黄金郷の白昼夢

文月 沙織

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月夜に見る夢 五

 だが、エンリケにはそんないじらしいアベルの気持ちを汲んで、行為を止める気は毛頭なかった。
 息をきらしてアベルをおさえこみ、馬乗りになって相手の動きをいったん封じてから、己の身体をずらした。
 股間に口を近づけようとした。
 エンリケの動きを予想して、アベルはまた暴れる。
「は、はなせ! どけ!」
 ちっ……! エンリケは内心舌打ちしていた。
 次の瞬間、悲鳴をあげたのはアベルだ。
「伯爵、しばらく静かにしていてください」
 エンリケが右手でアベル自身を握りしめたのだ。かなり力を入れて。
 男の魂そのものを鷲掴みにされてアベルは悶絶した。
「は……、はなせ……!」
 声は苦痛に満ちている。だが、エンリケは手の力をゆるめなかった。
「伯爵が良い子になって下さると約束してくれるなら」
 交渉めいた言葉を囁くと、最初アベルは首を横に振った。
 だが、いかなアベルとて、命そのものを質に取られては、長くあらがうことはできなかった。
「ああ……」
 悲しい降伏の言葉がもれる。
「いいですね? もう逆らわないと約束してください。約束できないなら、このまま握り潰しますよ」
 ちいさな啜り泣きの音を聞きとどけて、ようやくエンリケは手に込めていた力を抜く。
「そうそう。いい子にして。じっとして……」
 身をかがめ、そこへ接吻を落とす。
「うう……」
 尚もアベルは悔しげに呻くが、それも長続きはしなかった。
 最初は優しく先端に接吻し、しばしアベルが落ち着くのを待って、舌先で突いた。
 こういった遊びにはエンリケも精通している。違法とされる行為もすでに充分やりつくし、遊び飽きているぐらいだ。 
 だがそのエンリケにとってさえ、この夜の秘め事は、生涯わすれられないものとなった。
「あっ……、い、いや……! よせ!」
 若茎の先を口で吸い、裏のところを舌で嬲りあげる。
「ああっ、ああっ!」
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