御伽噺に導かれ異世界へ

ペンギン一号

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閑話

閑話 お詫びに色々食べ比べ

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これは、にゃん吉が召喚されてから数日経った頃の話…



「おーい、にゃん吉こっちに来てくれ」
「んにゃ?どうしたにゃ?」
俺は居間でゴロゴロして過ごしていたにゃん吉に声をかける。
「いやさ、初めて召喚した時に美味いもの食べさせてやるって言ってだろ。
今日帰りに色々買ってきたから食べてみないか?」
あれは酷かったもんなぁ…
以前の名付け問題、紡はかなり罪悪感を抱いていた。すこしでも、にゃん吉を喜ばせるために今回の件を決行したのだ。

「食べるにゃー!」
よかった、両手をあげて喜ぶほど嬉しかったか。
よし、色々買って来たからな、にゃん吉が気にいるのがあればいいな。
ビニール袋をガサゴソとあさり一つ目を取り出す。



Round 1 【鰹節】

猫といえばこれであろう。
奮発して節で買った小さな鰹節の塊だ。
持っている節からは程よく良い香りがしている。
俺の中の大本命だからな、気にいるといいな。
そっとにゃん吉へと渡す。
「にゃ?なんにゃこの塊は」
「これは鰹節って言ってな、魚を熟成させた物だよ」
「なんかいい匂いがするにゃ!」
そうか、よかった。これは好反応だな。

にゃん吉は鰹節へと齧り付く。
喜んでいたにゃん吉のことがあったためか一つ紡は忘れていた。
鰹節はとてつもなく硬く、そして…

「にゃー!?硬いにゃ!歯が痛いにゃー!!」
にゃん吉は子猫だということを。
子猫であるにゃん吉では塊はまだ早かったようだ。
あー…にゃん吉はまだ歯が弱かったのか…

「これはいらないにゃ!」
一つ目は不発に終わった。




Round 2 【チュー○】

猫といえば第二弾。
CIA○社が発売している猫用のおやつであり動画サイトなどでも怒った猫を慰める最終兵器として紹介されている○ュールである。

大丈夫、これならば猫であるにゃん吉なら喜ぶはずだ。
「次はこれな」
チュ○ルを差し出す。
「これは何にゃ?」
「これはチ○ールって言ってな、この世界の猫用のおやつみたいなもんだ」
おお!興味津々みたいだな。

「食べるにゃー!」
そういいにゃん吉は吸い付く。
だが、紡はここでも忘れていた。
にゃん吉は紡と同じ食事を食べていたことを…つまりは…

「にゃー…ピーのご飯の方が美味いにゃ」
ピーに胃袋を掴まれているという事だ。
微妙な顔でチュー○を見つめて困った顔をしている。

「不味くはないにゃ、でも好んで食べようとは思わないにゃ…」
二発目も不発だった。



Round3 【サラダチキン】

猫が好きなものと言えば鳥ササミは入るだろう。それに似たサラダチキンも大丈夫なはずだ。
今回はプレーンを買って来ている。
これならば…連敗続きの、この戦いを勝利へと導いてくれるはずだ!
ていうか、あとは俺のおやつしか無いからこれがダメならどうしようもないんだよな…
頼んだぞサラダチキン君!この戦いは君にかかっている!

「これが最後だ」
「にゃ?真っ白しろにゃー」
サラダチキンを掲げて見回しているその姿はおもちゃを貰った子供のようである。

「それはサラダチキンっていってな、鳥肉に味付けしてある間食のようなものだよ」
「んにゃ、いい匂いがするにゃ!」
開けたサラダチキンを嗅ぐにゃん吉、どうやら匂いは気に入ったようだ。

「食べるにゃー!」
勢いよく齧り付く。無言でもっちゃもっちゃ食べる姿を固唾を呑んで見守る。

そして一言…


「美味いにゃー!!」

よかった…気に入ってもらえたようだな。
結構気に入ったのかずっと口をもっちゃもっちゃさせている。
無言で食べ続けてるし、約束は守れたって事でいいよな。
にゃん吉の喜ぶ姿を眺めながら紡も嬉しさに包まれていた。



よし、にゃん吉も気に入ったし俺もおやつ食べるか。
いつものお気に入りを開きながら俺も食べ始める。
それに気づいたのか…
「何食べてるのかにゃ?」
にゃん吉が興味を示す。

「これか?これはスルメって言ってな、イカを乾燥させたものだよ」
「いい匂いがするにゃ!にゃーにもそのスルメを分けるにゃー!!」
しょうがないなぁ…ちょっとだけあげるか。

「ほら、ちょっとだけだぞ」
にゃん吉は直ぐに齧り付く。
くちゃくちゃと何度も口を動かして無言で食べる。
そして、目をクワッと開き…
「これが一番うまいにゃー!!」
そう叫ぶ。

「ずるいにゃー!ご主人だけそんな美味しいものを食べてずるいのにゃー!!」
かなり気に入ったのか興奮した面持ちで話すにゃん吉は目が血走っている。
お…おい、そんなにか。
「あー…残り食べるか?」

荒れるにゃん吉を治めるためにスルメを犠牲にする。

「やったにゃー!!」

それを抱えにゃん吉は走り去っていった。
にゃん吉がいた場所には食べかけのサラダチキンが残っている。
そのサラダチキンには哀愁が漂っていた。
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