を当てまた気を送る
「ありがと」
アナは水筒を開け中の液体を飲んだ
いや、ゴクゴクと飲み干し始める
「プハァ…美味しい」
水筒の中身を飲み干すといい笑顔でそう言うと
「オーランドさん、あたしの分は回復のルーンも入れてくれたでしょ」
笑顔のままそう続ける
「疲れてたみたいだからな…当然さ」
私はそう言った
「ありがと…オーランドさんって優しいよね」
アナは嬉しさをにじませそう言ってくる
「まあ、気にするな…それじゃあ行こうか」
私は荷物を背負い直すとそう言った
「はーい」
そして、少女二人がついてくるのであった

私とオーランド、アナは野営地と呼ばれる場所を抜け大きな道に出ました
そして、その道沿いをしばらく進むと木製の城壁とも言えるものが見えてきます
おそらく、ここがその集落だと私は思います
「この門を抜ければ到着だ」
オーランドが振り返りそう言います
場所はちょうど門の真ん前
その門の前には鎧を着た強そうな衛兵が二人立っています
「ちょっと話を通してくる」
オーランドはそう言い残すと衛兵のもとへと歩いていきます
そして、その衛兵にオーランドが声をかけます
「すまない、入りたいんだが」
衛兵は鋭い目つきでオーランドを一瞥し
「何者だ?」
そう硬く言います
「私はオーランド。この森の方で山小屋の管理をしているものだよ」
そう言っている横では
もう一人の衛兵が矢の様な鋭い目で私とアナを凝視します
一方オーランドに話しかけられた衛兵は
「オーランドさんですねわかりました。今、名簿を持ってきますので少々お持ちを」
その鋭い目つきとは裏腹にどこか形式ぶりながらも丁寧な口調でそう言うと詰め所の方へ歩いていきます
「こちらも問題なしだ」
もう一人の衛兵は大きな声で名簿を取りに行った方へそう声を張り上げ伝えます
それから、私達は衛兵が差し出してきた名簿に署名をします

アナスタシア
オーランド
エレナ

衛兵は名簿に目を通すと
「アナスタシア様とオーランド様とエレナ様ですね…」
と名簿の名前を読み上げ
「どうぞお通りください」
門を開け私達を通してくれるのでした

門を抜けるとそこは思った以上に立派な町でした
様々な食品を扱う出店が軒を連ねる市場
少し大きな酒場らしき建物
そこから道が続き領主のものらしき大きな家もあります
私はこの町を少し歩き回り見てみたいと思います
その思いを知ってか知らずかオーランドは振り返り
「少し観光でもしてくるといい」
町に見惚れている私とアナに小さな皮の袋を渡すと酒場で落ち合おうと言い去っていきました
「どうする?」
「どうしよっか?」
私とアナは顔を見合わせそう言い合います
それから、どちらが行きたいとも言う訳でもなく
気がつけばモールの方へと来ていました
私はモールの一角で焼かれている物に目を奪われます
大きな茶色の笠のキノコを串に刺し塩でじっくり焼かれている
それがとても美味しそうで
私の目はそれに釘付けだったのです
「美味しいキノコの串焼き1本後鉄貨2枚だよ。そこのお嬢さん、一本いかがですか」
キノコを焼いているおじさんがそう声をかけてきます
「あ、ちょっと待ってくださいね」
私は先程渡された革袋を確かめます
中には鈍い色で輝く硬貨が10枚入っています
「すみません、3本ください」
そう言うと硬貨を6枚取り出すとおじさんに手渡します
「まいど!かわいいお嬢ちゃんに免じて1枚お返し」
おじさんは威勢よく硬貨を受け取ると一枚返してくれます
「おまちどうさん」
そして、皿に乗せて串焼きキノコを3本渡してくれます
「ありがとうございます」
私はそれを受け取ると酒場の方へ戻るのでした

