燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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 リィウスに語りかけるようでいて、タルペイアの目はリィキンナに向かっていた。
「ある方がいいんじゃない? 男らしく見えるし。でも、まぁ、ためしに剃ってみる? それはそれで似合いそう」
 二人の妖女たちは、リィウスの尊厳をおとしめる会話を、実にたのしげにつづけた。
「そう? では、剃ってみようかしら?」
「や、やめてくれ!」
 あまりのことに耐えきれず、リィウスは悲鳴にも似た叫びをあげてしまった。
 自分の身体を思うがままにあつかう悪女たちが心底うらめしい。だが、すでに己の身体はもはや己のものではないのだと思い出し、リィウスは唇を噛むしかない。
「ふふふふふ。迷うわ。まぁ、今日のところはとりあえずこのままにしておきましょうか。それよりも」
 タルペイアは後ろに控えていたアスクラに目配せした。
「やっぱり身を売るからには、後ろの園を鍛えないとね」
 その言葉が、ぞわりとリィウスの全身に冷たい風となって吹きつけてくる。
 アスクラが木の小函こばこを両手に持ち、うやうやしく、だがどこか芝居めいた仕草でタルペイアの前にひざまずく。
「これで、おまえの後ろを慣らしてあげるわ」
 リィウスは函のなかにあるものを見せつけられて、全身の血が頬にあつまるのを感じた。
「そ、それは……」
 リィウスは思わず乙女のように手で口をふさいでしまった。
「広間で見たでしょう? あれは皮をかぶらせていたけれど、それだと幅があって、素人のおまえにはまだ辛いでしょうから、今回は芯だけ用意したのよ」
 男性器をおもわせるその焦げ茶色の木製器物は、リィウスにとってはおぞましい拷問道具だった。
「四つん這いになりなさい」
 視界がぼやけて水色に濁るのをリィウスは感じた。
(家の為だ……弟の為だ……)
 そして何より、己の名にかけて誓い、署名した約束をまもるため、いわば自分自身の名誉のために、リィウスは言われたことを実行するのに勇気をふるいたたせた。
 大理石独特の冷たさが膝に染みる。
「脚を開いて」
「うっ……」
 額に屈辱の汗をにじませながら、言われたとおりにした。
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