再構築って簡単に出来るもんですか

turarin

文字の大きさ
9 / 9

最終話

しおりを挟む
アーチャーはキャリーを愛していた。それも、とっても。キャリーはアーチャーの唯一無二だった。いや、今も。

ただ、キャリーはもう耐えられなかった。

アーチャーのことは大好きだった。地味で真面目な自分に幸せをくれた。領地を豊かにするのを手伝ってくれた。たくさん愛を告げてくれた。かわいい子供達も産まれた。
時々、他所で浮気をしているのも知っていた。でも、いつもちゃんと帰ってきた。
だってキャリーがアーチャーの唯一無二だったから。

本当にそうなのだろうか。
あのときは違ったよね。
病める時も健やかなる時も…って誓ったけど、嘘だった。

アーチャーとあっさり夜を過ごす度、白蛇の乾燥粉末を思い出さずにいられない。そして、由良の花粉は夫婦では使わない。
あんなにたくさん買って………
何年経っても思い出さずにいられない。この惨めさ、情けなさ、哀しさ、そして憎しみ。
まるで領地戦の頃と変わらない気持ちが燃え上がる。眠れない。これってPTSDのフラッシュバックじゃない?って思いつつ、え?それ何?って思うおかしな彼女であった。

実は、アーチャーも、もう年なのであっさりは仕方ないかなぁと思われるのだが、そんなことにキャリーの考えが及ぶはずが無い。

このままでは、一生、フリンさんと自分を比べ続けて苦しむしかない。キャリーだけ辛くて、アーチャーは幸せそうなのだ。

分かった。
不倫夫は捨ててしまえばいいのだ。
物理的も、心理的にも。

「アーチャー、離婚しましょう。あなたがフリンさんと逢瀬を重ねていることを知った時、そう、白蛇の乾燥粉末まで使って熱烈に。
私はどこか壊れてしまいました。毎日、毎日、辛くて仕方がありません…」

「え?!
何を言ってるんだ。誤解だよ。
それにずっと前の話でしょ。
俺は君しか愛していないよ。会った時からずっと…」

それは嘘でした。否定する気にもなりません。そしてずっと前から、ずっと苦しいんです。

キャリーの幸せは、もうアーチャーと共には無い。共にあるのは、むしろ苦しみと不幸そのもの。

号泣するアーチャーだったが、結局彼は屋敷を出て、領地の騎士団長として過ごしている。キャリーの事が大好き過ぎて、言うことを聞くしか無かった。考え無しの彼だが、何だか自分のせいだということは分かったらしい。

領主の座も、もう息子に引き継ぎ、キャリーは悠々自適。時々孫たちとも遊びながら、本を読んだり、庭弄りをしたり、普通のおばあちゃんとして暮らしている。
たまにアーチャーがお茶に訪れるが、もう彼女の心を揺らす事はない。近くの他人になったから。アーチャーは毎回、なぜか泣きながら帰っていくが、自業自得と言えよう。



しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

名無しさん。

うーん?
なんか中途半端にブツ切りで終わった印象。
カス元夫、罪悪感があって誤魔化していた割には誤解だの昔の事だの、何言ってんだ?だし何となく自分が悪い程度の認識しかないのが不思議、認知症でも出てる?
主人公がしっかりカス元夫をなじってカスが自分が長い間妻を苦しめていた事を自覚させてほしかった。
苦しんで熟年離婚を切り出した割にお茶する神経もよくわからん、長年苦しめてきた元凶のツラなんざ見たくもないと思うもんでは?

2025.10.26 turarin

名無しさん。様

感想ありがとうございます。

このクズ夫は、中身が大人になりきれてなくて、共感性が著しく低くて、いくら言われても妻の辛さが認識できない男、っていう感じで考えました。

子供の頃の母親との関係が薄いせいもあって、心の安定をどうしても女性に求めがち。フリンも母の面影あったし。中身が子供なんですよね。結局、離婚原因も、何となくしかわからないから、平気で大好きな元妻に会いに行っちゃいます。

元妻はもうすっかり割り切ってるから、昔の知り合いみたいな感じで、まあ、孫や息子一家もいるわけだから、お茶にも付き合うんです。

でも、元夫は妻からの愛は感じられないし、距離はあるしで、がっかりして帰るってわけです。

このお話は、ある夜、すっごく腹が立つことがあって、イライラして眠れずに、一気に書いたものなので、他の作品に比べても、特に言葉足らずだったかも……です。

読んでいただいてありがとうございます。
率直に伝えていただけると、私も、よーく考えられます。
今後ともよろしくお願いします。

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

出て行けと言われても

もふっとしたクリームパン
恋愛
よくあるざまぁ話です。設定はゆるゆるで、何番煎じといった感じです。*主人公は女性。書きたいとこだけ書きましたので、軽くざまぁな話を読みたい方向け、だとおもいます。*前編と後編+登場人物紹介で完結。*カクヨム様でも公開しています。

貴方の側にずっと

麻実
恋愛
夫の不倫をきっかけに、妻は自分の気持ちと向き合うことになる。 本当に好きな人に逢えた時・・・

私の意地悪な旦那様

柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。 ――《嗜虐趣味》って、なんですの? ※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話 ※ムーンライトノベルズからの転載です

あなたの1番になりたかった

トモ
恋愛
姉の幼馴染のサムが大好きな、ルナは、小さい頃から、いつも後を着いて行った。 姉とサムは、ルナの5歳年上。 姉のメイジェーンは相手にはしてくれなかったけど、サムはいつも優しく頭を撫でてくれた。 その手がとても心地よくて、大好きだった。 15歳になったルナは、まだサムが好き。 気持ちを伝えると気合いを入れ、いざ告白しにいくとそこには…

最後に一つだけ。あなたの未来を壊す方法を教えてあげる

椿谷あずる
恋愛
婚約者カインの口から、一方的に別れを告げられたルーミア。 その隣では、彼が庇う女、アメリが怯える素振りを見せながら、こっそりと勝者の微笑みを浮かべていた。 ──ああ、なるほど。私は、最初から負ける役だったのね。 全てを悟ったルーミアは、静かに微笑み、淡々と婚約破棄を受け入れる。 だが、その背中を向ける間際、彼女はふと立ち止まり、振り返った。 「……ねえ、最後に一つだけ。教えてあげるわ」 その一言が、すべての運命を覆すとも知らずに。 裏切られた彼女は、微笑みながらすべてを奪い返す──これは、華麗なる逆転劇の始まり。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。