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あの日の記憶…回想…
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それは俺がまだ小学2年生に上がった年に始まった。
俺の家は、祖父の会社を父が継ぐ形で結構有名な金持ち一家だった。
父は放任的で母は少し過干渉で、少し年の離れた姉はリビングで小難しい本を読んでは、俺をバカにする。
それでも週に一回の外食とほしい時にもらえるお小遣いに何の抵抗も疑問も持っていないバカな子供時代だった。
そして今日も友達と遊んだ帰り道ひとり家路についていた。
しかし、家まであと少しの曲がり角、俺の目の前に見えたのは真っ黒い黒煙と野次馬の悲鳴とガヤ。
慌てて家に急ぐと、そこは。
「……え……。」
真っ赤に燃え上がる炎、消防車はまだ来ていなくてガヤが遠くから眺めているだけ。
思わずガヤを睨みつけるとそこに身に覚えのある顔が黒いフードをかぶっていた。
慌てて一瞬追いかけようとした、その時。
ドガァアアン!!!!
俺は鼓膜が破けるほどの爆音にそちらを振り向いた。
するとそこに人影が見えた気がした。
俺は脇目も振らず人波を潜り抜けて劫火の中に飛び込んだ。
入ってすぐのリビングでは母さんが姉の上に被さるようにして真っ黒い人形になり果てていた。
姉はまだ息があったが、母の亡骸が固く床にくっついているせいで動かせなかった。手を握ると徐に俺に自分のネックレスを握らせた。
「なんだよ、これ。」
「あんたはさっさとここから出なさい。姉ちゃんも後から続くから。」
「でも……、それに父さんは?」
「いいから、……こら!!奥に行っちゃだめ!!」
俺は姉の命令を聞いたことがなかった。
だからその日も同じように姉の視線の先に走っていった。
そこにいたのは、1人血の池に倒れこむ父の姿だった。
父の体には蜂の巣のように穴が開き、目は虚ろに開いていた。
この姿を見て俺は腰を下ろしぼんやり見つめていた。
おかしいな……、これは憎悪の心が目覚めたはずなのに……、悔しさで泣き叫べるはずなのに……。涙も奇声も出ない。
何も感じられない……、何も……。
そこで俺は父の胸に体を預け目を閉じた。
父の胸はこの炎を消化できるほど冷たくなっていた。
せめて……せめてこの憎しみが俺の体と共に朽ち果てたら……。それだけを祈った。
俺の家は、祖父の会社を父が継ぐ形で結構有名な金持ち一家だった。
父は放任的で母は少し過干渉で、少し年の離れた姉はリビングで小難しい本を読んでは、俺をバカにする。
それでも週に一回の外食とほしい時にもらえるお小遣いに何の抵抗も疑問も持っていないバカな子供時代だった。
そして今日も友達と遊んだ帰り道ひとり家路についていた。
しかし、家まであと少しの曲がり角、俺の目の前に見えたのは真っ黒い黒煙と野次馬の悲鳴とガヤ。
慌てて家に急ぐと、そこは。
「……え……。」
真っ赤に燃え上がる炎、消防車はまだ来ていなくてガヤが遠くから眺めているだけ。
思わずガヤを睨みつけるとそこに身に覚えのある顔が黒いフードをかぶっていた。
慌てて一瞬追いかけようとした、その時。
ドガァアアン!!!!
俺は鼓膜が破けるほどの爆音にそちらを振り向いた。
するとそこに人影が見えた気がした。
俺は脇目も振らず人波を潜り抜けて劫火の中に飛び込んだ。
入ってすぐのリビングでは母さんが姉の上に被さるようにして真っ黒い人形になり果てていた。
姉はまだ息があったが、母の亡骸が固く床にくっついているせいで動かせなかった。手を握ると徐に俺に自分のネックレスを握らせた。
「なんだよ、これ。」
「あんたはさっさとここから出なさい。姉ちゃんも後から続くから。」
「でも……、それに父さんは?」
「いいから、……こら!!奥に行っちゃだめ!!」
俺は姉の命令を聞いたことがなかった。
だからその日も同じように姉の視線の先に走っていった。
そこにいたのは、1人血の池に倒れこむ父の姿だった。
父の体には蜂の巣のように穴が開き、目は虚ろに開いていた。
この姿を見て俺は腰を下ろしぼんやり見つめていた。
おかしいな……、これは憎悪の心が目覚めたはずなのに……、悔しさで泣き叫べるはずなのに……。涙も奇声も出ない。
何も感じられない……、何も……。
そこで俺は父の胸に体を預け目を閉じた。
父の胸はこの炎を消化できるほど冷たくなっていた。
せめて……せめてこの憎しみが俺の体と共に朽ち果てたら……。それだけを祈った。
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