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5章
沈んだ月
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夜の川に映る月は、まるで暗闇にひっそりと沈んでいるように見える。
救えそうな光りに両手を伸ばすと、生暖かい空気だけが、心に溜まった。ユラユラと水に浮かんでいる月は、騙されて手を伸ばした夏希の事を、まるで笑っている様だった。
土曜日の部活が昼で終わると、夏希はショッピングセンターへ行き、楽器店に並ぶのメトロノームの規則的なリズムを、目で追っていた。永遠に繰り返されるものだと思うと、どうしてこんなにも心が穏やかになれるんだろう。
本屋へ寄って、今週の星占いを読んでみる。蠍座はどれも辛抱の週。これ以上の辛抱って何があるのよ。
ハートマークが5つついた恋愛運は、初めから読む気にもならなかった。
夏希は飴を一つ買うと、バス停まで駐車場を突っ切ろうとしたが、あまりの車の多さに、危ないと思い諦めた。
美容師さん、いるわけないか。
駅前の赤信号でバスが停まった。潤の店の前には、車があり、中でも人が順番を待っているのが見えた。
少しだけ、会って話しがしたかったけど、やっぱり逃げるなんて、卑怯だよね。
県大会に向かう朝。
学校から出るバスに乗り込むと、青田が隣りに座った。ここから4時間かかる大会の行われる町まで、苦痛な時間になりそうだ。
一番後ろの席に座った廣岡の隣りには、有紗がいる。原田や有紗の取り巻きが、周りで楽しそうに話しを始めた。
夏希は窓にもたれて目を閉じると、
「もう、寝るのか。」
青田が言った。
「青田くん、後ろに行ったら?」
夏希は青田に冷たく言った。
「別にいいだろう。ほら、やるよ。」
青田は夏希に飴を渡した。
「私も持ってるよ。」
夏希は飴を返そうとしたが、
「それなら城田の飴をちょうだい。」
青田が言った。
夏希は青田に飴を渡すと
「なんだよ、同じものだったのか。」
青田がそう言って笑った。
「城田、前、少し言い過ぎたな。」
真剣な顔に戻った青田は、夏希に言った。
「もう、忘れたよ。」
夏希は窓を見た。
「俺、ずっと気にしてて。」
「青田くんが気にする事なんてない。本人達は楽しそうなんだからさ。」
「廣岡、どうしたんだろうな。」
「何が?」
「おかしいよな。この2週間、練習してないのと同じだよ。城田もそう思うだろう?」
「よくわかんない。私寝るから、青田くんそっちに行って。」
夏希は隣りの空いている座席を指さした。
「ここでもいいだろう。」
「そっちへ行ってよ。」
夏希はまた隣りの席を指さした。
「いいだろう、ここで。」
青田は動かなかった。
「明日、優芽のお父さんが見に来るって。」
夏希が言った。
「それは楽しみだなあ。」
「青田くん、あんまり変な動きすると、優芽のお父さんに注意されるからね。」
夏希はそう言うと、体を窓の方に向けて目をつぶった。
サービスエリアに停まると、青田はぐっすり眠る夏希の頬に、冷たいオレンジジュースをつけた。
「びっくりした!」
夏希が目を覚ました。
「最後の休憩だぞ。起きなくていいのかよ。」
青田は夏希にそう言った。
「じゃあ、ちょっと降りる。」
夏希がバスを降りてトイレに向う。
「夏希、後がろうるさくて、ぜんぜん眠れない。」
もう一組のダブルスを組むミカとカオルの2人が、有紗達の文句を言ってきた。
「あと少しだからさ。」
夏希はそう言うと手を洗った。
「夏希はいいねぇ。青田が隣りで。2人は付き合ってるんでしょう。」
「そんなわけないじゃん。青田くん、車酔いがひどいから、前に来たんでしょう。」
「前に私達も移ろうか。夏希の隣りに空いてたよね。」
バスに戻ると、青田が夏希のいた窓側の席に座っていた。
「もう寝るなよ。」
「ミカ達がこっちに来るって。」
「じゃあ、俺こっちにする。」
青田は通路側に戻った。
「静かにしてよ。ぜんぜん眠れないって言ってるから。」
「わかってるって。」
2人が隣りに移動してくると、青田は飴を渡した。
