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まさかの地球で激闘が
ふざけて怒られ現代で
しおりを挟むテルが家に来てから数日経ち、やっと我が家にも慣れて来たようだ。
この数日の間、にゃん吉は常にコアと一緒に過ごしており、庭にある樹の下で二人並んで寝ているところを見つけた時など、俺は無意識に写メを連射してしまった。
毎日仲良く過ごす二人は、姉妹のように仲良く、とても楽しそうに過ごしていた。
「テル、こっちに来るにゃ!」「待って…お姉ちゃん…」
青く晴れ渡った空の下、今日も二人は一緒のようだ。
庭で元気に走り回り楽しげに遊ぶ。
「ご主人発見にゃ、テル討伐するにゃー」
見たところ、どうやら今日は、冒険ごっこみたいだな。俺は道中に現れたモンスターってとこか。
二人とも木の棒持ってるし、剣士かな?
「紡さん…倒すの…?」
テルは不安顔でにゃん吉に聞く。
テルは優しいわ、にゃん吉なら問答無用で切りかかって来るだろうからなぁ。
「あのご主人は危険なモンスターにゃ!アホなことを繰り返し周りに迷惑をかけるおバカさんだから討伐するにゃー!」
何故だにゃん吉、声に気持ちがこもっているじゃないか…
てか、モンスターにするなら構わないけどもうちょっと良いキャラにしてくれても良いだろうに。
「お姉ちゃん…わかったです…」
こんな事でそんな真剣にならなくていいのに。
にゃん吉のせいか、本気で俺を倒しに来ているじゃないか。
襲い来る木の枝のピチピチとした攻撃を俺は片手で捌いていく。
「駄目…お姉ちゃん…このモンスター強いです…」
ついにテルも俺をモンスター扱い。
しょうがない、二人のために少し乗ってあげるとするか。
「ふん、その程度の攻撃では俺は倒せぬわ!」
さてどう来るかな?
「テル退くにゃ!お姉ちゃんがかっこいいとこ見せてあげるにゃ!」
「うん…お姉ちゃん、頑張ってです…」
テルが安全なところまで下がったのを確認すると、にゃん吉が木の棒を構えて紡に対峙する。
そういえば遊びとはいえ、にゃん吉と戦うのは初めてだな。
初めて異世界に行った時はその強さに驚いたが、あれから俺も強くなったし、ちょっと本気で戦ってみようかな。
「おバカモンスター、潔く覚悟するにゃ!」
「ふっ…俺を止めたくば、実力で止めてみるのだな!」
軽く威圧を放ちながら、にゃん吉へ向け笑いながらそう話す紡は完全に魔王である。
「にゃっ!?威圧はずるいにゃ!」
「ふん、知らんな」
悪いな、そんな顔をしても無駄だ。
使えるもんは使う主義なんだ。威圧を習得してない自分を恨むんだな。
「先に使ったご主人が悪いにゃよ…」
こちらを見ながらそう呟くにゃん吉。
その目は焦点があってなく、危険な雰囲気を醸し出している。
小刻みに震えるその姿と、何をしでかすか分からない雰囲気に紡は恐怖を覚える。
い…威圧はちょっとやりすぎたかもしれないな…
「ごめんな、やりすぎ「シュッ!」た…?」
紡の顔の近くを何かが通過した。
それは、白い閃光を放ち、一直線に進んでいく。
後ろの木にぶつかると舞い散るように周囲に電撃を拡散していく。
あー…こいつ。魔法使いやがったな。
「魔法使うのはやり過ぎじゃないのか?」
「先にスキル使ったご主人が悪いにゃ!」
おおう…正論すぎて何も返せないな。
まぁ、魔法使うなら、俺も手加減をやめよう。
「まぁ、そうなんだが、にゃん吉も使ったんだ。俺も魔法を使わせてもらうとしようかな」
『お菓子魔法式戦闘術 グミボクサー』
両手にインパクトグミを付けたボクサースタイルへと変身を遂げる。
うむ、サイズもちょうどいいしイメージ通りだな。
「よし、準備完了。じゃあ、やるか」
「ご主人のバカが治るようにビリビリにしてぶっ飛ばすにゃ」
静かに対峙する二人。静寂の中でも、二人は互いにフェイントを入れながら牽制をかけている。
一瞬の隙を見つけるために全神経を集中させ、動かない二人の戦い。
ただの遊びからここまで発展した謎の戦い。
