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裏 あしながおじさまは元婚約者でした
クリスマスデートと未来の約束 side朝哉
しおりを挟むーーこのまま家に帰したくない。
横浜のアパートの部屋。
雛子の唇を味わいながら、朝哉は心からそう思った。
唇が離れた瞬間に溢れる吐息はどこまでも甘く、トロンと潤んだ瞳も薔薇色に火照った頬も、雄の本能を掻き立てる。
ーー抱きたい、今すぐに。
だって、大学の女子のことを話題に出しただけで顔色を曇らせるんだ。喜びで感情が昂るのも仕方がないだろう?
アパートの合鍵を渡したら宝物のように胸元で抱き締めて、深いキスをしたら舌でぎこちなく応えてくれて……。
自分のほうが一方的に好きなんじゃないか、彼女は流されてくれているだけなんじゃないか……って、心のどこかで思っていた。
なにせ雛子は純真無垢な高校生。
年上の男に迫られて、恋に恋してるだけなのかもしれない……。
だけどちゃんと嫉妬してくれた。
舌を絡める口づけに、彼女も必死で応えようとしている。
身体をピタリとくっつけ背中を撫でれば、甘い声を漏らして身を委ねてくれて。
予測不能のヒナからのキス。
そうか、彼女も求めてくれているのだ。
目眩がするほど幸せで、大声で叫びだしたくなる。
駄目元で部屋に誘えば『うん、いいよ』とうなずいて。
それだけで思考回路がショートした。
沸々と血が滾りだし、下半身に集まっていく。
今すぐその場で全てを奪ってしまいたい衝動に駆られたけれど、僅かに残っていた理性で押し留めた。
顔を赤くしてうつむいている彼女は、15歳の女子高生なんだ。
この子が大切だ。ひたすら可愛くて愛しい天使。
まだ穢れを知らないピュアな少女を、自分の邪な劣情で汚してはならない。
ーー落ち着け、俺。もう少し、せめて婚約するまでは……。
今日はもう家に帰したほうがいい。このまま一緒にいたら辛いだけだ。主に自分の下半身が。
だけどそれでも離れがたく、雛子をアパートに連れ込んだ。
彼女が合鍵で鍵を開ける、そのカチャリという音に胸が弾む。
ーー彼女が俺のアパートのドアを開けている!
小さな後ろ姿に飛び付きたくなった。
玄関に入ってすぐ、持て余した性欲をぶつけるかのように、ひたすら唇を貪る。
細身のチノパン越しにハッキリと形が分かるほど、朝哉自身が硬くなり、内側から布地を圧迫している。
雛子をキツく抱き締めながら、彼女の腰にグイグイとソレを押し付ける。
雛子はきっと気づいていたに違いない。
いや、彼女は勃った状態のソレを見たことなんてないだろう。何なのかも知らずに戸惑っている可能性がある。それもまた、嗜虐心をそそられるというか……。
「うわっ、ヤバい……限界」
吐精感に堪え、雛子をソファーに座らせてからトイレに駆けこむと、夢中で扱いて欲望を吐き出した。
賢者タイムになったところで大きく深呼吸して、雛子の待つリビングに戻る。
大学入学と同時に借りたアパートは1LDKの独身向け。掃除はあまり得意じゃないけれど、もしもの可能性を考えて、昨日必死で片付けた。
その『もしも』を予測した自分を褒めてあげたい。
雛子のことを考えながらこのソファーで抜いたことも何度かあるけれど、たっぷり消臭剤を振りかけておいたから変な臭いは残っていない……はずだ。
「俺……修行僧になった気分」
「えっ」
グラスにスパークリングウォーターを注いで雛子に手渡すと、彼女はキョトンとしながらも両手で受け取りコクリと喉を動かした。
またしてもムラッとなる。
彼女の手からグラスを奪うとガラステーブルにコトリと置いて、そのまま隣に座って肩を抱き寄せた。
全く抵抗もせずにもたれかかってくるのが嬉しい。
あまりにも無防備すぎる。けれど彼女がこうなるのは自分にだけ。それが朝哉の支配欲を満たし、興奮させる。
行き場のない欲望を逃したくて、雛子の髪に口づけてみたり、さらにギュッと抱き寄せたり。だけどそれでも足りない。もっと触れたい、全身に口づけたい。頭からかぶりつきたい。
「ああ、早く抱きたいな……」
思わず漏れ出た朝哉の本音に、雛子の肩がピクッと跳ねた。
ーーああヤバっ。俺、余裕なさ過ぎだろ。
「ごめん……ちゃんと待つから。一応4歳年上としての分別は持ち合わせてるんで、猥褻な行為は自主規制します、うん」
18歳以下の青少年に猥褻な行為を行ったら淫行だ。
雛子を怖がらせないよう、ドン引きされないよう、余裕のある紳士でいなくては。
そう思っているのに……。
「春まで待てばいいの? そしたら私は朝哉のモノになれる?」
ブハッ! 口に含んだ水を噴き出しそうになった。
「猥褻な行為って何処から何処までの行為を言うの?」
「えっ?」
「キスまでならいいの? 最後までしなかったらセーフなの? 婚約してたら全部いいの? だったら別に今だって……」
ーー本当にこの子は直球だな。天然なのか? それとも計算なのか? 俺の股間の状態をわかって言ってるなら相当な小悪魔だぞ!?
「コラっ! そんな風に言われたら我慢出来なくなるだろっ! ナチュラルに煽るんじゃないの!」
「だって朝哉が凄く辛そう」
うわっ、やっぱり気づかれていた。そりゃそうか、あれだけグイグイ押し付けてたらわかるよな。
「そりゃあ俺だってあと数ヶ月でやっと21歳になるピッチピチの新鮮な若者なんで、性欲は旺盛だよ。今すぐにでも好きな子の全部を奪いたいって思うけどさ……」
目を合わせると、雛子はチロッと上目遣いで見つめてから、恥ずかしげに視線を逸らす。
「本当に好きだからこそ大切にしたいんだ。だから今はまだ、キスだけ……な」
両手で雛子を強く抱き締める。
朝哉の腕にすっぽり包まれながら、彼女が頬をすり寄せてきた。
ーーひたすら愛おしい……
出会って間がないのにこんなに好きになってしまっていいのだろうか。
スポーツカーのギアをいきなりトップに入れて、アクセルをベタ踏みしてるみたいな感覚。
怖いのに止められない。走りきったその先の世界を、彼女と一緒に見てみたい。
自分がこんな感情を持てたことが嬉しい……と思う。
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だから春になったら改めて自分の言葉でプロポーズをして、結納をして、雛子が高校を卒業したら入籍して……なんて勝手に考えてはニヤついていた。
どう考えても未来は薔薇色だった。そう信じていた。
雛子の父親が亡くなるまでは。
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