「青田くんにもあげようか。」
それぞれが飴を出して、交換した。
「城田さぁ、おれの飴と被ってんだよ。」
「2人は気が合うんだね。」
ミカが言った。
「おい、あんまり城田の気に障る事いうと、爆発するから気をつけろよ。」
青田がそう言うと、2人は笑った。
試合会場に着くと、先に着いていた学校と一緒に、練習が始まった。有紗は練習についていけず、何度も休憩を取った。
練習試合が始まると、固まっている有紗の分まで、夏希はシャトルを追った。休む暇なく、次はシングルスの練習試合が始まると、相手の子と長いラリーになり、どちらかがミスをするまで、それは続いた。体はヘトヘトだったが、久しぶりに自分のリズムでシャトルを打てる事が嬉しくて、夏希は心が弾んでいた。
相手チームの顧問が、原田に話し掛けていた。
廣岡はエースと知り合いなのか、ひとつのコートを占領し、ずっと練習試合をしていた。廣岡もまた、久しぶりに思いっきりシャトルを追い掛けているせいか、いつになく真剣な顔をしていた。
練習が終わり、宿泊先に着くと、食事の時間だけが告げられ、あとは自由だと言われた。夏希はミカ達に何時に食べるか聞くと、18時半に部屋に迎えに行くからと言った。
遠征に来るのは、今日が初めてではなかったけれど、いつもは優芽や七海と同じ部屋になり、夜はいろんな話しをした。他校の生徒もよく利用する、合宿所の様や宿に泊まる事がほとんどで、廊下で話す高校生の声が、いつも部屋の中にまで聞こえてきた。優芽と七海と夏希も、夜遅くまでいろんな話しをし、早く寝ろと、顧問の先生によく怒られた。今日の様に、一般客が自分達とすれ違う度に、ため息をつくような観光目的の宿は、なんとなく居心地が悪い。
ミカ達が夏希を夕食に迎えに来ると、廊下で大声で女子達と話していた有紗が、夏希の所へきた。
「城田、明日よろしくね。」
有紗は上機嫌だった。
3人が食堂へ向うと、廣岡と青田達がこっちと手招きをした。ミカは同じく今席についたばかりの別の男子を指さして、こっちに座ると青田に合図をした。
「なんでバスの席の移動したの?」
男子の1人、ソウマがミカに聞いた。
「あんたらがうるさいからよ。」
「俺等もうるさくて逃げたかったよ。」
「盛り上がってたくせに。」
「それはあっち。」
ソウマは小さく廣岡達のグループを指さした。皆は口々に、言いたい事を言い合っている。
「これじゃあ、観光だな。」
「本当、試合に出る人だけくればいいのに、なんで3年は全員参加なのよ。」
「原田の思い出作りだろう。」
「真面目に練習してるこっちの身になれって。」
「去年まで顧問だった渋谷がいなくなってから、原田の好き放題だな。」
「本当。」
「ろくに指導しないくせに、威張って偉そうだし、原田なんか大嫌い。」
「どうせ、すぐに負けるんだから、さっさと帰って、休みたいよ。」
「廣岡が個人戦で、きっと決勝まで行くだろう。結局、俺達も最後まで応援だよ。めんどくせーな。」
みんなはそれぞれの理由で並べ、文句を言っていた。
「城田、また爆発しろよ。」
ソウマが夏希にそう言った。
「嫌だよ。また、原田から家に電話が掛かってくる。」
「優芽のお父さんきてくれないかな。」
ミカがそう言うと、
「明日、くるよ。」
夏希が言った。
皆は一斉にガッツポーズをして、今度はヒソヒソと、ヤッター!原田ぶっとばせ!そんな声が後に続いた。
「静かにしてよ、恥ずかしい。」
ミカが口に手をあてると、ミカのその手も、小さくガッツポーズをしている。
次の日、試合の朝。
ギャラリーでミーティングをしていると、優芽と聡が近くでそれを聞いていた。
ミーティングが終わり、皆が優芽の元に集まると、差し入れだと、たくさんの蒸しパンを、優芽は皆に渡した。
「ありがとうございます。」
夏希が聡に頭を下げると、
「夏希、大丈夫?」
優芽がそう言った。
「早く帰りたい。」
夏希が言うと、
「ただで来たんじゃないんだからな。精一杯、皆に恩返ししなさい。」
聡はそう言った。
「そうでした、すみません。」
「お父さん、夏希はすごく頑張ってるよ。」
優芽がそう言うと、
