171 / 184
仇花開花 十
アベルの顔は、いまや苦痛よりも、迫りくる快感と戦っているようだ。
歪んでいた眉はやわらかい線を描き、頬から顎、首筋と、なめらかな肌はうっすら汗を弾く。なまめかしい、の一言だ。あふれんばかりの嬌艶さは、見る者の心をゆさぶる。
「おおっ、おおうっ、うぉっ!」
どういった肉体の摂理なのか、ロロは本当に感じているようだ。
今、彼は失くしたはずの男根で、アベルという異教徒の貴人を犯している。それは彼にとってはめくるめく時間なのだろう。
「おおおっ、おおっ!」
ロロの顔は、喜悦に満ちている。いったい彼にとって何年ぶりなのか、いや、もしかしたら生まれてはじめて味わう性の絶頂への道のりを歩んでいるのだ。
きつくしかめられた眉は苦痛にちかい快感をあらわしている。ぶあつい唇は半開きになり、唾液が顎までこぼれている。
ロロの腰の動きにあわせて、アベルも震える。
「よ、よせ! ああっ、嫌だ! 嫌……!」
奴隷宦官に、淫らな道具で犯される麗人の姿。これも素晴らしい官能図である。
ドミンゴなら、涙をながして喜びいさんで絵にするだろう。
いつから始まっていたのか、楽士たちの奏でる音楽が、ひどく淫靡に響く。
東方の、閨房の恋人たちの気をたかめるために、あるいは妖しい宴の雰囲気を盛りあげるために奏でられる誨淫の曲である。帝国人の耳には聞き慣れないが、すんなりと、心地良く響いてくる。
木馬上での痴態と、音楽に刺激され、触発された客のなかには、連れとあたりはばからず抱きあったり、給仕の召使を抱きよせ、強引な真似をしたりする者もいる。
「おおおーっ!」
ロロが獣のような声をあげる。
彼の幻の男根が弾けようとしている。
アベルは啜り泣いた。
この信じられない異常な状況で、アベルもまた兆してしまっていることを、隠せない。
「ご覧なさい、A伯爵はすっかり楽しまれていらっしゃるわ!」
アグスティナの勝ち誇った声が広間にこだまし、客たちの笑い声が追うようにつづく。
歪んでいた眉はやわらかい線を描き、頬から顎、首筋と、なめらかな肌はうっすら汗を弾く。なまめかしい、の一言だ。あふれんばかりの嬌艶さは、見る者の心をゆさぶる。
「おおっ、おおうっ、うぉっ!」
どういった肉体の摂理なのか、ロロは本当に感じているようだ。
今、彼は失くしたはずの男根で、アベルという異教徒の貴人を犯している。それは彼にとってはめくるめく時間なのだろう。
「おおおっ、おおっ!」
ロロの顔は、喜悦に満ちている。いったい彼にとって何年ぶりなのか、いや、もしかしたら生まれてはじめて味わう性の絶頂への道のりを歩んでいるのだ。
きつくしかめられた眉は苦痛にちかい快感をあらわしている。ぶあつい唇は半開きになり、唾液が顎までこぼれている。
ロロの腰の動きにあわせて、アベルも震える。
「よ、よせ! ああっ、嫌だ! 嫌……!」
奴隷宦官に、淫らな道具で犯される麗人の姿。これも素晴らしい官能図である。
ドミンゴなら、涙をながして喜びいさんで絵にするだろう。
いつから始まっていたのか、楽士たちの奏でる音楽が、ひどく淫靡に響く。
東方の、閨房の恋人たちの気をたかめるために、あるいは妖しい宴の雰囲気を盛りあげるために奏でられる誨淫の曲である。帝国人の耳には聞き慣れないが、すんなりと、心地良く響いてくる。
木馬上での痴態と、音楽に刺激され、触発された客のなかには、連れとあたりはばからず抱きあったり、給仕の召使を抱きよせ、強引な真似をしたりする者もいる。
「おおおーっ!」
ロロが獣のような声をあげる。
彼の幻の男根が弾けようとしている。
アベルは啜り泣いた。
この信じられない異常な状況で、アベルもまた兆してしまっていることを、隠せない。
「ご覧なさい、A伯爵はすっかり楽しまれていらっしゃるわ!」
アグスティナの勝ち誇った声が広間にこだまし、客たちの笑い声が追うようにつづく。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
守り守られ
ほたる
BL
主治医 望月診療所の双子医師
患者 瀬咲朔
腸疾患・排泄障害・下肢不自由
看護師
ベテラン山添さん
準主人公 成海真幌 腸疾患・排泄障害・てんかん
木島 尚久 真幌の恋人同棲中