燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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「うう……」
 リィウスは無念の涙をのみ、頷く。
「わ、わかったから……」
 タルペイアは微笑んだ。
「そう? それなら、自分で動いて極めてみるといいわ。今度は私は手は出さないから」
「ああ……」
 タルペイアは美しく残忍そうな笑みを見せる。
「さぁ、自分で動くのよ」
 リィウスは羞恥と怒りに耳朶まで赤く染めつつも、おずおずとタルペイアの求める屈辱の行為をおこなう。
 左右の宦官たちの支えをたよりに、腰を動かすよう努力した。しめつけるように脚で馬の胴をはさむ様子はさぞ不様だろう。リィウスは何も考えないように努め、身体を動かすことだけに専念してみる。
「ううっ……! うっ……くぅ……!」
 あまりの惨めさに、頬に、涙が伝わる。
「うっ……! はぁっ……! ああ……」
「いい格好ねぇ。お貴族様が裸でお馬乗りだなんて」
 タルペイアが満足そうに笑う。
「くぅ……」
「でも、満更まんざら、悪くないでしょう? 良くなってきたようね」
「あっ……! うう!」
 彼女の言うとおり、たしかにリィウスの中心は悦楽をしめしていた。いったん遮られただけに、若さは素直に自然の摂理にしたがって、すべてをあらわしはじめている。熱い血潮ちしおをひめた若い肉体は、主の心を裏切らずにおれない。
 柘榴荘に来てから連日連夜タルペイアたちの調教を受けた身体は、官能にたかぶりやすくなり、リィウス自身の生来の感受性もあいまって、いまや隠すこともできず、一途いちずに欲望をあらわしている。
「はぁ……!」
 もはや強制されたことも命令されたことも忘れて、リィウスはみずから腰をはげしく上下させて、物言わぬ道具を相手に自分の情欲をたかめつづけていた。
「あっ……ああ……!」
「さ、もう少しよ。ほら、もっとふんばって! 腰に力を入れるのよ!」
 哄笑こうしょうとともに投げつけられた指示に、リィウスは泣きじゃくりながら従う。
「芽がすっかり露にまみれて……可愛いものだね」
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