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中継の街 ボッカ
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あれから3日。
道中狼や猿などの魔物と遭遇するもダン達の実力で負けるはずもなく瞬殺。
闘気に関してエミリーが技を披露しようとして、本来は身体を活性化する技だったはずが逆に疲労困憊にさせてしまうなど、『不死人』の闘気特性というものを発見する出来事もあった。
また会話が無いという事もなく、ルフ達が亡くなってからの大まかな歴史や変化、助け出されたロマリアの体調の回復など色々と話題があった。
特にルフとダンはお互いの持つ情報をやり取りして、それぞれの家(一族)で持っていた情報や認識などを話し合っていた。「その剣は……」だの「伝え聞いた話は……」だのとクロフォード王国の国としての起こりなどの話題が出て、自らの知識として納めたいウェンディの暴走をファーニやマロンが必死に止めていた。
等々もあったが、無事に草で覆われた道から主要街道と合流する場所まで出てくることができた。
「ほう? また随分と立派な道が出来たものだ」
ルフの記憶ではボッカと『大橋』を結んでいた道は、保養地までの道と大きさが変わらないものであった。それが今では馬車が互いにすれ違えるほどの道となっていた。
「東との主要道ですからね。今では最低限として、これくらいの道が街道と成っていますよ?」
「しかし、万が一帝国が攻め込んできた場合は逆に利用されてしまわないか?」
ルフの心配することは確かにある。
しかしこれにも対策は取られている。
「街と街を繋ぐ街道の中間には兵士達の詰め所が作られています。そこで街道の監視を常に行っているから、もし相手が街道を目指して進行してきてもすぐさま発見されますよ。おまけに発見したら狼煙と通信用魔道具で近隣の街とやり取りを行って増援を呼ぶ体制が作られています。王都近辺の街では魔物行進が発生したとしても、すぐに戦力を集中して撃滅することが可能です。ま、その分辺境の街では応援が直ぐには来ないのが現状ですけどね」
王都近郊は王都を囲むように作られており、街と街の間隔も短く主要街道も整備されていることから、応援要請から最短3日もあれば隣街や詰め所から応援が来る。
王都は言えば外環道のような街道を作って、外敵からの防衛網を構築しているのだ。
逆に辺境の街は隣街からの応援しか頼れる場所もなく、応援要請から準備と移動に5日は掛かるとされている。
「やはり辺境の防備は難しいか……」
「定期的に第2軍……と言いますか、僕と同僚で巡回はしているのですがね? まあ僕は軍を抜けたし、代わりに今では第3軍という部隊が作られたようですから何とかやれてるのでは無いでしょうか?」
「当たり前だ! そもそも剣の一族を軍に所属させるなど過剰戦力でしかないだろう! その代わりにスポット攻略の戦力を下げる結果になるのでは本末転倒もいいところだ!」
「……それの原因を作ったのはルフ王のせい。って話になりましたよね?」
ダンの冷ややかな目線と言葉に、それまで熱く語っていたルフが口を閉ざして妙に上手いな口笛を吹きつつそっぽを向く。
実はここ数日の会話から、次世代の王族への教育を棚に上げていただけではなく、ダン達一族への兵站としての資金の出何処が王族への予算割り当てから送っていたことがルフの証言から明らかとなったのだ。
ダンとアレックス、エミリーの3人は「そんな予算体系が組まれていれば、まともな財務担当が見れば一発で予算カットですね」とルフに対して正論をぶち当てたものだ。
まだまだ余罪がありそうな王様を半分放置して、ダン一行は更に1日かけて街道を移動し、現状の目的地と定めた中継の街ボッカへと到着した。
ちなみに街道へ合流した頃には「満足した」とサニーは馬の姿に戻っていた。