「さっき、知り合いが言ってけど、夏希を見てびっくりしてたぞ。どこまでも食らいついてくる、七海ちゃんを見てるみたいだって。」
聡はバトミントン協会の理事をやっていたので、他校のコーチにも知り合いがたくさんいた。
「七海、もっとバトミントン、やりたかっただろうね。」
優芽がそう言うと、夏希は急に淋しくなった。
「城田!」
原田が夏希を呼んだ。
「梨田の父親は、部活に関わるなって校長から言われてるだろう。」
「純粋に、私だけの応援にきてくれたんです。それに協会の理事だから、普通に仕事に来てるんです。」
「このパンは?」
原田は夏希が持っている蒸しパンを指さした。
「私1人じゃ、食べきれないから皆に配っただけです。」
「あんまり口出すと、また校長が出ててくるからって言っておけ。」
夏希は席に戻った。
「城田、ゼッケンつけてくれよ。」
青田が夏希にゼッケンを渡した。
「自分でつけたらいいでしょう。ユニフォームを脱いでつけなよ。」
「安全ピンが指に刺さるかもしれないような気がして、怖いんだよ。」
「もう。」
夏希は仕方なく、青田の背中にゼッケンを安全ピンで止めた。
「お前、俺の背中にピンを刺そうとしただろう。」
青田はそう言って笑った。
「2人共、ずいぶん仲がいいね。城田、青田と付き合ってるの?」
有紗はそう言って腕を組んだ。
「そうだよ、悪いかよ。」
青田が言った。夏希は呆れてため息をつくと、聡の所へ向かった。
夏希を見ていた青田に、
「青田、やめておきなよ。城田は地元のド派手男と付き合ってるって噂だよ。ああ見えて、なかなかの女だよ、あいつ。」
有紗はそう言って笑った。
「優芽、髪切ったの?」
夏希は優芽の髪を触った。
「駅前の美容室に行ってきたの。」
「美容師さん、めっちゃかっこよかったでしょう。」
「すごくかっこよかった。」
「都会の香りがするよね、ここ辺の男子とはぜんぜん違う。私も夏希みたいにジャージ忘れよっかなぁ。そしたら、美容師さんが学校に届けてくれるから。だけど、夏希。どうしたら美容室に忘れもんなんかできるの?帰りに必ず、荷物確認してくれるじゃん。」
夏希は潤に送ってもらったとは言えず、
「私はどこにでも忘れるんだ。バスの運転手さんからもマークされてる。」
そう言って笑った。
「夏希、いいか、」
聡が夏希にいくつか指示をする。夏希の後ろには、聡の話しからアドバイスをもらいたい生徒が、列になっていた。
「お前たち、監督に聞けばいいだろう。」
聡がそう言うと、ミカは携帯で楽しそうに話している原田指さした。
試合が始まり、2つの体育館を行き来しあい、試合が一気に進められた。1回戦、2回戦と勝ち、3回戦の行われるコートに向かう途中、
「城田、ちょっと待ってよ。 」
有紗が遅れ出した。
「荷物、持つ?」
「そうして。」
夏希が有紗の分も荷物を持つと、
「あんた、男みたいだね。」
有紗はそう言った。
3回戦は少し時間がかかったが、なんとか勝った。
準々決勝以降は、明日の試合となった。
「夏希、頑張ったね。明日も応援にくるから。」
優芽がそう言うと、
「本当?嬉しい。」
夏希は喜んだ。
「ねぇ、聡さんは?」
夏希が優芽に聞くと、
「協会の人と話しをしてる。お父さんの導火線、短いからさ。」
そう言って笑った。
男子は廣岡と青田が個人戦で勝ち進み、共に明日、試合を行う事となった。
夏希は時々、知らない他校の女子から、七海はどうして亡くなったのかと聞かれたけれど、いつも隣りに有紗がいたので、よくわからないとだけ答えた。
2日目の夕食は、みんな言葉が出ないだけ疲れていた。
夏希が自動販売機で飲み物を買っていると、青田が来た。
「城田、派手な男と付き合ってるって、本当かよ。」
青田が言った。
「ああ、美容師さんの事?」
「本当なのか?」
「誰が言ってるの、そんな事。」
「砂田から聞いたんだよ。」
「へぇ~、砂田さんの話し、信じるんだ。」
夏希はエレベーターの前に向かった。
青田が後を追ってくる。
「彼氏なのか?」
「素敵な人、大人だし。」
「お前、からかわれてるだけだって。」
「当たりまえだよ。私はただ、髪切ってもらっただけ。」