集落に付き少女二人に小遣いをやり酒場についた
酒場…正確には行商人ギルドの酒場だ
「おう、オーランドじゃねえか」
酒場につくやいなや酒場の店主に声をかけられる
ここの店主とはある意味での提携関係だから仕方がない
提携…狩猟のシーズンになると山小屋や野営地に狩人たちが泊まる
その狩人たちを斡旋しているのがこの店主なのだ
「一杯やってけよ」
店主は自分の前のバーカウンターをノックしながらそう言う
私はまた仕方がないなと思いカウンター前のスツールに腰を下ろす
「判断が鈍るといけないから酒以外を頼む」
そして、あえて沈痛そうな面持ちでそう言った
「なんでいシケてるな…」
店主はコップに白い液体を入れてくる
「悪ぃ、酒以外で今扱ってんのは水かミルクぐらいなもんでな」
店主は少し意地悪そうにそう言った
「まあ、酒以外なら何でも構わないがな」
私はそう言うとミルクを一口飲み
「美味いなぁ…」
あえてとぼけるようにそう言い返した

それから少しして積もる話でもしようかと思った矢先であった
「オーランドさん居ます?」
少女二人の声が客のいない静かな酒場に響く
私は無言で振り返る
「お客さんかぁ?それにしてもオナゴ二人とはおめえも隅に置けねえな」
振り返り入り口の方へ目をやる私をよそに店主はからかう様にそう言ってくる

そうして、少女二人が私を挟むようにスツールに座る
「両手に花じゃねえかええ、おめえも本当に隅に置けねえな」
店主はいやらしい笑みを浮かべ続けて
「嬢ちゃん方二人もミルクでいいかい?」
そう聞くとコップにミルクを注いで差し出す
「あら、ありがとうございます」
そう言ったのはエルフのエリー
「いただきます」
そう言ったのは残りのアナの方だ
「ところで嬢ちゃん方は何しにここに?」
店主はさり気なくそう聞く
こういう店を営業しているだけあって抜け目がないなと私は感心する
「この集落に伝説の剣があると聞いて来たんです」
アナがそう言う
「伝説の剣…?」
店主はとぼけた様に聞く
「はい、抜ければ願いが叶うって噂の剣です。知ってますか?」
アナは素直にそう訊く
「ああ知ってるよ。地主さんの家の裏の洞窟に刺さってるやつだ」
店主は得意げに答える
「行ってみたいんですよ」
アナは少し興奮気味に食い気味にそう言う
「悪いね、あそこは実は入坑料を取っていてね」
店主はたしなめる様にそう言う
「お金取ってるんですか?!」
アナは驚いた様子でそう言う
「もちろんさ…で、」
「いくらだ」
店主は何かを言いかけるがそれに被せるように私が声を上げる
「言おうとしてたんだがな…」
遮られて少し嫌そうに店主がそう言い
「一人につき金貨1枚。合計で金貨3枚だ」
続けてそう言い切る
アナは値段を聞き唖然とする
「まけてくれないか?」
私は悪あがきのようにそう言うが
「俺とお前の仲で貸し借りがあるからか?」
店主は抜け目なくそう返してくる
「借りのほうが多いから無理か…これで納めてくれ」
もちろん、借りのほうが多いことを承知していたから無理だろうとは読み私は銀貨6枚を出しそう言った
「ちょうどか…嬢ちゃん二人に免じて少し割引だ」
店主は銀貨4枚を取ると残り2枚を返してきた
私はそれを持ち去ろうとすると手を伸ばす
「違う違う、これは嬢ちゃん二人の小遣いだ」
すると店主はムッとしたようにそう言ってくる
私は仕方ないなと思い手を引くと
その手をアナから銀貨へどうぞとやる
「いいんですか?ありがとうございます」
アナは嬉しそうに銀貨を手に取る
そして、エリーにも同じようにする
「すみません。オーランドさん」
エリーも銀貨を手に取り受け取るのであった