ボッカのメイン通りは広く作られて、道沿いに宿や商店などが立ち並ぶ街であった。街を通り抜けるには人並みの足で1日は掛かり、街の中心部には円環の交差路が作られているのが特徴だ。これは王都を囲む街の標準形であり、ダンからすれば見慣れた街並みと言ったものであった。
「おおお! 昔は宿屋くらいしか目立った建物が無かったボッカなのかここは!?」
なにやらルフが大仰に驚いているが、ダンは既にこの規模の街になったボッカしか知らないので、その感動の大きさはいまいちよく分からなかった。
「まずは冒険者ギルドに行きましょう。身分証を作らないと、この先不便ですからね」
感動して足が止まっているルフをエミリーに任せ、ダンはボッカの街の冒険者ギルドへと向かった。王都外環にある街のギルドはその利便性から街の中央近くに作られていることが多い。
ダン一行に新たに加わった4人は、街の入り口のチェックを見事にパスして街に入ることは出来た。しかしそのままでは身分証明をするものが何もない為、ダン達の移動報告と魔物素材の換金を兼ねてギルドにて登録作業をすることと決めていた。
「しかし懐かしいなぁ。冒険者ギルドでの登録なんて」
年数だけで言えば超が着くほどのベテランであるルフは、自身の遠い記憶の彼方となっていた最初の登録時の記憶を思い返していた。
「……いいですかルフ様。くれぐれも、くれぐれも判定員とギルドの建物には損害を与えないで下さいね?」
アレックスはそんなルフに釘を刺すように注意している。
「分かってる分かってる。あの当時は、そう! 『若気の至り』というやつだよ!」
ここ数日ルフの人となりを知っている一同は、そう自信満々に言うルフが信じられなかった。
よくまあこんな性格で王様をしていられたものだと、当時のルフを補佐していた人達に同情の念を送っているぐらいには信じられなかった。
というか判定員とは実技試験時のギルド職員側の立ち合い者の事であろうが、ギルドの建物に損傷とはいったい何をやらかしたのやら?
ダンですら修練場の使用禁止を言い渡されたが、その理由はダンの闘気の量が生半可なものではないと判断したギルドマスターがその他利用者へ配慮したために言い渡されただけで、建物に直接的な(修練場の地面はノーカウントとする)被害を出したわけではない。
そんな不安要素を抱えつつ、ダン達はボッカの冒険者ギルドを訪ねた。
「おじゃましま~す」
他の街のギルドと似た造りは、やはり他の街から来た冒険者達への配慮なのだろう。ダン達は手慣れた様子でまずは登録カウンターへと向かった。
「すみません。新規登録をお願いしたいのですが」
ギルドの入り口を開けるなり「おじゃましま~す」と大声で入ってきたかと思えば、まっすぐに登録カウンターへと向かってきた人物にギルド職員は気圧されていた。
特にそう言ってきた人物が全体的に灰色っぽかったからだ。言わずもがな、長期移動時の『砂被りダン』である。
とはいえ、そのダンが差し出しているのは間違いなく冒険者カードだ。ランクはDとなっているが、魔道具に掛ければ間違いなく当人と分かるモノであるので職員はそれを受け取り確認する。
「――はい、確認できました。ランクDのダンさんですね? 討伐履歴は――は?」
職員が何故か驚いた表情で固まってしまったので何事かな? とダンは首を傾げる。
「ちょ!? なんですかコレ!? ギルドが認定している魔物の討伐数もそうですけど、その種類がおかしい事になってますよ!?」
『はて? そんなおかしい事したかな?』とダンが思っていると、その職員が何やら読み上げ始める。
「マーダーベアやブラックウルフが100体近くとか、トレント討伐証明の数とか、魚系の魔物はベタルの街での討伐ですよね!? 大王・ツナってギルドはBランクの魔物認定してたはずなんですけど――いや既にマーダーベアとか討伐してますよね? なんでランクがDなんですか!?」
掴みかかってくるようなギルド職員を「どうどう」と落ち着かせるようにカウンターへと座りなおしてもらうダン。
「いやいや、魔物がいくら討伐出来ようとも冒険者のランクはそれだけで決まるわけではないですよね?」
