完璧過ぎってどういうこと?

turarin

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マリーのやり直し4

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アルバートはマリーに心惹かれていたけれど、自分達は家同士で決められた婚約者だ、という思いをずっと持っていた。自分は二男なので、マリーと結婚しないと、騎士になるか平民になるしかない。だから、頑張っていた。相応しい男になるために。でも、つらかった。
マリーが優秀過ぎて、もう無理だ、辛い…と思っていた。それがピークに達した頃、マリーの号泣と、ピーターに会ったのだ。

マリーは、普通の女の子だった。なぜ気が付かなかったんだろう。それも、すっごく可愛い。涙を拭いて背中をさするピーターに、彼女の努力を丸ごと受けとめようとするピーターに、嫉妬した。疲れて努力するのが嫌になって、マリーを貶めることで正当化しようとした自分のあさましさに絶望した。気合を入れ直そうとしたやさきに、父に執務室に呼ばれた。

「父上、何でしょうか?」

「マリー嬢が後継を下りるそうだ。」

「え?どういうことですか」

「文官になりたいそうだ。留学も検討しているらしい…」

「何か聞いていないのか」

「全然……」

「ただ、この前、ものすごく泣いていて、考えることがあって…とは言っていて…初めてのことだったので、驚きましたが…
あと、周囲で完璧令嬢とか言う輩がいて、それを少し気にしていたような」

「そうか。他人の努力を嘲笑うような者は人として最低だな。そのような者に傷つけられたのか。庇ってやれなかったのか?」

「………自分の目の前では、それほど…」

胸が痛かった。最低なのは自分もだ。

「それで、婚約なのだが、どうする?
マリー嬢は公爵家から出る決意が固いそうだ。妹のアリサ嬢がお前に好意をもっているらしいのだが…」

最近のアリサ嬢の様子が頭をよぎった。なぜだか、マリーが来るのが遅くて、妙に馴れ馴れしく身を寄せてくる。一度や二度ではない。そして、姉は完璧過ぎて…と繰り返す。なぜ窘めなかったのか。情けなさが溢れてくる。
自分への好意の為だったのか、だから姉を貶めて、あんな事を言ったのか。そこへ入室してくるマリーの表情も思い出す。分かっていたんだな、アリサ嬢の気持を。アリサ嬢の言葉も行動も窘めることもせず、鼻の下を伸ばしていた自分のことも。全てが関係ある気がした。
もう取り返しがつかない。

「アリサ嬢と婚約する気はありません。僕は騎士になります。婚約は解消ですか。」

「あちらの有責で。と言っている。相応の慰謝料も支払ってくれるそうだ。突然のことでお前も驚いただろう。済まなかったな。」

「いいえ、大丈夫です。」

部屋に帰ってベッドに潜り込み、泣いた。結局、自分はマリーに捨てられたのだ。全部自業自得だ。

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