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六
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娼婦になるべく生まれた女という言葉があるなら、この若い男はまさしく娼婦を買うために生まれてきた男ではないだろうか。あくまでも、買うために、である。間違ってもその娼婦を愛し、ひとときのこととはいえ、恋の詩をささげ物語の一場面になるような愛の遊戯にふけるとか、行く末身請けしてともに暮らそうなどという、そんな情熱的で誠実な気持ちはかけらもない。どこまでいっても金を払って、得た時間に欲望を発散させるだけの関係である。
「そうか。とうとうリィウス=トュリアス=プリスクスが男娼になるのだな」
鼠を前にした猫のように、今にも涎を垂らさんばかりの顔になったメロペに、内心ベレニケはぞっとした。
どうやら彼はリィウスという新しい男娼とは知り合いらしい。
知っている人間が客としてきたら、それはさぞ嫌なものだろう。ベレニケは自分自身をかえりみても新米男娼に同情せざるを得ないが、心のかたすみに、すこし期待する想いもあった。
(次からは、そのリィウスという人を選んでくれたらいいのに)
そうしたら、もうこの男の相手をせずにすむわ……と、ベレニケは思っていた。
「そうか。とうとうリィウス=トュリアス=プリスクスが男娼になるのだな」
鼠を前にした猫のように、今にも涎を垂らさんばかりの顔になったメロペに、内心ベレニケはぞっとした。
どうやら彼はリィウスという新しい男娼とは知り合いらしい。
知っている人間が客としてきたら、それはさぞ嫌なものだろう。ベレニケは自分自身をかえりみても新米男娼に同情せざるを得ないが、心のかたすみに、すこし期待する想いもあった。
(次からは、そのリィウスという人を選んでくれたらいいのに)
そうしたら、もうこの男の相手をせずにすむわ……と、ベレニケは思っていた。
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