王を恨んだ妃 第1章~復讐~

木継 槐

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幼少期~煌の視点~

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男はその建物の足下に無造作に座ると口を開いた。

「お座りを。」
「ッ!!?そなた……言葉を……。」

「かつてここの住人だった山賊に学びました。でも話が出来たら高貴な輩に殺されると。…あなたは用心棒を連れていた。だから高貴な輩。違いますか?」

この男はあの短時間で俺の立場を理解し、自己防衛に走ったようだった。
しかし俺の抵抗がなくなったため攻撃をやめたと淡々と告げた。
男はそう説明を入れながら俺の傷を手早く処置をし、俺の前に正式な座り形をした。

俺はこの男に今までのいきさつと事情をある程度説明した。

すると男は俺をじっと見つめると…。
「あなたはガキんちょですね。」
そう一言呟くとため息を吐いた。

「何?……今俺のことを……ガキと申したか。無礼なヤツだな。」
「本音で言うとただの不器用天邪鬼のクソガキです。」
「ッ!!?」

そのような侮辱を受けたことのない俺はそのまま口をあんぐり開けるしか出来なかった。

「言われ慣れない言葉だろうがそれが俺の感想です。」
「……俺はそんな理由で日々命を狙われないといけなくなったのか……?」

こないだの毒事件のことも然り、今日の護衛が去ったこともしかり……、俺は死をひどく恐ろしいと感じ、声までも震えてしまった。

「ならば自分で自分の身を守る術を身に付けることです。何もしないで震えるだけなら威嚇で自分に隙を作らない獣たちより愚かです。」

「ならばそなたに頼みがある。俺の専属の護衛になってはくれないか?」

男は俺をじっと見つめ、話の先を促した。
「私のまわりには信頼の置ける者はいない。だからといって自ら身を守るほどの力も無い。」

「……そのようにお見受けしました。」
男は吐く息と言葉を混ぜて呆れを表した。

「俺は自らを守る術を求めているのだ。もちろんソナタには多くの益が向くだろう。…せめて俺に護身が身につくまででいい。俺はまだ死ぬわけにはいかない。」
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