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おしおきされてしまいました 後編 (2)
しおりを挟む翌日、音楽室に呼び出された葵は慣れた仕草で下着とズボンを脱いだ。
「ああ、今日は自分でしなくて結構ですよ」
「え?」
「今日は昨日の君の態度に対する罰も含めて、別の趣向で楽しもうと思いましてね」
「別の趣向って……」
田中の別の趣向という言葉に、葵の頭に浮かんだのは、脅迫をされたときに、強要された行為だった。
肛門を田中の指で蹂躙される。
性器をこすられるよりも強い刺激。
田中に貫かれたときの自分の体が引き裂かれたような痛み。
また、あれをされる。
そう思った瞬間に、葵の体は石像になってしまったように動かなくなった。
「おや、その様子だと、期待をしていたんですか?」
「き、期待なんてするはずないでしょう……」
声を張り上げようとしても、喉に力が入らず、震えた声しか入らなくなる。
葵の裏返った声に、田中は葵が何を考えているのかがわかったらしく「ああ」と声を上げた。
「大丈夫安心していいですよ。今日は老人ホームで歌っていただかないとならないですからね、SEXをして君の声をからす訳にはいかないし、それに……」
田中は笑いを浮かべて、そのあとの言葉を飲み込むと、用意をしていた道具を入れた箱を棚から取り出した。
鼻歌を歌いながら、箱を葵の前まで運んでくる。
箱の蓋を開けると、中は布で覆われていた。布を取り、その下に隠されている袋を取り出す。
その袋の中から、透明な液体の入った容器と大きな注射器とそして、まだ開けられていない牛乳パックが姿を現す。
「な、なんですか?これ?」
見たこともない大きさの注射器を目にして、葵は目をぎょっと見開いた。
「これで、あなたのここに牛乳を注射するんですよ」
田中は優しく葵の尻を撫でた。
「そんな事をして楽しいんですか?」
尻に牛乳を入れられるなんて、嫌だったが、自慰を見られるよりもましだと、この時、葵は考えていた。
「楽しいですよ。ほら、お尻を出して下さい」
「……」
嫌味を言っても、田中は笑って返すだけだった。
葵は田中に言われるがままに、手を床について尻を上げた。
「気持ちが良かったら、声をあげても構いませんよ」
透明で粘りけのある液体を見て、葵は顔を引きつらせた。
始めてあの男に犯されたとき、こんな透明な液体を使って体が変な反応をしたことを思い出したのだ。
「安心して下さい。これはあの時使ったものではありませんから」
葵を安心させるような優しい声をあげながら、田中はローションで濡らした指を肛門に這わせた。
「だ、だれが……んん」
冷たいヌルヌルとした指が葵の肛門を押し広げて入ってくる。
田中が言った通り、あの時のように肛門が妙な熱を持ち始めることはなかった。
あの時のように、肛門の奥へ奥へと指を進めて、そして、自分でも分からない。
触られるだけで、性器を触られるよりも強い刺激が与えられることはなかった。
だが、
「んん、ああ、……っはあ」
(足りない)
物足りなさそうに腰をふる葵を見て、田中は笑みを浮かべずにはいられなかった。
まだまだ。これで、餌を与えるわけにはいかないのだから、
「ふふ、どうしたんですか葵君、腰が動いていますよ」
「な、ち、違う……!」
なんであんなことを思い出してしまったのだ。
葵はカーペットについた手に力を込めた。
肛門を探るように動く田中の指の感触に、葵はあの時のことを思い出して、あのとき感じた。
与えられた快感を求めていたのだ。
だめだ、だめだ。こんなの、こんなの、こいつの思い通りじゃないか。
しかし、そんな葵の気持ちも、田中にはわかりきっていた。
『ここからですよ、葵君』心の中で自分の罠にはまっていく葵の姿を愛おしく思いながら、田中は湯煎をした牛乳を注射器の中に入れた。
「それではいきますよ。葵君」
「んん、んん!」
冷たいガラスの感触が葵の肛門を押し広げて中へ入ってくる。
そして、生ぬるい牛乳がちょろちょろと葵の尻の穴を通り抜けて、直接腸の中へ流し込まれていく。
