燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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十一

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 ウリュクセスも室際で控えている他の宦官たちも、魅入られたようにサラミスを凝視している。
「ああ! いくわ! いきそう!」
「もう? 早いわね」 タルペイアは呆れたように首を振った。
「仕方のない子ね。いいわよ、ほら、」
 パシン、とサラミスの尻はタルペイアの平手を受けとめ、その音が合図になったかのように、サラミスの動きは早まった。
 全身を薔薇色に染め、サラミスは石の馬上でのけぞった。
 熱い吐息を天に向けて放つ。甘い体臭のかおりが漂って、あたりは淫らな熱風に満ちる。
「はぁ、ああっ、あああっ……」
 一人で極めようとしている彼女は、まるで見えない何者かに抱きしめられているような恍惚とした表情になった。
 ウリュクセスはますます興味ぶかそうな顔で、自分をふくめその場にいる全員を無視し置き去りにし、彼女だけのオリュンポスを目指している娼婦を、ふしぎな生き物でも見るような目で見ている。
「はぁっ、あああっ、あっ、いくぅ、いくぅ!」
「いけば? ふふふふ」
 タルペイアは笑いながら、サラミスの太腿を撫で、馬の背から浮き上がっている臀部を撫でた。それがあらたな刺激をもたらしたようだ。
「あっ! やぁっ! ああっ! ああああっ!」
 一瞬、サラミスの生身の身体から、彼女の魂が抜け出て、天井へと向かっていくのを、その場にいた全員が見た錯覚を起こした。
 生まれながらの淫婦、と人は彼女を笑うかもしれないが、この瞬間、彼女の魂は神しか住むことのできないオリュンポスで神々とたわむれることができた。
「はぁ……ああっ……んん」
 リィウスは驚愕しながら、サラミスの様子を見つめていた。
 彼女の身体から、一瞬、頭上に向けて真っ赤な火柱が立ちのぼったようだった。
「ああ……」
 張りつめていた彼女の肢体から、波が引いていくように力が抜けていくのが、はっきりと周囲の誰の目にもあきらかだった。
 陶酔感に酔いしれ、しばしの余韻をたのしみながら、やがてサラミスは下界へどもどってくる。
「ふぅ……」
 余韻が引くのを待ってやってから、おもむろにタルペイアがたずねた。
「気持ち良かった?」
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