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九
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軽侮を込めた言葉に、リィウスは無礼な、と怒る気力もなかった。それほどに、あまりにも異常かつ異様な光景が展開したのだ。
「あっ、ああ、止めて、タルペイア!」
「おだまり! この出来損ないの阿呆女! おまえみたいな役立たずはこれで充分だよ!」
「ひぃっ!」
リィウスは息を呑んだ。
潔癖なリィウスだとて、男女の営みについてはおぼろげながら知識はある。女性の秘部が性行為のおりに、どうされるかは聞き知っている。だが、それは男性によってされることで、本来ならローマをささえる新たな世代を産みだすための聖なる行為のはずだ。
それを、あろうことか、タルペイアは、女性の繊細な箇所に、木と皮でできた道具を押し込み、哀れな娘に悲鳴をあげさせているのだ。
「あっ、ああ! あああ! 止めて、もう止めてぇ!」
サラミスの白いうなじに金の髪がからみつくのが、ここからでもリィウスには見えた。
「い、いや、痛い! も、もう止めてぇ!」
サラミスのあげる苦痛の悲鳴は、タルペイアにとって妙なる調べなのか、彼女の黒い瞳は恍惚としてきている。
女でありながら女を責めいたぶり、それを悦びとする彼女は、恐ろしい魔女、いや女悪魔のようだ。
リィウスはぞっとした。だが、さらにリィウスを怖気させたのは、次に発せられたサラミスの声だった。
「はっ……! ああっ……あっ……、ああ……! んん……ああ……!」
その声は、先ほどの苦痛に満ちたものとはあきらかに違ってきていた。
「はぁ……、ああ、タルペイア、……ああ! も、もう……!」
リィウスは目を丸くしていた。
「どうでしょう、上手いものでしょう? タルペイアの手にかかったら、どんな女も男もいちころですよ」
マロの口調はますますくだけてきている。
「ふふふふふ……」
タルペイアはそこで身を動かした。
「ああ! タルペイア! ……! ああっ、やめてぇ!」
タルペイアの身体が完全にサラミスからはなれた。
「あっ、ああ、止めて、タルペイア!」
「おだまり! この出来損ないの阿呆女! おまえみたいな役立たずはこれで充分だよ!」
「ひぃっ!」
リィウスは息を呑んだ。
潔癖なリィウスだとて、男女の営みについてはおぼろげながら知識はある。女性の秘部が性行為のおりに、どうされるかは聞き知っている。だが、それは男性によってされることで、本来ならローマをささえる新たな世代を産みだすための聖なる行為のはずだ。
それを、あろうことか、タルペイアは、女性の繊細な箇所に、木と皮でできた道具を押し込み、哀れな娘に悲鳴をあげさせているのだ。
「あっ、ああ! あああ! 止めて、もう止めてぇ!」
サラミスの白いうなじに金の髪がからみつくのが、ここからでもリィウスには見えた。
「い、いや、痛い! も、もう止めてぇ!」
サラミスのあげる苦痛の悲鳴は、タルペイアにとって妙なる調べなのか、彼女の黒い瞳は恍惚としてきている。
女でありながら女を責めいたぶり、それを悦びとする彼女は、恐ろしい魔女、いや女悪魔のようだ。
リィウスはぞっとした。だが、さらにリィウスを怖気させたのは、次に発せられたサラミスの声だった。
「はっ……! ああっ……あっ……、ああ……! んん……ああ……!」
その声は、先ほどの苦痛に満ちたものとはあきらかに違ってきていた。
「はぁ……、ああ、タルペイア、……ああ! も、もう……!」
リィウスは目を丸くしていた。
「どうでしょう、上手いものでしょう? タルペイアの手にかかったら、どんな女も男もいちころですよ」
マロの口調はますますくだけてきている。
「ふふふふふ……」
タルペイアはそこで身を動かした。
「ああ! タルペイア! ……! ああっ、やめてぇ!」
タルペイアの身体が完全にサラミスからはなれた。
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