黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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禁じられた夜 七

 ドミンゴは公爵の望むことを悟ったようで、さらにアベルの膝を広げる。
 もはやその青い目には怯えも遠慮もなく、どす黒い欲望が爛々と燃えている。公爵の威に屈してというよりも、自身の欲にしたがって旧主であるアベルを貶めているのだ。
「い、いや! いやだ! はなせぇ……!」
 まくりあげられていても脱げきることのない衣がアベルの胸元あたりに白い大蛇のようにからまっている。
 通常、帝国の掟では罪人に着せる罰衣は黄色であるが、アベルにはやはり白い衣がふさわしく、こんなときでも高貴な雰囲気がくずれない。 
 オルティスは圧倒されてしまい、アベルへの同情も、この残忍な行為への義憤も忘れて、かつてのしもべによって膝をひろげられ、あられもない姿を晒している貴人の生々しい姿を見つめていた。
「うううう……」
「アベル様、さ、公爵のご命令です。残りのふたつを出してください」
 耳朶まで真っ赤に燃やし、アベルは首を横に振った。
「で、できない……そんなこと、できない!」
「今更、何を言うのだアベル?」
 公爵が身を乗り出すようにしてアベルに迫る。
「異教徒の後宮で、随分と宦官どもに可愛がられたというではないか? 俺は聞いたぞ。おまえは宦官どもによって、ここへ……連珠を入れられたのだろう?」
 力強そうな手が、アベルの膝の間をまさぐる。
「ああ!」
 オルティスは目の前でおこなわれている乱行もさることながら、公爵の言葉に耳をうたがった。
(では、やはり……あの噂は本当だったのか)
 我知らず頬と胸が熱くなる。そして、股間も。
 この遠征前、兵舎での退屈な夜、悪友が見せてくれた好色本……。
 最初は馬鹿々々しいと思っていた。
 だが、強烈な挿絵に目はうばわれた。
 異教徒の閨でいたぶられる白人奴隷のあられもない姿。
 男たちは一本の蝋燭のもと、あつまって興奮した。
(これが今噂の本か。すごいな)
(見ろよ、これ)
(なになに……宦官少年たちは、嫌がるA伯爵を四つん這いにさせ、後ろ園をひらかせ、そこへ輝く宝玉を……) 
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