それから酒場の店主の口頭説明で洞窟の場所を大まかに教えてもらえたのでした
私はあの店主に少し胡散臭さを感じている
それも、なんというか私とアナを見る目が少し嫌らしかった気がするからです
ですが、言っていることは事実のようで地主の家の裏から道なりに進んだ先に洞窟がありました
昼下がりとはいえ中は薄暗い洞窟
出入り口でオーランドはなにか魔法を唱えます
「(光れ)」
詠唱とともにオーランドの頭の位置くらいに頭の大きさと同じくらいの大きな光の玉が浮かびます
その光に照らされ洞窟の中がどうなっているのかよく分かります
しばらく、道なりの真っ直ぐな洞窟
洞窟の壁にはこの集落の名産品であるキノコを育てるほだ木がところ狭しと立て掛け並べられています。
年中を通して気温が低い洞窟ですがその分強いキノコが育つのでしょうか?私はずらりと並ぶほだ木を見ると不思議な気持ちになります
「エリー、行くぞ」
オーランドにそう声をかけられる
「あ、ごめんなさい。今行きます」
私はオーランドとアナに付いていき歩き真っ直ぐな道の果まで付きます
そこからは洞窟が大きく広がっている様に感じます
「(光よ)」
オーランドはまた魔法を唱えます
するとオーランドの頭の横の光はさらに大きくそして高く舞い上がり小さな太陽の様になり
この広い洞窟の中を照らすのです

光に照らされ私達が立っている場所はから地面はすり鉢状に広がり上の空間もドーム状に広がったとても広い空間であることが分かります
そして、今立っている場所から道が螺旋状に続いているのが見えます
螺旋状の道はこのすり鉢状の地面の底まで続き
底には大きな岩山があり
そこに大きな剣が斜めに突き刺さっているのが見えます
「オーランドさん、あれ!」
私は驚き剣を指差しそう言います
「分かっているよ…行こうか」
そう言うと私達3人は螺旋を下り大きな剣の方へと歩いていくのでした

螺旋を下りきり大きな剣の前に立つ私達一行
剣と聞き直剣ほどの大きさをイメージしていた私は思い切り面を食らってしまいます
そこに突き刺さっている剣は幅が広くとても大きな剣。大剣だったのですから
銀色に鋭く輝く大剣。柄には細かな螺鈿細工が施され
鍔にも細かく色々な装飾が施されています
そして、飾り気のない鋭く綺麗な刀身
見るからにこの剣がただの剣ではないことが分かります
「誰から抜こうか」
アナは興奮気味にそう言います
オーランドは無言で私を手で指し抜くように促してきます
「分かりました…じゃあ、私から」
そう言うと剣の柄を握り引き抜こうとします
しかし、剣はびくともしません
いくら力をこめてもいくらひねり抜こうとしても無駄で
まるで地面に固着しているかのようです
「だめ、びくともしない…とても抜けないよ」
私はその剣が全く抜けないのを驚きそう言います
「じゃあ、次はあたしだね」
アナがそう言うと柄を握ります
そのまま、柄を握りしめたままアナは固まってしまいます
「アナ、大丈夫?」
私が駆け寄ると同時にアナは私に向かって後ろ向きに倒れ込んできます
「アナ!」
私はアナを受け止め驚いてそう叫びます
アナは何も言わずぐったりとしています
「魔力を吸われたか」
オーランドは静かにそう言います
「魔力を…大丈夫なんですか?」
私は心配になりそう言います
「大丈夫、気を失っているだけだ」
オーランドは諭すようにそう言います
「そう…ですか…」
私はアナをそのまま地面に横にしてあげるのでした