その終わりは、急に訪れる。
「二人とも、何をしているのであるか?」
その一言が聞こえた瞬間に何か上から抑え付けられたような衝撃と共に地面へと叩き潰される二人。
誰だよ、勝負の邪魔したやつは。今からとても楽しくなるところだったのに。
二人はその乱入者を睨みつける。そこには…
「その目はなんであるか?」
「「っ!?」」
ピーが立っていた。
や…やばい、これ絶対にピー、キレてる…
こんな雰囲気のピーは初めてだ、超怖い。
ピーは笑顔、ただ目だけ目だけが笑っていない。
虫のように地面へと潰されながら、紡は恐怖に慄いていた。
にゃん吉も初めてみる激怒したピーが怖かったのだろう、ガクガクと震えている。
「で、答えるのですぞ。何をしていたのであるか?」
下手なことは言えない、言ったら最後だ。にゃん吉と見つめ合い、頷く。
「いや、最近レベル上げもしてなかったからさ、体が鈍らないように練習をと思って、にゃん吉と組手しようかなって」
「んにゃ、にゃーも練習したかったにゃからご主人に相手してもらってたのにゃ」
早口ながらも、息の合った二人は必至に説得を試みる。
「ふむ、そうであるか」
ピーの放つ恐怖のオーラが少し弱まる。
よし、この調子でいけば大丈夫そうだな。
「そう、普通の組手だから大丈夫だぞ」
「んにゃ、ピーは心配性にゃ」
二人はぎこちない笑顔を潰れながらも必至に披露する。
「…そうであるな、ここは近くで見ていたテルに聞いてみるとするのであるぞ」
まずい!テルに聞かれたら下手すればバレるぞ。
この性悪ペンギンの事だ、テルから真実を知る事は簡単に出来るだろうし、万事休すか…
紡とにゃん吉の頬をたらりと汗が伝う。
「テル、どうだったのであるか?」
「え…あっ…」
急な質問に戸惑うテル。
テルー!頼む!俺たちの安全は君にかかっているんだ。どうにかこの場を安静に切り抜けられるようにしてくれ!
地面からテルを見る二人の目は必至に救いを求めていた。
「下の二人は気にしなくていいのである、どうだったのであるか?」
迫り来る運命の審判、その問いかけにテルの口が開く。
「お、お姉ちゃん達…組手してた…です…」
俺達のためだろう、必至にかばうその姿は、誰から見ても嘘だと分かる姿だった。
「…それならいいのであるぞ」
急に押さえつけられていた何かがふわりと消える。
「テルの優しさに感謝するのである」
その一言だけを残し、ピーは屋敷に戻っていった。
取り残された俺たちは…
「怒るとピーって、あんなに怖かったんだな」
「いつも怒らないから、余計に怖かったにゃ」
去ってもなお、動けずにいた。
―――――――――――――――――
side 皇牙&優華
街中を一人佇む皇牙は先の見えない捜索にやさぐれていた。
「あー!もう!全然見つかんねぇじゃねぇかよ!!」
父親の皇矢の決定により、必至に妖樹を探しているが、見つからない現状に嫌気がさしていた。
「ちっ…クソ親父が、どうやって見つけ出せって言うんだよ」
厳しい父親に直接言うわけにもいかない皇牙は一人で文句を言う。
捜索を始めてから数日、妖気察知の呪符を用いて捜索を繰り返すも、見つかるのは別の妖ばかりであった。
家にも帰れず、只々繰り返し呪符を使っては、反応した場所へと向かう作業はかなり精神にダメージを与えていた。
「やさぐれている暇があるんなら、捜索を続けますよ」
そんな皇牙へと声がかかる。
「ああ、優華か。そっちも見つからなかったか?」
「ダメでした。一体どこにいったのか…」
疲れた顔をしてそう呟く優華。彼女も連日の捜索により、かなり精神を削られていた。
「そっちもハズレなら、あとは神林町ぐらいしか無いんじゃないのか?」
「そうですわね…行ってみますか」
疲れた体に気合を入れて、二人は次の地域へと探索場所を変えていく。
なんの因果か、『神林町』それは妖樹が逃げた先であり、紡が住む屋敷が建っている地域であった。
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