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冬の蕾
しおりを挟む肌を刺すような冷たい風が、私の横を通り抜ける。もう1月だもんな。と思いながら
赤くなった指の先にハァーっと白い息をかけて、かじかんだ指先を自分で守った。
そんな冬の厳しい風に当たられながら
揺れているよく見る木の枝。いつも見かけているのに、今日はなんだか私と一緒に凍えている友達の様に見えて、足を止めて見上げてみた。「あっ。」と周囲に聞こえないほどの
小さな声で声を上げて枝の先を見た。
「もう蕾がある。」と垂れ下がった枝を少し手繰り寄せてそのまだ眠っている小さな命に
心の中で問いかけてみた。
「あなたは大きくなったら何になりたい?」
もちろんその木の大輪の花になることは自分でも分かっていた。そしてその小さな命のゆりかごをそっと離して、また歩き出した。
「私は何になりたいんだろ。」
と冬の匂いがするこの街の空に言葉を飛ばした。
私も大輪の花を咲かせられるように
出来るかな。不安だな。でも私もまだ
小さな勇気を温めている途中。辛いこと多いけどいつか大きく咲こう。嬉しくなって
口角を少しだけ上げる。さて家に帰ろう。
冬の蕾に背中を押された私は明日を生きるよ
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