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狂王の塔探索 パート6
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「これは見事に切られましたね」
上位アンデッドナイトのエンブレイスに切られたファーニの剣を確認していたダンが言う。
「あ~、やっぱりすぐには直らない?」
「欠けたとかなら直せるかもしれませんが、きれいにすっぱりと切られてしまうと、1回全てを溶かして黒鉄鋼の塊にまで戻さないと無理ですね。戦闘中に刃先だけがすっ飛ぶなんて困りますから」
一部が溶けて、後は割れる様に剣の4分の1から5分の1ぐらいで先端が無くなってしまったファーニの双剣。
「どうしますか? そこらに落ちてる剣でも使います?」
「あ~、う~、今更真っすぐな剣だと、ちょっと使い勝手が変わってきちゃうからなぁ」
斬撃向きにとダンの作ったファーニの剣は曲剣。対して王国で採用されている剣のほとんどは直剣だ。アンデッドナイト達も全員が直剣を使っている。ダンはその剣を使ってみるかと問いかけたのだが、ファーニは自分の剣の感覚と違う剣を使うことに難色を示した。
今までの自分の剣術にあった剣を使いたい。だが今はダンジョンに挑んでいる最中なので、自分のわがままで1人の戦力として攻撃手段を無くすことも抵抗がある。
最悪はダンに鍛えられた格闘術で戦うか? とも考えていた。
そんな悩むファーニを置いておいて、ダンはアンデッドナイトの剣を拾い上げると、その剣を眺めて見た。さらに武器ポーチから武器ではないハンマーを取り出してコンコンと剣を叩き始めた。
やがて「うん、これなら」と言って、更にもう一本を拾い上げると通路に腰を下ろす。
他のメンバーも残存した敵が居ないかの索敵から帰ってくると、十字路に座るダンを見つけた。
「え? ダンさん、何を?」
突然の行動にファーニがダンへと問いかけるが、ダンは精神を集中させているので耳に入ってこなかった。
精神統一を果たしたダンの体から立ち上る魔力。そしてダンは鍛冶魔法を発動させた。
『鍛冶職人の遊び心』
剣を両手に柄と剣先を持つように持ち上げていたダンを中心に熱波が広がる。
「うわ、あっつ!」
「うええ、一気に熱くなったのだ」
「ダンさんが魔法? これって村の時に見たのと同じかしら?」
ダンは周りの声には反応をせず持っている剣をジッと見つめていると、突然剣を持った手に力を込め始めた。
手前に引くように剣先を引っ張り、逆に柄は空間に固定されているかのようにピクリとも動かない。
そしてある程度剣先を引っ張った姿勢のまま動きを止めると、剣先から手を離して手の平を上に浮かべる。
『山の水飲み場』
ダンの手の平の上、その空間に水の塊が浮かぶと、ダンは持っていた剣をそこに突き入れる。
ジュ! と水の表面がにわかに湧きたつと、一瞬の温度変化だったのか、それが収まった。
全員が呆気に取られている間に、もう一本の剣も同じように処理をするダン。
そして「ふう」と魔力を元に戻すと通路から立ち上がる。2本の曲がりを帯びた元直剣を持って。
軽く何度か振って調子を確かめたダンはファーニへと向き直る。
「とりあえずで申し訳ありませんが、コレでしばらく我慢してもらえますか?」
「え? ええ? ダンさん、今の何!?」
茫然としているファーニへ剣を渡すダンにキョーコが問い詰める様に聞いた。
「ん? 前に僕が使える魔法は『鍛冶魔法』だと言いませんでしたっけ?」
「あ~、なんか聞いた覚えはあるけど。――じゃなくて、コレって『鍛冶』の範囲なの!?」
「は? 何が疑問なのかよく分かりません。僕が受けた教えでは、武器防具を作るのは鍛冶の領分なんですけど?」
「いやいや! あんな飴細工みたいなことって、普通の鍛冶じゃないわよ!」
別に飴のように作ったわけじゃないのだが、キョーコは一体何に憤っているのかダンには分からなかった。
「――察するに、鍛冶場で剣を打ち直すのではなく、ダンが素手で作業をしていた。その事を『普通の鍛冶ではない』と言いたいのではないでしょうかキョーコは?」
「イリアそれ!」とキョーコが頷く。
「ああ、素手に見えたんですね。鍛冶魔法を使っている間は、その魔法次第ですけど熱に耐える体を作ったりしますね。手をヤットコの様に使える防御膜を張ったりしているんですよ。さっき使った『鍛冶職人の遊び心』は本来だと細かい細工とか調整に使う魔法ですね」
ダンは説明を端折ったが、さらに言えば素材の加工用に熱を加えるという工程も含まれた魔法だ。
「なんという規格外! あ、だったら戦闘中に使えば武器の補充もしほうだ――」
「前も言ったかもしれませんが、かなり集中しないと僕は魔法使えないんですよね。戦闘中なんてよっぽどの事態でもない限り立ち止まって精神集中出来ませんから、結論無理ですね」
ダンとて苦手だからと魔法を嫌厭しているわけではない。だがどうしても幼少期に叩き込まれた鍛冶魔法の使い方に意識が引っ張られて、魔力操作などは立ち止まった状態でなければ出来なかったのだ。
何よりも剣で切った方が早い事もあり、戦闘中に魔法を使うという選択肢がダンの中で消えて行ったのだ。
「さて、話はそこそこにして上の階に移動しましょうか。次は資料通りなら実験と倉庫の階ですね。さすがにこの階には護衛の配置もされてないでしょう」
