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討伐の旅(宿屋の夜1)
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眠れない。今日は命の危機だった。恐怖で身体も頭も凍ったみたいだった。そう言えば、なんでエクスカリバー出てこないんだよ!
『そちが我の事を全く思い出さないからじゃ。せめて、剣で矢を叩き落とすとか、真っ二つにしてやろうとか、思えないもんかのう。』
「すまん。」
アオに助けられた。ぎゅっとされて…包みこまれて。おっきい人だった。胸板厚かったなあ…枯れ草の匂いした。頭とか撫でてくれて嬉しかった。青灰色の目が、目だけでにこっとすると、かっわいいんだ。あんなにかっこいいのに。
ん?!なんだと?俺はどうしてしまったんだ。きっと命の危機でテンションがおかしいんだな。寝よう。早く寝よう。
寒い夜だったんだ。何か、すごく寒くて壁が冷たくてさ、そしたら隣に、もふもふっとしてあったかいやつが………ん~、鼻先が冷たい。おい、舐めるなよ。ユキか、ユキだな。お前、死んじゃったんじゃないのかよ。あったかいなあ…ぎゅーっと抱きついて、ユキの首の下に顔を埋めて眠る。幸せな夢だな、これ。
「なんだ?ユキとは。俺はアオなんだが。」
一目見て分かった。
こいつの魔力は俺と同じ青だ。ということは、間違いなく俺の番だ。匂いもそうだ。運命の番に会えるだなんて、何という幸運だ!会えないやつのほうが圧倒的に多いというのに。
人間だよな……俺はフェンリルだが、いいのか。いいよな、理屈ではない。あまりにも可愛い過ぎる。折れてしまいそうに、細い首、腰、手足、御様子うかがいみたいにくりくりするオニキスの瞳、真っ直ぐな黒い髪は絹糸みたいにサラサラ。触りたくて仕方がない。勿論、触るに決まっている。ちょっと構うと、顔だけではなく、耳や首まですぐ真っ赤になる。笑うと、ちっちゃい顔に大きなエクボ…オレンジのちっちゃい口。可愛い…
なのに、こいつは勇者だ。とてつもなく強いのもすぐ分かった。さっきは、かたまっていたがな。今度からは大丈夫だろう。そんなヤワなヤツではない。子どもの様な姿なのに、修羅場をくぐってきたようなオーラを放っている。
誰だ?こいつを狙ったのは?俺があの時傍にいなければ、もしかしたらこいつは……怒りと恐れで身体が強張る。青い冷たい炎がアオから静かに沸き上がる。許さない。
魔王と闘うのか…厳しいな。俺なら何とか互角か。でもソラと闘いたくはない。
様子見だ。ソラは理由もなく闘いをしかけるヤツではないしな。人間も困ったもんだ。魔王にいちゃもんをつけるとかどうかしている。
魔王がソラでなかったらとっくに滅ぼされている。実際、魔王軍のやつらも怒っているようだし、やみくもに攻撃してくるかもしれんな。
愛しい………俺の番、アキラ。
俺のことを好きになってくれ。
「お休み、アキラ。大好きだ。」
ペロリ、つい、あちこちなめちゃうアオ。
「うーん、ユキ、よしよし。」
またまたぎゅっと抱きつくアキラ。
俺はユキではない!
アキラ、おまえにはいつか必ず思い知らせてやろう。
色々我慢のアオであった。
『そちが我の事を全く思い出さないからじゃ。せめて、剣で矢を叩き落とすとか、真っ二つにしてやろうとか、思えないもんかのう。』
「すまん。」
アオに助けられた。ぎゅっとされて…包みこまれて。おっきい人だった。胸板厚かったなあ…枯れ草の匂いした。頭とか撫でてくれて嬉しかった。青灰色の目が、目だけでにこっとすると、かっわいいんだ。あんなにかっこいいのに。
ん?!なんだと?俺はどうしてしまったんだ。きっと命の危機でテンションがおかしいんだな。寝よう。早く寝よう。
寒い夜だったんだ。何か、すごく寒くて壁が冷たくてさ、そしたら隣に、もふもふっとしてあったかいやつが………ん~、鼻先が冷たい。おい、舐めるなよ。ユキか、ユキだな。お前、死んじゃったんじゃないのかよ。あったかいなあ…ぎゅーっと抱きついて、ユキの首の下に顔を埋めて眠る。幸せな夢だな、これ。
「なんだ?ユキとは。俺はアオなんだが。」
一目見て分かった。
こいつの魔力は俺と同じ青だ。ということは、間違いなく俺の番だ。匂いもそうだ。運命の番に会えるだなんて、何という幸運だ!会えないやつのほうが圧倒的に多いというのに。
人間だよな……俺はフェンリルだが、いいのか。いいよな、理屈ではない。あまりにも可愛い過ぎる。折れてしまいそうに、細い首、腰、手足、御様子うかがいみたいにくりくりするオニキスの瞳、真っ直ぐな黒い髪は絹糸みたいにサラサラ。触りたくて仕方がない。勿論、触るに決まっている。ちょっと構うと、顔だけではなく、耳や首まですぐ真っ赤になる。笑うと、ちっちゃい顔に大きなエクボ…オレンジのちっちゃい口。可愛い…
なのに、こいつは勇者だ。とてつもなく強いのもすぐ分かった。さっきは、かたまっていたがな。今度からは大丈夫だろう。そんなヤワなヤツではない。子どもの様な姿なのに、修羅場をくぐってきたようなオーラを放っている。
誰だ?こいつを狙ったのは?俺があの時傍にいなければ、もしかしたらこいつは……怒りと恐れで身体が強張る。青い冷たい炎がアオから静かに沸き上がる。許さない。
魔王と闘うのか…厳しいな。俺なら何とか互角か。でもソラと闘いたくはない。
様子見だ。ソラは理由もなく闘いをしかけるヤツではないしな。人間も困ったもんだ。魔王にいちゃもんをつけるとかどうかしている。
魔王がソラでなかったらとっくに滅ぼされている。実際、魔王軍のやつらも怒っているようだし、やみくもに攻撃してくるかもしれんな。
愛しい………俺の番、アキラ。
俺のことを好きになってくれ。
「お休み、アキラ。大好きだ。」
ペロリ、つい、あちこちなめちゃうアオ。
「うーん、ユキ、よしよし。」
またまたぎゅっと抱きつくアキラ。
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アキラ、おまえにはいつか必ず思い知らせてやろう。
色々我慢のアオであった。
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