そう言ったダンの言葉に、ギルド職員がハッとした顔をして椅子に座った。
ダンは、とりあえず後ろの4人を新規登録してくれと頼む。
だがギルド職員は何故か思案顔をしていた。
「ん? なにか問題でも?」
「え? いえ、5人じゃないんですか?」
5人と言われてダンは後ろを振り返った。
ルフ、アレックス、エミリー、ロマリア、そして――
「なんでサニーがここに居るんです?」
そしてサニーが居た。
「ポーラと一緒がいい」と首の下に指で四角い枠を作る。冒険者カードだとすぐに分かった。
溜め息をついて、ダンは「5人分で」と職員に頼んだ。
そして5人が必要事項を記入(ロマリアはイリアが、サニーはポーラが代筆)している間にダンは移動報告を済ませようとした。
「移動報告をしようかと思うのですが、受付は報告カウンターで行うのがよいでしょうか?」
「いえ、それくらいでしたらこちらでも受け付けますよ?」
「パーティー名をどうぞ」と言われて、ダンはまだパーティー名を決めていなかったことを思い出した。
かと言って、ここでその話題を持ち出すとまた収拾がつかない事態になりかねないと考えたダン。どうしたものかと思案する。
「ここでパーティー名を登録出来ますか?」と言えば「出来ます」と答えが返ってくる。
「じゃ『ダンソード』で」
「……それは既に使われていますね」
「ありゃ? では『ブラックソード』」
「それもダメです」
「ん~、『黒剣』では?」
「それはかなり前から使われてます」
『なるほど、こりゃパーティー名を決めるのに難儀するわけだ』とダンは思った。
実際にはここまで安直なネーミングでもなければ、そうそう名前が被ることはないのだが、ダンはパーティー名
の名付けが大変なんだと思い知らされた。
う~ん。と悩むダン。あまりボキャブラリーが多い訳ではない。
「あ~、ダン・レオン――」
「書けたぞ~」
こうなれば自分の名前を付けてみるかと言いかけたダンの後ろからルフの声が被る。
「ダンデライオンですか?……それは使われてないですね」
ギルド職員が魔道具へ検索を掛けると、それは使われていないので『登録可』という答えが返ってくる。
ダンはこれ以上悩んでも碌な名前が浮かばないと思い「じゃそれで」と決定した。
こうしてパーティー『ダンデライオン』が結成されたのだった。
「あ、ここに来る途中で『狂王の塔』を攻略してきましたので」
「ソレ一番大事な報告~!!」
道中狼や猿などの魔物と遭遇するもダン達の実力で負けるはずもなく瞬殺。
闘気に関してエミリーが技を披露しようとして、本来は身体を活性化する技だったはずが逆に疲労困憊にさせてしまうなど、『不死人』の闘気特性というものを発見する出来事もあった。
また会話が無いという事もなく、ルフ達が亡くなってからの大まかな歴史や変化、助け出されたロマリアの体調の回復など色々と話題があった。
特にルフとダンはお互いの持つ情報をやり取りして、それぞれの家(一族)で持っていた情報や認識などを話し合っていた。「その剣は……」だの「伝え聞いた話は……」だのとクロフォード王国の国としての起こりなどの話題が出て、自らの知識として納めたいウェンディの暴走をファーニやマロンが必死に止めていた。
等々もあったが、無事に草で覆われた道から主要街道と合流する場所まで出てくることができた。
「ほう? また随分と立派な道が出来たものだ」
ルフの記憶ではボッカと『大橋』を結んでいた道は、保養地までの道と大きさが変わらないものであった。それが今では馬車が互いにすれ違えるほどの道となっていた。
「東との主要道ですからね。今では最低限として、これくらいの道が街道と成っていますよ?」
「しかし、万が一帝国が攻め込んできた場合は逆に利用されてしまわないか?」
ルフの心配することは確かにある。
しかしこれにも対策は取られている。
