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魔女二人 四
静かな足取りで命じられた女が入ってくる。アイーシャにくらべると地味な顔立ちで、ぱっとしない。アイーシャと並んで立つと、やや彼女の方が背が高い。アイーシャはけっして大柄ではないのだ。だが、それでいて不思議と見る者を圧倒するところがある。
「それは?」
公爵の問いに、侍女が籠を捧げるようしたため、中身がバルバラにも見えた。
「卵か?」
アイーシャが腰に手を当て答えた。
「ほほほほほ。教えてあげるわ。伯爵はね、卵が大好きなのよ」
蒼白になっているアベルが怒りに頬を赤く燃やし、全身でわなわなと震えている。
「美味いものなのか?」
「ええ、とっても。でも、上の口とはべつのところでお食べになるのよ。ねぇ、そうでしょう、伯爵?」
「お、おまえは……、おまえという女は……!」
アベルの激しい怒りを公爵はあっさりと無視して告げた。
「では、さっそく御馳走してやればどうだ?」
「勿論だわ。グラリオンにいたときも、伯爵は卵をお召し上がりになって、それは喜ばれたのよ。美味しい、美味しい、もっと、もっと、とね」
「う、嘘だ! でたらめだ!」
「あら、どこが? グラリオン宮廷の皆が知っていることよ。いつでも、卵をお出しすると、けっしてひとつでは満足なさらなくてね、おねだりなさるのよ」
そこでアイーシャはのけぞって怪鳥のように笑いぬく。
見ていてバルバラは不快感を感じた。
アイーシャが下品だから、下劣だから、不快なのではない。
自分をさしおいて、という奇妙な嫉妬だった。対抗意識なのだ。
「ほら、今だって、卵を前にして、欲しくてたまらない、という顔をしているわ」
怒りに硬直しているアベルを指差し、アイーシャは勝ち誇ったような顔を見せた。
「おお、それは悪かった、アベル。いくらでも好きなだけ取るがいい」
サライアから籠をうばうと、公爵はこれみよがしに籠のなかの鶏卵らしき卵を見せつける。白く光る新鮮そうな卵が四つか五つほど見える。
ただの卵が、今はとてつもなく淫らな道具に変じていた。
「それは?」
公爵の問いに、侍女が籠を捧げるようしたため、中身がバルバラにも見えた。
「卵か?」
アイーシャが腰に手を当て答えた。
「ほほほほほ。教えてあげるわ。伯爵はね、卵が大好きなのよ」
蒼白になっているアベルが怒りに頬を赤く燃やし、全身でわなわなと震えている。
「美味いものなのか?」
「ええ、とっても。でも、上の口とはべつのところでお食べになるのよ。ねぇ、そうでしょう、伯爵?」
「お、おまえは……、おまえという女は……!」
アベルの激しい怒りを公爵はあっさりと無視して告げた。
「では、さっそく御馳走してやればどうだ?」
「勿論だわ。グラリオンにいたときも、伯爵は卵をお召し上がりになって、それは喜ばれたのよ。美味しい、美味しい、もっと、もっと、とね」
「う、嘘だ! でたらめだ!」
「あら、どこが? グラリオン宮廷の皆が知っていることよ。いつでも、卵をお出しすると、けっしてひとつでは満足なさらなくてね、おねだりなさるのよ」
そこでアイーシャはのけぞって怪鳥のように笑いぬく。
見ていてバルバラは不快感を感じた。
アイーシャが下品だから、下劣だから、不快なのではない。
自分をさしおいて、という奇妙な嫉妬だった。対抗意識なのだ。
「ほら、今だって、卵を前にして、欲しくてたまらない、という顔をしているわ」
怒りに硬直しているアベルを指差し、アイーシャは勝ち誇ったような顔を見せた。
「おお、それは悪かった、アベル。いくらでも好きなだけ取るがいい」
サライアから籠をうばうと、公爵はこれみよがしに籠のなかの鶏卵らしき卵を見せつける。白く光る新鮮そうな卵が四つか五つほど見える。
ただの卵が、今はとてつもなく淫らな道具に変じていた。
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