青田は夏希の部屋まで追ってきた。
「ちょっと、入ってこないでよ。」
夏希は青田をドアの方へ押し出そうとした。
なかなか出ていかない青田に、
「見つかったら、怒られるって、早く自分の部屋に帰ってよ。」
夏希はそう言って力を込めて、押し出した。
「誰にも見つからなかったら、いいのかよ。」
「いいわけないでしょう?私達、高校の部活の遠征で来てるんだよ。」
「知ってるよ。遠征中は、恋愛したらダメなのかよ。」
「ダメだよ。試合に集中できなくなる。」
「それなら、試合が終わったら、いいんだろう。」
青田は夏希の腕を掴むと、自分の体に引き寄せた。
「バカ!」
夏希がそういうと青田は帰っていった。
次の日の朝早く。
荷物をまとめて、ロビーに来るように言われ、そのままバスに乗って帰る事となった。バスに乗ると、中に座っていた校長から、皆に話しがあった。
昨夜、夜中に自動販売機で有紗達がお酒を買っている所を客に注意をされ、喧嘩へと発展した。騒ぎを聞きつけた従業員が警察へ連絡を入れ、高校生の飲酒がバレた。
それに、前日から宿の中で騒ぎ、他の客からも多くの苦情が入っていたようで、学校へも早く出ていくように連絡が入っていた。
あっけなく終わってしまった最後の夏。
青田は廣岡の隣りに座り、2人共、下を向いていた。
夏希は優芽からラインがきたので、携帯を見た。
「ニュースになってるよ。」
「恥ずかしいよ。」
「有紗達でしょう?やってくれたね。」
「優芽、夜練は行っても平気?」
「おいで、待ってる。」
優芽の返信をすると、流れそうになった涙を堪えた。
「城田、俺達なんか悪い事したか?」
青田はそう言った。
「青田くんは昨日の事、知らなかったの?」
「知らないよ。疲れて早く寝ちゃったし。」
「そっか。」
家に着き、部屋に閉じこもった夏希に、母は出掛けるからと、おにぎりを置いて出ていった。きっと、学校に呼ばれたんだ、夏希はそう思った。
夏希は気持ちが落ち着かず、家にいなさいと言われていたのに、夕方、潤の店の前まで歩いていった。中に誰もいなくなるまで、外から店を見ていると、潤が鍵を閉めに玄関に近づいてきた。
夏希はそっと扉を開けた。
「夏希ちゃん、どうしたの?今日はもう、終わりだよ。」
時計は20時を回っている。潤は夏希の顔を覗き込んだ。
「明日おいで。」
そう言って、夏希の肩に手をやった。下を向いて顔をあげない夏希に、
「なんか嫌な事でもあったの?」
そう言って、もう一度顔を覗いた。
「潤さん、神様なんて、どこにもいないね。」
「アハハ、そんなに重い話しかい?」
「馬鹿みたいに小さな話し。」
「辛い事に、大きいも小さいもないだろう。」
夏希は潤をまっすぐ見つめた。
「前にも言ったけど、夜に女の子が1人で歩くのは好きじゃないだ。送って行くから。」
そう言って潤は夏希と一緒に玄関を出た。
「家は近くなの?」
「バス停3つ分。」
「それなら車で送っていくよ。」
「ううん。歩いて帰る。潤さんと話したいから。」
「わかったよ。どんな話し?」
「今日、ニュース見たでしょう?」
「もしかして、高校生の飲酒の話し?」
「そう。あっけなかったなぁ。最後の試合だったのに。」
「規則はちゃんと守らないと。」
「私はお酒なんて飲んでない。」
「わかってるよ。」
「だけど、みんなそうやって見るでしょう。友達も自殺したし、やっぱりあのバトミントン部は、荒れていたんだって。」
「そうかもしれないね。」
「進学する事も、難しくなるかも。」
「無理に背伸びなんかしなくてもいいんだよ。」
「潤さんみたいな賢い大人だったら、もっと冷静にいろんな事を考えられるのに。」
「大人だって、どうしようもない時があるんだよ。」
「ねえ、潤さん。」
「何?」
「逃げていい?」
「いいよ。どこに逃げる?」
夏希は潤の胸を指さした。
「ほら。」
潤は夏希を優しく包んだ。
「夏希ちゃん、キスしてあげようか。した事ある?」
夏希は首を振った。
「嫌な事、全部忘れるよ。それでも辛かったら、またここにおいで。」
潤はそう言うと、夏希にそっとキスをした。優しい潤の空気が、夏希を夜の空に溶かしていく。
