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17、恋に堕ちるには (4) side透 *
しおりを挟む翌日、ヨーコのアパートに押し掛けたら、案の定彼女は全てを忘れていた。
ちょっと挫けそうになったけれど、勇気を振り絞って部屋の中に入り込むことに成功した。
BLの世界は興味深く、想像以上に盛り上がっていい雰囲気になった。
そこまでする気なんて無かったのに、酔った勢いもあって、キスして身体に触れてしまった。
『Ouch! It’s killing me! (痛い、やめて)』
彼女を痛がらせてしまったことがショックだった。
テクニック不足を露呈してしまった。
彼女の家に来れると思って浮かれるばかりで準備不足だった。
よく考えたら避妊具も準備していないじゃないか!
妊娠した場合、心身共に負担がかかるのは女性側だ。こういうのは男性側が気を付けてあげなきゃいけないのに……。
ヨーコが寝ている間に知識を詰め込む事にした。
ーーふむふむ、まずは言葉や雰囲気でその気にさせる……か。
『キスが上手ければ、それだけでもイける』、『気持ちが昂まれば自然に濡れてくる』、『Gスポットを見つけろ』、『舌技が大切』。
Googleさんは優秀だ。調べても調べても新たな情報が出てくる。
ーーそれ以前に、雰囲気作りって、どうしたらいいんだよ……。
『壁ドン』、『床ドン』、『顎クイ』、『バックハグ』……。
種類が多くて混乱してくるが、暗記は得意なので全部頭にインプットした。
動画も見て動きを覚えた。
あとは隣で眠る彼女の寝顔を見つめながら、脳内で繰り返しシミュレーションする。
ここまでしてしまったんだ。これで駄目なら次は無い。少しぐらい強引なくらいに攻めて、どうにかして振り向かせるんだ……。
そして勝利の女神が振り向いた。
*
「うわっ、ヤバイ……」
昨夜の行為を思い出しただけで勃ってしまった。今すぐまたシタイ。
駄目だ、サカりすぎはドン引きされるとGoogleさんが言っていた。
29歳の成人男性として節度ある行動を心掛けねば。
「ん……」
寝返りをうって上を向いたヨーコが、腕を伸ばして「う~ん」と大きく伸びをした。
今の声で起こしてしまったようだ。面目ない。
「おはようヨーコ、まだ午前4時ちょっと過ぎだから、もう少し寝てていいよ」
「ぎゃっ!」
亀のように腕を引っ込めて、目をパチクリさせている。
「……トオル…さん?」
ーーえっ、まさかこの反応は!
「もしかして、また覚えていない……とか?」
ヨーコは布団を鼻の辺りまで引っ張り上げると、「覚えています……ヨ」と布団の中でムニョムニョ言った。
半分隠れていても顔が真っ赤なのが分かった。可愛すぎる。
「ハハッ……良かったです。忘れられてたら身体で思い出させるしか無いと思っていました」
「身体で……デスカ?」
「そう……例えばキスとか……」
チュッと啄むようなキスを落とす。
「例えば指の感覚……」
そっと胸に手を滑らせ、豊満で柔らかい膨らみに指を沈める。
「あ……っ…」
「思い出しましたか?」
「デスカラ、ちゃんと覚えてるって……」
「こっちはどうですか? 俺の形をちゃんと覚えてますか?」
下半身に手を伸ばす。
割れ目に沿って撫で上げると、既にそこは潤っていて、指に愛液が纏わりついてきた。
「おりこうですね。ココが俺の指を思い出してちゃんと反応してくれました」
「もうっ、恥ずかしいデス! トオルさんは言葉責めが上手すぎマス!」
「言葉だけですか? コレは気持ち良くない?」
蕾に愛液を塗り付けてクルクルと丸く撫でると、太腿を擦り合わせて身悶えした。
「やっ……あっ……!」
「ヨーコ、どう? 気持ち良くない? ちゃんと教えて」
「あ……っ…気持ち……い……デス…」
「いい子だ。一回ココでイかせてあげるね」
指の動きを速くして、小刻みに震わせる。
「あっ、ああっ、凄い……やっ…」
鼻にかかった甘い声に、頭が沸騰した。
ーー駄目だ、サカるな、今日は紳士的に……。
「トオル、気持ちい……もっと…」
「くそっ!」
ーーもう知るか! Google、ゴメン!
恋に堕ちるのは一瞬だ。
だけどこの恋は一瞬で終わらせたりなんかしない。
追い掛けて捕まえて抱き潰して……。
攻めて攻めて攻めまくって、身も心も離れられなくなるまでトロトロにして……。
一生の恋にする。
透はバサッと布団を捲り上げると、彼女の脚の間に勢いよく顔を沈めた。
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