「次は私か」
オーランドが柄を握ります
そのまま、軽く手を上に持ち上げると連動するかの様に剣が抜けます
「え?」
私は驚き固まってしまいます
あの抜けないと思っていた剣が抜けたのですから仕方がありません
それも最初から抜けると分かっていたかの様に抜けたのです
それ同時に地震がおきます
ガタガタガタと洞窟の中が揺れます
バリッ
何かが砕け割れるような音がします
よく見ると剣が刺さっていた場所から連なる岩山に割れ目が入っているのです
そして、岩山から黒色の炎が上がり頭の中に声が響いてきます
「フハハハハハハハハ」
笑い声が頭の中にこだまします
「我ノ眠リヲ醒マサセシ者ヨ」
頭の中に声がさらに響き岩山が砕けその下に黒い何かが見えます
「我ハコノ地ニ封印サレシ竜マズ手始メニ貴様ラヲ食ッテヤロウ」
恐ろしい声が響きます
私は弓を構え矢をつがえようとします
それをオーランドが征します
大剣を右手に持ち肩に預け
左手をこちらに向けて何もするなと合図をしてきます
奇妙なことが一つオーランドは笑みを浮かべているのです
まるで親しい友人と久しぶりに会い再会を喜ぶような顔なのです
裏切られたのか?私の頭に不安がよぎります
「久しぶりだな!カーティス!」
オーランドは竜の方へ向き直ると大きな声でそう言います

私は正面を向き何が起こったのか確かめます
先程の岩山が崩れ下から大きな竜が現れたのです
鱗も鬣も翼も全てが黒い異質な竜がそこに降り立って…いや君臨しています
その竜が面をもたげオーランドの前に頭を差し出してきます
「久方ブリデス我ガ友ヨ」
よく見ると竜は先程の恐ろしげな表情と違い
目を閉じとても融和な表情をしています
「オーランドさん?」
私はオーランドに声をかけます
「ああすまない。申し遅れた…こいつはカーティス。魔王軍時代の親友さ」
オーランドは振り向くと少し謝り黒竜を指しそう説明します
「オーランド、コノ小娘達ハ?」
竜は目を開けあの頭に響く声でそう言います
竜の瞳は深い紅色で瞳孔が縦に割れとても綺麗です
「新しくできた友人だよ。一応挨拶」
オーランドはそう言います
「私はエリーです。よろしくお願いします」
そう竜に挨拶します
が異様に緊張しています
「ソウカ、えりートイウノカヨロシク」
頭の中にまた声が響きます
「ところでカーティス…この200年間でお前を人間に戻せる術を知ってたとしたらどうする」
挨拶を終えるとオーランドはカーティスにそう言います
「人間ニ戻レルノカ?」
声が響く
「もちろんだ」
オーランドが答える
「本当ニ人間ニ戻レルノカ?」
今度は驚いた様子で響く
「完璧にな」
オーランドはそう答える
「是非トモ頼厶」
そう声を響かせた竜の目元には涙が浮かびそして零れるのが見えます
涙は雫型の水晶になり地面に転がるのが見えるのでした

「(時よ戻れ)」
オーランドが竜の額に触れると呪文を唱えます
それと同時に竜の足元に灰色の魔法陣が現れそこからノイズのようなものが現れ竜を包んでいきます
そして、ノイズが竜を包み込むと
ノイズの上に大きな時計の文字盤が現れます
その文字盤は針が反時計回りに動き文字通り時を巻き戻しているのでしょう
全ての針が12を指すとノイズが光になり消えてなくなります
そこには一人の男が立っています
生え綺麗な銀髪が生えそこにアクセントの様に生えた対になるに角
深紅で瞳孔が縦に裂けた瞳
八重歯、私の耳とはまた違った尖り方をする耳
どこかミステリアスの雰囲気のいい男がそこに立っているのです
それも、一糸まとわぬ姿で
っっ…
私は恥ずかしく思い目を逸らします
「おお…人間の体になっている俺は人間に」
目を逸らした私をよそに男は歓喜の声を上げる
オーランドの方を見ると異空間から燕尾服を取り出し
それを持ち男の元へ歩いて行くの見えます
「カーティス、とりあえずこれを着ろ」
私は裸を見たくないので視線を逸します
それをよそにオーランドは男に服を渡し着せるのでした
続く
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