「潤さん、ありがとう。もう全部忘れるから。」
夏希は手を振るとそのまま走っていった。
救えそうな光りに両手を伸ばすと、生暖かい空気だけが、心に溜まった。ユラユラと水に浮かんでいる月は、騙されて手を伸ばした夏希の事を、まるで笑っている様だった。
土曜日の部活が昼で終わると、夏希はショッピングセンターへ行き、楽器店に並ぶのメトロノームの規則的なリズムを、目で追っていた。永遠に繰り返されるものだと思うと、どうしてこんなにも心が穏やかになれるんだろう。
本屋へ寄って、今週の星占いを読んでみる。蠍座はどれも辛抱の週。これ以上の辛抱って何があるのよ。
ハートマークが5つついた恋愛運は、初めから読む気にもならなかった。
夏希は飴を一つ買うと、バス停まで駐車場を突っ切ろうとしたが、あまりの車の多さに、危ないと思い諦めた。
美容師さん、いるわけないか。
駅前の赤信号でバスが停まった。潤の店の前には、車があり、中でも人が順番を待っているのが見えた。
少しだけ、会って話しがしたかったけど、やっぱり逃げるなんて、卑怯だよね。
県大会に向かう朝。
学校から出るバスに乗り込むと、青田が隣りに座った。ここから4時間かかる大会の行われる町まで、苦痛な時間になりそうだ。
一番後ろの席に座った廣岡の隣りには、有紗がいる。原田や有紗の取り巻きが、周りで楽しそうに話しを始めた。
夏希は窓にもたれて目を閉じると、
「もう、寝るのか。」
青田が言った。
「青田くん、後ろに行ったら?」
夏希は青田に冷たく言った。
「別にいいだろう。ほら、やるよ。」
青田は夏希に飴を渡した。
「私も持ってるよ。」
夏希は飴を返そうとしたが、
「それなら城田の飴をちょうだい。」
青田が言った。
夏希は青田に飴を渡すと
「なんだよ、同じものだったのか。」
青田がそう言って笑った。
「城田、前、少し言い過ぎたな。」
真剣な顔に戻った青田は、夏希に言った。
「もう、忘れたよ。」
夏希は窓を見た。
「俺、ずっと気にしてて。」
「青田くんが気にする事なんてない。本人達は楽しそうなんだからさ。」
「廣岡、どうしたんだろうな。」
「何が?」
「おかしいよな。この2週間、練習してないのと同じだよ。城田もそう思うだろう?」
「よくわかんない。私寝るから、青田くんそっちに行って。」
夏希は隣りの空いている座席を指さした。
「ここでもいいだろう。」
「そっちへ行ってよ。」
夏希はまた隣りの席を指さした。
「いいだろう、ここで。」
青田は動かなかった。
「明日、優芽のお父さんが見に来るって。」
夏希が言った。
「それは楽しみだなあ。」
「青田くん、あんまり変な動きすると、優芽のお父さんに注意されるからね。」
夏希はそう言うと、体を窓の方に向けて目をつぶった。
サービスエリアに停まると、青田はぐっすり眠る夏希の頬に、冷たいオレンジジュースをつけた。
「びっくりした!」
夏希が目を覚ました。
「最後の休憩だぞ。起きなくていいのかよ。」
青田は夏希にそう言った。
「じゃあ、ちょっと降りる。」
夏希がバスを降りてトイレに向う。
「夏希、後がろうるさくて、ぜんぜん眠れない。」
もう一組のダブルスを組むミカとカオルの2人が、有紗達の文句を言ってきた。
「あと少しだからさ。」
夏希はそう言うと手を洗った。
「夏希はいいねぇ。青田が隣りで。2人は付き合ってるんでしょう。」
「そんなわけないじゃん。青田くん、車酔いがひどいから、前に来たんでしょう。」
「前に私達も移ろうか。夏希の隣りに空いてたよね。」
バスに戻ると、青田が夏希のいた窓側の席に座っていた。
「もう寝るなよ。」
「ミカ達がこっちに来るって。」
「じゃあ、俺こっちにする。」
青田は通路側に戻った。
「静かにしてよ。ぜんぜん眠れないって言ってるから。」
「わかってるって。」
2人が隣りに移動してくると、青田は飴を渡した。
「青田くんにもあげようか。」
それぞれが飴を出して、交換した。
「城田さぁ、おれの飴と被ってんだよ。」
「2人は気が合うんだね。」
ミカが言った。
「おい、あんまり城田の気に障る事いうと、爆発するから気をつけろよ。」
