リエンヌの場合

neko12

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……助けてくださって、ありがとうございました」

「助けたわけじゃない。君が傷つくのが、我慢できなかっただけだ」

リエンヌはうつむく。そんな言葉に、心が少しだけ温かくなる。

「なぜ、王子であるあなたが、わたしなんかに……?」

「君が“誰かを惑わせる魔女”ではなく、惑わされ続けてきた一人の少女だからさ」

「……!」

(この人は……わたしの、ほんとうの姿を見てくれている)

その夜からだった。
リエンヌとセイランは、ゆっくりと手紙を交わし、時には城下を散歩し、言葉を重ねていった。

人を避け続けていたリエンヌにとって、それは初めての“心で触れ合う恋”だった。



第四章 ──妖精姫の復讐──

だが、もちろん――フローラはそれを黙って見てはいなかった。

「……あの女、まさか第二王子をたぶらかすなんて……!」

彼女は“妖精姫”と呼ばれる存在であることに、何より誇りを持っていた。
それがすべて崩れた今、憎しみはリエンヌに向かう。

「お姉さま、お姉さま……わたくし、あの子を失墜させますわ。どうして王子まで……!」

フローラの姉は魔法学府に通う魔導師だった。
そして姉妹は、密かに“魅了魔術の誤解を悪化させる策略”を練りはじめる。

「リエンヌ嬢の魅了は危険すぎます。王子にまで取り憑くなんて――国の損失ですわ!」

貴族たちの間に流れる噂。

――リエンヌの魔力は王子すら蝕んだ。
――彼女は王族の間者かもしれない。
――国を滅ぼす魔女、リエンヌ・アレストール。

王宮に陰が差す中、リエンヌは再び孤独に直面する。
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