「街と街を繋ぐ街道の中間には兵士達の詰め所が作られています。そこで街道の監視を常に行っているから、もし相手が街道を目指して進行してきてもすぐさま発見されますよ。おまけに発見したら狼煙と通信用魔道具で近隣の街とやり取りを行って増援を呼ぶ体制が作られています。王都近辺の街では魔物行進が発生したとしても、すぐに戦力を集中して撃滅することが可能です。ま、その分辺境の街では応援が直ぐには来ないのが現状ですけどね」
王都近郊は王都を囲むように作られており、街と街の間隔も短く主要街道も整備されていることから、応援要請から最短3日もあれば隣街や詰め所から応援が来る。
王都は言えば外環道のような街道を作って、外敵からの防衛網を構築しているのだ。
逆に辺境の街は隣街からの応援しか頼れる場所もなく、応援要請から準備と移動に5日は掛かるとされている。
「やはり辺境の防備は難しいか……」
「定期的に第2軍……と言いますか、僕と同僚で巡回はしているのですがね? まあ僕は軍を抜けたし、代わりに今では第3軍という部隊が作られたようですから何とかやれてるのでは無いでしょうか?」
「当たり前だ! そもそも剣の一族を軍に所属させるなど過剰戦力でしかないだろう! その代わりにスポット攻略の戦力を下げる結果になるのでは本末転倒もいいところだ!」
「……それの原因を作ったのはルフ王のせい。って話になりましたよね?」
ダンの冷ややかな目線と言葉に、それまで熱く語っていたルフが口を閉ざして妙に上手いな口笛を吹きつつそっぽを向く。
実はここ数日の会話から、次世代の王族への教育を棚に上げていただけではなく、ダン達一族への兵站としての資金の出何処が王族への予算割り当てから送っていたことがルフの証言から明らかとなったのだ。
ダンとアレックス、エミリーの3人は「そんな予算体系が組まれていれば、まともな財務担当が見れば一発で予算カットですね」とルフに対して正論をぶち当てたものだ。
まだまだ余罪がありそうな王様を半分放置して、ダン一行は更に1日かけて街道を移動し、現状の目的地と定めた中継の街ボッカへと到着した。
ちなみに街道へ合流した頃には「満足した」とサニーは馬の姿に戻っていた。
ボッカのメイン通りは広く作られて、道沿いに宿や商店などが立ち並ぶ街であった。街を通り抜けるには人並みの足で1日は掛かり、街の中心部には円環の交差路が作られているのが特徴だ。これは王都を囲む街の標準形であり、ダンからすれば見慣れた街並みと言ったものであった。
「おおお! 昔は宿屋くらいしか目立った建物が無かったボッカなのかここは!?」
なにやらルフが大仰に驚いているが、ダンは既にこの規模の街になったボッカしか知らないので、その感動の大きさはいまいちよく分からなかった。
「まずは冒険者ギルドに行きましょう。身分証を作らないと、この先不便ですからね」
感動して足が止まっているルフをエミリーに任せ、ダンはボッカの街の冒険者ギルドへと向かった。王都外環にある街のギルドはその利便性から街の中央近くに作られていることが多い。
ダン一行に新たに加わった4人は、街の入り口のチェックを見事にパスして街に入ることは出来た。しかしそのままでは身分証明をするものが何もない為、ダン達の移動報告と魔物素材の換金を兼ねてギルドにて登録作業をすることと決めていた。
「しかし懐かしいなぁ。冒険者ギルドでの登録なんて」
年数だけで言えば超が着くほどのベテランであるルフは、自身の遠い記憶の彼方となっていた最初の登録時の記憶を思い返していた。
「……いいですかルフ様。くれぐれも、くれぐれも判定員とギルドの建物には損害を与えないで下さいね?」
アレックスはそんなルフに釘を刺すように注意している。
「分かってる分かってる。あの当時は、そう! 『若気の至り』というやつだよ!」
ここ数日ルフの人となりを知っている一同は、そう自信満々に言うルフが信じられなかった。
よくまあこんな性格で王様をしていられたものだと、当時のルフを補佐していた人達に同情の念を送っているぐらいには信じられなかった。
というか判定員とは実技試験時のギルド職員側の立ち合い者の事であろうが、ギルドの建物に損傷とはいったい何をやらかしたのやら?
