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月夜に見る夢 七
アベルは目をつぶって、幼子のように、いやいやと首を振る。
公爵はその様子を黙って見つめつづけている。
運命の転変で、アベルの精神はぎりぎりまで追い詰められ、幾たびか心こわれて魂をうしないそうになったが、それでもやはり神はアベルが神のもとへ来ることを認めなかったようで、死にもせず、狂いもせず、アベル=アルベニス伯爵として存在している。
それでも、うちつづく苦痛のために、ほとんど忘我の境地に入りかけていたアベルだが、今あらたに、憎いアビラ子爵の息子であり、かつて試合で自分が打ち負かした相手に、恥辱の行為を強要されたことで、ひさびさに自我が強くもどってきたらしく、言葉を多くして、反抗している。
その様子が公爵には面白く、彼も常より興奮しているようだ。
オルティスがこの場にいれば、また新たに公爵の異常性を知り、驚き呆れたろう。
「は、はなせ! やめっ、やめろっ! ああっ」
「じっとしていろ。今すぐ、気持ち良くしてやる」
エンリケの言葉はくだけたものになっていた。
「ああっ!」
「暴れるなよ。暴れたら噛んでしまうぞ。痛い思いをするのはあんただぜ」
いやらしく笑って、エンリケはおのれの唇をアベルの若茎の先につける。
「はぁっ……」
尚も抗おうとしたアベルだが、「ひっ……!」と引きつった悲鳴をあげた。
「だから言ったろう、噛んでしまうぞ、と」
いったん口をはなしてエンリケが笑った。
「痛い思いをするのが嫌ならいい子にしてろ」
子爵家の嫡男にしてはやや柄が悪い言葉づかいで、エンリケは、ふたたびアベルの茎をつつみこむように両手を添え、そっと唇をつける。
エンリケがこの行為を誰かにしたのは初めてだった。色子や男娼にさせたことはあったが。
ひどく舌技のうまかった男娼のやりかたを思い出した。自分がされたときのことを思い出しながら、まねるようにしてアベルにほどこす。
公爵はその様子を黙って見つめつづけている。
運命の転変で、アベルの精神はぎりぎりまで追い詰められ、幾たびか心こわれて魂をうしないそうになったが、それでもやはり神はアベルが神のもとへ来ることを認めなかったようで、死にもせず、狂いもせず、アベル=アルベニス伯爵として存在している。
それでも、うちつづく苦痛のために、ほとんど忘我の境地に入りかけていたアベルだが、今あらたに、憎いアビラ子爵の息子であり、かつて試合で自分が打ち負かした相手に、恥辱の行為を強要されたことで、ひさびさに自我が強くもどってきたらしく、言葉を多くして、反抗している。
その様子が公爵には面白く、彼も常より興奮しているようだ。
オルティスがこの場にいれば、また新たに公爵の異常性を知り、驚き呆れたろう。
「は、はなせ! やめっ、やめろっ! ああっ」
「じっとしていろ。今すぐ、気持ち良くしてやる」
エンリケの言葉はくだけたものになっていた。
「ああっ!」
「暴れるなよ。暴れたら噛んでしまうぞ。痛い思いをするのはあんただぜ」
いやらしく笑って、エンリケはおのれの唇をアベルの若茎の先につける。
「はぁっ……」
尚も抗おうとしたアベルだが、「ひっ……!」と引きつった悲鳴をあげた。
「だから言ったろう、噛んでしまうぞ、と」
いったん口をはなしてエンリケが笑った。
「痛い思いをするのが嫌ならいい子にしてろ」
子爵家の嫡男にしてはやや柄が悪い言葉づかいで、エンリケは、ふたたびアベルの茎をつつみこむように両手を添え、そっと唇をつける。
エンリケがこの行為を誰かにしたのは初めてだった。色子や男娼にさせたことはあったが。
ひどく舌技のうまかった男娼のやりかたを思い出した。自分がされたときのことを思い出しながら、まねるようにしてアベルにほどこす。
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