青田がそう言うと、2人は笑った。
試合会場に着くと、先に着いていた学校と一緒に、練習が始まった。有紗は練習についていけず、何度も休憩を取った。
練習試合が始まると、固まっている有紗の分まで、夏希はシャトルを追った。休む暇なく、次はシングルスの練習試合が始まると、相手の子と長いラリーになり、どちらかがミスをするまで、それは続いた。体はヘトヘトだったが、久しぶりに自分のリズムでシャトルを打てる事が嬉しくて、夏希は心が弾んでいた。
相手チームの顧問が、原田に話し掛けていた。
廣岡はエースと知り合いなのか、ひとつのコートを占領し、ずっと練習試合をしていた。廣岡もまた、久しぶりに思いっきりシャトルを追い掛けているせいか、いつになく真剣な顔をしていた。
練習が終わり、宿泊先に着くと、食事の時間だけが告げられ、あとは自由だと言われた。夏希はミカ達に何時に食べるか聞くと、18時半に部屋に迎えに行くからと言った。
遠征に来るのは、今日が初めてではなかったけれど、いつもは優芽や七海と同じ部屋になり、夜はいろんな話しをした。他校の生徒もよく利用する、合宿所の様や宿に泊まる事がほとんどで、廊下で話す高校生の声が、いつも部屋の中にまで聞こえてきた。優芽と七海と夏希も、夜遅くまでいろんな話しをし、早く寝ろと、顧問の先生によく怒られた。今日の様に、一般客が自分達とすれ違う度に、ため息をつくような観光目的の宿は、なんとなく居心地が悪い。
ミカ達が夏希を夕食に迎えに来ると、廊下で大声で女子達と話していた有紗が、夏希の所へきた。
「城田、明日よろしくね。」
有紗は上機嫌だった。
3人が食堂へ向うと、廣岡と青田達がこっちと手招きをした。ミカは同じく今席についたばかりの別の男子を指さして、こっちに座ると青田に合図をした。
「なんでバスの席の移動したの?」
男子の1人、ソウマがミカに聞いた。
「あんたらがうるさいからよ。」
「俺等もうるさくて逃げたかったよ。」
「盛り上がってたくせに。」
「それはあっち。」
ソウマは小さく廣岡達のグループを指さした。皆は口々に、言いたい事を言い合っている。
「これじゃあ、観光だな。」
「本当、試合に出る人だけくればいいのに、なんで3年は全員参加なのよ。」
「原田の思い出作りだろう。」
「真面目に練習してるこっちの身になれって。」
「去年まで顧問だった渋谷がいなくなってから、原田の好き放題だな。」
「本当。」
「ろくに指導しないくせに、威張って偉そうだし、原田なんか大嫌い。」
「どうせ、すぐに負けるんだから、さっさと帰って、休みたいよ。」
「廣岡が個人戦で、きっと決勝まで行くだろう。結局、俺達も最後まで応援だよ。めんどくせーな。」
みんなはそれぞれの理由で並べ、文句を言っていた。
「城田、また爆発しろよ。」
ソウマが夏希にそう言った。
「嫌だよ。また、原田から家に電話が掛かってくる。」
「優芽のお父さんきてくれないかな。」
ミカがそう言うと、
「明日、くるよ。」
夏希が言った。
皆は一斉にガッツポーズをして、今度はヒソヒソと、ヤッター!原田ぶっとばせ!そんな声が後に続いた。
「静かにしてよ、恥ずかしい。」
ミカが口に手をあてると、ミカのその手も、小さくガッツポーズをしている。
次の日、試合の朝。
ギャラリーでミーティングをしていると、優芽と聡が近くでそれを聞いていた。
ミーティングが終わり、皆が優芽の元に集まると、差し入れだと、たくさんの蒸しパンを、優芽は皆に渡した。
「ありがとうございます。」
夏希が聡に頭を下げると、
「夏希、大丈夫?」
優芽がそう言った。
「早く帰りたい。」
夏希が言うと、
「ただで来たんじゃないんだからな。精一杯、皆に恩返ししなさい。」
聡はそう言った。
「そうでした、すみません。」
「お父さん、夏希はすごく頑張ってるよ。」
優芽がそう言うと、
「さっき、知り合いが言ってけど、夏希を見てびっくりしてたぞ。どこまでも食らいついてくる、七海ちゃんを見てるみたいだって。」
聡はバトミントン協会の理事をやっていたので、他校のコーチにも知り合いがたくさんいた。
