燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 リィウス自身も、けっして昨今の甘やかされた貴族の子弟のように放逸ほういつなわけではない。学友のなかには享楽的で遊びほうけて時を無駄にして生きている者も何人かいるが、リィウスはそんな輩とはかかわらないようにしている。
 そんなことを考えていると、リィウスの脳裏には、先日見た男の顔が浮かびあがってきて、苦々しい想いがこみあげてくる。
 閉じた瞼のなか、彼のふてぶてしい碧の目が自分を睨みつけてくるようだ。
 ディオメデス・エトルクス……。
 ともにおなじ学舎で同じ師のもとで学問をきわめたが、彼とはひどく相性が悪かった。
 彼のことを思い出すと、胸が悪くなるぐらいで、リィウスは込み上げてくる嫌悪の感情を振りはらうように努めた。
(疲れた……)
 アンキセウスを下がらせると、寝台に身を横たえた。とにかく、頭を休めたかった。すること、考えなけれなばらないことが山ほどあるが、今は休みたい。 

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