細く小さな虫が腹の中を這い回るような気持ちの悪い感触は、次第に痛みに変わっていき、強烈な便意を葵に与え始めた。
「っふ、うう!?」
あまりの便意に注射器をぬこうとした葵の体を田中は片腕で押さえつけた。
「ほら、だめですよ。変に引き抜くとお尻の穴が裂けてしまいます」
「い、いやだ。お願…いです……もう、やめて……」
「だめです。この注射器の中身が空になるまで、我慢をしてもらいます」
「そ、そんな」
腹の中を激痛が暴れまわる。
体は早く排便を求めて、葵は奥歯を噛み締めて田中が注射器を引き抜くのを待った。
「よし、よく我慢ができましたね。いい子です」
注射器を引き抜かれ、葵はやっとこの苦しみから逃れられると気を抜きかけた。
直後に肛門にせり上がってきたものが出しそうになって、慌てて肛門に力をいれる。
早くトイレに行かないと。
田中に無様な姿を見せることも構わずに、両手で尻を抑えて少しずつ足を動かして服のもとへ向かう。
生まれて始めて味わう強烈な便意に葵は全身に冷や汗をかいていた。
「ダメですよ。葵君」
「なぁっ?」
「貴方には、このまま、合唱に行って、そして、帰って来てもらいます。
勝手にトイレに行ったら、君の契約破棄とみなします」
「そ、そんな」
そんなにもつわけがない。
もし、我慢ができなかったら、自分は皆の前でおもらしをしてしまうことになる。
「い、嫌です。お願いです。トイレに行かせて下さい」
「ダメです」
「昨日のことは謝りますから、お願いですから、どうかそれだけは……お願いです。田中さん」
プライドもなにもかなぐり捨てて葵は田中に縋り付いた。
「仕方がないですね……」
田中はやれやれとため息を吐く。
「トイレに行くことは許可できませんが、これを履くことは許してあげましょう」
田中は袋の中から取り出した紙おむつを葵に投げた。
「これなら、おもらしをしてしまっても、大丈夫ですよ」
「そんな、や、やだ。田中さん」
確かに、これを履いていれば、中に入っているものを出してしまっても周囲に気づかれることはないかもしれない。
だが、おもらしをしてしまうという恥かしさが消えるわけではない。
「おや、嫌なんですか?
なら、やめておきますか?
それまで我慢できればいいですね」
教会から老人ホームまで行き、歌を歌って帰ってきて、田中の許可をもらってトイレに行く。
無理だ。とても我慢することはできない。
「それを使わせて下さい……」
葵は諦めて田中が投げたおむつに足を通した。
足元がモサモサとして、歩きにくい。お腹やお尻の周りがもさついている。
老人ホームへ向かう道で、皆におむつを履いていることが分かってしまうのではないかと葵の心は落ち着かなかった。
一歩一歩足を進める度に、葵の中で牛乳が音をたてて腸を蹂躙し、肛門の隙間を通り抜けて表へでようとしてくる。
「おい、葵大丈夫か?」
「ひ、ひう!」
突然海斗に肩を叩かれ、葵の頭が葵っ白になった。
「お前そんなに緊張して一人で歌えるのか?」
「だ、大丈夫だよ」
葵は精一杯の微笑みを海斗に返した。
まだ、何かが漏れたような感じはしなかったことに安心をする。
海斗に声をかけられて驚いてから、葵は一切腹の痛みを感じなくなった。
これなら、大丈夫かもしれない。
老人ホームに着くと、田中は具合が悪そうだね。
とわざとらしく葵に声をかけてきた。
「先生、葵なんか具合が悪いみたいなんだ」
「ああ、もしかしてトイレに行きたいのかな?」
「……」
分かっているくせに、と葵は田中を睨みつけた。
「そうなのか?葵、早く行ってこいよ」
「う、うん。でも僕、トイレの場所わからないから」
「私が連れていってあげますよ。ほら、こちらです。
トイレを我慢している子は皆早く行ってきてしまいなさい」
田中は葵の手を引くと、他にもトイレに行きたいとついてきた子供たちを引き連れてトイレへ向かった。
「葵君、ダメだよ?」
「……」
田中に言われて、葵は頷いた。
大丈夫だ。
海斗に声をかけられて驚いて以来、腹痛も便意もきていない。
男子トイレの個室に入り、おむつの中を見る。
まだ何も出していないことに安心した。
そして田中が見ていない。
なら、ここでいっそ全部出してしまっても大丈夫なのではないか?