「七海、もっとバトミントン、やりたかっただろうね。」
優芽がそう言うと、夏希は急に淋しくなった。
「城田!」
原田が夏希を呼んだ。
「梨田の父親は、部活に関わるなって校長から言われてるだろう。」
「純粋に、私だけの応援にきてくれたんです。それに協会の理事だから、普通に仕事に来てるんです。」
「このパンは?」
原田は夏希が持っている蒸しパンを指さした。
「私1人じゃ、食べきれないから皆に配っただけです。」
「あんまり口出すと、また校長が出ててくるからって言っておけ。」
夏希は席に戻った。
「城田、ゼッケンつけてくれよ。」
青田が夏希にゼッケンを渡した。
「自分でつけたらいいでしょう。ユニフォームを脱いでつけなよ。」
「安全ピンが指に刺さるかもしれないような気がして、怖いんだよ。」
「もう。」
夏希は仕方なく、青田の背中にゼッケンを安全ピンで止めた。
「お前、俺の背中にピンを刺そうとしただろう。」
青田はそう言って笑った。
「2人共、ずいぶん仲がいいね。城田、青田と付き合ってるの?」
有紗はそう言って腕を組んだ。
「そうだよ、悪いかよ。」
青田が言った。夏希は呆れてため息をつくと、聡の所へ向かった。
夏希を見ていた青田に、
「青田、やめておきなよ。城田は地元のド派手男と付き合ってるって噂だよ。ああ見えて、なかなかの女だよ、あいつ。」
有紗はそう言って笑った。
「優芽、髪切ったの?」
夏希は優芽の髪を触った。
「駅前の美容室に行ってきたの。」
「美容師さん、めっちゃかっこよかったでしょう。」
「すごくかっこよかった。」
「都会の香りがするよね、ここ辺の男子とはぜんぜん違う。私も夏希みたいにジャージ忘れよっかなぁ。そしたら、美容師さんが学校に届けてくれるから。だけど、夏希。どうしたら美容室に忘れもんなんかできるの?帰りに必ず、荷物確認してくれるじゃん。」
夏希は潤に送ってもらったとは言えず、
「私はどこにでも忘れるんだ。バスの運転手さんからもマークされてる。」
そう言って笑った。
「夏希、いいか、」
聡が夏希にいくつか指示をする。夏希の後ろには、聡の話しからアドバイスをもらいたい生徒が、列になっていた。
「お前たち、監督に聞けばいいだろう。」
聡がそう言うと、ミカは携帯で楽しそうに話している原田指さした。
試合が始まり、2つの体育館を行き来しあい、試合が一気に進められた。1回戦、2回戦と勝ち、3回戦の行われるコートに向かう途中、
「城田、ちょっと待ってよ。 」
有紗が遅れ出した。
「荷物、持つ?」
「そうして。」
夏希が有紗の分も荷物を持つと、
「あんた、男みたいだね。」
有紗はそう言った。
3回戦は少し時間がかかったが、なんとか勝った。
準々決勝以降は、明日の試合となった。
「夏希、頑張ったね。明日も応援にくるから。」
優芽がそう言うと、
「本当?嬉しい。」
夏希は喜んだ。
「ねぇ、聡さんは?」
夏希が優芽に聞くと、
「協会の人と話しをしてる。お父さんの導火線、短いからさ。」
そう言って笑った。
男子は廣岡と青田が個人戦で勝ち進み、共に明日、試合を行う事となった。
夏希は時々、知らない他校の女子から、七海はどうして亡くなったのかと聞かれたけれど、いつも隣りに有紗がいたので、よくわからないとだけ答えた。
2日目の夕食は、みんな言葉が出ないだけ疲れていた。
夏希が自動販売機で飲み物を買っていると、青田が来た。
「城田、派手な男と付き合ってるって、本当かよ。」
青田が言った。
「ああ、美容師さんの事?」
「本当なのか?」
「誰が言ってるの、そんな事。」
「砂田から聞いたんだよ。」
「へぇ~、砂田さんの話し、信じるんだ。」
夏希はエレベーターの前に向かった。
青田が後を追ってくる。
「彼氏なのか?」
「素敵な人、大人だし。」
「お前、からかわれてるだけだって。」
「当たりまえだよ。私はただ、髪切ってもらっただけ。」
青田は夏希の部屋まで追ってきた。
「ちょっと、入ってこないでよ。」
夏希は青田をドアの方へ押し出そうとした。
なかなか出ていかない青田に、
「見つかったら、怒られるって、早く自分の部屋に帰ってよ。」