ダンですら修練場の使用禁止を言い渡されたが、その理由はダンの闘気の量が生半可なものではないと判断したギルドマスターがその他利用者へ配慮したために言い渡されただけで、建物に直接的な(修練場の地面はノーカウントとする)被害を出したわけではない。
そんな不安要素を抱えつつ、ダン達はボッカの冒険者ギルドを訪ねた。
「おじゃましま~す」
他の街のギルドと似た造りは、やはり他の街から来た冒険者達への配慮なのだろう。ダン達は手慣れた様子でまずは登録カウンターへと向かった。
「すみません。新規登録をお願いしたいのですが」
ギルドの入り口を開けるなり「おじゃましま~す」と大声で入ってきたかと思えば、まっすぐに登録カウンターへと向かってきた人物にギルド職員は気圧されていた。
特にそう言ってきた人物が全体的に灰色っぽかったからだ。言わずもがな、長期移動時の『砂被りダン』である。
とはいえ、そのダンが差し出しているのは間違いなく冒険者カードだ。ランクはDとなっているが、魔道具に掛ければ間違いなく当人と分かるモノであるので職員はそれを受け取り確認する。
「――はい、確認できました。ランクDのダンさんですね? 討伐履歴は――は?」
職員が何故か驚いた表情で固まってしまったので何事かな? とダンは首を傾げる。
「ちょ!? なんですかコレ!? ギルドが認定している魔物の討伐数もそうですけど、その種類がおかしい事になってますよ!?」
『はて? そんなおかしい事したかな?』とダンが思っていると、その職員が何やら読み上げ始める。
「マーダーベアやブラックウルフが100体近くとか、トレント討伐証明の数とか、魚系の魔物はベタルの街での討伐ですよね!? 大王・ツナってギルドはBランクの魔物認定してたはずなんですけど――いや既にマーダーベアとか討伐してますよね? なんでランクがDなんですか!?」
掴みかかってくるようなギルド職員を「どうどう」と落ち着かせるようにカウンターへと座りなおしてもらうダン。
「いやいや、魔物がいくら討伐出来ようとも冒険者のランクはそれだけで決まるわけではないですよね?」
そう言ったダンの言葉に、ギルド職員がハッとした顔をして椅子に座った。
ダンは、とりあえず後ろの4人を新規登録してくれと頼む。
だがギルド職員は何故か思案顔をしていた。
「ん? なにか問題でも?」
「え? いえ、5人じゃないんですか?」
5人と言われてダンは後ろを振り返った。
ルフ、アレックス、エミリー、ロマリア、そして――
「なんでサニーがここに居るんです?」
そしてサニーが居た。
「ポーラと一緒がいい」と首の下に指で四角い枠を作る。冒険者カードだとすぐに分かった。
溜め息をついて、ダンは「5人分で」と職員に頼んだ。
そして5人が必要事項を記入(ロマリアはイリアが、サニーはポーラが代筆)している間にダンは移動報告を済ませようとした。
「移動報告をしようかと思うのですが、受付は報告カウンターで行うのがよいでしょうか?」
「いえ、それくらいでしたらこちらでも受け付けますよ?」
「パーティー名をどうぞ」と言われて、ダンはまだパーティー名を決めていなかったことを思い出した。
かと言って、ここでその話題を持ち出すとまた収拾がつかない事態になりかねないと考えたダン。どうしたものかと思案する。
「ここでパーティー名を登録出来ますか?」と言えば「出来ます」と答えが返ってくる。
「じゃ『ダンソード』で」
「……それは既に使われていますね」
「ありゃ? では『ブラックソード』」
「それもダメです」
「ん~、『黒剣』では?」
「それはかなり前から使われてます」
『なるほど、こりゃパーティー名を決めるのに難儀するわけだ』とダンは思った。
実際にはここまで安直なネーミングでもなければ、そうそう名前が被ることはないのだが、ダンはパーティー名
の名付けが大変なんだと思い知らされた。
う~ん。と悩むダン。あまりボキャブラリーが多い訳ではない。
「あ~、ダン・レオン――」
「書けたぞ~」
こうなれば自分の名前を付けてみるかと言いかけたダンの後ろからルフの声が被る。
「ダンデライオンですか?……それは使われてないですね」
ギルド職員が魔道具へ検索を掛けると、それは使われていないので『登録可』という答えが返ってくる。
ダンはこれ以上悩んでも碌な名前が浮かばないと思い「じゃそれで」と決定した。
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