ダンの言葉に全員なんとも言えない顔をして次の階段があると思われる通路の奥へと目指して進む。
「今のは『ふらぐ』というヤツでは?」
「シッ! 言わなけりゃ、ワンチャンあるかもしれないでしょうが!」
何か、背後で声が聞こえた。
上位アンデッドナイトのエンブレイスに切られたファーニの剣を確認していたダンが言う。
「あ~、やっぱりすぐには直らない?」
「欠けたとかなら直せるかもしれませんが、きれいにすっぱりと切られてしまうと、1回全てを溶かして黒鉄鋼の塊にまで戻さないと無理ですね。戦闘中に刃先だけがすっ飛ぶなんて困りますから」
一部が溶けて、後は割れる様に剣の4分の1から5分の1ぐらいで先端が無くなってしまったファーニの双剣。
「どうしますか? そこらに落ちてる剣でも使います?」
「あ~、う~、今更真っすぐな剣だと、ちょっと使い勝手が変わってきちゃうからなぁ」
斬撃向きにとダンの作ったファーニの剣は曲剣。対して王国で採用されている剣のほとんどは直剣だ。アンデッドナイト達も全員が直剣を使っている。ダンはその剣を使ってみるかと問いかけたのだが、ファーニは自分の剣の感覚と違う剣を使うことに難色を示した。
今までの自分の剣術にあった剣を使いたい。だが今はダンジョンに挑んでいる最中なので、自分のわがままで1人の戦力として攻撃手段を無くすことも抵抗がある。
最悪はダンに鍛えられた格闘術で戦うか? とも考えていた。
そんな悩むファーニを置いておいて、ダンはアンデッドナイトの剣を拾い上げると、その剣を眺めて見た。さらに武器ポーチから武器ではないハンマーを取り出してコンコンと剣を叩き始めた。
やがて「うん、これなら」と言って、更にもう一本を拾い上げると通路に腰を下ろす。
他のメンバーも残存した敵が居ないかの索敵から帰ってくると、十字路に座るダンを見つけた。
「え? ダンさん、何を?」
突然の行動にファーニがダンへと問いかけるが、ダンは精神を集中させているので耳に入ってこなかった。
精神統一を果たしたダンの体から立ち上る魔力。そしてダンは鍛冶魔法を発動させた。
『鍛冶職人の遊び心』
剣を両手に柄と剣先を持つように持ち上げていたダンを中心に熱波が広がる。
「うわ、あっつ!」
「うええ、一気に熱くなったのだ」
「ダンさんが魔法? これって村の時に見たのと同じかしら?」
ダンは周りの声には反応をせず持っている剣をジッと見つめていると、突然剣を持った手に力を込め始めた。
手前に引くように剣先を引っ張り、逆に柄は空間に固定されているかのようにピクリとも動かない。
そしてある程度剣先を引っ張った姿勢のまま動きを止めると、剣先から手を離して手の平を上に浮かべる。
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ダンの手の平の上、その空間に水の塊が浮かぶと、ダンは持っていた剣をそこに突き入れる。
ジュ! と水の表面がにわかに湧きたつと、一瞬の温度変化だったのか、それが収まった。
全員が呆気に取られている間に、もう一本の剣も同じように処理をするダン。
そして「ふう」と魔力を元に戻すと通路から立ち上がる。2本の曲がりを帯びた元直剣を持って。
軽く何度か振って調子を確かめたダンはファーニへと向き直る。
「とりあえずで申し訳ありませんが、コレでしばらく我慢してもらえますか?」
「え? ええ? ダンさん、今の何!?」
茫然としているファーニへ剣を渡すダンにキョーコが問い詰める様に聞いた。
「ん? 前に僕が使える魔法は『鍛冶魔法』だと言いませんでしたっけ?」
「あ~、なんか聞いた覚えはあるけど。――じゃなくて、コレって『鍛冶』の範囲なの!?」
「は? 何が疑問なのかよく分かりません。僕が受けた教えでは、武器防具を作るのは鍛冶の領分なんですけど?」
「いやいや! あんな飴細工みたいなことって、普通の鍛冶じゃないわよ!」
別に飴のように作ったわけじゃないのだが、キョーコは一体何に憤っているのかダンには分からなかった。
「――察するに、鍛冶場で剣を打ち直すのではなく、ダンが素手で作業をしていた。その事を『普通の鍛冶ではない』と言いたいのではないでしょうかキョーコは?」
「イリアそれ!」とキョーコが頷く。
「ああ、素手に見えたんですね。鍛冶魔法を使っている間は、その魔法次第ですけど熱に耐える体を作ったりしますね。手をヤットコの様に使える防御膜を張ったりしているんですよ。さっき使った『鍛冶職人の遊び心』は本来だと細かい細工とか調整に使う魔法ですね」
ダンは説明を端折ったが、さらに言えば素材の加工用に熱を加えるという工程も含まれた魔法だ。
「なんという規格外! あ、だったら戦闘中に使えば武器の補充もしほうだ――」
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ダンとて苦手だからと魔法を嫌厭しているわけではない。だがどうしても幼少期に叩き込まれた鍛冶魔法の使い方に意識が引っ張られて、魔力操作などは立ち止まった状態でなければ出来なかったのだ。
何よりも剣で切った方が早い事もあり、戦闘中に魔法を使うという選択肢がダンの中で消えて行ったのだ。
「さて、話はそこそこにして上の階に移動しましょうか。次は資料通りなら実験と倉庫の階ですね。さすがにこの階には護衛の配置もされてないでしょう」
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