夏希はそう言って力を込めて、押し出した。
「誰にも見つからなかったら、いいのかよ。」
「いいわけないでしょう?私達、高校の部活の遠征で来てるんだよ。」
「知ってるよ。遠征中は、恋愛したらダメなのかよ。」
「ダメだよ。試合に集中できなくなる。」
「それなら、試合が終わったら、いいんだろう。」
青田は夏希の腕を掴むと、自分の体に引き寄せた。
「バカ!」
夏希がそういうと青田は帰っていった。
次の日の朝早く。
荷物をまとめて、ロビーに来るように言われ、そのままバスに乗って帰る事となった。バスに乗ると、中に座っていた校長から、皆に話しがあった。
昨夜、夜中に自動販売機で有紗達がお酒を買っている所を客に注意をされ、喧嘩へと発展した。騒ぎを聞きつけた従業員が警察へ連絡を入れ、高校生の飲酒がバレた。
それに、前日から宿の中で騒ぎ、他の客からも多くの苦情が入っていたようで、学校へも早く出ていくように連絡が入っていた。
あっけなく終わってしまった最後の夏。
青田は廣岡の隣りに座り、2人共、下を向いていた。
夏希は優芽からラインがきたので、携帯を見た。
「ニュースになってるよ。」
「恥ずかしいよ。」
「有紗達でしょう?やってくれたね。」
「優芽、夜練は行っても平気?」
「おいで、待ってる。」
優芽の返信をすると、流れそうになった涙を堪えた。
「城田、俺達なんか悪い事したか?」
青田はそう言った。
「青田くんは昨日の事、知らなかったの?」
「知らないよ。疲れて早く寝ちゃったし。」
「そっか。」
家に着き、部屋に閉じこもった夏希に、母は出掛けるからと、おにぎりを置いて出ていった。きっと、学校に呼ばれたんだ、夏希はそう思った。
夏希は気持ちが落ち着かず、家にいなさいと言われていたのに、夕方、潤の店の前まで歩いていった。中に誰もいなくなるまで、外から店を見ていると、潤が鍵を閉めに玄関に近づいてきた。
夏希はそっと扉を開けた。
「夏希ちゃん、どうしたの?今日はもう、終わりだよ。」
時計は20時を回っている。潤は夏希の顔を覗き込んだ。
「明日おいで。」
そう言って、夏希の肩に手をやった。下を向いて顔をあげない夏希に、
「なんか嫌な事でもあったの?」
そう言って、もう一度顔を覗いた。
「潤さん、神様なんて、どこにもいないね。」
「アハハ、そんなに重い話しかい?」
「馬鹿みたいに小さな話し。」
「辛い事に、大きいも小さいもないだろう。」
夏希は潤をまっすぐ見つめた。
「前にも言ったけど、夜に女の子が1人で歩くのは好きじゃないだ。送って行くから。」
そう言って潤は夏希と一緒に玄関を出た。
「家は近くなの?」
「バス停3つ分。」
「それなら車で送っていくよ。」
「ううん。歩いて帰る。潤さんと話したいから。」
「わかったよ。どんな話し?」
「今日、ニュース見たでしょう?」
「もしかして、高校生の飲酒の話し?」
「そう。あっけなかったなぁ。最後の試合だったのに。」
「規則はちゃんと守らないと。」
「私はお酒なんて飲んでない。」
「わかってるよ。」
「だけど、みんなそうやって見るでしょう。友達も自殺したし、やっぱりあのバトミントン部は、荒れていたんだって。」
「そうかもしれないね。」
「進学する事も、難しくなるかも。」
「無理に背伸びなんかしなくてもいいんだよ。」
「潤さんみたいな賢い大人だったら、もっと冷静にいろんな事を考えられるのに。」
「大人だって、どうしようもない時があるんだよ。」
「ねえ、潤さん。」
「何?」
「逃げていい?」
「いいよ。どこに逃げる?」
夏希は潤の胸を指さした。
「ほら。」
潤は夏希を優しく包んだ。
「夏希ちゃん、キスしてあげようか。した事ある?」
夏希は首を振った。
「嫌な事、全部忘れるよ。それでも辛かったら、またここにおいで。」
潤はそう言うと、夏希にそっとキスをした。優しい潤の空気が、夏希を夜の空に溶かしていく。
「潤さん、ありがとう。もう全部忘れるから。」
夏希は手を振るとそのまま走っていった。
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