という考えが葵の中に巡った。
「大丈夫だ」
さすがの田中だって、自分以外の子供が入っているトイレをのぞき見するわけにはいかないのだから。
葵は自分に言い聞かせながら、便座に座った。
腹に力を込めると、先ほどまで収まっていた便意と腹痛がすぐに蘇った。
「っふ、うううう」
ぷしゃあ、と排尿をしたときのような音が足の間から聞こえてくる。
今まで自分の腹の中に居座っていたものを一気にだしてしまうのは気持ちが良かった。
「っはあ……」
もう、おもらしの心配がなくなった葵は心から胸をなでおろした。
トイレから出てくると、田中は玄関にいる子供たちの様子を見に行っていていなかった。
何故か、それが葵を不安にさせた。
合唱は大成功に終わり、海斗や周りの皆によくやったと褒められながら葵は教会へと戻った。
そして、みんなが親に連れられて帰った後、葵は田中に音楽室へ連れ込まれた。
「さて、それでは、貴方が約束通り、トイレを我慢していたか、確認をします。ズボンを脱いで、寝っ転がって下さい」
言われた通り、葵はズボンを脱いでカーペットの上に寝っころがった。
「膝をまげて、足を広げて」
「……」
顔を反らして、膝を曲げて足を広げる。
「ふふふ、赤ちゃんのようだね」
「僕はもう、赤ちゃんじゃありません」
「いや、君は赤ちゃんだね、いや、それ以下かもしれない」
田中はおむつのバンドを外すと、あらわになった葵の尻の穴に指を突き刺した。
「い、痛い!?」
尻の穴に感じた指ではない、何か尖った感触に葵は目を見開いた。
「ほら、見てごらん?」
田中の手には、セロテープがあった。そして、そこには、白く小さなこよりがついていた。
「これが、なんだかわかるかい? トイレットペーパーの紙だよ。私は君に牛乳を注射するときにきちんとお尻の穴を綺麗にふいておいたんだ。その綺麗にしたお尻の穴に、トイレットペーパーが付いているということは、頭のいい君なら、もうわかるよね?」
「あ、……」
葵はそれを理解した。
それと同時に、頭の中が冷え切っていく。
「ごめんなさい」
「君は私との約束を、契約を破った」
「ごめんなさい。ごめんなさい!お願いです。許してください!」
「なら、大人しく罰を受けるんだ」
「あ、うう!」
田中は葵の裸の尻を自分の膝の上に乗せると、手のひらでピシャリと叩いた。
「あう!」
弾力のいい、白い尻が震えて、田中の手形の形になって桃色になる。
「もう一度だ」
「あう!」
張りのある肌が音をたてる。
田中に尻を叩かれながら、葵の頭の中で、似た音と衝撃の記憶が掘り起こされていく。
「あ、ああ……」
契約をするとき、無理やり犯されたとき、激しく腰に打ち付けられた尻と、田中の腰にあたる度になった肌と肌のぶつかる音。
「ああ、ううう、ふうう」
自分の中をかき乱す太い肉塊。
「っはあ、ううう」
頭の中が葵っ白になる強い刺激。
「あ、っはあ、っはああ!」
しかしその記憶と今与えられている衝撃は似ているけれど違う。
違った。
「あ、ち、違う……」
こんなのじゃない。あれは、あのときのあれは……。
「もっと……」
もっと、気持ちよかった。
「おや、もっとお尻を叩かれたいんですか?」
田中の声に葵は我に帰った。
「ち、違う!違う!」
「おや?何が違うのかな?」
「う、うるさい、聞くな!とにかく絶対違う!」
「まあ、いいでしょう、今日はこれくらいで勘弁してあげますよ」
そう言って田中は笑った。
葵が確実に自分のもとへ堕ちてきていることを確信して。
つづく
応援ありがとうございます!
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